「………おはよう。」
「……おう、おはよう。」
翌日顔を合わせると、これまでにない気まずい空気が2人の間を流れていた。
結局昨日はあの後、少し体を休めた小町はそのまま部屋に戻って行った。
小町が濡れまくったパジャマのズボンと下着を脱いで、タオルで拭き、腰に巻いて下半身を隠そうとしていた時に、また臨戦態勢になってしまいそうで自制していたのは言うまでもない。俺の部屋から出て行く時、一瞬こっちをチラ見して行ったが、その瞳がまだ潤んでいるように見えてなかなか寝付けなかった。
俺のステータスも若干更新されていた。ただ、
気配遮断レベル2:自身の気配を消す(効果小)。
なんで!?なんでそのスキルだけレベルが上がったの!?使った記憶ないんだけど!?
淫気による経験値的なものは、スキルに対してランダムに付与されるのか?それとも全てのスキルに分配されるが、レベルの上がりやすさはスキルによって差があるのか?とりあえず、スキルを使うほどそのスキルに経験値がたまるってことはないようだな。
まぁ、ステータス関係の考察は後回しだ。今日は月曜日で、俺と小町はこれから高校に行かなきゃならない。
今後の高校生活も不安だらけだし、波風立てすぎず、更に淫魔関係の折り合いを少しずつつけて行くしかないだろう。
食卓につきながら小町を見ると、頬がほんのり赤くなっていて、少し不機嫌そうに見えるが、多分昨日のことを思い出して照れてるっぽいな。
「…お兄ちゃん。今日も自転車の後ろに乗せてって。」
「え。」
「…なに。」
「いや、俺は別にいいんだけど…。」
「じゃあ、よろしく。」
おいおい、更に気まずくなりそうだけどいいの?小町ちゃん、あなた顔が更に赤くなってるけど?
それ以降は無言の食事が続き、とうとう出発の時となったのだが。
(なんだ、この、しおらしい小町は。)
俺が自転車に乗ると、朝食の時と同じ表情のまま、小町は荷台に座り、俺にしがみついてきた。
これまで自転車に乗せてた時と動きは変わっていない。なのに何故だろう。ちょっとドキドキするんですけど。
お互いの制服越しとはいえ、昨日触りまくった小町の胸の感触が背中に伝わってくるし、わずかに小町の匂いがする。もちろん良い匂いで、今までは意識してなかったのに今は少しクラっときちゃう感じだ。
しばらくお互いに無言のまま自転車を漕いでいると、
「ねぇ、お兄ちゃん。何か…あった?」
あー、このタイミングで聞いてくるか。
「ん。ちょっと、な。すげぇわけ分かんねえことを話すかもしれんが、聞いてくれるか?」
「いいよ、聞いてあげる。どんなになっても、小町はお兄ちゃんの妹だからね。」
やっといつもの調子が出てきたのか、少し笑いながら答えてくる。
「へいへい。それじゃあ放課後、家に帰ってからな。」
「いいけど。でも学校では本当にしっかりしてよ?昨日のことは小町が相手じゃなかったら、通報もあり得たんだからね!」
「うぐ。も、もちろん、わかってるよ。」
俺の部屋でのことは置いといて、転んだ後に胸を揉んだのは事実だからな。それに今の俺の体質は、色々面倒そうだ。
「分かればよろしい。」
そう言って、小町は俺に抱きつく力を強めた。
妹との関係が、少し変化したかもしれない。学校生活の方はどうなって行くのか、不安と期待が入り混じる中、総武高の校門が見えてきた………。