男が居た。
鎧を着た兵士である。前まで受付にいた覚えがある。
なんとなく、彼に干渉してみることにした。
「ふ……ふひひっ……あははっ…………何もかも狂ってる、何もかも…………」
篝火近くの通路壁際で、へたりこんでぶつぶつと呟く彼の顔を覗く。
憔悴しているが、生きてはいる。不思議の国らしい狂気も感じない。迷い込んだ客人の一人か。
気は確かか?
問いかけてみる。
「あ……? なんだ……幻聴か……? こんな時に、女の子の声なんて……」
頬を叩いてみる。幻と思うならそれでもいい、どちらにしろ目障りなら殺すまでだ。
兵士の目がはっきりと私を見た。久方ぶりに見る正気の人間の目だ。
「……は、はは……なんだ、随分と可愛らしいな……? ああ、もうこの際夢でもいい……聞いてくれるか、お嬢さん……」
なんだろう。しゃがんで目線を合わせて、兵士の頼みを聞いてやることにする。
「恥を好んで申すが、俺は童貞なんだ……特に君のような小さい子が大好きでな……頼む、筆おろしなんてことは頼まないから……ちょっと触ってくれるだけでいいから……な?」
「恥を好むな」
案外元気そうな兵士の正気な頼みは、今際の際らしい望みだった。
……まあ、確かに女体に触れることもかなわず死ぬのは辛いだろう。受けてやってもいいが、私に得がなければ交渉としては成立しまい。これでも娼館で働いた経験もある身だ、お前から出せるものはないかと問う。
双方に得があってこその性交渉だ。なんであれ構わない。
「出せるもの……? げほっ、そんなのザーメンくらいしか…………ああすまない冗談だから、短銃をしまってくれお嬢さん……。……強化石が……あった筈だ。……それでは駄目だろうか……?」
なんだ、見かけによらずいいものを持っているじゃないか。
以前はソウルを貰っていたが、今回は武器の強化素材ということで利害も一致する。さて――。
【奉仕する】
殺害する
それでいい、と首を縦に振る。鎧は邪魔になるので斬りながら解体し、下半身のインナーを露出させた。やせ細った体に似つかわしくない、膨らんだ股間が私の目を引く。
「えっ、あ……ありがとう……! ってちょっと待ってくれ、そんなイキナリっ……!?」
なんだ、したいんじゃなかったのか? うろたえる兵士をよそに、私は膨らんでいるソコをゆっくりと撫でる。
死ぬ間際に男は生殖本能を滾らせるらしいが、この男のこれもそういうことなのだろうか。受け止める相手もいない中、竿だけ大きくさせていたなど悲しいものだ。せめて、一滴残らず搾り取ってやることにしよう。
「い、いやっ、もちろんしたいが、あひ……っ! お、俺にも心の準備がっ」
早口なところを見ると本当に童貞らしい、ちょっと黙ってほしい。
かりかりと四本の指先で布越しに竿をくすぐりながら、ぱくりと彼の唇を塞いだ。
「ふむっっ!!?」
はむ。ちゅう。ちぅ、ぁむ、んむ。
童貞と言うからには口を吸われる経験もないだろう。歯を当てず、唇の柔らかさだけを伝えるキスのやり方は熟知している。
かりかりと指で刺激していた肉竿がびくびくと跳ね、先端から溢れる先走りでインナーが濡れ始めた。
……ただ、キスはしすぎると自分が蕩けることになる。感度が高まり、気分も熟してきたところで口を離し、じっとりと濡れた彼の股間に顔を近づけた。
「はぁ……はぁ……ああっ、もっとキスをぉっ……」
ぜいたくにねだる彼の言葉は無視する。もっと心地のいいところにこれからするのだから我慢してほしい。
「……れ………ぇ、ろ」
「ふお……っっ!!?」
舌を伸ばし、インナー越しに彼の肉竿を舐め撫でる。
舌先ですりすりとくすぐりながら、ときどき顔をうずめて唇で吸い付き、ちゅぷちゅぷと微かに水音を立てて敏感な部分を責め立てる。体を上下に動かして、上から下へ、下から上へ。上目遣いに彼の反応を確かめながら、亀頭に唇を押し付ける。
「ぉ、おひっ、くすぐったいのに、気持ちいいぃっ……!! け、けどっ……!!」
もどかしいだろうね。当然だ、端から射精に向かわせる気はない。
ぴっちりと体に張り付くインナーからは汗と先走りが入り交じった味がして、鼻孔をくすぐる臭いでやけに興奮してしまう。奉仕とは単に射精させればいいというものではない、むしろそれに至るまでが肝要で、いかに射精というものを心地よく仕上げるかが大切だ。だからこうして、煽り立てるようにねぶるのが私は得意だし好きだからよくやるのだけれ、ど。
