腹黒い吹雪は欲も深くて 作:dn88k
執務室に差し込む陽の光はまだ高かった。吹雪は提督のデスクに座り、彼女自身の剥き出しの女性器を提督に舐めさせていた。
「ふふ、結構舐めるのも上手ですよね、司令官って」
スカートは履いたまま、パンツだけを脱いだ状態で足を開き、快感に浸りながら吹雪は言う。
「おい、まだこんな時間帯だぞ。俺らがこんな事やってるなんてバレたら……」
提督は顔を上げて抗議する。
「舐めるの止めない! バレるのがマズイからこの程度で済ませてあげてるんじゃないですか」
吹雪がこう言った瞬間、提督は吹雪の股間に埋もれた状態でギョッとしたような目付きをした。それを見て吹雪はクスクスと笑う。
「相変わらず分かりやすい人ですね。ええ、本当はもっと色々したいんですよ。でも今だと誰が来るか分かりませんからね。それに……」
と、一息ついてから吹雪は言う。
「色々するなんていつでも出来ますからね。だって司令官は私からは離れられないんですよ? 私が司令官を玩具にしたんですから」
吹雪は提督の勃起した一物を彼のズボン越しに撫でる。
「ああ、射精は我慢して下さいね。後始末しづらいんで」
そう言って来る吹雪に足で剛直を撫でられ、つい快感を覚えてしまう提督はしかし、
(こんなの息抜きにも何にもなってないだろうが……)
と、心の中で呟いていた。今日の秘書艦の担当であった吹雪に、妖しい目つきで「一休みしませんか?」と言われた時には、もう十分嫌な予感がしていたのだが、
「ちょっとした息抜きですから」
と言って、クンニリングスを強制してきた時には心底ウンザリしてしまった。肝の冷える思いをする息抜きなど聞いた事が無い。しかし、今の提督はもはや吹雪の要求を断る事など出来ないのである。
「はううっ、な、なんだかんだ言って司令官も結構やる気じゃないですかぁ……。すっごく、気持ちいい……」
次第に甘い声を出すようになってきた吹雪がこんな事を言ってきた。提督も吹雪の秘唇を舐めている内に、当初覚えていた強い抵抗感が何処かへ行ってしまい、そこからトロリとした蜜が溢れ出始めた事でついつい夢中になってしまったのである。執務室の外への警戒感すら消え失せてしまいそうになったその時、コンコン、と、ドアをノックする音が響いた。
その瞬間、二人は急いで体を起こし、素早く自分の席へと着席した。吹雪の下半身は机によって隠され、上半身しか見えないはずで、スカートでは股間を隠せている訳だから、今の吹雪がノーパン状態なのはまずバレないだろう。
先程までの淫らさがまるで嘘のように澄ました顔をしている吹雪の事を横目で見て、内心苦々しさを感じながらも、
「入れ」
と、提督は言う。
一人の艦娘が入って来た。吹雪とも作戦行動は勿論、事務作業を共にする事の多い子で、その手にはプリントをまとめた幾つかのファイルがあった。
「提督に依頼されていた物がまとまりましたので持って来ました。ご提示の条件に当てはまる艦娘のリストと、その子達の最近の戦績です」
「おっ、出来たか」
提督は提督で、ついさっきまで吹雪の女陰をしゃぶるように舐めていたとは今の姿からは想像も出来ない。意外と演技が上手いのか、それとも吹雪に染まりつつあるのか。
艦娘のリストなんて作って一体どうするつもりなのか、吹雪がそう思って眺めているが、提督はファイルを開き、プリントをめくりつつあれこれと考えている様子だ。
「ああ、コイツはまあ、そうだなあ……。後、コイツは……あー、まだ着任してから短すぎるか……」
眉間にしわを寄せながら独り言を言っている。流石に疑問に思った吹雪が、
「あの、司令官。それ、なんなんですか?」
と聞いた。
「え? ああ、これ? あ、そうか! お前らにはまだ言ってなかったか!」
と、うっかりしていたという表情でそう言う提督を見て、吹雪達は不思議そうに顔を見合わせた。
数日経ったある夜のことである。
「……その話、やっぱり他の人に代わって貰っても良かったんじゃないですか?」
提督の私室で、提督に跨ったまま、吹雪は不満そうに言う。
「そうはいかないだろ。大体、この程度の話を断るようなら本格的に事態が起こった時に真っ当な対応が出来んって事になる訳だから」
「それは、そうですが……」
