「へくちっ」
という可愛らしい音に目を向けたのは浴室の扉を後ろ手に閉めた直後だった。
ハーフアップの長い金髪を下ろし、一糸纏わぬ姿を見せる少女。乃木園子はこちらの視線を意に介さず、将来の成長も約束された豊かな乳房をくしゃみの反動で揺らしながら口元を覆う。
「ふ……ばくちっ!」
「ばくち?」
ビクッと肩を震わせる彼女は小さなタオルで前面を辛うじて隠すも、くしゃみの衝撃でタオルが捲れて白い肌が露わになる。
ずずっと鼻を啜る彼女は自らの乳房や恥部を見られることよりも重要なことがあるらしい。
くしゃみを揶揄われたと思ったのか、ほんのりと頬に桜を咲かせながら柔らかな尻で俺を押し退けようとする。背後にいた身としては臀部に押し退けられるのも長年一緒にいることで培った予想の範囲内ではあったので、園子の腰肉を掴んでは鼠径部を叩きつけてみた。
「ひゃぁ! ……もぉ~、エッチだぁ」
「オラッ!」
「あんあ~ん」
ぱんぱんと肉が肉を叩く音が響く。風呂場だからよく響く。
肉棒を挿入した訳ではない。おふざけで女子同士が性交を再現するかのように彼女の柔らかな尻肉を恥骨を押し付けるようにピストンすると、彼女もまたふざけて喘ぎ声をわざとらしく漏らす。
どこか艶のある声は何度も男根を味わっただけはあり、迫真の演技だ。勘違いされかねない園子の嬌声と押し付けた肉棒に血が巡り始めると、ガチャリと背後のドアが開いた。
「園子っ! こんなところで何を始めているんだ!!」
「ナニだぜ~」
なんちゃって交尾の音に顔を赤くする少女が入り込んでくる。園子のふざけた回答に羞恥ではない朱色を顔に差す彼女、乃木若葉は小さなタオルで自らの裸体を隠しながら後ろ手に扉を閉める。
風の一つでも吹けば彼女が隠すものが全て露わになりそうな小さなタオルだ。俺の視線に胸元から下げるタオルを掴む若葉の手に力がこもるが、そもそも一緒に入らないという選択肢はないらしい。
キッと此方を見て説教の一つでもするかのように開かれかけた唇が僅かに震える。
「……はっくち!」
肢体が震えタオルが揺れ動く。
チラリと覗く鼠径部や腹部に目を向けると「何を見ている!」と顔を赤くして眉を吊り上げる若葉。流石に理不尽ではないかと思う直後に彼女の二発目のくしゃみ。
今度は下乳とその下が全て覗けたことに俺は神樹と契約している魔女に感謝した。
「────」
くしゃみに長い髪を揺らす彼女を見ていると、釣られて鼻がムズムズとする。
我慢できそうにない生理的な現象、咄嗟に腕で口元を覆いくしゃみをした。
「びゃくしゅ!」
「……びゃくしゅ~……ひゃん!」
くしゃみの直後、下腹部に視線が集まったのは気のせいだろう。
ひとまずは揶揄う園子の尻肉を掴む。
しっとりとした軟肉を揉みながら前にと進ませる。逆らうことなく園子が押されるままに進んだ先に、浴槽がある。風呂ふたを外すとたっぷりの湯が視界に入り、むわりと湯気が浴室に広がる。
無言になった園子が湯舟に浸かり、向かい合う形で俺も素早く浸かる。
「「ふわぁ~……」」
そんな吐息が思わず漏れてしまうのも無理はない。
ざあぁ、と湯が浴槽からあふれ排水口に流れていくのも気にせず全身を弛緩させる。じんわりと手足の先から温まっていく感覚は一日の疲れを浄化していくかのようだった。
湯舟の縁に後頭部とタオルを置き目線を上げると、若葉と目が合う。
「……亮之佑。ちょっと詰めてくれ」
「え~……どうぞ。あっ、タオルはお湯に浸けるなよ。よく見るタオルを巻いたまま入るみたいなのはマナー違反だからな。我が家では変な湯気もレーザーも仕事はさせない」
「何を言っているか分からないな……まあ見られて恥ずかしがる仲ではないが」
「いや、恥じらいは持っていてくれ。ずっと」
「どうしろと」
湯舟にタオルを持ち込んではならない。
