「うぼぁ……」
朝起きると、そんな奇声が口から湧いて出た。でもその理由も俺の隣に眠る少女を見てもらえば理解してもらえると思う。
俺の横にはこの世界で出会ったこの世界の王女、カティマ=アイギアスが裸で眠っている。ちなみに俺も裸だ。これだけで何が起きているか察しのいい人なら気づくだろう。ここは学園の一室ではない、この『剣の世界』のとある街の宿屋の一室。彼女が目覚める前に、さすがに最低限の身支度やベッドの状態などはどうにかしておく必要があるだろう。
ただ、それをする前に一言だけ言わせてほしい。
「やらかした……」
俺は襲われた側ではあるけれど。
………………
…………
……
俺がカティマと出会ったのは、やはりこの学園内。前線ではないので皆が一旦の休憩ということで街に出ている中も俺はものベー内部に残っていて、そんな折に学園内で休憩している彼女と遭遇したのだ。
最初は全力ダッシュで逃げ出そうかとも思ったが、それで余計に興味を持たれたりしたらこれから先も関わってくるかもしれない。そう思って、この一度だけの邂逅で済ませるぐらいの気概で普通に話をしていたんだ。
なのに
「そして、お父様はダルバに殺されました」
「はぁ……」
なぜか彼女はこの時期は多分望たちにも語っていないであろう身の上話などを俺に語っていた。そんなことを言われても俺にはどうしようもないから望たちに語ってほしい。というか、どうして「初対面で好印象を抱かれる」程度なのにどうして俺に語っているんだろうか。
「えっと、カティマさん。どうしてそんなことを俺に……」
恐ろしいけれど聞かないといけないと思ってそこまで言ったところで、そろそろ先へ進軍するという合図のチャイムが鳴る。
「ああ、申し訳ありません。話はまた今度」
「あ、はい。行ってらっしゃい」
………………
…………
……
「それで、何があったんだよ香山?」
「いや、なぜかこの世界で望や会長が協力関係を結んだ相手……カティマさんに気に入られた」
戦闘のために外に出て行った神剣使いの面々と、教室に戻った俺たち。以前の八つ当たりについてもどうにか決着がついたーーわけがなく、八つ当たりをしてこなかった一部の名前も知らない生徒とのみ普通に会話をしている。
「んだと、てめー! ……おい、お前ら、こっち来い! 今から独りだけ異世界の美人さんとリア充してやがった裏切り者の香山を異端審問じゃオラァン!!」
その言葉と共にざわ、となったクラスメイト達。目線が恐ろしくなってきていた。
「は? いや、ちょ、ま……!」
このままだとまずいと思って止めるも間に合わず、以前八つ当たりしてきたせいで無駄に気まずくなっていた相手も、嫉妬の炎を燃やしている間はそんなことを知らんと言わんばかりに全員で俺を取り囲みガンホーと言い始めている。
「では、これより異端審問を開始する。被告人は前へ!」
「やーめーろー!」
背後から掴まれてそのまま一部の面々が裁判所もどきに姿形を整えた教室の中心に連れていかれる。周囲には異世界の美人さんとラブコメしたと勘違いしている男子だけではなく、なぜか一般女子まで混じっている。もしやこれは、俺に好意を抱いてくれている可能性が……!
