腹黒い吹雪は欲も深くて 作:dn88k
腹黒い吹雪は相も変わらず
執務室でA4サイズの紙の束を持ちつつ、柔らかい表情で吹雪が提督にこう聞いてきた。
「これ、チェックして頂いても宜しいでしょうか?」
こう言う彼女の姿は極めて礼儀正しい。こんな時に限らず、吹雪に対するこの鎮守府内の周囲からの評価は真面目で仕事もそつなくこなす有能な艦娘といったものばかりであった。しかし、提督と二人きりになるとそうばかりでもない。そして、その事はこの二人以外、ここでは誰も知らない。吹雪が周囲に対して猫をかぶっているのは相変わらずで、提督の前でのみ本来の横柄さを発揮するのも相変わらずだ。
しかし、提督の中では、当初の悪印象は無くなってしまっている。
ついでに言うと、少なくとも提督は吹雪の全身を見て、見た目の印象が変わってきたかと思うようになっていた。
まず、服装だが、どうも彼女のスカートが以前よりも短くなってきている気がする。いや、元から決して長いと言う事はなかったが、最近は更に、なのである。
そして、その身に纏う彼女の雰囲気そのもの。可愛いけれど、いまいち垢抜け無いような部分が残る。吹雪に対してごく一部で囁かれていたそんな噂もここ最近はすっかり消え失せてしまっていた。それくらい今の彼女は魅惑的なのである。提督の見る限り、どうも全体的なスタイルそのものも良くなってきている気がする。特に、お尻から足にかけての形状が以前よりも程の良い丸みを帯びてきていて、より肉感的になっていた。バストのボリュームも同様に増しているようで、未だに決してある方ではないが、だがなかなか悪くない。
提督が書類をチェックしている最中、吹雪はやや後ろに下がった位置で、壁を背後にする形で彼の書類を覗き込んでいた。
「うん、良いと思うぞ」
提督が振り返ってそう言うと、吹雪はホッとしたようだ。その表情は実に可愛らしい。しかし、彼女がそんな姿を見せる時間もごく僅かであった。すぐさま吹雪は得体の知れない微笑みを浮かべ、
「じゃあ、ここで一旦休憩にしません?」
と言う。彼女の本来の性格をこの鎮守府で唯一と言って良いほどよく知っている提督は、やっと素を出してきたかと思いながらそんな吹雪の姿を見て、
(コイツ、また何か企んだりしてねえよな……?)
という疑念を抱きつつも、これまでが働き詰めだった事もあってそれに対して頷いた。
「せっかくの休憩ですからまずはお茶とお菓子を用意してえ……」
吹雪は実に楽しそうにそう言っている。どうやら何も無さそうだ、と思い内心ホッとする。
しかし、それもまた束の間であった。
「……と、その前になんですけどお」
そう提督と視線を合わせて吹雪が言う。その目つきはいかにも意地の悪そうな、ある意味で実に彼女らしいそれに変貌していた。
(ああ、やっぱ吹雪は吹雪だったわ……)
提督はほんの一瞬でも楽観的になってしまっていた自分に呆れた。そんな彼をよそに、彼女は言う。
「I字バランス……でしたっけ? そんなものが流行っているそうですね?」
なんでそんな話題が出てくるんだなどと思いつつ、提督は自分が感じた事を素直に口にする。
「いや、流行り自体は微妙に前だろアレの場合」
それを聞いた瞬間、吹雪は目をスッと細めた。
「流行った時期を把握してるってのは変じゃないです?」
「何でだよ?」
「ヌいたんでしょう?」
「……は?」
よくよく彼女の顔を見れば、白い歯を見せながらニヤついていた。
「ああいうのに貼られてる画像で、ヌいたんでしょう?」
流行り自体は微妙に前だとツッコミを入れた時点で、提督はまたも吹雪の仕掛けた安っぽい罠に引っかかってしまった事に気付いた。いい加減俺も学習した方が良いんだが、と思いつつ、彼は言う。
「無えって。大体、しょっちゅうお前がヌいてくるからそんな余力ねえよ」
「ふうん、じゃあ、試してみましょうか」
「試すって……」