そんな家ルールを適用させると真面目な彼女は恥ずかしがりながらも受け入れた。即ち、自らタオルを取り裸体を見せる彼女はそっと腕で胸元を隠しながら場所を開けて欲しいと懇願した。
やれやれ仕方ないなと場所を譲ると、勢いよく湯舟に浸かる若葉によって跳ねる飛沫が目に入った。思わず目を閉じて抗議しようとする俺に届くのは機嫌の良い若葉の声だ。
「ふんふ~ん。あぁ~、生き返るな……」
「ね~……」
それなりに広い湯舟でも、年頃の男女が三人も入るとやや狭い。
構造的に一人はどちらかに座ることになり、先に入った俺と園子に続く形で湯舟に浸かった若葉は背中を向ける方向を俺に決めたようだった。
俺の股の間に座り吐息する彼女の後頭部は鼻に触れるかどうかの距離だ。そっと若葉の髪の毛に鼻を埋め若葉吸いをしている俺に構うことなく、気持ちよさそうな顔を見せる若葉は同じように蕩けている園子に話しかける。
「それにしても、この時期にまた雪が降るとは……」
「ちょっとだけど積もるとは思わなかったんよ」
「私もだ。一応天気予報は見ていたのだがな」
雪の降る日に美少女と風呂に入る。
ある種の贅沢ではあるが、いつもよりもふわふわとしている彼女たちは、まずは身体の奥まで温かくなることに精神を持っていかれていた。いつの間にか押し付けていた鼻を押し潰す勢いで若葉がしなだれかかる。
まるで座椅子にでも座るように俺に背中を預ける若葉はチラリと視線を此方に向ける。
「ところで園子……この入浴剤は凄いな」
「でしょ~。チョコレート風呂なんよ」
「飲めるのか?」
「一応飲めるとは思うけど、飲む用じゃなかったかな」
「問題ない」
何がどう問題ないというのか。
園子が声を掛ける前に行動力のある彼女は顎まで湯舟に浸かる。さりげなく俺の腿に手を置き、これまた無意識なのか無駄な脂肪のない尻肉を肉棒に押し付けては、ずずっと湯を啜った。
俺と園子が見守る中、数秒後鎖骨まで肌を湯より出した彼女は唇を尖らせる。
「……うん、まあ悪くはない」
「……どんな味ですか?」
恐る恐る尋ねてみると、僅かに唇を吊り上げた若葉がニヒルな笑みを見せる。
「──チョコに園子と亮之佑の味がしたな」
「変態だ~!! ひなタンに伝えないと。私とかっきーの入ったお風呂の残り汁でうどんを食べていたって! ひなターン!」
「ご、誤解だ! そういうのは私よりも亮之佑がするだろ!」
「俺がそんな変態行為をする訳がないだろ。何を言ってるんだ」
「あはは、そうだね~」
ふわふわを超えて菩薩のような笑みを見せる園子の脚が俺の腿に乗る。
足指を動かして脇腹をくすぐろうとする彼女の足首を掴むと足裏をくすぐりながら、改めて浴槽に張られた湯水に目を向ける。
チョコレート風呂という入浴剤の通り、チョコレート色の湯は甘い香りが鼻孔をくすぐる。実際に大量の板チョコを溶かした訳ではないからか湯自体はさらりとしている。
「良い香りなんよ~」
「ああ。それにしても、バレンタインの前日に使っても良かったのか?」
「明日は忙しいだろうから、景気付けに使ってみようぜ! って感じでかっきーにお願いしたんよ」
「そうなのか」
手で掬い湯水に紫紺の瞳を向ける若葉に園子が営業トークよろしく話を続ける。
「ポリフェノール。チョコレートに含まれている成分は美容にとっても良いんだって。血行促進したりダイエット効果もあるらしくて。あとは入浴した後にリンパマッサージをするとさらに美容に効果があるんですよお客さん!」
「誰がお客さんだ。……風さんが喜びそうだな」
「これは確か商店街の景品で大量に貰ったものだからフーミン先輩も使ってるんじゃないかな? フーミン先輩だけじゃなくて年頃の若い女子にとって美肌、美容っていうのは命に匹敵するんよ。わかちゃんはちゃんとお肌の手入れしてる?」
「ん? まあ……」
「ひなタンに任せっきりなのは駄目だよ~」
「わ、分かってる! そういうのは一人でもちゃんとしているとも」