……男の腰がびくんびくんとやけに跳ねる。鈴口付近の裏筋にしゃぶりつき、舌の表面でざりざりと擦ってやると、痙攣はさらに激しさを増した。
あー……これは。
「あ、あああっ、出っ……!!!」
「……んぶっ…………」
どくっ、どぷどぷどぷっ…………。
インナーの内側で、早くも彼の肉竿が決壊した。煽り立て、興奮を促すための口淫のはずが……まさかそれにすら耐えられないとは。
密閉された衣服の内側で、果実が熟すように濃密な精の臭いと熱が増していく。布地から染み出る精液の味がわかって、一度ちゅぷりと口を離した。溢れ出た精液の分で竿の先端がぷくりと膨らんでいる。
「……早くない?」
ぐぢゅぐぢゅと精液で浸された股間を握り、わずかにしごいてやりながら、彼に問う。
「だ、だって、君の口が気持ちよすぎてっ……! ま、待ってくれ、手を離してええっ……!!」
離さない。手の内側で硬さを取り戻してきた感触を確かめると、インナーを引っ張って伸ばし、折れた剣の刃先でちょんと切れ目を入れた。じわりと精液があふれ出て来たのを確認して、びりびりと引っ張って破く――と。
「…………ぅぁっ……♥」
鼻につく青臭さと、立ち上る熱気。
密閉された中で精液をぶちまけて、真っ白くどろっどろに汚れたソレが顔を出した。
「あ、あのっ……ま、まさか……またっ……!?」
次を期待してガチガチに勃起させっぱなしの彼が白々しくそう言った。
誰が一発で終えると言った。色情魔を口淫で搾り殺した私が満足する筈ないだろ。
なんて言ったところで、知る筈もないか。安心してほしい、あいつのように四肢を斬り飛ばしたりはしないから。先走りと一緒に尿道に残った精液をとろとろと零す鈴口にちゅっとキスをすると、先ほどと同じように舌を這わせてするると根元まで舐め下ろし、口で軽く咥えて吸い上げ乍らまた亀頭の先へと舐め上げる。
くるくると舌を這わせ、亀頭、雁首、肉竿全体の精液をこそぎ取り、掃除は完了。オードブルをごくりと飲み込んだら、大きく口を開き、じぃっと彼の目を見つめながらメインディッシュにかぶりついた。
「ぉひっっ……!!」
「――ぢ、ぅっ………………♥♥」
肉竿の中ほどまでを口内に招き入れると、口をすぼめて吸い上げる。歯の存在を感じさせない、口腔の肉だけをじゅるりと押し付ける口淫。最初の頃は歯を当てないよう、唇を内側に吸い込んでやったりしていたっけ。今は頬や舌に押し当てて向きを操作できるから必要なくなったが、こうして咥えていると淫腐街で働いていたころのことがありありと思い浮かぶ。
なにかを殺してソウルを奪うことができなかったから、見習いとしてよくマリアンナの手伝いをしたものだ。処女でなくなれば死んでしまうから、前戯ばかりが熟達していった。その口も、仲間とのソウル供給で敏感に仕上げられてしまったものだから、ある意味この口淫が私の本番行為とも言える。
事実、じゅぶじゅぶと音をたててしゃぶりながら上あごや内頬につるりと亀頭が触れる度、ぞくぞくした快感が子宮にじくじくと溜まっていく。今すぐにでも股間に手をやってぐちゃぐちゃと弄りまわしたいところだが、それをしないもどかしさが私は大好きだった。
とはいえもどかしいものはもどかしい。ああ、誰かがやってきて私の尻を掴んで今すぐ滅茶苦茶に犯してくれないものかなんて想像しながら、彼の童貞肉竿をちゅぱちゅぱと味わう。
「あ、あーーーっっ、ぁああぁああっっ!!! う、巧っ、こんなっ……!! 腰が、腰が砕けるっっ……!!」
もう砕けてるけどね。彼の腰骨にぎゅっと両手を添えてわし掴み、快楽の逃げ場をなくしていく。
私の子宮の疼きもそろそろ限界に近い。前戯はこれまでにして、そろそろ挿入しよっか。
咥えながら足らない舌をまわしてそう伝え、ぢぅぅぅっっ…………と吸いながら肉竿を口から引き抜き、すぼめた唇で鈴口をねぶり。
「へっ……!? い、いれるって……どこにっ――――ぉおおおっっ!!?!!?」
じゅ、る……ぅううっっ♥♥
……彼の亀頭の先端が、私の口の奥に触れる。舌で裏筋を支え、食道を広げて、準備を整えたら――
「……じゅっ…………ごっ♥ ご、きゅっっ♥♥」
「~~~~~~~っっっ!!!!」
はい、挿……入♥
普通なら嘔吐くだけの喉奥への挿入、いわゆるディープスロート。気道も塞がれるそれは、本来は使われる側でなければ経験することもない行為である。けれども私は経験を重ねるにつれ、何かしらこつのようなものを掴んだらしく、自分の意志ひとつで肉竿を飲み込むことが可能になっていた。
