※この作品はR-18です。

果てなき夜で、貴方に愛を   作:毒蛇

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感想、評価、誤字報告いつもありがとうございます。


【番外】たこ焼きパーティー

 暑い季節がやってきた。

 学校も夏休み。楽しい長期休暇の始まりだ。

 

「宿題? もう終わっているんよ~」

 

「私も! 今終わったー! 新記録だよ、とーごーさん!」

 

「……ふふっ、お疲れ様。やったわね、友奈ちゃん。はい、これ」

 

「わー! ぼた餅味のアイスだー! ありがとう!」

 

 自分たちを普通の学生だと言うつもりはない。

 何度も同じ年齢を繰り返していれば、対応する授業の内容など覚えてしまう。長期休暇の際に発生する宿題は覚えてしまい、もはや勉強というよりも手を動かす作業感が強い。

 勉強が苦手な子も、それだけの時間と周囲に優しく教えてくれる友達がいればなんとかなる。優秀な頭脳を持つ友達の園子と東郷に教わった友奈はアイスを楽しみ、園子は俺に顔を近づける。

 

「お疲れ」

 

「ん~」

 

 手を出すと、子犬か、あるいは気紛れな猫のように彼女は頭を差し出す。

 スリスリと擦りつけて甘えられると悪い気はしない。それだけの親愛を確かに感じられるからだ。稲穂の如き金髪に手櫛を通し、そっと頭を撫でる。

 目を細めた園子は、俺の飲みかけの麦茶を取り上げ、コップの中身を飲み干した。

 

「ずっと終わらない夏休みっていうのもどうかと思うけどね~」

 

「そのっち」

 

「そういう意味では私たちは毎日が夏休みだぜ、わっしー。好きなことを目一杯して、忘れられない思い出を刻んで、好きな人とイチャイチャして……繋がったり。この毎日が私は楽しいよ~。忘れたくないな~って思うんよ。ね、かっきー」

 

 同意を求める園子の頭を撫でる。

 普段からふわふわとした掴みどころの無い態度が多い彼女だが、それでも色々と考えている園子の中に確かな芯があるのを俺は分かっていた。

 甘えるように俺の腕を自らに巻き付かせる少女に囁く。

 

「俺は園子の後ろで腕を組んで後方彼氏面しているよ」

 

「え~、後ろじゃ嫌だよ。隣にいて」

 

「二人ともアイス溶けちゃうよ。はい、園ちゃん。あーん」

 

「あ~ん……。んんッ! ゆーゆが食べさせてくれると更に美味しいんよ。はい、ゆーゆにも!」

 

「あーん! ……ん~、美味しい! 皆で食べるアイスは美味しいね! 東郷さんも!」

 

「えっ、ええ……あ、あーん」

 

「美味しい?」

 

「うん! とっても美味しいわ友奈ちゃん」

 

 少女たちが戯れる姿を間近で見るのは心が和む。

 園子とのやり取りをジッと見ていた東郷、その表情の裏側を理解していたのだろう、笑顔の友奈によって差し出されたスプーン一つで東郷も笑みを見せた。 

 

 頬を緩ませて美味しそうに親友からのアイスを口にする東郷。ジッと見ていると深緑の瞳と交錯する。瞬きを繰り返す彼女は俺の口元にスプーンを差し出す。

 そして、誰もが魅了される慈母のような微笑みと共に甘い声を聞かせる。

 

「はい。あーん」

 

「……あーん」

 

 舌の上に広がる冷たさ。

 宇治金時味のアイスは程良い甘みと満足感をもたらす。

 

「美味しい?」

 

 此方の心情を窺うかのように上目遣いを見せる東郷。

 コクコクと頷くと、額縁に残したくなるような笑みと共に、精神的な余裕と穏やかさが垣間見えた。何が来ようとも狼狽えることはない、そんな自信すら感じさせる。

 

「これが正妻の余裕よ」

 

「わっしー。はい、あーん」

 

「あーん………んっ」

 

 冷房の効いた部屋。

 薄着の私服の少女たちとアイスを食べる、そんな時間。

 

 彼女たちはそれなりに肌が見える服を着用しているが、露出は多くない。

 どこか背伸びしていると感じていた衣服も本人たちの成長で年相応に思わせる。

 

