最近は異世界転生モノの小説が増えてきいるように思う。
確かに、チートスキルやら最強武器で無双し、ハーレムを作っていく主人公の物語は好みではあるし、剣を使いこなして魔法をぶっ放す自分を思い描いたりした時期も中学生くらいにはあった。
だがしかし、現実に魔法を使えるようになるなんて誰が想像出来るだろうか、いや出来ない!
「待て、マジで落ち着け……。」
中二病をぶり返して想像の世界にダイブしちゃったのかと思ったが、頬をつねっても痛みはある。
そして、目の前には変わらず半透明な板が浮かんでおり、俺のことだと思われる情報が書かれている。
名前:比企谷八幡
種族:人間(淫魔)
職業:淫魔導士
スキル:淫魔導レベル1
気配遮断レベル1
幻惑の魔眼レベル1
ツッコミどころ満載過ぎてわけわかんねー。
淫魔ってなんだよ淫魔って。淫魔導士ってなんなの?完全アウトな感じしかしないんだけど?しかも気配遮断?ステルスヒッキーのことですねわかります。あと俺の腐った目は魔眼だったのかヒャッホー!
「ヤベェ、全然落ち着けねぇ。」
そもそもの発端は古本屋で見つけたいかにもなボロい本だった。
掘出し物の小説がないかと見て回っていたら、何故か吸い寄せられるように買ってしまった『誰でも簡単、魔導の心得』と題された赤いカバーの本で、よくわからない『魔導』というものについて書かれているようだった。
なんであんな本を買ってしまったのか今でもわからないが、持ち帰って部屋で改めて読み始めると、頭の中に突然浮かんだ『ステータスオープン』という言葉。
「ステータスオープン。」
つい口に出してしまい、途端に眩しい光が本から溢れ出して、たまらず目をつぶった。
目を開けると、本は消え、今に至るというわけだ。
「しかし、マジでどうなってんだこれ。魔導ってつまり魔法のことでいいんだよな。材木座が喜びそうな展開だけど淫魔導士はないだろ。」
よく分からんが、完全にエロ方面の呼び名だよねこれ。
「仮にこれが俺のステータスだとして、だからどうしろって話なんだよなぁ………ん?」
なんか職業のところを注目し続けてたら詳細っぽいのが見えてきたぞ?
淫魔導士:淫魔導を扱う魔道士。淫気を吸収して成長する。
「………さっぱりわかんねぇ。」
淫気ってなんだ?いや待て、他の項目も見えるんじゃねぇか?
淫魔導レベル1:対象の淫気に関する弱点部位がわかる(効果微小)。対象の淫気を吸収する(効果微小)。
気配遮断レベル1:自身の気配を消す(効果微小)。
幻惑の魔眼レベル1:対象に催眠をかける(効果微小)。
なんとなくわかったような、わからないような。
「気配遮断と幻惑の魔眼についてはなんとなくだがわかる。効果微小ってのがどの程度なのかはわからんが、問題は淫気についてだな。まぁ、おいおい調べていくしかねぇか。」
ステータスは口に出さなくても念じるだけで出したり消したり出来るみたいだな。俺にしか見えないのかは確認しないといけないが。
まだ少し混乱している感はあるが、俺は魔導がどんなものか試してみたくてウズウズしていた。淫魔導なんて、普段の俺からすれば関わりたくない名前に間違いないはずなんだが、剣と魔法の世界に足を踏み入れた今、好奇心を抑えることは出来そうになかった。