何より、どういうわけか……というか使われすぎたのか、私は異物が喉を埋め尽くす圧迫感で果てしない快楽すら感じる体になっていた。普段は食事や会話に使うソコだが、ひとたび男性器を咥えれば簡単にもうひとつの女性器に転じてしまう。全身が男を悦ばせる娼婦の鑑みたいなつくりの体だが、私自身も気持ちいいから、もうなんでもいい。
「じゅぶっ、じゅぶっ、ぐぶっ、じゅごっ♥ ずぞっ、ぐぽっ、ぢぅっ…………ぐぷぉっ♥」
喉奥で締め付けて激しい快楽を刻んだら、ぐぷりと引き抜いて口内と舌で柔らかな快楽を蓄積させる。
彼はどっちの快楽が好きなのだろう。なまじ一度射精してしまったばかりに簡単に絶頂して逃れることもできず、ぶんぶんと頭を振って悶えるばかりだから、よくわからない。
まあ、私は、断然……喉奥で締め付ける方が、好きなのだけれど。
「待っ――――刺激がっ――――強すぎっっ――!!!」
「――っっぢぅぅぅぅぅぅぅううううじゅぞぞぞぞぞぞぞぞ♥♥ ぢぅうっ♥」
あー、あー、聞こえない。もっとしゃぶらせて。ぜんっぜん物足りない。
彼から見ればハートが浮かんでいるであろう瞳を向けて、喉奥まで全部咥え込んだ体勢でぴたりと止まる。そのまま彼の腰に腕をまわして抱き着いて…………っ♥
「……ぐぽっ、ぐぽ、ぐぽっ、ぐぷっ、じゅぞっ、ぐぽっっ♥♥♥」
「ぉヒ…………――――~~~~~~!!!!!」
ピストン、開始♥
喉奥で締め上げながらの前後運動。そこから引き抜いて口内でねぶる、なんて優しいことはもうせずに、ただただ喉まんこで犯し尽くす。
彼がよがり狂っているように、私の頭の中も喉を犯される快楽でいっぱいだ。股間がもどかしさと快楽でどろどろに融けているようで、どんな状態になっているのか想像もつかない。それ以上に、お腹があの味を求めて止まなくなってきた。早く出せ。ぜんぶ出せ。青臭い童貞ザーメンで私のお腹を満たせ。
ぐっぷ、ぐっぷっ、ぐぷっ、じゅぶっ、ぐぷっ♥ イけ、イけイけイけイけっっ♥ 私もイくっっ、喉まんこ犯されて、からっぽの放置おまんこがっっ……イっ…………ぐぅうっっっ♥♥
「ッ!!! ッッ!!!!!」
「ん、っぐ……!!♥♥」
どぶっ、どびゅるっ、どくっ、どくっ、どくっ………………!!!
――出たっ、童貞ザーメン来たっ♥ 真っ先に噴き出た分は喉で受け止めてそのまま飲み下し、もう一度、あとから来る分を喉から引き抜いて口内で受け止める。味と臭いを堪能しなくちゃもったいない。口をすぼめて根本から先端まで、何度も前後に頭を動かして搾るように吸い上げながら、口内へ彼の精液を貯め込んでいく。
…………出て来るものがなくなって、空イキばかりを繰り返すようになって。自分が出した精液の中でしばらく彼の肉竿を泳がせて、ようやく痙攣が収まって来たあたりで、しゃぶり上げながら肉竿を口内から解放した。
「――――ぢゅるっ…………♥♥」
彼の肉竿は口から離れるとへたりと垂れて、ゆっくりゆっくり縮んでいく。一滴残らずちゃんと出せたらしい。
口を抑えてこぼさないようにしながら、ぐるぐると舌でかき混ぜて味と臭いを際立てたら、ゆっくり、ゆっくりと飲み下していく。彼の体に残ったわずかなソウルが、私の中で融けていく。
膣で受け止めて子を成すための精を、胃袋におさめて血肉に変える。ああ、本当に、倒錯していて、背徳的で、心地いい。
「……ごくっ……♥ ごくっ……んくっ、んぐっ………………♥♥ ……ぶはぁっ…………♥」
都合、何分かぶりの呼吸である。仕組みなんて知らないが、私の体は無呼吸でも動ける。
青臭い自分の息でびくびくと快楽の余韻を覚えながら、彼を見た。ぐったりとへたり込んだまま、ぴくりとも動かない。
「…………あれ…………死んじゃった……?」
脈拍をはかる。呼吸を確認する。正気が宿っていた瞳を、瞼をあけて見てみる。
うん。死んでいた。
「え……筆おろしも、まだなのに…………」
じくじくと疼いて、とろとろに融けた私の膣穴をどうしてくれるのか。肉竿も萎びてしまったし、咥えながらのオナニーも満足にできそうにない。
死にさえしなければ、童貞も卒業させてやれたのに。とはいえ、私の口内で文字通り果てられた彼は幸福だったと信じつつ、約束通り彼の懐から強化石をいくつか拝借した。
「けぷっ。…………射精させて殺しちゃうなんて、私……淫魔みたい……」
実際、似たようなものじゃないか。
いつだったか従者に言われた言葉を思い返しつつ、唾液で口内をゆすぎながら篝火のもとへと戻った。