食事は日々の生活の活力だ。
御飯を食べなければ頭は働かない程に重要な存在である。亮之佑の戦友の一人はかつてサプリや弁当生活と食事を疎かにしていたのだが、今ではその重要性を認識する程だ。
「今日はチキンカレーにしようと思う」
一人暮らしを行うと分かるが実家で暮らすよりも自由度は高くなる。
同時に責任も付きまとうが、その辺りの諸々を差し引いてもこの解放感は堪らない。当然食事も自分で用意しなくてはならないが既に亮之佑にとっては慣れた物だ。
最初の頃は外食も多かったが最近では随分と自炊が多くなった。
その理由としては、亮之佑が通う中学校での弁当の見せ合いが楽しいからでもあるが――、
「――こんな感じだったな」
料理自体は既に大半が完成している。
早朝から準備を行う料理は亮之佑にとっては重要な事であった。
加賀家秘伝のレシピ本という名のノートに時折目を向けながら鍋を掻き混ぜる。
「――――」
特段料理を行う事が苦痛であるという訳ではない。寧ろ好きな部類だ。
そっと周囲を見渡すとそれなりに大きな冷蔵庫や電子レンジ、新しく買ったフライパンが目に付く。元からあった調理器具に少し背伸びして買い足していった器具は自然と愛着が湧いてくる。
料理は嫌いではない。
ただ、自分で作る度に、『味』の差異を比べる度に亮之佑は自らの至らなさを自覚させられる事が多く、それは苦痛だった。
「――――」
なんとなく首元にある指輪に指先が触れる。
どことなく肌の温度を寄せ付けないような冷たさが心地良く感じた。
「くんかくんか~。良い匂い~」
しばらく無言のままに食事の準備を進めていると少女の声音が聞こえた。
穏やかな声音の持ち主、ふと背後から聞こえた柔らかな声音に亮之佑は力なく笑った。
「もう少しで出来るよ」
「ん~、何か手伝う?」
「いや、大丈夫だ。……服着替えたのか」
「え? うん。似合う?」
「もちろんさ、写真に収めたいくらい」
「かっきー、私の自撮り写真が欲しいの~……?」
「エッチな感じでよろしく」
チラリと背後に目をやると少女は薄手のパーカーを羽織っていた。
先ほどの行為の為に制服から着替えたのだろう、黒色のスカートから伸びる脚が白く映える。
その視線に気づいたのか、わずかに頬を赤く染めながら園子は亮之佑の背中に抱き着いた。
「おい、危ないぞ」
背中に感じる猛烈な少女の柔らかさ。
薄手のパーカーは前のチャックこそ閉じられているが確かな少女の肉丘の感触を伝える。
「……ダメ?」
ふわりと少女の吐息が耳に掛かる。
亮之佑の羽織ったエプロンと衣服、その間に園子は手を差し込み小さく囁く。
「……かっきーに抱き着いてたいけど、……ダメ?」
「……」
甘えた声音は鼓膜を震わしそのまま溶かしてしまう程に甘く感じた。
わずかに汗を掻いたのか、少女の体臭に混ざる香りは麻薬のようにクラクラと――、
「今、火扱ってるから。あぶないから……」
「……うん」
それでも、もしもという言葉はある。
亮之佑とて背後から抱き着く可憐で魅力的な園子の誘いは嬉しい。
今すぐ押し倒して汗みずくで一日中何も考えず獣のように交わりたい。
だというのに、台所の火や調理器具などが気にかかる。
それらがもしも園子の白く美しい柔肌を傷つけたらと考えるとゾッとする。
「――――」
そもそも、状況としては色々と逆なのではないのか。
普通なら今抱きしめているのが亮之佑で、抱きしめられるのが園子となるのではないか。
そんなどこか現実逃避とも偏りのある考えに支配されつつ、チラリと園子に目を向ける。
「……」
琥珀色の瞳は亮之佑を映し出す。
それは当然理解の色を示しながらも、どこか寂しそうで。
「けどまあ、もう出来るし……少しだけな」
「……かっきー」
「少しだけ、な」
弱火でコトコトと鍋の底を掻き混ぜる。
丁寧に丁寧に、背中に少女の柔らかさと温かさを感じながら、掻き混ぜた。
---
亮之佑が時折家でしている晩酌は、園子にもバレていた。
サラダとチキンカレーを食べ、色々あり食後に甘めの酒を飲み談笑していた。
「それでね、わっしーに飛び移った猫さんがね~、とっても可愛かったんよ」
「……」
「あの猫さんの里親が見つかった時はホッとしたな~」
「それは良かった。……ついでにその画像頂戴」
「いいよ~」
先週の部活の時の話だ。