提督の言う事に渋々と同意する吹雪。いつもなら「口答えするな」とでも言ってしまう所であるが、今の提督を取り巻く状況が状況だし、彼の言っている事は正論そのものであったから、流石に吹雪もそんな事は言えなかった。
提督は演習に参加する為、しばらくこの鎮守府を離れる予定なのである。その規模は他国の海軍との訓練を含めたかなり大きなもので、これまでの実績が買われて提督にも声がかかったと言う訳である。提督以外にも、この鎮守府に所属している比較的低練度の艦娘を、技量の底上げを目的として連れて行く事になっている。提督が艦娘のリストの作成を指示したのも、誰を演習に連れて行くべきかを判断する為であった。
「それに上が代理をよこす程の長期間と言う訳でも無いんだからな。悪いが、こういうのは我慢してくれよ」
そう言う提督を実に不機嫌そうに見つめていた吹雪であったが、やがて、
「……司令官が本物の無能だったら良かったのに」
と、当てこするように言った。もしそうだったら提督は遠征に参加させられる事もなく、吹雪もそんな彼を虐め続ける事が出来たのに、と言いたいのだろう。これは裏返せば提督の艦隊司令としての力量を吹雪も認めているという事でもあるのだが、当然こんな言われ方をされてしまっては嬉しいはずも無く、出来る事といえば無言で複雑な表情を浮かべるぐらいである。
「……何ですかその反抗的な目つきは。どうせしばらく出来ないんですから、今日は徹底的に搾り取りますからね!」
突如として吹雪は腹立たしさをぶつけるように激しく腰を上下し始めた。甘美な感覚が提督を襲い、思わずうめき声が出る。
「完徹でやりますからね! せいぜい寝不足で遠征に参加して大ポカでもして恥をかいてきて下さい!」
荒い息を繰り返しながらそんな理不尽な事を言ってくる吹雪。ごく短期間であるとは言え、提督が自分のそばを離れてしまう事に苛立ちを抑えきれないようだ。
結局、その日は一晩中、パンパン、という人の皮膚同士が衝突する音と、何とも艶かしい声が提督の私室に響いていた。
「はい、お疲れ様でした。ああ、報告書もありがとうございます。こっちで処理しておきますね。入渠が必要な人って居ます? 居たら入って貰って下さい、ドックは空いてるはずなので」
不在の提督に代わって、今日の哨戒活動から帰投してきた艦隊の旗艦から報告を受けているのは吹雪だ。こう言った場での彼女はいかにも仕事が出来る、真面目な艦娘といった印象である。提督を除くこの鎮守府の面々は彼女の本性を知らないから、実は夜な夜な提督を虐げて悦んでいるような女であるなどとは想像もしていない。
提督が不在の間は、残された艦娘達のみで艦隊に発生する様々な仕事をこなさなければならない。
ただし、いかに吹雪が出来るタイプであったとしても、いきなり仕事を振られてテキパキと処理できる程提督の執務の内容は簡単なものでは無い。この鎮守府の場合、自分が不在の場合に何をすべきかについて、提督自身が分かりやすいマニュアルを自前で用意してくれていたので、それに従えば留守番をする艦娘達にとってもある程度はスムーズに仕事を進められるようになっているのである。万が一、明らかにその判断について艦娘の権限を超えていて、しかも緊急性が高い事態が発生したという場合には、直接軍令部に連絡を取れば、即座に指示を出してもらえるよう、提督は手はずを整えていた。
「でも、この手の書類も増えてきちゃったな……」
吹雪はとある書類の山を憂鬱気味にちらりと見た。提督自身が直接決済しなければならない書類である。
「まあ、仕方無いよね。こればっかりは」
吹雪と共に書類仕事をしていた別の艦娘が言う。
「上に直接交渉出来るのも権限的に提督だけだしさ。私らだけじゃ流石に限界あるって」
「だね……」
吹雪がため息混じりに同意する。
吹雪にとって憂鬱なのは何も書類仕事が片付かないからだけではない。それ以上にのっぴきならない事態が彼女を襲いつつあった。
(はああ、セックスしたい……)
そう、体が性的な刺激を求めてシグナルを発信し始めたのだ。普段ならそんなシグナルを受信し次第、提督を強引に誘ってまぐわってしまえば良いのだが、あいにく彼は現在鎮守府には居ない。
焦りにも近い感覚を覚えつつカレンダーを見る。提督が帰ってくるのはまだまだ先だ。
(こんなに先なの……? 私、そんなに我慢なんて……!)