慌てたような若葉の回答にはあ、と吐息で返事する園子。
端正な横顔を見せる彼女は小首を傾けながら若葉と背後の俺に目を向ける。
「ねえ、わかちゃん」
「ん~」
「……今年は何もしないよ?」
「本当か?」
──園子の言葉に若葉が半眼を向ける。
脳筋気味な彼女にしては眦を吊り上げることもなく、どちらかというと湯舟と俺という肉椅子で身体だけでなく顔の表情すら溶かされた状態の若葉だったが。
「だってわざわざこんな雪の降る日にもかっきーのハウスに来ちゃうなんて、私ってよっぽど信用ないの?」
悲し気に眉をひそめ、涙目を見せる園子に息を呑む若葉。
数秒ほど意思の安定に時間を掛けたのか、首を振って彼女は、
「……ッ。い、いや、確かに去年は比較的大人しい方だったが、乃木と共謀して引っ掻き回していただろ。だから今回は乃木にはひなたを、園子には私が前日から近くにいることで被害を食い止めるために今日はお邪魔しているんだ」
「え~、被害なんてないよ、ラブだよラブ。3つだけしか渡せないチョコを誰にプレゼントするか、その過程で生まれるラブストーリー。風が吹き荒れ大地が震える、そして湧き上がる小説意欲!! ビュォォォオオオ!!」
大きな瞳に星を煌めかせる園子が湯を肌から弾かせながら立ち上がる。
感情が高ぶったのだろう、特に自らの肌を隠すこともしない彼女の裸体を見ている俺の鼻をのけ反った若葉の纏められた髪がぶつかる。
咄嗟に浮かせた腰を若葉が再び下ろすと尻肉に肉棒が挟まった。
「ん……ッ」
「……っ」
「どうしたのわかちゃん?」
「い、いやなにも。園子の傍にずっといると言ったんだ」
「あ~ん、照れますな~。わかちゃんのファンが聞いたら歓喜なんよ」
端正な若葉の横顔は風呂の熱かほんのりと朱色が差す。
位置が悪いのか異物感が強いのか、自ら挟んだ肉竿をどうにかしようと腰を左右に動かす。流石に肉椅子を続けるのは厳しいと感じる初々しい刺激に俺は彼女の細い腰を掴む。
無駄な脂肪が少ない腹筋が僅かに浮かぶ腹部を撫でながら恥部に手を這わせる。
「わ、私が傍にいたいのは園子だ。他の誰でもない」
「……」
「明日が終わるまで私は園子から目を離さないぞ」
「…………うん」
照れたように若葉から目を逸らす園子は小さく笑みを浮かべる。
発した言葉に偽りはなく、発した若葉も当たり前のように告げるイケメン力に令嬢も思わず揺らいでしまったのだろうか。猛烈に不安になる手が続く彼女の言葉を封じるべく鼠径部を伝い、陰唇に指を這わせると息を呑んだのが肌で分かった。
湯にたゆたう陰毛を指に絡め、熱く柔らかい秘裂を指で開く。
「んっ」
「……嬉しいけど、かっきーとエッチなことをしながらだと効果は半減かな~」
「い、いや、これはだな……」
小さく笑みをこぼしながら園子が目線を下げる。
ほんのりと頬に桜を散らせながらも、背後の俺と互いの恥部を触り合いながらの言葉では園子をときめかせるには足らなかったらしい。
ビクッと肢体を震わせる若葉は誤魔化すように咳をしながら俺に半眼を向ける。
「セクハラはやめてくれ、亮之佑」
「どちらかというと若葉から始めたからな」
「いや! あれは事故だった」
「わかちゃん積極的だね~。ひなタンの前だと大人しいって聞くのに」
「なっ!?」
「玩具であんなことやこんなことをされてるんでしょ?」
「……亮之佑!!」
「違うよ俺じゃないよ、何も言ってないよ、信じて」
目の前で先祖と自分の男が互いの肌を重ねているのを菩薩のような顔で見る園子。
自らの乳房を手で寄せて作った谷間に湯水を貯めて遊ぶ彼女の言葉に閻魔のような顔を向ける若葉。他人の秘密をベラベラ喋る趣味はないので、園子が自らひなたから聞き出したのだろう。もしくは自らの夜事情を園子に聞かせたかったのかもしれない。
