戦姫コレクション チートな勇将に転生してイチャラブな旅 作:たくと七星
「はあ、はあ、はあ・・・直虎、この先にいるんだよな!」
「任せて、この札の呪術は伊達じゃないから」
薄暗い森の中を俺と皆で走っている、畜生、俺がいない間にこんな事になってたなんて、俺は自分を恥じていた。信乃、無事でいてくれよ・・・。
そう、息子の信乃が誘拐されたのだ。俺が義元と村正と一緒に戻った時、イノリがすすり泣いていた。
「ご主人様、信乃が、信乃が連れ去られて・・・!」
「何だって・・・!」
話を聞くと、皆で日向ぼっこをしていた時に、
「へへ~ん、鬼さんこ~ちら!」
木の上で金髪の幼女が自分達を挑発して来たのだと。上から柿やら石やらを投げては悪戯を繰り返し、木に飛び移りながら、振り回していた。そして、疲れた所で一匹の猿がイノリから息子を引き放してその少女に渡して逃げて行ったと・・・。
「くそ、すまねえ・・・、俺が近くにいたなら・・・」
「お館様、自分を責めるのは後です。今は若様の救出に専念しなければ・・・」
直政、そうだな。まずは息子がどこへ連れて行かれたのかを調べねえと。
「あらあ、もしかして調べるの?それなら心配いらないわよお」
「直虎?」
「義母上、それは、どう言う事ですか?」
「こんな事も考えてあの子の布にこれを貼っておいたのよ」
それは、何かの札か。中心の紋様が光ってるな。
「あの、その札は何でしょうか?」
「高虎ちゃん、これは二つあってね、片方と放れても、それがどこにあるのか伝えてくれる特別な札よ、これで追い掛けていけば・・・」
「直虎の姉さん~!」
五右衛門が来たか。何か掴めたのか?
「ご苦労様、居場所は解ったかしら?」
「ええと、さっきあの子供と猿達は北の方にある山に入ったみたい」
「じゃあ、そこに信乃が!」
「イノリ、きっといるぜ」
「じゃあ、案内を頼むわね」
五右衛門の手引きで俺達は急いでその山へと向かって行った。
「ここは?」
無我夢中で走った先には一回りも大きな大木が立つ森林に来ていた。足元が石や木の根で不安定になっている所、そこに俺達は来ていた。
「直虎、ここで間違いないのか?」
「ええ、そうね、確かにここで間違いないんだけど・・・やけに静かね・・・」
言われてみればあまり気配を感じな、いや、何だ、この胸につかえる様な感覚は・・・?俺の第六感が危険を知らせているみたいだ。これはおそらく・・・。
「信道様、どうされました?」
「高虎、お前等、動くなよ、何かいる・・・」
「え、何も感じないけど、あ!」
やっぱりな、豪が指を差すと何かがこっちに目掛けて、そう、木に吊るされている罠だ。木の丸太に棘がある。俺はそいつを一刀両断した。
「また何かが?!」
そして投げられたであろう網も切り裂いていった。
「く、何者だ!」
直政が叫ぶと罠を仕掛けた奴等が、うん?あいつ等、子供か?
「やい侍、ここへ何しに来たんだ!」
見ると六人の子供が出て来てたな。
「童達か、どこの村の子供だ、この罠はお前達がしたのか?」
「そうだ、悪い侍を追っ払うためだ!」
子供は皆女の子だな、いや、そんな事を言ってる場合じゃないな。
「悪いが俺達は探している奴がいるんだ、俺の息子だ、いたら教えてくれないか?」
「子供・・・?」
ヒソヒソし始めたな。もしかして知っているのか?
「あたし達は知らない、知ってても平気で嘘を付いたり殺したりする侍なんかには教えない!」
「おいおい、俺達はそんなもんじゃあ・・・」
「お願いです、どうか教えて下さい、私にとっても信乃は大事な子供・・・」
「どうかしたのですか?」
木の上から誰かの声が聞こえて来るな。見上げると木の上に単衣を纏った黒髪の女性が座っていた。廻りには多くの猿の様な妖怪達がいる。まさかこの猿達の親玉なのか。
「母様!」
「母様だ!」
うん、あいつ等の親なのか。けど妖怪が人間を産むなんて事が・・・。
「貴方、もしかして猩々?」
「無論、この山にて代々住んで来た者です、貴方達はここへ何しに?」
「俺達は危害を加えるつもりはない、人を探しているんだ。俺の息子が猿を連れた子供に連れ去られた」
「それは・・・佐助、いるのですか?」
主が声を掛ける、すると木の裏側から金髪の子供が出て来た。腕に抱いているのは、
「信乃、信乃!」
俺とイノリの息子だった。良かった、傷はないみたいだ。
「佐助、その赤ん坊はこの方達の子ですか?では何故、攫ったのです」
「母様、佐助は悪くないもん、こんな人殺しみたいな奴等の側にいたら悪い子になっちゃうでしょ?」
悪い子って、俺達そんな極悪人じゃねえけどな。
「ご、極悪人って・・・」
「私、そんなに悪い人ではないと思っていたのですが・・・」
イノリが拳をワナワナさせてるな。高虎、お前はいい奴だよ。
「母様だってあたし達を引き取ってくれたじゃない、佐助も悪い奴等からこの子を助けようとして・・・」
「佐助、貴方の気持ちは解ります、でも、この者達には悪意は感じられません、正しい心を持っています、それにそこの子の幸せそうな顔、大事にされていると言う何よりの証拠です。返してあげて下さい」
「・・・・・」
何か不服そうな顔をしてるな、不貞腐れながら佐助と言う子供は信乃をイノリに返してやる。
「信乃、ああ信乃、良かった・・・!」
精一杯、息子を抱いている。信乃も凄く喜んでいるみたいだな。
「信乃、怪我はしてない、そう、母様は安心したわ」
「きゃい、きゃい、たあ~っ!」
高い高いして息子をあやしてあげている、やっぱり親と一緒にいる方が安心するよな。
「直虎、ありがとな」
「ふふ、私を連れて正解だったでしょ、もっと感謝してくれてもいいのよ~、うふふ!」
「義母上様、はしゃぎすぎです」
これで一安心だな、じゃあここにいる必要はないな。
「ありがとよ、山の主さん、俺達はこれで」
「お待ちなさい」
「何だ?」
「折角こうして参って下さったのです、歓迎の宴を催そうと思うのですが、お付き合いいただけないでしょうか?」
「お付き合い?」
「信道様、いかがします?」
高虎が聞いて来る。そうだな、急ぎって訳じゃないけど、けど、何かありそうだな、主さんの目、あれは何かを伝えようとしている目だ、きっと何かある。ここは敢えて乗ってみるか。
「解った、是非頼む」
主さんが笑顔で頷いたな。親と慕う子供達が何か不満なのは気になるが、今はお誘いに応じないとな。その中で何か解るはずだ。主さんが俺に何を言いたいのかが。