また搾り取るってのか、などと思いつつ、吹雪が何を考えているのか分からなくなる。最も、これ自体はいつもの事ではあるのだが。彼女はそんな彼の思考を無視するかのように続ける。
「I字バランス、実は私も出来るんですよ。見てみます?」
提督は非常に嫌な予感を覚えた。彼女の表情が殺気を秘めたようなそれに変わっていたのもその理由である。
「……遠慮しとく」
彼はそう言うものの、罠にかけた吹雪がそれを許す訳も無いのであって。
「いやいや、厚意はきちんと受け取らないとダメですよお?」
ニイ、と剣呑な笑顔を浮かべながらそう言って吹雪は片足を思い切り蹴り上げた。ヒュ、という音を立てて彼女の爪先が彼の鼻先をかすめ、その足は天井を向く。その姿勢はまさにかかと落とし直前の状態であり、その上げたかかとを彼の頭に叩きつけるものであった。その目付きも殺意に満ちている。彼女がこういった行動を取るのは自分を脅す場合だと分かってはいるが、危害を加えるつもりが全く無いなどとはやはりどうしても言い切れない。
身の危険を感じつつ、こいつの体は本当に柔らかいなと思った提督はしかし、すぐに別の事実に気が付いた。彼女の下着が薄手の生地を用いた大分派手な代物だったのである。しかもクロッチを中心とする布面積は通常の物と比べれば明らかに小さく、極小と言っても良いのかもしれない。だから提督の視界に映る吹雪はそのエロティックなデザインのショーツを彼に見せつける形になっていた。
そして足が振り下ろされたが、ダメージなどは無く、ポンと、彼の頭に優しくそのかかとが乗っただけである。
「……何ビビってんスか。ふふ、何も言わないでいきなり叩き込むとでも思ってたんです? 本気でそんな事やる訳ないでしょう」
バカじゃねえの、とでも言いたげな、見下した表情でクスリと笑う吹雪。しかし彼女は、こう続ける。
「でも、さっきの姿勢でぶち込まれる漫画は読んだ事があるんです。試してみません?」
そう言って吹雪は自身の股間を指差した。
「あー、やっぱお前もそういうの読むんだ」
もはや気の抜けたような提督がそう答える。
「ええ私、ご存知とは思いますけどかなりムッツリなんで」
彼女は赤面しつつも挑発するような、口角の上がった表情で彼を睨んだ。そして再びその片足を高く持ち上げ、その足を片腕で固定し、下着で隠された部分を除いて、その股間は露出したままにしてしまった。更にもう片方の腕は背後にある壁に手をつけている。
「その気は無いので?」
色っぽい表情で提督を見つめながら、誘うように言う吹雪。生地が薄いせいか、そのショーツのクロッチ部分には露骨に染みが現れ始めていた。
「いくら何でもここで間違えるほど賢くない訳無いですよねえ?」
彼女はいつもらしく無い、受け身の挑発を続ける。
らしくない、と言うのは当の吹雪自身も分かっていた。フェチズムに訴えた誘い方なのは十分に自覚していたのである。
こういうのは男に媚びるようでいまいち気が進まない。しかし、これも吹雪なりに悩みに悩んだ結果であった。今や彼女が恐れているのは提督が自分から離れていってしまう事であると言っていい。当初は自分が相手を支配してやるつもりだったのに、それを達成する事など未だに出来ていないのである。
確かに趣味ではない事など実際には避けたい。が、その相手である提督が離れるのなら自分の中に居座って動かない彼に対する執着心を消すだけの理由が欲しいと感じていた。結果として、吹雪自身は彼から離れるという決断が出来ておらず、そんな事を考えようにも考えられなくなっているのが実情だ。
提督はそっと手を伸ばしていきなり吹雪の股間をショーツの上から優しく撫でた。
「ふうううんっ……!」
吹雪の口から可愛らしくも悩ましげな声が上がる。興奮のあまり、ショーツの生地越しでも彼女のクリトリスがプックリと膨れきっているのが分かった。
股間全体を撫で続けていると、やがてクロッチは愛液でグッショリと濡れてしまった。割れ目すらもうっすらと見えるレベルである。続いて提督は、刺激に飢えているであろう、勃起しきった淫らな肉豆をこね始める。