東郷と園子、二人で猫を探した時は大変だったらしいと端末に撮った画像を見せてきた。
その時亮之佑は別の依頼に取り組んでいたからか、彼女は息継ぎを惜しむように話をしていた。
ふと壁に掛けられた時計に目をやると既に夜の八時を過ぎていた。
普段は聞こえるであろう微細な針の音は鈴音の如き金色の少女の声に塗りつぶされている。
「この後、映画だね~」
「旧世紀の映画だっけ?」
「うん。えっと、確か題名が、美女と……野獣さん?」
「……まあ面白いんじゃないかな? たぶん」
酒缶を片手に、亮之佑と園子はリビングのソファでくつろいでいた。
食事は日々の活力に繋がる行為だ。それを疎かにする事は如何なる時もしてはならない。
――少なくとも亮之佑の両親が生きていた時に学んだ事であり、目の前でどこか満足気な表情をする少女を見て確信に至る。
「美味しかったか?」
「美味でした~」
「……そっか」
そう告げる令嬢の言葉、園子の瞳に偽りは見られず、亮之佑は小さく息を吐いた。
美味しいと言って貰える料理、楽しそうに微笑む少女達の為に勉強をした甲斐はあったのだろう。こんな事で良いのなら両親にももっと孝行出来ただろうに。
「ねえかっきー」
「どうした?」
「座っていい?」
「……?」
陰鬱な気分に浸る亮之佑と対照的に穏やかに微笑む園子。
ソファでくつろぐ亮之佑の正面に立ちジッと此方を見る琥珀色に目を奪われながらも、少女が告げた言葉の意味が分からず思わず首を傾げた。
「いいけど……、いや、一々聞かなくてもいいよ」
親しき中にも礼儀あり、という言葉はこの世界にも存在している。
だがしかし、それでも目の前の少女は基本的にそういった礼節は弁えている。
「う~んとね。へへっ……その言葉が聞きたかったんですよ、旦那ぁ」
「誰だ、お前は」
「園子だよぉ~」
「……酔った?」
「酔ってないッハー!」
唐突に口調を変えながら園子はいそいそと亮之佑の両脚を開いた。
特に抵抗もせずされるがままの亮之佑の股間に園子は座り込み体重を預けた。
羽のように軽い少女の柔らかい下着がスラックスに触れる感触に、亮之佑は小さく息を吐いた。
ふはーっと同じく息を吐く少女は空き缶を片手に背中を亮之佑の胸板に預ける。
何を言うのかと思いながら、ふと窓を見ると濃いアジサイ色の闇が世界を覆っていた。
「ん……っ」
なんとなく交差させた腕で少女を抱きしめる。
この甘く柔らかい身体には無限の魔性が秘められている。
「ねえかっきー。……続き、しないの?」
「続き?」
それは一体何の事だろうか。
そう小首を傾げる亮之佑にわずかに目を大きく開く園子。
「だって……さっき、夕ご飯を……」
「……ふーん」
珍しく口ごもる園子の身体の柔らかさに頬を緩めながら腕を肩から胸へと下ろしていく。
忘れたわけではない。ただ目の前の少女が確かに求めているのだと分かり小さく笑みが浮かぶ。
「ぁ……」
するすると腕を下ろし膨らみを目指す。
パーカーから覗く園子の白い肌、同時にチャックを下げると柔らかさが直に伝わる。
もにゅりと薄手のパーカー越しでも分かる園子の肉の双丘はじんわりと熱を手のひらに感じさせた。
「んっ」
台所で抱き着かれた時には気づいていた。
パーカーの下に園子は何も付けていない。制服と一緒に脱いだのだろう。
プリンのような感触を楽しみながら、手のひらで遊ぶようにむにむにと上下に揉む。
「ふく……っ」
乳首に一瞬触れる程度に、下乳の肉を持ち上げて捏ねるように揉む。
その刺激に亮之佑の股に座る園子が前のめりになると、白いうなじが覗く。
生え際にキスをすると小さく喘ぐ園子の声音には艶と熱が再び混ざりだした。
「っ……」
もじもじと尻肉を動かす園子にも怒張の感触は伝わっているだろう。
少女を女に変えた怒張の盛り上がりは小さな尻に熱を与えている事に気づかないはずがない。
強く揉むわけでもなく、ただ浅く優しく揉む。
低刺激なそれらに切なげに呻く園子は亮之佑の腕を掴む。
背後を振り向く園子の琥珀色の瞳は熱に浮かされたように熱く潤んでいた。
「かっきー……」
薄い唇を窄め、亮之佑の顔に近づこうとする園子。
その小顔、薄紅色の唇が触れ合うのを阻止するように亮之佑は顔を背ける。
「ん? どうした?」
「……いじわる、しないで」
ぱくぱくと金魚のように少女は口を開く。