ということを細かく語るよりも、短期気味な若葉の耳元に吐息と甘噛みにより力づくで落ち着かせた方が良さそうだと実践する。
「待て……みみっ……ひぁっ、ぁ、ふぁぁっ……」
すっかり性感帯となった耳を舌で這いながら僅かに歯を立てる。
首を振る若葉の耳に吸い付きながら、もっちりとした彼女の乳房を両手で持ち上げる。餅のような質感をした若葉の乳房は柔らかく指が吸い付く。
僅かに力を入れると形が崩れるも元に戻る弾力があった。自らの尻肉で雄竿を刺激していた自覚があったのか、ツンと尖った乳首は上を向き、園子の伸ばした指が摘まんだ。
「わかちゃん乳首かた〜い。興奮してるの?」
「……くっ」
「私と平然とした顔をしながらかっきーとエッチなことして興奮してたんだ。ひなターン! 私のご先祖様変態になっちゃったんよ~!」
「し、してないっ! これは生理的な現象だ! 園子のだって!」
「やぁん!」
「ふ……ふふっ、どうした園子。こんなに硬くして……私と後ろの変態がホニャホニャしているのを見て興奮していたんだろ!」
「え~……そうかな? そうかも~」
ブロンドヘアの少女たちが互いの乳房を揉み合う。
キャッキャウフフと百合百合しい光景は男の目を惹くも、目の前の白い肢体に這わせる手は若葉から吐息を漏らさせる。
「わかちゃん、人に見せられないような顔をしてるね」
「~~ッ、う、うるさい。園子と亮之佑しかいないから良いんだ! 園子こそ」
「ゃん……ッ!」
揶揄う園子に遂に手を出す若葉。
狭い湯舟の中での攻防は先祖の方に軍配が上がり、園子の秘所へと彼女の指が伸びる。湯水の中で園子の手が若葉の腕を掴むも、既に遅かったらしい。
んっ、と声を漏らす園子に対してニヤリと笑みを浮かべる若葉。いったい何をするつもりなのかと耳攻めを止める俺に若葉の声が届く。
「──こんなに濡れてるじゃないか。見ていただけなのに」
「……お湯だよ。早く抜いてよ~」
「園子のここは熱くて柔らかいな。それに……手入れもしっかりしてる。サラサラしていてひなたより薄くて触り心地も良い。これは亮之佑も喜ぶな」
「はンッ……わか、ちゃん、ちょっと……!」
「ん? どうした園子?」
「ぁ……指、動かすの……止めて貰えるかなぁ……っ」
「……」
「……っ、ほ、本当に濡れちゃうから」
「……」
沈黙が流れた。
嫌な沈黙ではない。見ている分には思わず喉を鳴らす程度には香ばしさがある。
湯水に波紋が広がった。若葉の腕が動く度に広がる波紋は園子の白い裸体に触れては消える。
たまに園子が湯水の中で若葉の腕を掴み、時折肢体を震わせる。
「……かっきぃ」
少女たちの淫熱漂う沈黙は、やがて園子が破った。
小さく震えた彼女は大きな瞳に涙を浮かべて俺の名を呼ぶ。
腰をくねらせる園子に夢中になったように若葉の腕が動く。
切なげな喘ぎと共に聞かされる名前に怒張が痛いほどにいきり立つ。
園子と若葉を二人だけの密室に放り込んで『〇〇しないと出られない』という条件で観察すれば誰が主導権を握るのかが分かった。よく分かった。
紫紺の瞳に攻撃的な色情を浮かべる若葉の乳房を揉んで振り向かせる。
「ん……」
唇を奪われた彼女は抵抗の意思を示す。
顔を背ける訳ではない、寧ろ上等だとばかりに舌を絡めてくる。以前よりも濃厚で情熱的な口づけを、子孫の前で頬肉を舐め、涎を絡ませる。
嫌がる素振りもなく、どこか艶やかな表情を見せる若葉。気のせいでなければ紫紺の瞳から輝きが失せているように感じられるも、気にせず立ち上がらせる。
ザバッと湯水を弾く白い肌はほんのりと朱色に染まる。
ぽたぽたと雫を垂らしながら、彼女は俺の誘導に従い、園子の背後にあるタイルに両手をつく。
園子が顔を合わせるような形で何をするのか悟ったらしい若葉は自ら尻を突き出す。
俺はおもむろに若葉の尻を掴み、後背位で貫く。
「ォッ……ぁぁあああっ!!」