「ヒャ……ああっ! あああっ!」
強い電流のような性感がその全身を貫き、鋭い嬌声を発しながら吹雪はひくついている。ショーツ越しの肉豆は提督の執拗なマッサージによって揉まれ、時につままれ、そこから発せられる快感は途絶える事が無い。
「ひ、ひううっ! ンンッ! っく!」
吹雪は提督の愛撫に必死に耐えていたが、やがて彼女のクリトリスは限界を迎えてしまったらしい。
「……っは!!」
ビクン、と吹雪の身体が少しばかり跳ね、クロッチに染みる粘液の色が更に濃くなる。更にその後、彼女の体は複数回跳ねたが、吹雪はうつむいて目をつむり、クリトリス由来のオーガズムに耐えていた。
やがてそれも収束すると、彼女はゆっくりと顔を上げて提督の方に視線を向けた。
「ねえ、中はあ……?」
実に切なそうに、甘えるような声で提督を見つめてくる吹雪。表面だけでなく、内部への刺激が欲しくて仕方がないようだ。提督は彼女のクロッチを少しだけずらし、まずは指を一本、そのドロドロにふやけた割れ目に挿入する。
「ああ……」
吹雪はそんな声を出し、ホッとしたように目を細める。その肉道はすっかり奥まで潤んでいたようだが、そんな肉道を提督は更に丁寧に揉みほぐしていく。
「ん……ん……」
提督の指の感触をじっくりと味わう吹雪。その最中も彼女は提督に潤んだ瞳で熱い視線を送っていた。膣はたまにきゅっと締まり、指がもたらす刺激に対して好意的な応答を発している。
指をもう一本、追加する。吹雪には新たな性感が加わった。
「お、おおお……」
とろんとした表情で、熱い吐息を吹雪はこぼす。今度は同時に別々の箇所が刺激されると共に、蜜洞を広げるような動きが加わる。吹雪が熱い視線を提督に送っているのは相変わらずだが、呼吸は激しくなっているようだ。その淫裂からは、彼女の劣情と悦楽の証拠である、粘ついた液体がこぼれ出し始めていた。
提督は手首を回し、吹雪の内側をグルリと円を描くような動きに切り替える。
「あああ……」
とうとう吹雪は耐え切れなくなったのか、熱い深呼吸を繰り返したまま顔を再び下に向けてしまう。
そして更に一本、提督は挿入する指を増やす。
更には、挿入した指を激しく前後に動かし始めた。
「おおっ!? おおおおおおっ!?」
突然の手マンに吹雪は驚いたようだが、快感によってそれもすぐに打ち消されてしまった。今度は上へと顔を上げて全身を震わせる。
「おおっ!! おおおっ!!」
その嬌声は彼女の外見からは少々イメージしづらい獣に近いものとなっている。快感の強度が一気に引き上がったが、悶えながらもなんとかそれを受け止め続ける。
吹雪はもはや腰の位置を安定させる事など出来なくなっていたが、そんな彼女に対して提督はグチグチという音を立てさせながら容赦無く激しい手マンを継続する。
蜜壺を深くまでかき回されて思わず腰が抜けてしまいそうになるものの、彼女はなおもその足を下ろそうとはせず、歯を食いしばりつつ片足で懸命に耐えていた。ガクガクと震えるその片足には快楽を証明する多量の粘液が滴っている。
だが、いつまでも刺激を与えられ続けて耐えられるはずもなく、吹雪はいよいよ限界に達した。
「ああああああああっ!!」
そう叫び、腰を中心に全身を激しく痙攣させる吹雪。その膣も強烈な締めつけを繰り返し、プシュ、プシュ、と、快感に由来する液体を噴出させていた。
やがて絶頂も収束し、顔を再び下に向けた吹雪は深呼吸を繰り返している。身体の震えが治まった訳ではないが、しかしそれでも彼女はI字バランスの姿勢を維持し続けていた。
「……挿れるんですよねぇ?」
歯を食いしばり、ふうふうと艶のある熱い吐息を繰り返しながら横目で提督を睨む。
(ほら、ほら! 私でチンコ刺激して下さいよ! 所詮情けない低俗なオスなんだしぃ! 本能に従って思うまま犯して下さいよおっ!!)
