戦姫コレクション チートな勇将に転生してイチャラブな旅 作:たくと七星
突然現れた、妖艶な美女、井伊直政の義理の母親である彼女、井伊直虎からある話を聞かされた。今川家のお嬢様である義元を当主にして欲しいと言う事だ。今、今川は二つの勢力に割れていて、義元を推す勢力と、母親違いの兄である良真を推す勢力に分かれていると言う事だ。
雪斎、そして直虎は義元を支持している。更に話を聞かされた。義元を推す声が多い、しかし義元は兄と争うのを躊躇っている。まあ、肉親同士で・・・・解らなくはないけどな。あいつも、情があるんだ。
「・・・様、ご主人様?」
「は?」
イノリが俺を覗いている。うん、ああ、すっかり考え事してぼうっとしちまってたか・・・。
「信道様、いかがされました?」
高虎が俺を覗いて聞いて来る。
「いや、何でもねえよ・・・」
「ご主人様、信乃が遊びたがっていますよ」
腕に抱いている我が子を見せて来る。手を伸ばして・・・遊びたがっているんだな。
「おうおう、とと様が遊んでやるぞ~」
兜を脱いで裏側に信乃を乗せる。持ち上げて揺り籠の様に揺らすと信乃が可愛くはしゃいで来る。
「ははは、喜んでるか、それそれ~」
兜を弾ませると、信乃が少し跳ねて兜で揺れる。ニコニコしているな。
「うふふ、信乃ったら、元気にはしゃいで・・・」
「おうおう、いい父親してますね~」
豪と花札で遊んでる五右衛門がニタニタ笑っている。
「たりめえだろ、子供が出来たんだからちゃんと構ってやらねえとイノリに愛想尽かされちまうからな」
「まあ、ご主人様ったら、愛想なんて尽かしませんよ」
子供が出来て何だか丸くなれた様な気持ちだ。瞳の綺麗な可愛い我が子が父親の俺に笑っている。
「信道君~!」
義元、いきなり来たか。丁度話しておきたい事があったから、丁度いいタイミングか?
「何だ?」
「今日もいい場所へ案内しようと思うの、ねえいいでしょう?」
「・・・・・」
「ど、どうしたの?」
「イノリ、ちょっと信乃をいいか?信乃、とと様はちょっと話をするからかか様と一緒に待っててな」
イノリ、ちょっと信乃を頼む。抱いてる我が子をイノリに渡して義元と向き合う。
「じゃあ今日は、あれ、どうしたの、そんな難しそうな顔して・・・」
「話があるんだけど、いいか・・・」
「なあに、話って?」
義元の暮らす館の縁側に座って俺は義元に本題を話した。
「お前、このままで終わるつもりか?」
「え?」
義元がびっくりした顔をしている。
「お前の家、お家騒動になってるんだろう、お前今川家の当主になるつもりはないのか?」
「な、何の事、私、よく解らないんだけど・・・あ、そうだ、私丁度いい今川焼きがあるお店を知ってて・・・」
「話を逸らすな、大事な話だぞ。雪斎や直虎達がお前の当主になってほしいって思ってる、お前はなりたくはないのか?」
「そ、それが何なの・・・そんなの別にどうでもいいでしょう・・・」
口を尖らせて顔を背ける。どうにも話したくないみたいだな、でも、ここで言わなきゃあいつは立ち止まったままだ。
「どうでもいい話じゃない、自分の家の大事な話だぞ、お前はそれに目を背けるのか、お前を支持してくれている奴の意を汲んでやらないのか、よく考えろ」
肩に手を掛け、瞳を覗く様に話す。
「いつか俺に言ってたろ、いつかは主になって皆を笑顔にするって、その時じゃないのか。自分の夢を掴まないのか、何か躊躇ってるんだったら話してみろ・・・俺が何とかする・・・・」
「・・・・!」
肩を掴む手が振り払われた。
「貴方に関係ないでしょ!私の家の事なんて!私は只貴方と楽しく過ごせればそれでいいの!その私の気持ちは解ってくれないの!」
「そうじゃない、お前を思って・・・」
「もういい!もう知らない!」
俺から目を背けて走り出してしまう。
「おい待て、どこに行くんだ!」
「どこでもいいでしょう!」
ムカムカしながら義元は館を出て行った。まずい事をしたのか、俺。あいつに決断させるはずだったのが帰って逆効果になったのか・・・。
「今戻った・・・」
やる気なく自分の宿舎に戻る。
「ご主人様、お話はすみました?」
イノリが可愛く微笑んで聞いて来る。
「ああ、たった今、な」
いらぬ心配はかけまいと俺は詳しく言わずに簡潔に言った。
「そうですか、それは良かった。信乃~、とと様がお戻りしましたよ~」
抱いている我が子に猫撫で声であやしている。こいつもすっかり母親になったよな。
「ご主人様、抱いてあげて下さい」
「ああ、ほら信乃、とと様が戻ったぞ」
「と~と~」
抱いてあげると信乃が手をバタバタさせて笑っている。先ほどの気まずい感じが吹き飛ぶくらいだ。まるでこいつに救われているみたいだ。
「・・・・・・」
「どうしました、ご主人様?」
「なあ、こいつに兄弟が出来たらどう思う、妹でも、弟でも・・・」
「それは嬉しいと思います、家族が増えて、この子もお兄ちゃんになって、いいこと尽くしで・・・」
「そうだな・・・、こいつには不憫な思いはさせたくないな。弟や妹とも仲良くやれる様な奴になって欲しい・・・」
信乃、今は笑っている可愛い我が子を抱きながら思う。義元も辛い立場にあるんだと思う。俺だってそうだ。肉親同士で何て・・・、信乃、お前にはそんな思いはさせたくない・・・。
「はあ・・・」
信道から放れて、義元はとある神社に来ていた。稚児舞が行われる場所に来て思いに耽る。
「解ってる・・・解ってるわよ・・・私だって・・・でも・・・」
ずっと溜まっていた物、それを彼の前では言うことが出来ない。その事に深く苦悩している。
「今川義元様ですな・・・?」
振り向くと、柄の悪い男達が取り囲んでいる。
「だ、誰、貴方達、きゃあ?!」
腕を掴まれて逃げられなくされてしまう。
「何するの、放して!いやあ助けてえ!」
「大人しくしてもらいましょうか?貴方を今川家の新たな当主、良真様の元へお連れします!」
「助けて、誰か、誰かあ、うむ?!」
腹を殴られて気絶してしまう。そしてそのままどこかへと連れ去られてしまった。
「信道様!」
「どうした雪斎、そんな慌てた顔して?」
「義元様がどこにもいないのです・・・!」
「何だって?!」