 あどけなさが少し減って、少女から女へとバランスが傾きつつある姿。

 大人びているが、大人ではない、少女。

 普段見慣れた姿が中学生2年生。そして今目の前にいる少女たちはそれよりも少し成長している。普段一緒にいる期間が長いから、細かな変化がよく分かった。

 そうして彼女たちを見ていると薄紅色の少女がからかい混じりの笑みを見せる。

 

「あっ、亮ちゃんの目がエッチだー!」

 

「……そういう言いがかりは止めようじゃないか」

 

「……見ないの?」

 

「見る! そして触る!」

 

「やぁん!」

 

 柔らかな肢体、抱きしめた身体は身じろぎ、髪から甘い香りが漂う。

 服の中に手を突っ込み、柔肌をくすぐると少女の笑い声が部屋に響く。

 

「亮くん、友奈ちゃん。二人とも騒がしくしたらご近所迷惑よ」

 

「大丈夫だよ~。防音はバッチリ~。わっしーとこんなことをしても問題ないんよ」

 

「ちょっ……そのっち……んっ」

 

「わっしー柔らか~い」

 

 神々の遊び心だろうか。

 勇者部や巫女の外見が、ある日は幼くなり、ある日は成長した姿を見せた。

 それが今回も発生したのだ。今回は成長する方向で。

 

 より淫靡に、より蠱惑的に、より魅惑的に。

 精神に肉体が少しだけ追いついたからか、少女たちのからかいと触れ合いが増す。普段からスキンシップは多い関係だが、隙を見せると俺の雄としての本能をくすぐってくる。

 薄着で肌の露出も増える時期であるのも含めて、密着度が増してきた。

 

 見目麗しい少女たち。

 金と薄紅と黒の花。長い前髪から覗く大きな瞳は輝きを伴って俺を見る。

 期待を、喜悦を、からかいを含んだ眼差しに誘導されて視線を下ろす。

 

 手に持った器にはアイス。オーソドックスなバニラ味だ。

 先ほどから糖分の補給としてせっせと口に運んでいたスプーンを止める。

 

「…………」

 

 そんな雛鳥みたいな顔をしないで欲しい。

 三口分、少女たちにあーんで献上。

 同時に他の味のアイスを差し出され、楽しむ。

 

 

 

 ──俺たちは園子の住むマンションに来ていた。

 駅前のマンション。お嬢様が住むに相応しい高層階に招かれる。

 

「これが園ちゃんのハウス……」

 

「ゆーゆも変な言葉を覚えちゃったね~。私のハウスには前にも来たよね~」

 

「えへへ……なんちゃって」

 

 ──という挨拶をしたのが数時間前。

 普段は加賀邸に入り浸っているからと、園子から招待された。

 招待客は旧勇者部。讃州中学校の初期メンバーのみだ。

 

「皆が一斉に大きくなっちゃうんだもんね。ビックリだよ!」

 

「夏凜ちゃんとか風先輩も樹ちゃんもみーんな大きくなったんだってね」

 

「ひなタンたちは小さくなったり大きくなったりしているって。せっかくだから皆で女子会するらしいよ」

 

「私たちも女子会?」

 

「かっきーがいるんよ~。でもかっきーも女の子みたいなものだからセーフ?」

 

「うん!」

 

「うん、じゃないんだが」

 

 唯一女たちの間に挟まれる黒一点。

 百合の間に挟まっても許されるようになった俺は、今日も園子と友奈の間に挟まる。園子お手製の焼きそばを食べて、アイスを食べて、宿題を終わらせる。

 主に俺と園子と東郷による手厚いサポートを友奈にしていたが、今年はついに必要なくなった。

 

 園子と東郷が教えて、俺はサンチョ枕を抱き締めて少女たちを見守る。

 美少女の絡みに目の保養と、合間に手元の携帯端末を弄る。

 

 同じ時間帯、寄宿舎の方では西暦組や防人組も似たような催しをしている。

 彼女たちは園子が言ったように、肉体が成長した者、または縮んだ者もいるらしい。先ほど、すっかり自撮りに目覚めたのか下着姿と裸体を浴室の鏡で撮っている黒髪の美女の画像が届いた。

 ひなただ。年齢は大学生程度だろうか。隣には同じ年齢の若葉が全裸で映っていた。

 

