【強姦よ】
そう自信満々に告げるアリアの頭を一瞬疑ってしまったことを誰が責められようか。どう考えても恋人に対して薦めることではない。
(いやいや、そんなこと……)
【でも、女の子の心にトラウマを植え付けるなら一番いいのはそれに決まってるじゃない】
(そうかもしれないけど……)
これがアリアと恋人関係になる前であれば目的のためと割り切ることができたかもしれないが、さすがに恋人ができた状態でそうと割り切れるほど人非人ではない。
【貴方と一緒に暮らすのに邪魔になる相手を排除するためならしょうがないわ。……これでもダメなら、もう諦めるしかないわね】
(そっか。もうそのあたりまで来てるわけか……)
もうやれることがほとんど残っていないという事実に泣きたくなるが、何か一つでも残っているならそれを試してもいいだろう。
「お、お兄ちゃん……?」
気力だけで立っているユーフォリアは、今なら逃げても追いかけることができないとわかっているだろうに、先ほどまで『消え失せろ』と、要するに『俺に近づくな』と言っていた俺から近づいてるという事実に困惑して話しかけてくる。が、今からすることを考えれば下手に話をすれば情が移ってしまうかもしれないので返答をしない。
無理矢理に押し倒して服を破り捨て──とは言っても神剣を取り出した後の服装なので片付ければ物部学園の制服に戻るのだが──覆い被さり……
………………
…………
……
「ってことは、最初は強姦だったんだ」
「向こうは俺のことを好いてくれてたけど、合意はなかったからなー」
当時の未熟な戦いのことを語るのは嫌だったが、そこに至るまでの最低限は語らざるを得なかったので、仕方なく語った。気絶しているユーフィーもそろそろ起きそうなので、ここでこの話を終わりにしないと俺的にはすごい恥ずかしい話になりそうだ。というわけで語るのは少しだけ。強姦でどんなことをしたのか。……というか今思い返すとよくあれで嫌わなかったなユーフィーは。
「何したの?」
「んー、『悠久』の柄を無理矢理に膣に突っ込んで処女を奪ったり、アナルに突っ込んだり?」
おかげでしばらくの間は『悠久』から拒否反応が出ていた。今ではもしもの場合に掴んで振るうこと程度はできるけど。……まあそんな事態はアリアがいるので起きるはずがないのだが。一応、あの時は『せめて処女程度は大好きな相棒に奪ってもらう方がいいだろう』という100%の善意だったのだ。
ユーフィーが痛がるように無理矢理に抉って、そのあとは絶望させるつもりで俺が普通に逸物で犯しながら何をしているのかをしっかり丁寧に教えてあげたりしたわけだが
「当時は知らなかったけど、その時点で『ユーフィーは俺のことを恋愛的な意味合いで好き』だったから諦めてもらえずに、『責任とってくれ』って感じに逆に迫られて、諦めた」
『要するに夫婦ってことですよね!』と少し怖いくらいに迫られたことを忘れることはないだろう。諦めて戻ることになったと決まってから、ユーフォリアは一度『悠久』を戻して自分の格好を整えたところで他の面子も集合した。
………………
…………
……
「ってことは、宗弥は戻ってくるってことでいいのか……?」
望たちがやって来たタイミングですでに戦闘が終わり俺の負けで終わったタイミングで望たちはやって来た。
「ああ、どうせあと少しの付き合いだ。その程度の時間でもお前らから逃げ続けて、殺しにかかってくるお前らの相手をする方が命の危険は大きいだろうよ」
どうせどこか別の世界に移動して、こいつらと会うことは二度とないだろうし。それなら少し程度は付き合ってもいいだろう。
「で、今の状態はどうなってんの?」
「今は理想幹神を滅ぼしたところだ。その帰りに、ログ領域を利用してお前の場所を割り出してこっちまでやって来た。ここから今の私たちが拠点としている世界、地球にそっくりな世界で『写しの世界』と呼んでいる世界のとある組織に預けて来た学生たちを拾って、そのままお前たちがもともと住んでいた世界に帰る」