じゃないと、切ない。そう思った。実際、今の彼女の奥底は彼の熱い欲望が存在していないせいで虚しさに満たされていた。
他人はいざ知らず、提督から見た吹雪は周囲に好印象を与える為の計算高さが鼻につくようなところがあるが、今の懸命に快感をこらえる姿からは何故か健気さがより強い印象として残る。
吹雪は上げた足を支える腕の手を使い、提督の愛撫が終わって元の位置に戻りつつあったクロッチを再びずらす。その結果として、相手を求めるあまり、涙を流し続ける彼女の淫らな割れ目がまたも露わとなってしまう。
「さっきから待ってる事くらい、分かりますよね……?」
そう言う吹雪は実に切なそうであった。
提督はとうとう我慢出来なくなり、ズボンを下ろして怒張を取り出し、速やかに彼女の陰唇に狙いを定め、そして奥へと一気に貫いた。
「お゛、お゛、お゛っ!! 結構違う所、当たってえ……!!」
効くぅ、というセリフを言い終わらないうちに痛烈な快感が吹雪の脳髄を貫いた。片足を高く上げた状態なまま、上半身をひくつかせて喘ぎ、懸命にその快感に耐える吹雪。しかしその表情はこれ以上なく嬉しそうだ。
吹雪の高く掲げられた片足をつかんで、提督はピストン運動を開始する。
「おっ! おっ! おおっ! おおおおっ!!」
壁と提督に挟まれて、自身の淫らな穴を犯されている吹雪は苦しそうでありながらもとても甘い声をあげていた。その表情も愉悦に塗れていると言っていい。
「別にこんな変なバリエーション、付けなくてもいいぞ?」
提督は腰を振りながらもそう言っている。これは吹雪を気遣うと共に、もはや彼女の自分に対する執着ぶりを察したがゆえの発言でもあった。
「違いますう!! 貴方相手ならこれくらい試しても良いって思っただけなんですからあっ!!」
それに対して吹雪はこう反論する。何故こんな事をしたのかなど自分でも分からない。だが、自分が何がなんでも落とすと決めた男、すなわち提督の悦楽を引き出す為に、これが手段の一つとして有効ではないかと感じた事は確かだ。
とは言え、これは吹雪に負担を与える行為でもあった。それは別に肉体的、精神的な苦痛を覚えるという事ではなく、彼女に対して新しい快感のあり方を覚えさせる行為だったという意味である。
片足を高くかかげるという時点で普通ならばそんな事が出来る人間など限られている。幸いにして吹雪はそれが出来たが、それによって大きく広げられた股間に興奮したオスの大きく熱い勃起を押し込められ、更にはそれが自身の内部で暴れ回るという感覚は吹雪に強烈な悦楽を与えると共に大いに動揺させた。
相手の剛直が自身の興奮して潤んだ肉壁を削るようにこすり、受精をも見据えてその興奮に蠢く奥にさえ体当たりする。それ自体は以前と大して変わりはない。肝心なのは、その体位は自分自身がより積極的に相手を受け入れ、身動きの取れそうに無い状況下で普段とは違った角度と深度で相手による甘美極まりない掘削を施されているという点であった。
(あっ、これいいかもおっ!)
当初の不遜な表情をすっかり崩し、悦楽によって蕩けてしまったような顔つきの吹雪はなんとなくそんな事を感じていた。開始時の太ももだけではなく、今や自分の体そのものを包み込むような体勢で吹雪を抱き抱え、甘く苦しそうな息を繰り返しながら腰を振る提督の存在を感じて彼女の感情はますますたかぶる。
(こ、興奮してるっ! 司令官ったら、私で興奮してるうっ……!!)