 成長した巫女は更なる美しさを肉体に宿していた。

 より豊かな乳房と、柔らかそうな肢体、やや濃いめの恥毛と自ら開いたピンクの恥部。

 それを鏡越しに見せる彼女は、男を悦ばせるような薄暗い笑みを見せていた。自分の身体の価値を理解した上で、それを隠すところなどないとばかりに俺に送りつけて来たのだ。

 

 今なら何をしても襲われないと思っているのか、恥部と顔が入った画像や、どういう説得をしたのか恥ずかしがる若葉との全裸自撮り、耳を弄られて蕩けた表情の若葉の画像などが届く。

 挑発のつもりか、性行為をするように若葉がひなたの腰に鼠径部を叩きつける動画も送ってきた。

 肉体の変化によるものか、精神と肉体の年齢が一致したからか解放感による悪ノリが酷い。

 明日になれば後悔して消すだろうなと思いながら保存していく。

 

 若葉は、その身体を蠱惑的な物へと成長させていた。

 実り豊かな肉果と、くびれた腰肉には無駄な脂肪がない。

 艶やかな白い腿の奥に髪色と同じ色の恥毛と恥部を覗かせる。

 

 二人ともすっかり大人の女だった。

 添えられたメッセージには、防人組も結構な数が大人になっているらしい。自分たちと彼女たち以外は普段の状態か幼児化しているのが殆どであると。

 

「……ふーん」

 

 もっと送って! と要望を出すと若葉から連絡が来た。「消せ」と一言のみ。

 「二人同時に抱かせてくれたら考える」と返信、返答を待ちながら自撮りする彼女たちの鏡越しに映る幼い少女たちを見る。農業王とその巫女が縮んだ姿で湯を楽しんでいた。

 まるで子沢山の家族が銭湯に来たような光景だなと思いながら、俺は顔を上げる。

 

「私は! 宿題を一人で終わらせた! ドーン!」

 

「偉いわ、友奈ちゃん! 流石よ!! 友奈ちゃん天才!!」

 

 東郷一人が友奈を構い倒し、俺は園子を構う。

 当然のように俺の股座に腰を下ろして椅子扱いする園子、普段よりも大きくなった体躯を抱き締めて二人で友奈と東郷を見守る。サンチョ枕を抱き締める彼女を抱きながらサラリと衣服の隙間から手を伸ばす。

 目標は彼女たちにバレずにどこまで令嬢を悦ばせるかだが。

 

「最初からバレていると思うよ~……んっ」

 

「じゃあ、普通に揉むか」

 

「セクハラ~。ちゃっかりブラを外しちゃうし。……あーあ、かっきーにくっついたら暑くなってきちゃった」

 

「じゃあ離れる?」

 

「……ん~、ちょっとだけだよ」

 

 柔らかな肌が手のひらに吸い付く。

 何だかんだで俺に甘い少女は暑いと言いながら、俺に甘えるように背中を預ける。ふわりとした甘い香りに先ほど食べたアイスの香りが混じる。普段よりも成長した顔つきと肢体はより魅惑的となり、俺の手を離さない。

 もっちりとした質感の生乳は服の下で、俺の両手に揉まれる。

 手のひらに余るほどの園子の乳肉を揉む度に、小さな嬌声を漏らしながらも普段通りの態度を見せる園子は臀部を怒張に擦りつける。

 

「胸、前より大きくなったね」 

 

「成長期なのと、誰かさんに夜な夜な揉まれているからかも~」

 

 からかい混じりの笑みを浮かべた横顔。

 睡眠と普段からの運動が彼女の乳房をより豊満な物へと育てたようだ。柔らかな乳肉を手のひらに載せるとずっしりとした重さ。服越しで見えずとも、少女の乳輪を指で円を描きながら、先端を軽く弄ると、無言の吐息に熱を帯びていく。

 

「ぁ……っ、ん」

 

 やや冷たい腹部を撫でると、小さく喉を鳴らす。下腹部を撫でて、その奥の子宮を押す腕を彼女の手が掴む。何か言いたげな横顔に顔を近づけると耳元に園子が囁いてくる。

 

「かっきー、ステイ」

 

「えー」

 

「……これ以上は駄目だよ。……濡れちゃうから」

 

「それはもっとしてってこと?」

 

「私はわっしーみたいな前振り芸人じゃないよ。もうすぐフーミン先輩たちが来てパーティーするんだから。……めってする~?」

 

「して」

 

「……めっ!」

 