ってことは、だいたい九章と十章の間ぐらいか。これから南天神の亡霊による襲撃はあるわけだしすぐに戻れるわけではないけど。そんなことをこいつらは知らないだろうし。
「それなら、あいつらに謝っといた方がいいかね。俺のせいで帰るの遅くなったわけだし……」
……元々旅が続いた理由である暁が謝ったのかどうか知らないが。
「別に問題ないだろう。あいつらはお前が神剣使いに怯えていることに気づけなかったことを悔いていたから、それを口にしたら逆に萎縮しかねない」
「ふーん。……で、望。そこの新しく追加された、さっきいきなり『好みのタイプ』とかほざいてた女は誰だ?」
「ふっふーん! あたしはナルカナ! まああんたは特別っぽいし、『ナルカナ様』と呼ぶことを許してあげるわ!」
「……くっそうぜぇ」
そんな会話を繰り広げながら、とりあえずはものベーに戻る。ユーフォリアは立てるほど回復していなかったので米俵を持つようにして連れ帰るのだった。
………………
…………
……
「……お前、バカなの?」
ものベーに乗って『写しの世界』にある『出雲』に向かう最中、俺は自分に与えられた部屋でユーフォリアと向かい合って真正面から罵倒していた。
もちろん、理由はちゃんとある。
「お前がこうやってちょこちょこ付いてくるせいで俺は監視されてる気分だったわけ。それが窮屈でしょうがないし、殺すタイミングを伺ってるんじゃないかって恐ろしかったわけ。だから逃げ出したのに戻って来たら戻って来たでずっと付いてくるって……」
どう考えても過去の失敗から何も学んでいないようにしか思えない。そんなユーフォリアに対しての見下す目線に対して、ユーフォリアも『私にだって言い分はある!』と言わんばかりにムッとして俺のことを睨み返して来た。
「お兄ちゃんから目を離したら、その隙に逃げ出すかもしれないじゃないですか!」
「もう逃げないって……」
この時間樹にいる間は。終わったらお前との縁も切れるから逃げるけど。最低と罵られたとしても、そもそも強姦してる時点で最低なので今更言われたところで何も感じない。
【安心させるためにまた抱いたりしてみる?】
(バカ言わないでくれ、アリア)
あの時は関わらないようにするため、つまりそれ以降自由になるために仕方なくレイプしたというのに、今回の『安心させるため』なんて名目で抱くとなるとレイプはダメなのでそこに持ち込むのが面倒だし、結局のところそれで自由になれるかも謎だから、抱くつもりにならない。そこまですると際限がなくなる。
「なら、どうしたら信用してくれるわけ?」
「うーんとですね……」
真正面から尋ねてみると悩み始めるユーフォリア。考え事をしているので今のうちに何処かに行ってしまえば少しは楽な時間ができるかとも思ったが、そんなことをすれば最後、これ以降絶対に離れてくれなくなるだろう。
「あ、そうです!」
「おっ、何か思いついたか」
何か名案を思いついたと言わんばかりの表情のユーフォリアに少々期待してしまう。
「家族になればいいんです!」
「……はい?」
ただ、出て来た答えは少々予想外だった。
「家族になれば最終的には私のところにお兄ちゃんも戻って来てくれますよね!」
「ん?んん??」
「戻って来てくれるってわかってるならどこかに行くことを心配しなくてもいいです!」
ということで子供作りましょう、なんて言って未だ理解の追いついていない俺を押し倒してくるユーフォリア。カチャカチャとベルトをいじる音でようやく認識が現実に追いついて
「いやいや、待て待て。お前はいきなり何を言ってるんだ!?」
「むー。何が不満なんですか、さっきは私に手を出したのに。私なら子供もちゃんと作れますよ、神剣……種族の違うアリアちゃんと違って!」
