催眠アプリを手に入れたので、レイプする!! 奴等をエロスキルでテクノブレイク!! 作:Ω2
「ん……」
茜は微睡んでいた。
「んーぅ」
起きなくてはならない。
大切な事を忘れている気がする。
起きたくない。
このまま誘惑に身を任せて、惰眠を貪ってしまいたい。
その二律背反する想いが茜を惑わせる。
だが――
「んぐ!?」
身体に感じる重量が急に増した事により、まどろんでいた茜の意識は強制的に覚醒させられる。
(人が気持ちよく寝てるのに……)
先程まで半分とはいえ起きるつもりがあった茜であったが、それを棚に上げ、不快感を全面に出す。
「なによ……」
苛立ち半分に、瞼を開く。
自分の安眠を妨げる物の正体を知る為に。
そして茜は見た。
「あはぁ、おはよう茜ちゃん」
目と鼻の先にある男の顔を。
「え、あ――」
予想外すぎる正体に、眠気は一気に吹き飛び、頭が真っ白になる茜。
「流石はフェン君だ。どうやら無事に治療出来たみたいだねー」
だがそんな茜を意に介さず、男は茜の頬に無遠慮に触ようとしてくる。
「き」
「き?」
「きゃああああああ!!!!!!」
「ぶ、ぺら!?」
反射的に茜は男の頬を叩いていた。
これまでの人生で間違いなく一番であると断言出来る程の全力で。
「ちょ、ちょっと待って! 茜ちゃん! 僕だよカラスだよ!」
「そんな事は分かってます!」
その男が少し前に自分に起きた事を説明した男だという事はとっくに気付いている。
「分かってての全力ビンタ!?」
当たり前だ。顔見知りと言えるか微妙な男が、寝ている自分の身体にのし掛かっていたのだ。
誰だろうと、まずはビンタするだろう。
「一体どういうつもりですか!?」
茜は顔を真っ赤にし、断固として説明を求める。
「いやぁ、これには深い理由があってさ……」
「……本当ですか?」
へらへらと笑っていたカラスが神妙な顔になる。
だが茜はビンタの為に上げた手を下ろそうとはしなかった。
「なんですか!?」
余程の理由でない限りはもう一発食らわせる必要がある。
「うん――」
真剣な顔でカラスは言う――
「ちょっと茜ちゃんの身体を舐めようと思っただけだよ」
想像した以上に最低な答えを。
「いやぁぁぁぁぁ!!!!!」
「が、ぱぴ!?」
余裕で二発目をお見舞いした。
躊躇いも罪悪感も感じない。感じるはずがなかった。
なに言ってるのだこの男は。
「あ、誤解をしてもらったら困るから言っておくけど、別に君の事にはまったく全然興味や魅力は欠片も感じないか」
「じゃあ、なんでですか!?」
馬鹿にされているとしか思えない。
(……いや、違う)
まったく持って腹立たしい事だが悪気がなさそうな所を見ると、多分この男は本気で誤解してもらいたくないから言っている。
本当に自分には欠片も興味や魅力を感じないと言っているのだ。
……それはそれで女として腹立たしい事ではあるが。
「では何故自分の顔を舐めようと思ったんですか?」
「何ってフェン君の事だよ」
「フェン君?」
誰だそれは。
「あー。その反応を見る限り、彼は名前すら名乗らずに『治療』に専念していたみたいだねー。相変わらず真面目な男だよ」
「治療?」
まさかと思う。
茜は覚えていたのだ。
『次だ』
治療と言って、自分の純潔を奪った男性の事を。
そして――
『どうか私の処女を奪って下さい』
正体不明の疼きに身体をおかしくされた後とはいえ、彼によって女の悦びを教え込まされ、別人のように乱された自分の痴体を。
「――!!!」
先程とは別の意味で顔が熱くなる。
「あはぁ。その様子だと、フェン君にあんあんよがらされたみたいだね」
「な! よがらされたりしてません!!」
「本当に? 気持ちよくなかった?」
「え……」
あまりに真剣な顔で尋ねて来るカラスに、茜はたじろぐ。
「彼、上手くなかった?」
「い、いえ。それはその――」
そういった経験が一切なかった自分が言えた事ではないが――
「とても上手でした……」
多分、それは確かな事だと思う。
テクとか云々はよく分からないが、彼が女を抱くことに長けている事は、素人の自分でもはっきりと分かった。
「……惚れた?」
「な! なんでそうなるんですか!?」
いくらなんでも、一度の性交でそれはない。
自分はあの人の名前を今、知ったばかりなのだ。
惚れるなんてありえない。
……多分。
「隠さなくてもいいよ。僕も彼の事、愛してるからね」
「そ、そうなんですか……」
ん?