ガリッとタイルに爪を立てる若葉の臀筋にぶつけるように抽送を始める。
ぱん、ぱん、ぱん、と。園子の目の前で若葉を後ろから犯す悦びに震える。
「……! っ! おっ!」
臀筋が締まり、膣が肉竿を締め付ける。
竿を吸っては離し、吸っては離す。
一突き一突きに魂を込めて打ち込むと彼女の最奥に振動が伝わった。
「~~~~ッッ!!」
気をやったのだろう、滑らかな背中がのけ反る。
結合部から飛ぶ飛沫が湯面に波紋を作る。
ずるりと壁に置いた手が滑り、園子の肩に若葉の手が置かれる。
膝を震わせながら、しかし意地があるのか崩れ落ちることだけは堪えようとする若葉の膣襞を雁で捲るようにピストンを繰り返す。
「ぁ、ぁ、あ……!」
「わかちゃん……」
「その、こっ、みるなっ……」
熱に浮かされたように喘ぐ若葉の顔を見上げる園子。
艶めかしい嬌声と彼女の媚肉の蠕動で高まる射精感に俺は従う。
射精しそう。しない。しそう。しない。
脳裏で葛藤する。それは吸い付くような臀部を腿にぶつける若葉の存在だ。
「ぐっ、ィくっ……ぅ」
媚肉を濡らしながらも負けてないとばかりに膣を引き締める少女。浅ましい膣の吸い付きは先に俺が達しかける。
ぐにぐにと弾力ある乳房を揉み唇を交わし合う強敵に奥歯を噛み締めて抽送の速度を増す。
同時に彼女の秘部を手で弄り、陰核を見つける。
湯を含んだ恥毛に隠れたソコを指の腹で摩ると、彼女は確かに感じた。
「ぁぁぁっっっ!!」
無心で腰を振る俺に合わせて若葉は揺れる。
金の残像を視界に残し、髪と乳房を揺らし彼女は淫靡な舞を見せる。プシッと飛沫が結合部から噴き出し風呂の水量を僅かに増やす。
勝った、と誰に言うまでもない悦び。
涙目でプルプルと震える女騎士のコスプレが似合いそうな若葉の横顔を見ながら優越感に浸ったのも束の間、道連れと言わんばかりに膣が引き締まる。
「ぅ」
その刺激に、遂に達した。
僅かに若葉の温かい膣奥に白濁を注ぎながらも、昂った剛直はズルリと抜ける。
しまった、と思った。
このままでは湯を汚すだろうと。本能的な射精衝動を堪えようとするも数秒も持たない。ビクビクと震える若葉を抱き締める俺を救ったのは、園子だった。
肉の布団と呼ぶべき感触が肉竿を包んだ。
ふわり、とまるで予測していたかのように園子の二つの乳房が肉竿を挟む。
「っ」
その瞬間、噴き出した白濁が園子の乳房を濡らした。
乳房を汚し、そして更に飛び散ろうとする精液が彼女の顔を汚すのも構わず、園子は口を開いて亀頭に吸い付く。
「っ、ぐ」
それは搾り取るような、竿を奮い立たせるようなフェラチオではない。
ただ甲斐甲斐しく残った白濁を吸い出し茎を清める奉仕だ。
ちゅううっと白濁を吸い取り、園子はゴクンと嚥下した。
「ごちそうさま」
ゆっくりと若葉を抱いたまま湯舟に浸かる俺を抱き寄せて見せる園子の艶やかな笑みは、思わず目を閉じて身を任せるほどに包容力があった。
「長湯でしたね」
「……寒かったからな」
「いえいえ、悪いとかではなくてとても楽しそうな声が聞こえていたもので」
「……ち、違うんだひなた!」
「何が違うんですか?」
一軒家に二世帯で住むとこうなるのだろうか。
ぼんやりとそんなことを思いながら、意味深な目線を向けてくるひなたに対して言葉を紡いでいく若葉を見守る。そんな俺の服の袖を引っ張る園子(小)に目を向ける。
「パパ〜、あれってどういうこと?」
「あれはね、夫婦喧嘩って奴だよ。関わっちゃ駄目だからうどんを食べて寝なさい」
「はーい」
「そうだよ私。そろそろイチャイチャを始めるパターンになってベッドがギシギシするんよ。風が吹くどころか嵐が吹き荒れて私たちが生まれちゃうんよ」
「大変だ~」
「生まれない! しないから!」
「聞いてますか若葉ちゃん!!」
この世界に来て、少し落ち着いてきた頃だった。