【その喧嘩買ったわ】
俺の内にいる神剣状態のアリアが体外に抜け出て人間態になる。その直前の言葉はとても静かで恐ろしかった。
「ふふふ、残念ねユーフォリア。私はその気になれば『境界』を弄ることで子供すら産めるわ。そしてあなたが産めないようにすることもね」
それに、そうじゃなくても今の貴女には宗弥の子供は産めないわなんて言うアリアが視線を向けているのは、たった今ユーフォリアが脱がせたばかりの俺の股間部分。
「あれ? さっきと違ってちっちゃい?」
そう、正直言って、可愛くはあっても女性としての魅力に欠けるユーフォリアでは、俺の方から抱こうという気力がないと勃たない。そしてユーフォリアはその辺りの性知識はない。つまりこれでユーフォリアによる逆レイプはエンドだ。
「ふふ。貴女には魅力が足りないってことよ。……まあ、このまま『貴女は子供産めるけど、私には産めない』なんて誤解をされたままだとムカつくし」
「ア、アリアちゃん!?」
するっとユーフォリアの後ろに回り込んだアリアが、制服の裾とスカートに手を潜り込ませる。
「貴女が満足するまでするといいわ。そうして全く子供ができそうにないのに、私には一発でできる様を見せてあげる」
耳元で息を吹き掛けながら囁き、潜り込ませた手でユーフォリアの性感帯を弄り始める。さっきの一件で大体の弱いところはアリアも把握しているので、そこを執拗に付け狙うことで幼い少女には不釣り合いな痴態を演じさせていた。
どうやっているのかはわからないが、ユーフォリアの服も上を強く嬲っている間に下を脱がせて、そちらに気を取られた隙に上も脱がせて、とどんどん剥いていく。
「さ、宗弥。据え膳食わぬは男の恥って言うでしょ?」
「おにい、ちゃん……」
潤んだ瞳と桜色の頬の青い少女を見て、淫媚な視線を向ける金の少女に誘われるように……
………………
…………
……
「そこからが一番いいところなのに、どうして教えてくれないの?」
「あー、うん。それは……」
ジト目で睨んでくるミューに対して言葉を返そうとしたが
「ユーフォリアが誰かに知られるのを嫌がったからよ」
「アリア」
そこに現界したアリアからの援護射撃が入る。
「今となっては絶対に言えないような、恥ずかしい姿まで見せてるもの」
ちなみにその中には甘えん坊になって抱っこを要求して、駅弁スタイルになったとかのエピソードもある。その辺りを知られるのを嫌がって、たとえ俺と関係を持っている他の少女たちに対してであっても言わないように頼まれたのだ。
「そう言えば……アリアは子供産めるって証明するとか言ってたけど、その辺りは?」
「その辺りはねぇ……面倒臭いことになったよ」
まあ、母親が神剣なので、俺の遺伝子があったことで神剣に近しいけれど確実に違う何かが生まれていた。ただ、子供と言うより種子と言った方が正しい存在だと思う。契約した相手を俺の操り人形にする類の。なのでそれを外に出すわけには行かず、全力で隠し通して今もまだ残っている。自分の子供を殺すのは、ねぇ……
「ただ、一つだけ。今も稼働しているのはあるよ。そこに」
「ユーフィーが?」
「うん。ユーフィーの頼みで体内に」
具体的にはユーフィーの体と同化したことで、俺とアリアのマナに順応するようになっているので、誰よりも俺との体の相性がいい。そうでなくても、俺との間でのマナリンクを使用したりすると、俺のマナを使用する場合にのみ威力を『俺の技の威力』に自分の技の威力を載せられるようになる。ついでに彼女は常に俺のことを体内に感じてる。
「それでようやく、常に俺のことを感じられるからって解放してくれた」
「んにゅ……」
「お、ユーフィーもそろそろ起きそうだし、これ聞かれたら怒られそうだから、初体験の話はここまでで」
「む……ユーフィーが怒ると怖いししょうがない」
サブタイはふざけた。反省はしてるけど後悔はしてない。