戦姫コレクション チートな勇将に転生してイチャラブな旅 作:たくと七星
「信道様、剣一つで大丈夫ですか?」
「ああ、一つにはなったけど、こいつがあるだろう?」
村正に握り拳を見せる。剣の一つは目の前にいる女、そう、村正だ。こいつが俺の側にいてくれる。こいつと言う剣がいる。それに腕っぷしには自信がある。この拳がある、切れなくとも殴る事は出来る。
「それを聞けて安心しました、さあ!」
「おう!」
『仲間が増えようと無駄だあああ!』
良真の野郎が無数の尻尾を飛ばして来る。俺と村正が剣を振るって切り裂きながら前進していく。奴が尻尾を大きく変形すると先から炎を飛ばして来る。
「させません!」
村正が剣を回転させて炎を防ぎながら歩んでいく。再び迫って来る多くの尻尾を切り裂いていく。そして俺は剣で一振りして多くの尻尾を切り裂いていき、良真の顔に拳を打ち込んだ。
『ぐうう!』
口から煙を吐いて来る。玉藻の前が札で防いで光を飛ばして吹き飛ばした。いける、と思ったが切られた尻尾が動き出している。
「おっと、まずい事になったな」
『俺の力をもってすれば意志のある生き物に変える事も可能よ!』
百足達が群がって襲いかかって来る。
「信道様!」
「我等も助太刀するぞ!」
けど高虎達もいる。俺の元に駆け付けて百足達を倒していく。
「これで、沈める!」
村正が剣を地面に突き刺して割れ目から炎を出して百足達を焼き尽くした。
『何い?!』
「百足がいなくなりゃあこっちのもんだ!」
良真の元に向かい、拳を振るう。うめき声を上げるも俺に向かって殴りかかって来る。すぐにかわしてこいつを何度も殴打した。
「・・・・・・・・」
『いつかは国を取って大名みたいなスターになるの!』
『お前を支持する奴等の気持ちを汲んでやらねえのか』
『お前の重荷、俺も背負う』
「・・・・・・・!」
「うおらあ!」
最後の一拳を振るおうとする。良真が口を開けて舌を伸ばして俺の首に巻き付いて来た。
「ぐうう!この!」
「ご主人様!」
まずい、動きが取れねえ。攻撃される、と思ったが、光が飛んで舌を焼き切った。
『ぐぎゃああああああ!』
良真が激痛で転がり回った。後ろを向くと札を持った義元がいる。
「義元?」
「私も戦わせて、覚悟を決めたの、私、ずっと自分の都合のいい環境に逃げてた。貴方に甘えてて、現実から目を背けてた、でも、貴方の戦う姿を見て気付いたわ、もう逃げない、今の現実を受け止めて、私も戦う!」
「そうか、決めたんだな・・・!」
義元と共にあいつに向かう、向けて来る尻尾をかいくぐり懐に入り込む。こいつとの殴り合いをしていく。こいつが炎を飛ばして来ると義元が札で守って光を飛ばして攻撃していく。
『うおおお!』
「・・・・・・・!」
こいつの拳が義元に向けられる、義元はすんでの所でかわして、
『ぐ、な、何だ?!』
義元は化け物になった兄貴だった男に抱擁していた。胸に顔を当てて強く抱きしめていた。
義元の脳裏に焼き付いていた思い出。寺に出される前、正室の子として大事に育てられていた日々、
「さすがはお嬢様、和歌も書画も完璧です!」
自作の歌や絵を称賛されて褒められるのが嬉しかった。そして熱中出来る蹴鞠にも触れて廻りからも大切にされていたある日、寂しそうに見つめる一人の自分よりも年上の子。家臣達からは側室の子の兄だと教えられて、仲良くなりたいと思っていた。
「お兄ちゃん、一緒に遊ぼう」
「母親の違う奴と遊ぶかよ・・・」
拒否され、冷たくされても遊びたいと思っていた。けど、何かを感じる所はあった。回りから期待され可愛がられている自分を羨ましく見る彼の顔が今も鮮明に覚えている。寺に送られた日から彼との出会いは無くなった。そして今、自分への激しい憎悪と憎しみを向けている。でも、今の自分には彼の気持ちが解っていた。
「義元・・・」
「解るよ、皆から期待されず、何度も何度も傷付いて寂しい思いをしていたの・・・」
あいつ、和解を望んでいるんだろう。頼む、義元の気持ちを解ってやってくれ。
「私達は解り合えるよ、もう終わりにしよう・・・。こんなの好きじゃないよ・・・」
『黙れ・・・黙れ、黙れ!お前なんかに俺の何が解る、失望知らずのお嬢様が、解った様な口を聞くなああああ!』
