戦姫コレクション チートな勇将に転生してイチャラブな旅 作:たくと七星
遠征の準備は整った。鶴の指示で信玄、昌幸が北条、信長は斎藤道三、義元は徳川家康、そして鶴、島津、元親、豪、昌信、高虎が城の留守を、そして五右衛門はお宝探しも兼ねて各軍の動向を報告する役目をする事にした。
そして俺はイノリ、村正を連れて謙信達、上杉家の人達と共に奥州に向かう事になった。相手は独眼竜の異名で知られる伊達政宗だ。竜と仇名が付くだけあってかなりの実力者だという。けど、それだけの名声があるとすれば俺の腕もなるって訳だ。俺は意気揚々と奥州の地へ進軍していた。
「景勝」
「ご主人様?」
馬に乗って移動している中、同じく馬に乗っている景勝に声をかけた。
「腹も大分、大きくなったな」
「はい・・・」
景勝が膨れた腹を撫でていた。そう、遂に景勝は俺の子供を身籠ったのだ。お腹の子はスクスク育っている。もういつ産まれてもおかしくはない。本当は城に残してやりたかった、景勝の体を思うと城で安静にした方がいいと思ったのだが・・・。
『ええ、置いていくの?折角だから連れていきましょうよ!』
謙信が景勝を連れてくべきだと言って来たのだ。俺は反対したのだが、
『自分だけ言って身重の妻を城に置き去りにするなんて酷いんじゃない?貴方だって産まれてくる赤ちゃんに会いたいでしょう、だったらいいじゃない』
謙信に懇々と諭されてしまい、心配ではあるが連れていく事にした。万が一の事も考えて綾御前さんとそのお付きの女の人達も同行する事にしたのだ。
「景勝、ごめんな。無理をさせちまって・・・」
「お気遣いありがとうございます。でも、もう大丈夫です・・・」
「謙信も何を考えているんだかな、お前も連れて行かせるなんて」
「義母上様のことです、きっと何かの考えがあると思います」
「そうなのかな、けど、無理はさせられないな。何かあったら戦闘は控えろよ」
「はい・・・」
「ふーっ、馬に乗るのも一苦労だな」
謙信の領国である越後の国、そこで休息を取る事にした。稲穂が風に揺れている田園で草原に体を寝かせてため息を吐く。
「ご主人様・・・」
「お、イノリ・・・」
可愛い妻が愛らしいわが子を抱いて俺の所にやって来た。息子の信乃は飛んでいるトンボに手を伸ばしていた。
「どうした?」
「お昼になりましたので、おにぎりを作りましたよ」
笹に包んだ握り飯を俺に差し出した。
「お、こいつはありがてえな。じゃあ、頂くぜ。お前も食えよ」
「はい」
一緒に座って飯を頬張る。信乃が興味津々に握り飯を見ている。
「う、あう・・・」
「何だ、食ってみるか?」
「ご主人様、この子にはまだ早いですよ」
「はは、そうだな。親のお乳がいいよな、まだ」
「さあ信乃、貴方もご飯を食べましょうね」
妻のイノリが息子に胸を吸わせた。優しくわが子を抱いて飲ませている、イノリも、すっかり母親になったな。息子を見る顔は子供に愛情を注ぐ慈母を彷彿させる。
「イノリ」
「どうしました、ご主人様」
「景勝の事だけど・・・」
「はい、お腹にご主人様の赤ちゃんがいるのですよね・・・」
そう言ってニコニコと笑っている。けど、俺は複雑だ。元いた世界じゃ許されるものではない事をやってしまっている。イノリが俺を拒絶しないのかと不安になる事もあった。
「なあ、俺にがっかりしてねえか?」
「がっかり?何故、そう思うのです・・・?」
「お前との間に子供を設けたのに景勝も孕ませた。それでお前がショックを受けて愛想を付くんじゃないかと不安で・・・」
「ご主人様・・・」
イノリが俺の顔を見つめて言う。
「私はご主人様の妻になって、一度も後悔したことはありません。ご主人様は強く優しいお方。景勝様の事も愛して下さるはずです。ご主人様の天下を、後継ぎを思えば小さな心配です。私は気にはしていませんよ。ですから・・・」
俺の手を握って言う。
「もう、水臭い事は言わず、貴方の思う道を進んでください。私が慕うのは貴方だけ、私はずっと貴方の妻です」
「イノリ、ありがとう・・・」
「それに、私、楽しみにしているんですよ?」
「楽しみ?」
「この子に新しい兄弟が出来ると思うと嬉しくて仕方ないのです・・・」
母乳を飲み終えた信乃に語り掛けるように、優しくあやして言う。
「信乃、可愛い赤ちゃん。もうすぐ貴方はお兄ちゃんになりますよ・・・楽しみにしててね・・・」
信乃に兄弟・・・産まれてくるのは男か女か。
「ご主人様、佐助にも見せてあげたいですね」
「そうだな」
佐助、俺達の養女にした子供だ。今は昌幸、信玄と行動している。本当は佐助も側に置いてやりたかった。けど昌幸が自分の元で教育させたいと言い、佐助を昌幸の元に行かせる事にしたのだ。佐助、大丈夫だろうか。やさぐれたりしてないか心配だ。
「大丈夫かな、佐助・・・」
「きっと大丈夫ですよ。あの様子だととても強くなって戻って来ると思います」
「そうあってほしいな」
イノリと信乃、佐助、そして産まれて来る次の我が子の為にも益々、励んでいかないとな。必ず勝つぜ、この戦・・・!
「うおらあ!」
「うわああ!」
奥州に付いて早々、戦が起こった。相手は最上軍の大将、最上義定。だが俺の力の前では取るに足らない相手だった。
「よ、義定様がやられた・・・」
敵軍の兵士達が愕然としている。どうやら勝敗は決まったようだな。
「さあて、大将さんよ、まだ戦うか?」
「わ、解った、降参する・・・」
こうして最上を倒し、伊達領を目前にした所で休憩を取る事にした。
「景勝・・・」
「ご主人様?」
陣地の仮屋で布団で横になっている景勝の元に行く。腹は更に大きくなっていて陣痛が現れ始めるようになっていた。
「体はどうだ?」
「はい、大分。ですが、時々痛みが出ます・・・く、くう!」
景勝がお腹を抑えている。まずい、陣痛が来たのか。
「大丈夫か?」
「ご、ご心配なく・・・きっとお腹の子が蹴って暴れて、く、ああ、ああ、ああお腹が・・・い、痛い、ああ、激しい・・・」
苦しそうに息を吐く。こいつはまずい、産まれそうだ。
「おい、しっかりしろ!早く準備をしないと!」
綾さんがすぐに来てくれて、女中達が景勝に握る縄を持たせてあげて体を摩ってくれた。景勝は目に涙を浮かべ苦しそうにしている。痛みを堪えて子供を産もうとしているんだ。
「信道様!」
村正が入って来た。
「どうした?」
「大変です、伊達政宗が信道様に勝負を申し込んで来ました!」
遂に大将さんがやって来たか。こんな大変な時に。
「信道・・・」
「謙信?」
「ここは行くべきよ、行って見事に勝ってきなさい。大丈夫、この子の事は私と姉上が守ってあげるから。貴方は貴方のすべき事をなさい」
俺の肩を叩いて言う。景勝は子供のために戦っている。なら俺は子供が幸せに暮らせる世界にするために腕を振るわねえとな。
「ご主人様!」
「イノリ、行くぜ!」
「はい!」
景勝、待っていてくれよ。俺はイノリと村正を連れて戦場に向かっていった。