提督が帰ってくるまで我慢し続けたら頭がおかしくなってしまいそうだ。それ程吹雪の肉体は刺激を求めて疼きに疼いていた。ここまで発情した身体をどうやったら鎮められるかと言われれば、それはもはやオナニーしかない。
自分達が今日出来る範囲の仕事をひとまず終えて、吹雪は大急ぎで自室へと戻った。室内に入ってドアを閉め、後ろ手で鍵を閉めて他人が侵入して来ないように安全圏を確保する。そのまま片手をスカートの中へと忍び込ませ、クロッチの部分を触れた途端、グジュリ、という湿りきった感触が指先に伝わると共に、甘美な感覚が股間から脳へと電撃のように貫いた。
「ふうううっ……!」
つい吹雪はそんな声を出してしまう。彼女の女陰はもっと刺激をくれと悲鳴を上げていた。フラフラと自分のベッドへと向かうが、すっかり敏感になっている女芯は歩いているその振動だけで快感を発する。
ベッドへうつ伏せに倒れ込み、両手でパンツの上から女性器をこね回す。
「ふうぅ……! ふうっ……!」
片手で陰唇をかき、もう片方の手でクリトリスを捏ねる。ひたすら飢えを耐えてきた吹雪の女性器はほんの短い自慰行為だけで簡単に絶頂に達した。
「ふあああああんっ!」
ビクビクと震える吹雪の体。お尻を高く突き出したまま快感に浸っていると、そのまま痙攣が収束する。
(やっぱり、収まんない……)
一度絶頂に達したにも関わらず、吹雪の体は疼き続けていた。
「指だけじゃ無理、か……」
そう吹雪は呟き、ベッドの下にしまったとある箱を引っ張り出して、そこから電動マッサージ機を取り出した。やや細長い本体の片方に棒で繋がれた球体状の物体が付いており、ここが振動する事でマッサージを行えるというものである。
「これなら結構すごいし、収まってくれるよね……」
電動マッサージ機を見ながら、自分に言い聞かせるように言う。本来は肩こりなどの対策の為に開発されたものだが、性具としても非常に優秀な為、これを使って性器を刺激する行為が世界的に流行ってしまった。挙げ句の果てには本来の使用目的を外れて世界中のアダルトショップに陳列されるようになってしまったというのだからその威力は折り紙付きである。吹雪のパンツは最早愛液でドロドロとなり、本来の役割を全く果たせない代物と化していた。そんな状態のパンツを息も荒く、もどかしげに脱ぎ捨て、電マのスイッチを入れていきなり股間に押し付けた。
「はあうううううっ……!」
強烈な振動が吹雪の股間を襲い、快感を生成し始める。仰向けになり、足を大きく広げて、両手で電マを強く押し付ける。
(やっぱりこれ、凄い……!)
腰回りの筋肉までもが反応し、クイクイ、と漕ぐような動きを見せる。
「はっ! はっ!」
荒い息を繰り返しながら、ひたすら快感を貪るべく電マで女陰を刺激し続ける。下半身がくねり、大きく開かれた足のつま先は快楽と連動するようにベッドのシーツをかき回していた。そしてすぐにまた、その体は絶頂へと至った。
「うあああああんっ!」
体が反射的に仰け反り、女陰からは愛液がピュッピュッと吹き出す。しばらくして再び静寂が戻るが、吹雪は虚ろな目で、
「まだ、なの……?」
と呟いた。火照りは一向に引いてくれない。快感をもっと寄越せ。欲深い吹雪の体はそう言っていた。
「もう……!」
思い切ったように吹雪は先ほどの箱に手を伸ばし、電マとはまた別の道具を取り出した。ペニスを模造した電動器具、すなわちバイブレーターだ。その形状は一般的なものよりも太めで、数多くのイボが張り出していて、二股に別れたもう一方はクリトリスを刺激するように作られている、明らかに上級者向けのものであった。
(そうだよ、奥の刺激が足りなかったからだよ。これなら……)
そう思いながら吹雪はバイブを一気に蜜壺へと挿入させる。最早むせび泣くように愛液を垂れ流していた吹雪のそこはあっさりとバイブを飲み込んでしまう。その先端が奥に届いたのを感触で把握し、一気にスイッチを入れる。その瞬間、
「おおおおおおんっ!」
思わず体が仰け反り、動物のような声が出てしまった。吹雪の性感帯は何もクリトリスや陰唇ばかりでなく、Gスポットや膣奥、すなわちポルチオもそうであった。バイブは振動するだけでなく、実にえげつないうねるような動きをして吹雪の膣を掻き回した。
(はああ、気持ちいいよお……! これだよぉ。やっぱり奥いじってあげなきゃダメなんだあ!)