せっかくの先祖と子孫なのだからと、週末に一緒に食事を始めたことをきっかけに二人の園子、若葉、ひなたと過ごす時間を作ることになった。
それは今も変わらず、時に寄宿舎、時に乃木家本家、時に加賀家別宅と場所を変えながらも食事を作っては時間を共有している。
自炊する時は俺かひなた、もしくは一緒に作り、残りの面子が美味しそうに食べてくれる。
「まったく、バレンタイン前日で園子ズの隔離も兼ねて一緒に来たらとんだ目にあった……」
ズルズルとうどんを啜る若葉のぼやきに耳を傾ける。
食事を終えた後は、乙女たちの楽しいチョコレート作りが再開するらしい。加賀家別宅のキッチンも換気扇を回しながらも甘い香りが鼻孔を僅かにくすぐる。
イベント行事大好きな勇者部だ。
可愛い友奈や東郷を始め、可憐な美少女たちが家庭科室や自宅のキッチンでチョコを作っているのだろう。毎年貰えるのは嬉しいが、それを当然だと思わないように彼女たちを可愛がりたいと自らを戒める俺を他所に、園子(小)がうどんの汁を飲みながら告げる。
「最近かっきーとひなた先輩、凄く仲が良いよね~」
「ぶふッ!!?」
なんてことない様子で爆弾を落とす彼女に咽る若葉の背中を摩りながら、チラとひなたと目が合う。抱き心地の良い身体の持ち主は微笑を見せながら、
「そうですね。昔よりも仲は良くなったと思いますよ。勿論園子さんたちとも。……それにしてもどうして急にそんなことを思ったんですか?」
「うーん……変な夢を見たんです~」
「夢?」
「なんて言うんでしたっけ……バニーガールみたいな恰好をしたひなた先輩とかっきー先輩がホニャホニャしていたような」
「……!」
「学校で教卓の前で裸になってホニャホニャしていたり……公開不倫? あとご先祖様をみんなの前で二人で滅茶苦茶にしていたような……」
「なっ!? ひなた、それは本当か! そんな破廉恥なことをか!? ひなたの綺麗な身体を衆目に晒したのか亮之佑がぁッ!!」
「ヒィ!」
家庭崩壊待ったなしの爆弾発言に顔を赤くする若葉。
ふわふわ少女の夢は、しかし核心に迫っていた。この世界はたまに一部の人間を除いて認識が書き換わる日があるのだ。その唯一の人間である巫女に目を向けるも、サッと目を逸らされる。
あくまで穏やかな笑みを見せるひなたは、微笑を園子(小)に見せ続ける。
「し、してません。夢ですよ夢。ねぇ園子ちゃん?」
「……そういえば私も見たような気がする~」
夢は夢だ。証拠はない。
記憶だけが一部の人間に残るが相談は難しいだろう。
変態と間違われかねない世界で愉しんでいるなど、勇者部のメンバーに言ったところでどうにもならない。だから、現状は情報が集まるまでは秘密にしているのだ。
「ほら、チョコ作りがあるんだろ? その続きは小説を書いて読ませてくれよ」
「……うん」
園子(小)の夢の話はそれきりだった。
食事を終えた後、男は禁制となったキッチンから離れ、部屋に向かう。
手伝いを断られ手持ち無沙汰な俺を呼び止めたのは自身のスマホだ。
手に取り電源を入れると、下の階でチョコを作っているであろう巫女からだ。
俺個人宛に送られてきたのは自撮り写真だ。
逆バニーの姿で鏡の前で撮ったらしき画像が眼球に焼き付く。
思春期の男子だったら、多分、死ぬまで忘れられない画像が。
隠すべき場所は、全てが晒されていた。
普段使いの下着も、大人びた下着も着けていない女の全てが映っていた。
乳房の大きさも形も、先端の色から髪色と同じ毛色の陰毛と、片手で僅かに開かれた陰唇と、男を興奮させる為だけに作られたような下品極まりない姿は、確かに俺を興奮させた。
数秒、数十秒はジッと見ていた俺はメッセージに気づいた。
『またホニャホニャしましょうね』
それは夢での話か、此方での話か。
直接聞きに行く訳にも行かず、俺はただその画像を見続けるのだった。
思ったより前回のが高評価だったんよ。やっぱり羞恥って大事だね