 聞き分けのない子供を諭すような口調で園子は告げる。

 彼女の言葉に惜しみながら乳首を指で弾くと少女の下腹部が僅かに震える。

 

「別のパーティーになるんじゃないか?」

 

「それはかっきー次第なんよ」

 

 だから今は我慢。

 これから楽しいことが始まるのだから、我慢して。

 白磁の肌にほんのりと朱色を差しながら琥珀色の瞳が俺を捉える。欲望を抑えられない猿扱いに精神的なダメージを受けながら、俺は彼女の乳房を何度か揉んで止める。

 今度はシャツの中で下腹部を指で押すに留める。

 

「待って、かっきー。それもダメ……。身体、奥が変になるから」

 

「あれもダメ。これもダメって。園ちゃんは我儘だね」

 

「あっ!」

 

 トントンと下腹部を押すと、友奈と東郷に気づかれる嬌声を漏らした園子。

 振り返る友奈がからかい混じりの笑みを園子に見せる。

 

「あれ? 園ちゃん。今の声って気持ち良くなっちゃった? エッチだったね」

 

「友奈ちゃん、そのっちは敏感なのよ。覚えているでしょう?」

 

「~~~ッ!!」

 

 ぷくっと頬を膨らませた園子を可愛いと友奈が胸元に抱き寄せる。

 東郷にやり過ぎだと簀巻きにされる俺の耳にインターホンの音が届く。同じ音を聞いた園子が俺から腰を上げて逃げるように玄関に向かった。

 

「乃木ー、来たわよ」

 

「お邪魔します」

 

「は~い。いらっしゃい」

 

「あの、園子。これ、お土産……」

 

「わ~! にぼっしーありがとうだぜ〜!」

 

 園子のマンションに入ってくる三人の少女たち。

 犬吠埼姉妹。夏凜。三人とも普段見慣れた姿よりも幾分成長して見える。それはどこか大人びた私服を着用しているのも一つの要因だろう。

 俺に膝枕をしている東郷と挨拶をする彼女たちをローアングルで見上げると、何事もないような顔で俺を見下ろして挨拶してくる。

 

「亮之佑~。乃木にセクハラして怒らせたんですって? どんなエグイことしたのよ?」

 

「してませんよ。眼鏡似合ってますね。先輩の女子力が眩しいです」

 

「この褒め上手め。このこの~」

 

 からかい混じりの笑みを浮かべた風。

 何故か眼鏡を掛けて才女アピールしてくる彼女を適当におだてる。

 

「見て下さい。これでもちょっとは成長したんです」

 

「……ちょっと触らせてくれるかな? 差異を確認しようかと」

 

 慎ましい胸元を背筋を伸ばして主張する樹。

 髪が伸びた影響か、どこか穏やかな雰囲気を見せる。

 口角を上げて優しく微笑むと、躊躇いがちながら大胆にも上着を脱ごうとする少女。姉と連れて来た友人に止められて、何故か蹴られた。 

 

「…………何よ」

 

「パンツ見えてる」

 

「なっ!? ……い、いや、スカートじゃないわよ。嘘言わないで! 見なさいよ、ほらっ!」

 

「風先輩のコーディネートだな。ショートパンツの隙間から見え──ぐほっ!!」

 

「夏凜ちゃん、亮くんはボールじゃないのよ。蹴らないで。ところで亮くん、夏凜ちゃんの下着はどうだった?」

 

「ちょっ、東郷!?」

 

「可愛い感じのピンクだった。勝負パンツかもしれない。エッチだった」

 

「ああ……アレね。あれは確かに亮くんを意識しているわ」

 

「エッチとか言うなぁ!!」

 

 肉体の成長に伴い、あどけない顔立ちからどこか中性的になった夏凜。

 ボーイッシュな格好と、髪型は風によるイメチェンだろう。女子高に放り込めば、今の夏凜なら他の少女たちにお姉さまと呼ばれるだろう。或いは王子様だろうか。

 

「あれ? でもよく思い返すと履いてなかったような?」

 

「ええっ!? それじゃあ夏凜ちゃんは痴女ってこと?」

 

「は、履いているわよ!」

 

「じゃあ見せて」

 

「なんでよ!」

 

「……履いているんでしょう? なら見せてよ。自分がノーパンのエッチな子じゃないですって証明してくれよ」

 

「そ、それは……」

 