自分でもどうにもならない嬉しさがある。そんな感情と性感は連動し、快感はいつにも増して急激に高まっていく。ジュプジュプと音を立てながら提督の怒張を飲み込み続ける吹雪の貪欲な割れ目もまた、快感を与えられている今の状況を大いに喜び、収縮を繰り返しながら粘液を垂れ流し、なおも彼女の太ももと床を汚し続ける。
「ね、イくっ! ……イっちゃうっ!! ねえっ!! ねええっ!?」
そう叫びつつ、興奮に彩られながらも提督の方を振り返ってその目を見つめる吹雪の表情には悲痛な不安も覗く。自分自身はもはや絶頂に至るまでの時間的な余裕など無いのだ。それまでに提督が射精してくれない事もあり得るという可能性が何故か彼女にとってはとても怖かった。
「俺も、出る。…………っ!!」
提督は腰だけでなく、グッと吹雪に全身を押しつけ、震え始めた。その時の吹雪の胎内にはバシャバシャと熱い液体が吹きかけられる感触があった。
「ああっ!? ……ああああああっ!!」
同時に、吹雪もまた実に嬉しそうな悲鳴をあげ、エクスタシーに達する。提督の絶頂が吹雪にもたらしてくるのは相変わらず中毒性のある精神的な甘美さである。吹雪は絶頂の最中もそんな感覚に酔っていた。まるでそれさえも息を合わせたかのように、二人はしばらくの間、身体をビクビクと震わせ続けていた。
狙い通りと言ったところなのだろうが、吹雪は結局、I字バランスの状態で特濃の精液を自分の身体の子袋へとたっぷりと流し込まれた。だが、それは不快さとはほど遠かった。不自然な体位で密着しながら行為に及ぶというのも中々に新鮮である。今後のプレイに追加しても良さそうだ。
「相変わらず粘度高くないです? どんなタマしてんだか……」
行為が終わってようやく両足を付き、股間からドロリと垂れてきた白濁液を指で救い上げた彼女は、それを観察しながら意地悪そうに笑った。
「お前に鍛えられてるからな。嫌でもそうなるんじゃないか?」
そう言う提督はその発言とは裏腹に不快そうな態度は一切見せていない。その様子を見た吹雪はフッと笑った。
それから彼女はゴソリと股間に手を入れ、「んっ」と極めて小さく呻きながらショーツの位置を直した。これで提督が彼女に放出した生殖液はクロッチに塞がれ、その流出は防がれる形になる。これなら提督の熱情はその胎内に留まり続けるはずだ。そのせいだからだろうか、吹雪はホッとしたような表情をしてから、先程指ですくい上げた精液を愛おしそうにしゃぶって飲み干し始める。
「ちゅぷ、んん、ちゅる……」
その光景を不思議そうに眺める提督だが、少しばかりしてからチュルンと指を口から引き抜き、白濁液を嚥下し切った吹雪と目が合った。そして次の瞬間、そんな吹雪は一気に提督に近づいてきた。
「ん……」
吹雪が提督を抱きしめながら、彼と口付けを交わしているのである。その角度を微妙に変えていきながらも、強弱を付けながら唇を押し付ける様は、まるで提督の感触を味わうかのようであった。
「これも、欲しかったんですよねえ……」
ようやく提督を解放してそう言う吹雪の眼差しは行為中と変わらない熱を帯びたものである。やがて、
「ま、後は本当にお茶にしましょ。お菓子も、おいしいの用意してあるんです」
と、吹雪は言った。既にそんな彼女の顔は非常に朗らかな物へと変化している。それを見た提督は、さっきのキスの時の態度も、今のこのツラもかえってコイツらしくねえと思ったものの、実際にそれを口にしてしまうと今度こそ本当にかかと落としを喰らってしまいそうなので黙ってうなずくに留めた。
それから数日ほど経ったある日、鎮守府の敷地内を一人歩く吹雪は傍から見れば苛立っているように見えた。
「……ったく、どこ行ったのかな」
と、彼女はそう一人毒づく。提督の姿が見当たらないのである。彼の仕事を手伝うのは当たり前になっていたから、その大まかなスケジュールは把握しているし、どんな時に提督がどこにいるのかは大体予測がつけられるようになっていた。しかし、今日に限ってはそんな彼の姿を中々見つけることが出来ない。その職務の性質上、彼だってあちこちを動き回ることが多いが、ここまで見つけ出すのに難儀する事は今までに無かった。
「今は急ぎがあるはず無いのに。せっかく……」
早足な歩みに伴うような荒い息。吹雪はその進路上で捉えられる視界をとにかく見回しながら先を急ぐ。
「こっちがどれほど…………くっ!」
腰を若干かがめ、苦しげに目を細める。その行動は仮に第三者が見ていれば不可解そのものであったろう。
