戦いを終えた後、俺たちは臨戦態勢を解除して向き合っていた。
「貴方の行く末に関してはある程度見えました。少なくとも、ユーフォリアや私たちに害を為すわけではなさそうですね」
それも、今のまま進めばの話ですが、と締めくくる時深さん。つまり、今はこのまま殺されたりすることはないということで。それを理解して安堵の息を吐く。
「っと。どうしたユーフィー」
その直後、後ろから腰のあたりに突撃されて、そこに彼女は顔を埋めている。反応もないのでどうすればいいのかわからず困惑していたところに、時深さんからの救いの手が差し伸べられた。
「ユーフォリア。こんなところで抱きつくんじゃなくて、部屋で抱きつきなさい」
……救いの手と言えるのかわからないが。
「えっと、それじゃ失礼しますね」
「ええ、香山さん。ユーフォリアのことをよろしくお願いしますね」
最後の言葉を口にした時の時深さんの顔は、見惚れるほどに綺麗だった。
「痛っ!?」
直後にユーフィーに抓られる羽目にはなったが。
………………
…………
……
ーーどうしてこうなった……?
水音の響く室内で、そんなことを考える。
「お兄ちゃん……ん」
時深さんとの戦闘を終えユーフィーに連れられて部屋に戻ると同時に、押し倒されてキスをされた。舌を絡めたりするディープな方ではなく、本当にただ唇を合わせるだけのキス。
「どうした、ユーフィー?」
「お兄ちゃんが”ユーフィー”って呼んでくれて嬉しくて……」
どうしても迷惑ならやめますけど、とシュンとするユーフィー。そんな彼女の様子を見ていられなくて
「ほら、ユーフィー」
「ん……」
ユーフィー相手に今度は俺からキスをする。もう、一回こっちからもっとすごいことしてるわけだし別にいいかななんて思って。
「いいんですか、お兄ちゃん?」
「うん、もう色々としてるわけだし別にいいよ。アリアもGOサイン出してるし」
なら問題ないですね、なんて笑うユーフィーはもう一度キスをしてきて、普段の天真爛漫な笑みの中に、どこか艶も混じっている表情で俺に抱きついてくる。
「じゃ、しちゃいましょうか」
今度は先のお礼代わりに俺からキスをして、ユーフィーの体を弄るために手を伸ばして……
………………
…………
……
水音が響いている。先とは違って、今度は自分からそんな音を発生させていた。
「お兄ちゃん」と俺のことを幾度となく呼ぶユーフィーは、俺の体にしっかりとしがみついている。彼女は俺の上に体を乗せてゆさゆさと俺の上で腰を振っていた。局部は結合していて、部屋に響く水音は先ほどまでの互いの唾液が混じり合うことで生まれるものとは違い、彼女の膣を湿らせている液を俺の逸物が滑ることで生まれている。
「ユーフィー」
名前を呼んで、彼女のことを抱きしめて奥深くに射精する。絶頂を堪えようとしているのか、先ほどまでよりも力を込めて抱きついてくるユーフィーは、俺の射精が終わるとともに艶を含んだ吐息を漏らす。
今回のセックスはこれまでとは違って乱暴な行為はない。一度目のレイプや二度目の野獣になってのセックスとは違って、今回は俺もユーフィーも合意でのセックスである。だから、二人ともちゃんと気持ちよくなれるようにセックスする。
まだ続けても大丈夫かと問えば、ユーフィーは頷いてくれる。それならと俺も少し勢いづいて、先ほどよりも少々激しい抽送を開始した。
さっきまでの緩いペースに慣れていたのか、激しめの抽送に適応できずに喘ぎ声が口から漏れている。その口をふさぐことも不可能ではないが、恥ずかしがるユーフィーが可愛いのでそんなことはしない。
そうして、互いのことを貪りながらその日は過ぎていった。
………………
…………
……
あくる日。本来ならば『元の世界』に戻るはずだった日。『出雲』を攻めてきた相手のせいで、俺たちの帰還は大幅に遅れることとなった。
「管理神たちが滅んだ今、我ら南天の神々がこの時間樹エト・カ・リファを導くのだ」
「うるさい、邪魔だ、死ね」
だいたいこんな感じの会話から始まり、それに激昂しながらも冷静さを失わずに後ろに下がりマナ・ゴーレムであるノル・マーターを大量に投入して来た南天の神々のせいで、大将を倒してどうにかするという手段を使えずに戦線は停滞していた。
「ちっ、面倒だな!」
正直に言えば、今も戦うことは怖い。けれど、
「ゆーくんを甘く見たら痛い目に遭いますよ、飛んでけー!」
ユーフィーの放った『ライトバースト』に『マナブースト』を使用して威力を底上げしたことで、周囲のノル・マーターは吹き飛ばされる。周囲には他のメンバーもいるのだろうが、数が多すぎて流石にそこまで目を向ける余裕はないので、とりあえず目の届く範囲で焼き払っていく。
「ユーフィー、合わせて」
「はいっ!」
ユーフィーの『パーフェクトハーモニック』と俺の『デスペラードハーモニック』が同時に放たれる。こういうところ、俺の戦闘経験が少なすぎるせいで、ユーフィー”に”合わせるのではなく、ユーフィー”が”合わせることになるのは恥ずかしいことだが、今すぐにどうにかなるわけでもない。
「死に絶えろ」
近くにいたノル・マーターにドリル形状に変化した『境界』を突き入れ、内側で精霊光を炸裂させる。内側から砕け散ったゴーレムの破片をマナを通すことで強化し、擬似的な散弾と化す。
「『マナブラスト』」
さらにそれで一瞬動きの止まった奴らの中心地点に向かってマナの球体を発射。それは膨大な吸引力を発揮し、周囲に大量のゴーレムを集めた上で、触れた瞬間に爆裂して破壊をもたらしていた。
「『オーラフォトンペネトレイター』」
貫通性能を極限まで高めたマナの槍を銃弾として『境界』から発射する。それらは予定通りわらわらと増えるマナ・ゴーレムを纏めて貫いて
「あっぶね……」
ついでにその間にいた望も貫きかけた。幸いにも望が直前に別の場所に移動したので気づかれず、それどころか「俺の動きを把握して」みたいな視線を向けられたけど、別にそんなことはない。ただの偶然である。
【宗弥、あれをやりましょう】
(あれ……? ああ、あれか。でも出来るのか?)