「私たちも異世界のイケメンさんとの出会いが欲しい!」
なかったようだ。
うん、知ってたよ。俺なんかを好きになってくれるような人は多分いないんだろうなぁって。でも、少しぐらいは期待したいじゃない。もしかしたらクラスメイトとのラブコメが発生するかもしれないって。
「では、彼の罪状を」
「被告、香山宗弥(以下甲と称す)は、この異世界で皆が苦労している中、カティマ=アイギアス(以下乙と称す)とラブコメを繰り広げていたという罪が告発されています。これは周囲の面々……特に独り身、あるいは恋人が『元の世界』に残った面々に対する挑発的言動であり、それを見過ごすことになってしまえば皆の間に不和を生み出す可能性がーー」
「長い、簡潔にまとめたまえ」
「異世界の美人さんとイチャイチャしたとか羨ましいです!!」
「よろしい。では判決だ」
「ちょっと待とう! 俺の弁護人はどこ!? そしてイチャイチャが許されないとか『元の世界』で恋人関係だった二人とか地獄じゃないの!? 更に言えば俺のそれをイチャイチャと認めるわけにはいかない!!」
「貴様、自分から『気に入られた』と言っただろうが……! 気に入られるような何かをしたんだろう。そうでもなけりゃ俺たちと同じく顔面偏差値が平均程度のお前が、なんて認めるわけにはいかねーんだよ!!」
「いやいや待て待て。よく考えろ。お前らが今言った通り、俺とお前らの顔面偏差値が同じ程度なら、俺が恋愛に成功すればお前らにも異世界の美人さんとの間にラブコメが発生する可能性が0ではないという証明になるんじゃないか? ……それと、本気でラブコメじゃない」
最後だけ妙に重苦しい声で言ったおかげか、直前の『自分たちにもラブコメ成功の可能性がある』という餌を晒されたことで修羅に堕ちた状態から少しばかり人間に戻ってきていたクラスメイトたちは、俺の意見にも耳を傾けてくれそうだ。
「いいか? まず、あの人は会長達と同じく永遠神剣の担い手だ。それもこの世界の」
「うん? それがどうかしたのか?」
まだわかっていないようなのでため息をつきながらも説明をすることにした。
「会長達と同じ神剣使い……だけど会長達と違って俺たちとは違う世界で生きてきたってことは、俺たちとは常識も違うってことだ。もしかしたら彼女の立場だったら『気に入らない相手はいついかなる時であっても斬り殺してもいい』っていうことが『常識』な可能性もある。……俺たちの何が原因で殺されるかもしれないって考えるとラブコメしてる余裕なんてないよ」
「そ、そうか……」
例えばこれが、普段の望の受けている「のぞみんパンチ(クリティカルヒットバージョン)」なら、『俺たちと同じ常識の中で生きている』望が、『俺たちにもわかるミスを犯したから受けた』ってことなのでわかりやすい。
でも、異世界人との会話に関しては、もしかしたら俺たちの世界では褒め言葉に当たる言葉が蔑称になってしまうかもしれない。正直に言ってそれに気を遣いすぎて、ラブコメなんてものにはならない。しかもそんなことになればさらっと神剣が飛んでくる可能性だってあるのだ、そうなれば最後、俺は殺される。
「なら、方法は一つしかないな」
「何!? 方法なんてあるのか!?」
……それにしてもクラスメイトのノリが良すぎないだろうか?
「セックスだ」
……バカなのだろうか?