 俺の頭を撫でる東郷がわざとらしく驚いたような声を発する。

 熟年夫婦のように互いの性格を理解しているからこそのやり取り。

 案の定、夏凜は冷静さを保てずに顔を赤くする。見た目は変わろうとも中身は見知った夏凜であることに安堵と加虐心を覚える。

 東郷と俺に見つめられた夏凜は狼狽え、涙目になる。

 慌てふためく彼女は自らのショートパンツのウエスト部分に手を掛ける。

 

「わ、わかったわよ──」

 

「か〜り〜ん〜ちゃ〜ん!」

 

「ゆ、友奈!?」

 

 それを妨害するかのように、背後から友奈が抱き着く。

 驚く夏凜を抱く友奈を東郷がジッと見る中、太陽のような笑みを見せた友奈が夏凜の下腹部に手を伸ばす。

 

「ひゃっ! ちょっ、どこに手を……んッ!」

 

「履いてるよ! みんな! 今日の夏凜ちゃんパンツ履いてる!」

 

「普段履いてないみたいに言うなぁ!!」

 

 紆余曲折はあるが、こうしてメンバー全員が集まった。

 

 

 

 少女たちとのパーティータイム。

 当たり前の事だと思っていても、振り返った時にどれだけ掛け替えのない思い出になるのか分かっているから、俺はいつだって後悔しないように行動する。

 

「たこ焼きパーティーって去年ぶりじゃない?」

 

「そう? 昨日の今日に感じる」

 

「タコパは何回やっても良いから。今日は鍋パとどっちにするか真剣に悩んだんよ」

 

「流石に鍋は暑くない?」

 

「暑い時に冷房の効いた所で熱い鍋を食べる! それが良い!」

 

「まあ……素麺とかじゃ味気ないわね」

 

「あら、素麺も調理次第よ。ねえ、風先輩?」

 

 仲良さげに雑談を交わしながら手早く準備を進める。

 こういった7人での料理関係の場合、誰かが言い出した訳ではないが4人と3人に別れる。風と東郷のチームで別れて行うことが多いことに特に文句は無い。

 暗黙の了解か、固定メンバーとならないように席が変わったりするが、東郷は友奈の隣にいることが多い。その事に対して誰かが何かを言うことも無い。

 

 普段から思い出を分かち合う仲間たち、彼女たちと食事を共にする。

 一部に嫁に欲しくなるほどに料理上手なメンバーもいるが、一つのテーブルで二つに分けて簡単に作ることが出来る料理を楽しむ。

 たこ焼き以外にも簡単にいくつか作ると料理が上手い東郷と風がキッチンを借りる。

 残りの人員は二つのたこ焼き器を囲み調理を始める。

 

「くるくる~」

 

 たこ焼き器は既に用意され、着火済み。

 生地に、たこを入れ、天かすを入れ、それぞれ各自で用意した物を入れる。

 

「友奈ちゃん、何を入れたの?」

 

「カニカマを入れたよー!」

 

「変わり種ね、流石友奈ちゃん」

 

「褒められちゃった。亮ちゃんはー?」

 

 ふわふわとした可愛らしい笑顔で友奈が俺を見る。

 今すぐに抱き締めたくなる愛嬌を振りまく彼女に笑みを見せる。

 

「明太子チーズ」

 

「ああ……」

 

「ああ、じゃない。なんだよ夏凜、お前はどうせ煮干しだろ」

 

「そうだけど! ……どうせ辛いのマシマシでしょう?」

 

「美味しいよ。えっ、完成型なのにまさか食べられないとか? ごめんな、誰にでも苦手な物はあるよね」

 

「全然余裕よ! 馬鹿にしないで。……樹は何にしたの?」

 

「私はですね、トマトにしました」

 

「美味しそうじゃない。良いセンスよ」

 

「実はネットで調べたんです。美味しそうだって思って」

 

「はーい! サイドメニューおあがりよ! 誰か運んで~」

 

「はーい」

 

「わー! 風先輩の唐揚げだ!」

 

「茶色ね……」

 

「夏凜ちゃん、サラダもあるわよ。亮くん運んでくれる?」

 

 料理上級者たちが簡単な料理を終わらせる。

 空いた席に座り、そしてたこ焼きの焼き加減に目を光らせる。

 

「アンタたち、去年より上手に焼けているじゃない。去年は途中でお好み焼きになったのに。うう……妹の成長を目の当たりにして……誰かティッシュある?」

 