「結構私を苦しめるの、得意ですよね。司令官って、案外ドS……」
募る苛立ちを内面にたずさえながら、そんな意味不明な呟きをしかけたところ、ようやく見慣れた背中が彼女の視界に入ってハッとした。
途端、一気に高ぶるものを覚えた彼女は駆け出し、追いつき次第相手の肩に片手を置いて、そこを軸として体を軽く跳躍させて半回転させた。当然、相手の視界には吹雪の姿が斜め上方から飛び込んできたように見える。
フワリとした動きで、彼女はトン、と軽い音と共にその両足を地面に着地させた。
そしてこれも当然ながら、提督は少々驚いたようで、目をパチクリさせながら一言だけ言う。
「え、吹雪……?」
ところが当の吹雪は不機嫌そうな顔つきそのものである。
「どーこ行ってたんですかあ? 緊急の仕事なんてありましたっけ?」
「いや、無えよ? ただ、今のうちに片付けておきたかった別作業思い出したからそれやってただけでさ」
あっけらかんとした返答を聞いて吹雪は軽く舌打ちした。真面目なのは悪くないが、優先すべき物が何かぐらい自分とこれだけ居れば分かるだろ、と。
「へええ。結局、それが私放置してた理由ですかあ」
と言いながら、吹雪は彼の胸ぐらを掴んだ。
「放置してたとかそんなつもりはねえよ。……また何か変な事やろうってのか?」
軽くため息をついた提督は言う。
「別に変な事だなんて思ってはいませんがね。時間的に都合が良さそうだったのに全然見当たらないから探しましたよ」
それに対して提督は少しばかり首を傾げながら更に問う。
「で? 何がしたいんだよ? どうせエロい事だろ?」
そう言われて、彼女の表情は微笑に変わる。
「そりゃそうでしょ。あの時のポーズでエッチするの、忘れられなくてですねえ……」
「あれかよ……」
提督は呆れたような表情をした。
「何も不味いことなんて無いでしょう? 応じるつもりが無いんなら……分かってますよね?」
吹雪は相変わらず胸ぐらを掴み、もう一方の手を腰に当て、片足を少しばかり持ち上げてゆらゆらと軽く振っている。どうやらI字バランスというシチュエーションがプレイと脅しを兼用出来るという事に味を占めてしまったらしい。提督を覗き込むようにした彼女はその態度だけを見れば確かに脅迫そのものだが、しかしその顔をみればもはや相手しか見えていないような熱い視線に彩られていた。こういった時の彼女が引き下がる事はまず無い。
「ったく、仕方ねえ。こっち来い」
すぐさまそう言って提督はそっと彼女の手を取る。彼のズボンが既にテントを張り始めていた事くらい、散々彼と交わってきた吹雪だからすぐに分かった。この後、自分は速攻であの怒張を自身の敏感な蜜壺に叩き込まれる事だろう。
「相変わらずこの手の話だけは早くて助かりますよ」
早まる鼓動を感じつつ、彼女は軽口をたたくように言う。
提督についていく吹雪のスカートが最近ますます短くなっているのは疑いようがない。股下ゼロと言う表現は流石に大袈裟ではものの、もはや数センチというレベルではあるまいか。彼女の健康的でありながら、男の劣情を絶妙に煽る事さえ両立させているその太ももはますます露わである。そしてその事を察しつつあった提督は、
(コイツもそんな格好をしてみたくなるものなのかも知れんな)
と考えた。まさかそれが自分を誘惑する為なのだろうかなどと考えなくもなかったが、それに関してはこれまでの経緯が経緯だ。あり得ないと思ってそういった形の思考は封印している。
しかし実際のところは、吹雪の狙いはそのまさかであった。
(ふふ、貴方を誘惑する為に手段なんて選ぶもんですか……)
提督の背後で不適な微笑みを浮かべながら、彼女は改めてそう思った。
最近の吹雪は以前ならあり得ないような高ぶりを覚えるようになっていたが、それも仕方がない事なのかもしれない。なにしろ、自分がせっかく慎重に堅牢に築き上げてきたものを、実にあっさりとぶっ壊してみせた男なぞ提督だけなのである。
(こんな男が居たなんて、ね)
彼女はそう心の中で呟き、熱情を秘めた視線で提督の背中を見つめている。そして期待の余りその全身にはゾクリとした感覚が走った。
ついでに言うと、実は吹雪のスカートの内側からは、これから行為が始まる事を予期して既にショーツは脱ぎ捨てられている。
そして、そんな彼女の生殖器は彼女の思考回路と異なりよほど素直なのだろう。これ以上ない劣情を示す透明な粘液が歩く彼女のそのスカートの内側から、トプリと、地面にこぼれ落ちた。