【さあ? でも試せるうちに試しておいた方がいいでしょ?】
(それもそうだな……ユーフィーはびっくりするかもしれないけど)
「
アリアの言葉を受けて、俺は言葉を紡ぐ。その瞬間、近くにいるユーフィーと何かが繋がったような感覚に陥り、ユーフィーはびっくりした表情になるが、すぐに敵が近くにいることを思い出して気を取り直した。
「
瞬間、俺の時間が加速され、相対的に他の速度が遅くなる。この世界に入り込めるのは、同じ『時』の力を使える相手だけ、というか俺の知る限りではコピー元である時深さんしかいない。だから、聞こえる音はあり得るとしたら俺がゴーレムを破壊する音程度のはずなのだが
「え? え? 敵さん、遅くなってる?」
ユーフィーだけは俺と同じ時間流に乗っている。これが、先の
「行くぞ、ユーフィー」
「あ、お兄ちゃん。はい!」
俺の姿を認めて驚いて、直後よくわからないまでも今がチャンスであることには気がついたのか元気に返事をする。『悠久』から生える光の刃を長大なものとして、ユーフィーはぶん回した。
「それー!」
相手の頭ぐらいまで飛び上がってからぶん回したため、空を飛んだり飛び上がってさえいなければ当たることのない代物は、実際に当たることなくスパスパと、俺が渡したマナも加えて強力になった刀身で切り裂いていった。
「望!」
「どうした、宗弥!?」
一旦『タイムアクセラレイト』を解除してから声をかける。望は必死こいて戦っているが、その一体をとりあえずぶっ壊してからの声掛けである。
「俺とユーフィーでどうにかして一時的に道を作るから、その間に大将ぶっ殺してこい!」
「わ、私もですか!?」
「俺一人で全滅させるのは無理だ!」
正直に言って、一撃で殺しきれる数と今いる数と補充される数を考えると一人で道を作るのは心許ない。地味にナル化マナまで出てきてるので、どうせナルカナが望に握られて殺してきてくれるだろう。
「……わかった!」
「よしっ!」
その言葉を受けて、全力でマナを練り上げる。隣でユーフィーもマナを練り上げていて、エターナル二人の全力で道を切り開くのは少し豪華ではないかなんて思う。
「
さらにそこにおまけで攻撃力を上げる効果がある神剣魔法を使い、破壊力を高める。とりあえず、目につく範囲のやつは全滅させるつもりで、それができる技を選んだ。
「マナよ、時の牢獄に敵さんを捕らえて!」
「マナよ、流星となりて地に墜ちよ」
互いのマナが高まって行く。俺がアリアに手伝ってもらいながらマナを練り上げて、それが完成するよりもわずかに早く、ユーフィーの技が完成した。
「『グラスプ』!」
『時の牢獄』という言葉の通り、敵の動きがほんのわずかではあるが止まる。そしてその隙に、俺も魔法が完成する。
「『オーラフォトンアステロイド』」
散弾と化して、俺の神剣魔法がゴーレム達に一気に襲いかかる。それによりマナゴーレムが破壊される最中も増援のゴーレムは湧いて出てくるがそれらは他のメンバーが破壊とまでは言わずとも押しとどめる。ナルカナは『叢雲』となり望に握られ、一本にまとめられた『黎明』を『オーバードライブ』の推進力として利用して望は南天神の元にまでたどり着いて
「これで、終わりだ!」
「な、しまっーー」
『叢雲』に乗せた『浄戒』の一撃によって、エヴォリアの肉体ごと斬り伏せられた。