「たでーまー。」
テンションが微妙過ぎて家に帰るのに時間がかかってしまった。
あの後、俺が部室の鍵を返しに行ったものの、いつも以上に目が腐って見えたのか、平塚先生にめちゃくちゃ心配されてしまった。
いや、実際、体のダメージも残ってたけどね。雪ノ下の奴、咄嗟のことだったから無意識だったとは思うが、確実に俺の意識を刈り取りに来てたぞ。
それよりも俺の心を複雑にさせたのは、由比ヶ浜と雪ノ下から淫気を吸収できちゃったことなんだよな。
アクシデントみたいな状況だったから、量も多くはないが、あの2人がわずかとはいえ、俺との接触で性的な感覚をもったということだ。
…………なんかこう、ね?むずがゆいというか。マジで明日顔を合わせづらいんだけど。まぁ、妹と既にあんなことしちゃってる俺が何を今更、という話でもあるんだけど。
「お帰り、お兄ちゃん。」
「おう。ちょっと待たせちゃったか?」
「まーね。けど、いいよ。聞くのはリビングでいいよね。」
「ああ。」
さて、どう話したもんかな。
そして、俺は結局全部話した。話す時に小町が俺の隣に密着して座ってきたのは気になったが、本を買ったところから、ステータスが見えたことやスキルに関して、昨日の小町とのことについても。
俺自身全てを把握できてるわけじゃないから、想像の域をを出ないこともあるが、相手が小町だったからか、思ったよりもあっさり話すことができたと思う。
「ふむふむ。つまり、お兄ちゃんは女の子にとって本当のごみいちゃんになった。ということでOK?」
きゃるん♪と笑顔でキツイことを言う。やだ、ちょっと可愛い。
「小町ちゃん?完全に否定できないけど言い方があるんじゃない?」
「えー、だって鬼いちゃんに目をつけられた女の子は貞操の危機ってことでしょ?そうじゃなくても胸とか触ってくるし。」
ん?お兄ちゃんの部分で言い方に違和感があったような…。
「あのね、胸を触ったのはわざとじゃないから。ただ、そういう事故が増えてる気はするんだよなぁ。」
間違いなく『淫魔』のステータスによるものだとは思うが。このままじゃまずいでしょこれ。
「それより、俺が人間離れしてきてることには何もないのか?今後どうなっていくかもわからないし、女性の立場や家族としても嫌だろ、こんな兄貴は。」
「もう、バカだなぁ。」
そう言って、こてん、と俺の肩に頭を乗せてきた。
「どんなになっても、小町はお兄ちゃんの妹だよ。例えばだけど、世界中の人がお兄ちゃんから離れて行ったとしても、小町は、小町だけは、お兄ちゃんのそばにいてあげる。小町的にポイント高いでしょ?」
「くぅぅ、小町ぃ。」
最後のがなければ最高だったが、嬉しいこと言ってくれるじゃないか。
「それに、ね?」
小町は俺の膝に手を乗せて、体を更に密着させてきた。
「ゲームみたいな話だけどさ、レベルが上がればできることが増えるかもしれないでしょ?それで、レベルを上げる経験値は、その『淫気』っていうのが必要なんだよね?」
「ま、まぁ、そうだな。」
なんか、小町の目が潤んできてるような…。
「ならさ、そういうのをする相手が必要ってことでしょ?誰でもいいわけじゃないし、………小町はさ、その………いいよ?」
小町の視線が熱を帯びてきている。
「おま、それ、……意味分かって言ってんのか?」
「昨日、お兄ちゃんに気持ち良くさせられてから、お兄ちゃんを好きって気持ちが強くなっちゃってるの。お兄ちゃんは兄妹としての線引きを気にしてるみたいだけど、小町的には、あんまり気にしなくてもいいよ?最後までは、ちょっと、気持ちの整理ができてないけど……。」
最後の方をごにょごにょとさせ、顔を赤くする小町。可愛すぎる、じゃなくて。
「それは俺のスキルが効いてるせいかもしれないし、淫魔か淫魔導士の体質的な何かが影響を与えてせいかもしれない。だから、」
「お兄ちゃんを好きになってきてる気持ちは偽物かもってこと?小町としては関係ないよ。兄妹以上の思いを持ち始めてる、それが今の小町の全てだから。お兄ちゃんが気持ち的に納得できないのは仕方ないかもだけど、小町にあんなことしといて、全部否定するのはどうなの?」
「ぐ。」
確かにそれを言われると…。最近は俺の理性が働かなくなってきてるからな、本体に似てきて仕事しなくなっっちゃうと完全にアウトだけど。
「ね?お兄ちゃんにとって一番身近な小町が、色々都合がいいと思うんだけど。お兄ちゃんもこのままじゃ困るだろうし、それに……いろいろ試しやすいと思うよ?」
ぶふっ!!
「小町、いつからそんな、はしたないことを言う子になったんだ。」
「だから、ごみいちゃんのせいだよ。そして、お兄ちゃんにだけの限定小町なのです♪」
がはっ!!
「お前なぁ、男にそんなこと言って、どうなっても知らないからな?」
「うん、だから、よろしくね。」
なら、こっちも腹をくくるしかないだろ。
「わかった。じゃあ、試させてもらう。」
俺もいくらか考えてたことがあるからな。
「ステータスを更新させたり、スキルのレベルを上げるには淫気が必要なのは多分間違いない。ただ、どの程度のことでどのくらいの淫気が女性から出るのかはわからない。そして、一気に吸収するのと、少しずつ継続して吸収するのとでは、どっちが効率的なのかもわからない。個人差があるかもしれないし、全ての女性から吸収できるわけじゃないかもしれない。」
「小町だけじゃダメかもってこと?」
「……まあな。」
由比ヶ浜と雪ノ下のことは、後で話すことにしよう。
「とりあえず、淫気の量が必要なのは間違いないからな。小町にはこれから、継続的に淫気を吸収できるような行為をしていく生活になると思う。いいな?」
「……うん。」
また、小町の中の『女』が出てきた。今まで見たことがなかった、色を帯びた表情。
「俺とは常に一緒にいてほしいところではあるけど、まずはいつもどおりの生活をして、その合間にしていこうと思う。」
今でも歯止めがきかない感じだから、一緒にいすぎると、際限なくどこまでもやっちゃうだろうからな。
「いいよ。じゃあ、今日は……どうする?」
今は晩飯前か。食事の準備もあるし、その後がいいよな。
「そうだな…。それじゃあ、晩飯食い終わったら、(ごにょごにょごにょ)で部屋に来てくれ。(ごにょごにょごにょ)から。」
「……………………へ?」