うっとりとした表情でバイブで蜜壺を刺激する吹雪。と同時にバイブを持っている手とは反対の手で服を捲り上げ、ブラを上へとずらしてバストへの愛撫も開始する。
(そうだったあ……! おっぱいも弄ってあげなきゃ気持ち良くないじゃない!)
胸の丘の部分を揉み、乳首もつね、捏ねくり回す。相変わらず足は大きく開かれ、股間のバイブが暴れている。快感のせいだろうか、足の筋肉もまたビクッビクッと痙攣している。そのうち足が無意識のうちにバタバタと宙を泳ぎ始め、膣にねじれを生んで更なる快感を生じさせた。
「はあー……はあー……」
蕩けたような表情でオナニーの快感に浸る吹雪。その視界にボンヤリと映るのは自室の天井と、その天井の方向に向かって持ち上げられ、フラフラと動き回る自身の両足であった。
今までお預けを食らっていた膣内が刺激を得た事でまたもや吹雪の体にスイッチが入り、三たびの絶頂。
「あううううううううううんっ!!」
またもピンと緊張させ、痙攣を続けるその肉体は、しかしその直前の二回よりも強く痺れ、またその時間も長かった。
ようやくアクメが収束して荒い息を繰り返しながら吹雪はバイブのスイッチを切った。
彼女の顔は真っ赤で、明らかに悦楽に浸っていた事が分かる状態だが、同時に何故か困惑の表情も浮かんでいた。
「そんなあ、嘘でしょ……? なんでえ……?」
目に涙を浮かべながらそう呟く吹雪。実はここまでオナニーしても体は全く満足してくれていなかったのである。
ギリ、と歯を食いしばった。そこまで欲しがるなら徹底的にやってやる。吹雪はバイブの他に、ベッドの上に転がっていた、本来は用済みであるはずの電マも手にとった。電マに再度スイッチを入れる。出力は最大だ。これをクリトリス近辺へ押し付け、バイブを再び膣にぶち込み、こちらのスイッチも入れて出力もまた最大へと設定する。
「うおおおおおおおおおっ!!」
最大出力の電マをクリトリスにグリグリと押し付け、同じく最大出力のバイブを全力でガシガシと膣穴に出入りさせる。バイブの先端は膣奥へと衝突を繰り返していた。その快感は吹雪の体を脊髄反射的に仰け反らせ、大きく開いた両足が腰の部分を高く持ち上げて、女性器が半ば上方を向いている状態となっていた。
そんな、つま先と肩だけで体を支える状態になってもなお、電マで肉豆を虐め、蜜壺をバイブで乱暴に掘削するという、女性器を壊してしまうかのような激しい自慰行為を止められない吹雪。彼女の膣から大量に分泌される愛液はその体の表面を滴るだけでは飽き足らず、派手に飛び散ってすっかりベッドのシーツを汚してしまっていた。
「ク、ウウウ……クソッ……クソオオッ……! 畜生畜生畜生っ! 畜生おおおおぉっ!!」
実に悔しげにそう叫ぶ。それでも快楽の為に自らの女性器を激しく虐げるその両手は止まらない。
「何で、こんなっ……! 何でっ……!」
ボロボロと涙を流しながら息も絶え絶えにそんな事を一人喚く。そこまでやってもまだまだ体は疼き続けていた。一向に欲望が引いてくれようとしない。そして、何故かどこかが欠けている気がして、しかも強烈な性感に浸っているはずなのにもどかしさがある。
例え吹雪が困惑していようが淡々と自らの役割をこなし続ける二つの電動器具。これらは無慈悲にも彼女の体を確実に追い込んでいった。
そして高まる快楽の中にあるのは腹立たしさ。なおも刺激を求める体は半ば制御不能の状態に陥っていたが、いい加減にしろと言わんばかりに吹雪は電マを強く押し付け、バイブの抜き差しをまるで叩き付けるかのように繰り返す。
何で腹立たしさを覚えているのか、いつまでも満足してくれない自分の体に対するものであるのは分かるのだが、その根本的な原因についてもそれとなく見当はついていた。吹雪にしてみれば、本来こんなものはあの男にやらせるものだ。なぜ、疼く体を一人自分の手で慰めていなければならんのだ。
もはや自傷行為じみたオナニーによって、またも吹雪の体に限界が訪れた。
「うああああああああっ!!」
