「え?」
俺が神剣……アリアと契約してから初戦闘が終わってものベーから逃げ出したところまで話し終わると、背後にくっついていたミューからそんな声が漏れた。さすがにそろそろ『絶炎』を床暖房代わりにした部屋も多少暑くなってきたのか、背中から俺の首元に回されているミューの腕や、俺の膝の上に座っているユーフィーの首筋にうっすらと汗が見える。白い首筋をツーっと流れる汗に目を奪われていると、それがユーフィーの服の中に落ちていって、胸元にまで。これ以上見てたらまた致しちゃいそうだななんて思い、とりあえず首筋を流れる汗を拭こうとして、ユーフィーのお腹の方に回している手を動かそうとしたが、それはしっかりとユーフィーに握られているのでできない。
「ひゃっ!?」
仕方ないので舐めとったら、ユーフィーは予告なしのそれにビクッと体を震わせて、俺がしたのだと気づくと「もう、しょうがないなぁ」って感じに首筋を見せてくる。別にそんな特殊な性癖があるわけではないのだが、こんな綺麗な首筋を見せられると、妙に目を惹かれてしまう。少女の血を狙う吸血鬼はこんな感覚に陥っていたのだろうかなんて考えて、今度はユーフィーの首筋にキスマークを残すために吸い付いた。
「どう考えても、さっきまでの話からしてこんなことするような関係になるとは思えないんだけど」
「まあ、次に会った時に色々とあってな」
「今だから言えるけど、当時の私は結構酷い感じに落ち込んでたし」
後に話を聞いただけだが、当時のユーフィーは「自分が俺の負担になっていたこと」と「ずっと一緒にいたのにどこを探してもいないこと」の二つが原因でかなり情緒不安定になっていたらしい。その結果、こんな関係になってからはしばらくの間は離れようとするとギャン泣きするレベルで幼児退行していた。しばらくすれば俺のことも考えてちゃんと離れてくれるようになったが。
………………
…………
……
俺が契約した永遠神剣『境界』は、普通の永遠神剣ではない。それは三位以上の上位神剣とかそういう話ではなく、『境界を弄る』能力は基本的には『ログ領域を弄る』ことで色々と変化を起こすのだが、『マナの有無』の境界すら弄って、マナが存在しない滅んだ世界すら再生させることができる、この世界の常識から考えれば異質な存在。
そしてそれと契約する俺も、『死』という絶対の概念を押し付けられながら、今生きている。この世界のエターナルのように死んでも条件が整っていれば復活するわけではない、完全な死を味わった上で生を感じているという事実は、やはりこの世界の常識で考えれば異質なもの。
そうした『異質な存在である』という共通点があったから、俺とアリアは夢で出会うことができた……らしい。
「それで、これからどうするの?」
「とりあえず、この世界でしばらくの間は生活かな」
目の前にはすでに滅んでしまった世界。マナが足りずに、滅亡させられるのではなく自壊してしまった世界が存在する。
その世界はすでに先に述べたマナの有無の境界と、そして滅びの境界を弄ったことで復活しているのだが、正直に言って、この世界はただマナが存在して、世界が生きているだけで誰か人がいるわけではない。すでに脱出している人たちのことを俺は知らないので何もできない。
能力を確かめてみたりしたが、基本的に俺は攻撃などのすでに見えている……存在するものをなかったことにする方が得意なようで、何かを生み出すことはイメージがつかめずにできなかった。最初の戦いの時のあれは怒りで我を忘れているから色々とできただけのようだ。もう少し修行しないとダメだろう。
ただ、そんな今の状況でも一つだけ例外は存在して
ーー俺が生き残るのに必要なこと
これに当てはまるものだけは大概どうにかなった。おかげで認めたくないが神剣使いとなってしまった自分が生き残るのに必要なので簡単にマナを作成できたのだ。おかげで今、俺はこの滅んだ世界でも普通に過ごせている。
………………
…………
……
その頃、ものベーに戻った旅団の面々はこれ以上ないほどの重さの空気になっていた。それは普段から元気いっぱいな一人の少女が落ち込んでいることも理由であり、暁が戻って来たにも関わらず、学校内の人間全員で見れば一人減っていたからでもある。
落ち込んでいる少女の名はユーフォリア。いなくなった少年に常について歩いていた少女であり、自分がずっとそばにいたことが彼の負担になっていたこと、そしてそれに気がつけないまま無自覚に傷つけていたことが彼女の心を苛んでいた。
「……まずは、希美の方を助けよう」
そしてそんな状況でただ落ち込んだままではなく、冷静に案を出せるからこそ、サレス=クウォークスは代表なのだろう。
「え……?」