………………
…………
……
そのクラスメイトが女子に殴られながらもその意見の真意を教えてくれた。曰く、言葉だと些細なニュアンスの違いから殺されかねないかもしれないが、どんな世界でも『子供を作る』というのは神聖な、未来へとつなぐ行為だから、『自分は貴女のことを思っています』と伝えるのにこれ以上の行為はない、とのこと。というか俺たちの恋愛のためにもお前には恋愛を成功させて欲しい、と。
なんだか納得してしまった自分が悔しい。
まあ、とにかくそんなことになったのでクラスメイト全体が(俺が望んでないにもかかわらず)俺とカティマをくっつけようとし始めて、(俺はできれば神剣使いから離れたいのに)二人きりにしようとしたり、(恐怖を表面に出さないようにするのも疲れるのに)侮辱になるんじゃないかと思うような軽口で俺たちを煽ったりした。
まあ、そのおかげで俺のことを気に入った理由が「殺された友人に似ている」ということがわかって、これで俺も一安心ーーだったのに。あいつらはそれで納得しなかった。「彼女にとって何が不敬で何がOKなのか」の把握が済んでいない、という名目で俺たちの間にラブコメをどうにかして発生させようとしたのだ。
その結果が、今のこの光景だ。
「ーーーーっ!!」
カティマがその黄金の髪を振り乱して、獣のような絶叫と化している嬌声をあげる。それを見てその美しい髪も、美しい裸身も汚したい欲が溢れ出て、神剣の力も使っていないただの雌を抑え込んで、蜜壺に突き入れられたままの逸物を奥へ奥へと。
そんなことをしながら、どうしてこんなことになったんだっけと少し過去に想いを馳せる。
確か、始まりは、そう。明日、ダルバとの戦闘になると言われたことが始まりだ。カティマが教室にまでやってきて俺を呼び出したんだ。ダルバとの戦闘で勝つにせよ負けるにせよ「さよなら」になるのだから、最後に思い出が欲しいなんて言ってきて、近くにこっそりと隠れていたクラスメイトたちがしゃしゃり出てきてほぼ無理やりに送り出された。
相手が神剣使いであっても、すぐに「さようなら」になるのであれば一夜の関係と割り切って応えることは吝かではないのだが、カティマは生憎にもこの旅に付いてくる。それならこれから先もずっとこうなるかなんて思って。ちょっとげんなりしながらも、「いずれ女王になるのだから、これはこの一夜だけの過ちである」ことを了承させてから応えたのだ。
責任を取るつもりもない下衆と言われれば返す言葉もないが、それだけ怖いのだ。神剣使いという存在が。
お互い初めてだったから何をすればいいのか手探りな関係で、それでも裸身を味わう中で彼女が喘ぎ声を出してから今に至るまでの間の記憶がない。多分、そこで理性の糸が切れたんだと思う。だって今もまだこんなことを考えながら腰を動かしている。もう、カティマは完全に出来上がっているのできっと長いことしていたんだろう。
こんな美人さんで童貞を捨てられたことだけは原作に巻き込まれたことにも感謝していいかもしれない。
四つん這いになったカティマを背後から覆いかぶさるように犯しながら、鎧を着ている時にはわからなかったがこうしてみると案外大きな胸を、彼女が少し痛がるぐらいに鷲掴みする。いずれ女王となる体にただの平民程度でしかないだろう俺の証を刻み付けることでどす黒い欲望が満たされていく感覚がある。
ただ一晩だけの関係は、こうして作られていく。後日、会長達がダルバを撃破しカティマがものベーに加わることになっても、あれが一晩の関係であることは理解しているのか、その話が出ることはなかった。
………………
…………
……
「と、まあこれが最初の世界での話だよ。ついでにこの時が俺の
む〜っと声を発しながら頬を膨らませてこちらを見るユーフィーにやってしまった感が出てくる。俺がカティマとしたことについて文句があるのだろうことはわかるが、それがどういう意味合いかまではわからない。
「今日は何もないんですよね?」
「うん? 特に予定はないけど。何、これからセックスしたいの?」
ちょっと意地悪な質問だろうかと思うけど、こうして当時のことを思い返すと、もう二度と彼女とはセックスできないことも思い返してしまう。あれ以降も様々な女の子と交わることになったことを考えると結構よかったなーなんて思って、ユーフィーの返事を待つ。
「しましょう」
「ユーフィー!?」
これまでにない力強さの返事にミューも驚いている。ううむ、これは思ったよりも怒っているかもしれない。ここまでセックスに恥ずかしがらないユーフィーは珍しい。強引に引っ張られながらも少し言っておくことにした。
「うん、一応言っておくけど俺が自分から自発的に誘ったのはユーフィーが初めてだよ?」
ちょっと引っ張る力が弱くなった。
主人公の初めては
ちなみに作者はカティマさん結構好きです。ファイナルベロシティのおかげで。主人公の初めてを早苗先生に筆下ろししてもらっても面白そうかなとは思ったけど……