「すいません。聞き間違いだと思うんですけど、今、なんとおっしゃいました?」
「ん? ベタな反応だね。フェン君を愛してるって言ったのさ」
「……」
OK。落ち着こう。
改めて茜はカラスを見る。
アイドル顔負けの優れた容姿。だがどう見てもーー
「あなた、男性ですよね?」
「ああ、勿論だよ」
「……友人的な意味ですよね?」
そう、きっとあれだ。友情だ。それをオーバーに表現すれば、愛しているとーー
「いやラブ的な意味だよ」
カミングアウトされた。堂々ととんでもないことを。
「だからこそ、フェン君が触れた所や舐めた所は彼のファンとして、舐めておかないといけないんだよ……」
「それが深い理由!?」
しかも信じられない程の無茶苦茶で浅い理由を言ってきた。
というかーー
「あなた男の人でしょう!? ホモなんですか!」
「失礼な! ただ僕は運命の人が同性のフェン君だったという事だけさ!!」
「それをホモと言うんです!! って、はや!?」
いつの間にかカラスは茜の両手を自らの手で押さえていた。
「大丈夫。いつかフェン君と愛し合う関係になった時の為に、テクは磨き続けてるから!」
「やめてぇえ!!」
「寝言は寝て言ってくださいカラス」
冷静な声と、何かが殴打された時特有の音が聞こえたかと思うと、
「ひゃぎぃ!?」
襲いかかってきそうだった男は悲鳴を上げ、ベッドの上に倒れた。
「え?」
何が起こったのかと、目を凝らすと、
「私の目が黒いうちは、そんな事は絶対にあり得ません」
ベッドのそばには黒いベンチコートを着た小柄な少女が立っていた。
フードからかいま見える顔は人形のように整っており、同性である茜でさえ背筋にぞくりとしたものを感じさせる程であった。
惚けて見とれずにすんだのは、少女の手に握られたカラスを殴ったであろう得物の存在があったからだ。
(う、嘘。あれ、もしかして刀?)
ドラマや映画で見たことがある茜にとってフィクションの中にしかないはずの武器。
鞘に収まった状態ではあるが、それを当たり前のように持つ少女。
だが茜に危害を加えるつもりはないらしく、視線が合うと少女はぺこりと頭を下げた。
「申し訳ありません。この変態男カラスはマスターの事になると、暴走して見境がなくなるので」
「……それはお互い様じゃないかなリルちゃん?」
倒れた男ーーカラスは抗議する。
「というか、『エンドレス』との戦闘用に使うスタンブレードで止めなくていいんじゃないのかな!? ただのお遊びじゃないか!?」
「極めて妥当な使用と判断します。あなたにとって遊びでも佐藤 茜さんにとっては一生級のトラウマになる可能性が高いので」
「失礼な! ただ全身を舐め回すぐらいさ!」
「ダウトです」
リルと言われた少女は再びカラスの頭を刀で殴打した。
素人の茜の目から見ても、命に関わるであると分かるほどに、鋭く重い、強烈な一撃であった。
「くべぇ!!」
それを受けたカラスは、白目を向きベッドの上に轟沈した。
「さて、ダウトな変態男は気絶したので、本題に入らせて貰っても宜しいですか?」
「いや、あの、この人ーー大丈夫なんですか!?」
カラスの身が流石に心配になる茜だが、リルは無表情で首を横に振った。
「問題ありません。この男は腐っても『ネクサス』ですので、身体の頑丈さは折り紙つきです」
「そ、そうなんですか……」
よく分からないが、少女が嘘をついている様子もない。
押し倒されそうになった恨みも手伝い、茜は自らにそういうものだと納得させた。
「そんなことより、佐藤 茜さん。マスター……フェン様があなたをお待ちです」
「フェン……様?」
少女が『あの人』の事を言っているのは分かる。だが『マスター』やら様付けやら、どう考えてもただの関係には見えない。
茜の疑念を感じたのか、リルは再びペコリと頭を下げた。
「失礼しました。自己紹介がまだでしたーー」
少女は刀を持つ手とは別の手を小さな胸に当て、名乗った。
「私の名前はリル。マスターであるフェン様の
「……え?」
それは自己紹介であると同時に、カラスとは別の意味でとんでもないカミングアウトでもあった。