義元を突き飛ばして口から熱戦を吐いて来る。義元を抱えると俺はこいつを殴り飛ばした。義元が札を飛ばすと巨大化させてあいつの下の方に浮遊させる。札から閃光が放たれて良真を包んでいく。
『ぐぎゃああああ、ぐぐぐ、ぐおお、よ、義元おおおお・・・・!』
光の中でこいつの姿が消えて行く、化け物に変わり果てた兄貴、最後まで妹に心を開けなかった男の悲しい最後だった。
「・・・・・・さようなら・・・お兄ちゃん・・・」
俺に抱えられた義元がか細い声で兄に別れの言葉を呟く。兄貴との和解は叶わなかった、切ない形になっちまった。俺も皆も、光になった兄貴が空に昇って行くのを見るしかなかった。
「・・・・・・・」
戦いが終わり、義元が今川家の当主となった。当主となり国を繁栄させる、そしてみんなを幸せにしていくんだ、当主となった義元の姿を見届けて俺達は国を去る事にした。
『お主達とはまたどこかで会う事になろう、その時はまたよろしく頼むぞ、ではさらばだ』
玉藻の前はそう言って空を飛んで俺達の元を去って行った。全てを見届けて安心したみたいだな、またどこかで会えるだろう。
「ご主人様」
「どうした、イノリ?」
「この別れ方で良かったのでしょうか?」
「ああ、あいつの頼みは叶えたからな。もう大丈夫だ、あいつはきっといい君主になるさ、さて、戻るぜ、俺達の館に!」
褒美としてもらった宝を積んだ荷車を持って、我が家に・・・。
「ちょっと、ちょっと、肝心の誰かを忘れてない?」
うん、荷車から声がするな。それにこの声・・・!
「ばあ!」
箱が開かれて出て来たのは。
「義元!」
「私を置いてくなんて行けないんだぞ」
頬を膨らませて義元が箱から降りた。
「お前、箱にいたのか?」
俺も皆もポカーンとしてしまう。もうしばらくは会えないと思っていたのにこいつが目の前にいるからだ。
「うん、帰り支度をしている間に箱に入ってたの、何はともあれ、これで貴方と一緒だね」
嬉しそうに俺に抱き着いて来る。
「いいのか、お前、当主になったんだからそう易々と放れて・・・」
「それについては大丈夫、雪斎が政治をしてくれるから」
その頃・・・。
「義元様・・・」
『私、彼に付いていく事に決めました。もちろん、これには意味があって、彼といろんな場所に行ってそこにしかない文化や珍しい品物なんかを調べてこの国の発展に役立てようと思うの、だからそれまでの間よろしくね♡』
義元の置手紙を見て雪斎は溜息を吐いたが、同時に彼女らしいと思い微笑んでしまった。
「おいおい、当主って立場はどうなるんだ?」
「うん、それも考えた、けどね、ちゃんと考えてるの。国に留まるだけじゃ皆を幸せには出来ないと思うの、だからね、貴方についていって、駿河以外の国ではどんな習慣や文化があるのか、それを見ていい所を自分の国に広めようと思うの」
「そうか、考えてたんだな・・・」
「兄の事は忘れない、彼の分まで頑張って生きて皆を幸せにしていく、それに・・・」
「?」
義元が俺の顔を見上げて唇に指を当てて来る。
「約束したもんね、私と夫婦になってくれるって、それに嬉しいんじゃない、私と一緒にいられるの」
「ああ、そうだな、俺も言ったもんな、お前の重荷を背負うって」
「うん、だから、これからも、どうかよろしくね」
「ああ、もちろんさ!」
義元を精一杯抱き締めてやる。二人目の妻になってくれた事が凄く嬉しかった。
「そして、私も仲間入りよ」
「うお、あんた?!」
「義母上?!」
突然、直虎が現れてびっくりしちまう。あんたのいたのね。
「ふふ、私も信道様、貴方の仲間になってあげる、貴方、面白そうだし何より私自身も気に入ってるから楽しめそうと思ってね」
団扇で俺の顎を乗せてクスリと笑う。
「義母上、お館様をからかわないで下さい」
「いいじゃない、何か可愛いし、それにこの子達と一緒だと面白い事が起こりそうだし、ね♪」
やれやれ、何だか凄く賑やかになりそうだな、義元、直虎、そして村正が俺達の仲間になってくれた。特に義元は俺に凄く懐いてくれているみたいだし、これからが楽しみになっている自分がいる。さあて、久しぶりの我が家への凱旋と行くか。