「ふっふーん。私たちは成長するんです。ねえ、友奈さん」

 

「そうですよ風先輩! 成長です! 成長!」

 

 それぞれの好みで楽しくたこ焼きの具材を決める。

 余計な気遣いも必要ない、既に男女の関係となった彼女たちも変な遠慮はない。薄着で、どこか肌の露出が多めな衣服の少女たち。大人びているが、まだ大人ではない彼女たちはどこか普段と異なる雰囲気を醸し出す。

 肩が触れ合う程度に密着する。

 冷房が効いた園子の家のリビングだが、それだけ近いと彼女らの香りが気になる。

 

「夏凜」

 

「何?」

 

「香水つけてる?」

 

「……夏休みだからね。変?」

 

「いや、いい香りだなって」

 

「ふーん」

 

 テーブルに肘をつく夏凜が俺を見る。

 流し目で、食事をしているからか、ほんのりと身体に熱を帯びている。髪型が変わり、隣から見ると慎ましい胸元も以前よりも育っているように見える。

 彼女の成長。それを身近で見ながら渡されたコップを傾ける。

 味に違和感。コップの中身に目を向ける。

 

「園子」

 

「……私たちって、もう大人だよね~」

 

「まあ、そうだな。……これって」

 

「ジュースだよ」

 

 渡してきた園子の微笑に、視線を下げる。

 コップの中身。甘酒ではない。もっと明確に甘い果汁酒だ。

 ──だが、彼女がジュースと言うのなら、そうなのだろう。

 

「かっきー」

 

「ん?」

 

「みんなと食べるご飯はやっぱり美味しいんよ~」

 

「園ちゃんが楽しいのを見ていると、俺も嬉しくなるよ」

 

「本当~? えへへ……嬉しいなぁ……。みんな~これが私のかっきーだよ~。格好いいよ~。大好きだよ~」

 

「良かったわね、園子。急に甘くないのが食べたくなってきたわね。亮之佑、あんたのたこ焼き一個頂戴。……うん、美味しいわね」

 

 隣に座る夏凜が俺の太腿に手を置く。

 何でもないような顔で、俺が作ったたこ焼きを口にして笑みを見せる。どこか大人びた視線で俺を見る彼女のように、熱を帯びた視線が多数。

 トクトクとコップにジュースを注いで俺に渡す東郷に促され、一口飲む。

 隣に座り、顔を寄せて微笑みを向けて来る東郷は上機嫌な様子だ。

 

「……美味しい?」

 

「あ、ああ」

 

「良かったね。……はい」

 

 酔わせたいのか、少しでも減る度に東郷が注ぐ。

 随分と久しぶりに摂取する飲料に、少しずつ身体が熱くなる。

 

 たこ焼きを、サイドメニューも食べて、ぐびりと飲む。

 風が一番よく食べ、負けじと他の少女たちも手を動かす。食べて、飲む。コップに注ぐ酒の量が増える。そうして徐々に口数が減り始めた頃、ほんのりと頬を朱色に染めた少女が呟く。

 

「熱くなってきちゃった」

 

「じゃあ脱げば良いんじゃない?」

 

「そうだねー。夏凜ちゃんも脱ごっか!」

 

「……まあ、一枚くらいなら? 暑いしね」

 

「もう一枚ぐらいガバッといきなさいよ。どうせこの後のことなんて分かるでしょう? 何年一緒にいると思っているのよ?」

 

「うるさいわね……ほら」

 

「イエーイ! 夏凜のストリップよ!」

 

「おっさんみたいな反応するな! まだ上着しか脱いでないでしょうが」

 

 冷房は効いている。だが、熱いものを食べたから熱いと感じるのも分かる。

 今更衣服の一枚を脱がれた程度で狼狽するような仲でもない。

 どこか妖艶な雰囲気を見せる少女たちは、食べて、飲んで、触れる。

 

 そしてたこ焼きが無くなった頃だった。

 

「それじゃあ、次は私たちが変わり種を入れるね」

 

「おけまる~。なら次のたこ焼きが出来るまでゲームしようぜ〜」

 

「何するの?」

 

「王様ゲーム! エッチな感じの~」

 

 園子の声に拒否も恥ずかしがる声も無かった。

 仕方ないなー、という満更でもない顔は、ほんのりと頬を赤らませていた。

 

 

 

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