「香山の方が私たちの存在に嫌気がさして……というよりも今まで溜め込んでいた恐怖が爆発したのか、あれは。まあとにかく消えた後どこに向かったのかは私たちにはわからない。だが希美が攫われた場所はある程度検討がつく。そして、その場所なら香山の場所も調べられる。……香山の場所がわかったところで、どうするべきかを決めておかないと私たちにはどうしようもないがな」
ここにいる面々は当事者であるルプトナ以外は彼が他の生徒たちと違って「神剣使いに襲われた」という事実があることを知らない。しかも、ユーフォリアがやってくるまでは、クラスメイトが守っていたから襲えなかっただけで、おそらくいなければ襲っていただろうこともクラスメイトは確認している。
そうでなくても、全員でのサバイバル実習の際に攫われているので、神剣使いに対する恐怖を持っていることもおかしくはないということは全員が知っている。そこに命の危機が重なった結果、あんな形で不満が爆発したのだろうと学園の人たちは考えていた。
「あいつを戻したいと思うなら、やはり説得は望、希美、ユーフォリアあたりに任せるのが正解だろうな」
「私も、ですか? でも……」
「望、希美は一番付き合いが長いし、ユーフォリアに関してはあいつが一番甘かった相手だ。どうにかこちらに戻ってくるように言うならお前たちしかいないだろう。……とはいえ、あいつの意思を尊重して『戻ってこなくてもいい』と言うならそれはそれでいい。その場合は希美を助けて終了だ」
………………
…………
……
「それで、宗弥に会いに行くことになったの?」
「ううん、この時点ではまだだよミューちゃん」
俺がなんやかんやで生き残るために神剣の力を使いこなすための訓練をしていた話をして、その時ユーフィーたちが何をしていたのかについても話を聞いていた。
「あの後、お兄ちゃんのクラスメイトさんがやって来て、『あいつが攫われたことで恐怖を抱いていたのは知ってたのに、ユーフォリアちゃんが一緒にいようとするのを止めなかったのは俺たちだ。せめてそのことを謝りたい』って言ってたの。だから、とりあえず謝罪をするために一旦はものベーにまで連れて行こうってことになって」
「で、希美を助けてからこっちにやって来て全員で俺をボコろうとしたわけだ」
あれは『リンチ』とか『弱いものいじめ』という言葉がぴったりな光景だった。何せ、戦い方をよく知らない素人を全員で囲んで無理矢理に言うことを聞かせようと攻撃してくるのだから。ジト目でそのことを責めてみると、ユーフィーも少し焦り始める。
「そ、そんなことないですよ! アリアちゃん、特殊な神剣だからか位階がよくわかってないですけど、それでも感じる力だけなら上位神剣の中でも上位に位置するレベルはありますからね! それに何より、お兄ちゃんが能力を使いこなせてたらその時点で勝ち目がなかったんですから、少しぐらいのハンデは許してくださいよぉ……」
「能力を使いこなすってこんな感じ?」
そう言ってユーフィーのお腹を撫でると次の瞬間、ユーフィーは体を震わせて口を固く結んで何かに耐えるような表情になり、少ししてからため息を吐く。それはどこか色っぽくて、そして今俺の膝の上に乗っているユーフィーの股の部分が今ので濡れている……絶頂を迎えてしまったこともわかる。
「……お兄ちゃん、何をしたんですか」
「能力を使っただけだよ」
息を荒げジト目になりながらも尋ねてくるユーフィーに対して簡潔に説明する。
今回は『ユーフィーが絶頂するか否かの境界』を弄った。だから今のユーフィーは肌に刺激を受けただけで絶頂を迎えてしまう程度には快楽に対する耐性が存在しない。だからキスをしただけでもイってしまうし、こうしてベッドの方に連れて行くためにお姫様抱っこをしただけでもまたイってしまい、ポタポタと愛液が地面に溢れてしまうほどに蜜壺が濡れてもいる。流石にお姫様抱っこをし始めたところでミューは降りてくれたが、それでも運ぶ時にもついて来る。
「え……」
「大丈夫。ちゃんと優しくするから」
ーーまあ、優しくしても今のユーフィーが耐えられるかどうかは別だけど。
その説明を聞いて少し怯えているユーフィーを安心させるために、最後の部分は口にはせずにそのままベッドの上に寝かせる。日本庭園があるくせになぜか洋風のベッドがあるのがこの家の変なところ……いや、違うか。どっちかって言うと洋風だったのに、いきなり日本庭園なんてものが導入されたのだ。風流を感じながらイチャイチャするために。
「さ、それじゃしようか」
下着を脱がした時にも指が幾度か触れてしまい、その度にユーフィーは可愛らしい声をあげて、快楽に翻弄される様を見せてくれる。こうした淫らな姿を見ることができる男は自分一人だと言う事実に興奮を抑えきれない。
「や、優しくしてくださいね?」
「さっきも言ったけど優しくするよ」
ーーそう言って、ユーフィーの中へと逸物を突き入れて……