激しく痙攣する吹雪の体。その痙攣は長く長く続き、意識が朦朧とする。女芯はと言えば男の射精のように愛液を噴出していた。
「あううっ!! あううううううっ!!」
体を思い切り仰け反らせ、虚ろな目を大きく見開いてひたすらに悶え続ける吹雪。痙攣はなかなか収まってくれないが、この肉体はもうしばらくは彼女の意思にコントロール権を返すつもりはないだろう。吹雪に出来るのはエクスタシーによる快楽をただただ受け止める事だけである。
絶頂がようやく収まり、吹雪の体が突如として脱力して、ベッドへと沈んだ。電マがゴロリと転がり、バイブもヌルリと肉穴から抜け落ちた。
「足りない……」
ここまでやっておきながら、その感想がこれであった。何故かなど考えるまでも無い。吹雪が玩具扱いしているあの人間、すなわち提督の存在を自らの感覚に伝えてくれる物が、感触から、体温から、匂いから、何一つ存在しないからだ。あるのは無機物による振動だけである。提督と触れ合った感触、それは自慰行為では到底得られない、吹雪の渇きを満たす上での最重要のコンポーネントと化していたのかもしれない。
吹雪はのそりと起き上がって気だるそうに、焦点の定まらない目付きと共に独り言ちる。
「この私をいつまで待たせる気ですか司令官……。飢え死にさせる気ですか……」
提督にはこなさなければならない仕事があるという事は分かっている。しかし、どうしても自分が放置されているような気がして、空虚さと恨めしさを同時に覚えてしまう。ただの玩具の癖に生意気な。戻ってきたらどうしてくれようか。
翌日の朝である。吹雪はさほど寝起きの良い方では無いが、その日は特に憂鬱であった。昨日のオナニーがもたらしたのは結局は虚しさだけ。提督を虐めれば気分も良くなるだろうが、あいにく彼が鎮守府に戻るのはしばらく先だ。当面は実につまらない日常を過ごさねばならない、そんな予感にウンザリとしながら、吹雪は着替え始めた。
「ん……?」
吹雪は異変に気付く。いつも着けているブラの筈なのに、サイズが苦しいのだ。
(もしかして、太った?)
流石の吹雪も一瞬だけ青ざめる。女性にとって体重の増加は例えほんの僅かであっても死活問題になると言っても過言ではない。その点においては、例え計算高さと傍若無人さが性格の基軸となっている吹雪であっても例外では無かった。
恐る恐る体重計に乗る。
「……あれ?」
思わずそんな声が出る。体重計が普段と変わらない数値を指しているのだ。誤動作を疑い、体重計をリセットして再度乗ってみたがやはり結果は変わらなかった。
(じゃあ、ブラがきついのは……)
考えられる理由は一つ。単純にバストのサイズが大きくなっているのである。元々、吹雪の胸はお世辞にも大きいとは言えない。そんな体質なのだろうと半分諦めていたのだが、ここにきて急に膨らんできたのは何故か。
(やっぱり、司令官とシてるから……?)
それ以外に原因が思い浮かばない。とは言え、吹雪の場合は生理対策で低容量ピルを飲んでいるから、妊娠の可能性はまず考えなくて良い。あり得るのは提督との行為そのものが身体に影響を与えている可能性である。セックスによって体型がより女らしいものへと変わるというのは稀に聞く話だ。胸を触られる事で大きくなるというのも同様である。提督は行為の最中、貧相とも言える吹雪の胸を好んで触りたがる変わり者だ。都市伝説の類だと思っていたが、現にこうやって結果が出てしまっている以上、何らかの影響があったと思わざるを得ない。
「ブラ、買わなきゃ」
そう呟く吹雪の表情は明るいものになっていた。サイズが変わっているのだから総入れ換えである。普段着用と、出撃時に着用するスポーティーなタイプとは別に、デザインの刺激的な物をいくつか買ってみても良いのかもしれない。そんな物を着用している吹雪を見たときの提督はどんな反応をするだろうか。そんな事を考えた瞬間、急に楽しくなってしまった。あの男の劣情を最も効果的に刺激するようなデザインの下着は一体何か、買い物のプランを考える上で、そんな思考をも組み込んでつい浮ついた気分にさせられてしまう吹雪であった。