何かを求めるような表情はぼおっとしており酩酊したかのようだ。
チャックを下ろし、再び半脱ぎのような状態にした園子のまろやかな乳房を揉む。
「……っ!」
ピンク色の乳首は先端が上を向き、形の良い白い乳房に指が吸い付く。
手のひらに収まる乳房は餅のように柔らかく、軟骨のような乳首は指で弾く度に快楽の悲鳴が上がった。
無意識なのか意識しているのか、小振りな尻肉がスラックスと下着越しに擦り付けられる。
「意地悪? よく分からないよ、園子」
「ひぅ……っ」
長い稲穂を思わせる金色の髪から覗く小さな耳に囁くとビクリと少女は首を竦める。
スカートに皺を作る手には力が入り、少女が見せる被虐的な反応が亮之佑を愉しませる。
「んん……んくっ……!」
「ほら、どうして欲しいの?」
甘く呻く少女を背後から抱きしめながら両手で弄る。
自慰を初めてする乙女のようにゆっくりと胸肉を弄り、健康的な太腿に手を這わす。
「……ぅ」
小さく喘ぐ少女はどこに触れても小さく身体を震わせる。
すべすべの腿肉を手のひらで感じ取りながら、ふと思いつきで園子の手を取ってみる。
「園子」
「ん……かっきー……」
細く白い少女の手だ。
重ねてみると、亮之佑の手よりもわずかに小さい少女の手だ。
その手を取り少女の下腹部に持っていき、秘裂を隠す下着に触れさせ静かに囁く。
「いつもどんな風に弄っているの?」
「あっ」
くちゅり、と少女の下着は湿り気を帯びていた。
履き替えたのか、どこか大人びた下着ではなく可愛さを感じる桜色の下着。
真新しい染みを広げるように園子の細い指と共に下着越しに少女の秘裂を弄る。
「こんな感じ?」
前かがみになろうとする園子の上半身を抱き寄せ、少女の秘部を摩る。
円を描くように指の腹で摩り、秘裂の上にある小さな肉粒を柔らかな布越しに触れる。
「ちが……っ!! ……!!」
「毎日自分でしてないの?」
「ま、毎日じゃ……んぁ……か、かっきぃ……」
わずかに眉を顰める園子の頭を亮之佑はそっと撫でる。
絹のように柔らかな感触の髪、その感触に頬を緩めながら少女の唇に触れる。
ふゆんと薄い唇に触れる亮之佑の指に何を思ったのか、園子の唇が小さく噛みつく。
「じゃあ、どうして欲しいの?」
しとどに濡れた秘部を弄りながら亮之佑は園子に問いかける。
羞恥か快感か、普段よりも素直さが足りない顔の赤い少女の口から要求を告げさせる。
「……」
あぅ、と指を離した彼女は、小さく吐息を溢す。
それから園子はしばらくして上目遣いで亮之佑に唇を差し出した。
「――キス、して」
いつの間にかソファの上に園子を押し倒し、向かい合いながら、しかし離す事はなく口づけを交わす。唇と唇を重ね迎え入れるように差し出した舌同士を絡ませる。
ちゅ、ぴちゅ、という下品な音が室内に響く中で園子の手は亮之佑のスラックスを下ろす。
既に反り立った怒張からは先走り汁が垂れ落ち、少女の細い手が肉茎に触れる。
もしも思いっきりしごいたらすぐに限界を迎えてしまうのは此方も同じであるのだ。
だからこそ、園子の頬肉の柔らかさを舌先で味わいながら彼女の履く下着を摺り下ろす。
上下左右に動き回り疲れを見せる舌には園子のエキスが染み込んでいる。
唇を離すとどちらの唾液かも分からない程に混じり合った輝糸が小さく淫らな橋を作る。
「キスって……凄いね……」
「……」
どこか恍惚な表情でポツリと呟く園子に亮之佑は答えない。
無言のまま彼女を抱き上げ、細く薄い腰を抱え、心の準備を許さずぬめる肉沼を貫く。
火傷する程に熱い膣内は怒張を迎え入れ、少女の最奥へと雄のペニスを呑み込む。
「あ、ふくっ……っ!!」
にちゅ、と猥らな音と共に亮之佑と園子は繋がる。
彼女の嬌声とお互いの息遣いだけが聞こえる中で亮之佑は奥歯を噛み締めた。
今まで溜めた欲求、気を抜けばすぐに暴発してしまいそうになる中で亀頭で奥を擦る。
「ッ、ぅ、……っ、ぁ!!」
首に腕を回し、白く長い脚を亮之佑の腰に巻き付ける。
力強く少女が抱きしめる程に、強く膣壁が怒張から子種を搾り取らんと締め付ける。
限界だった。
園子との触れ合いで一度も果てなかったのが原因か。思った以上に限界が近い。
だが一度も動かさずに果てる事だけは嫌なので、尻穴を引き締めて全力で突き上げる。
「ぁ……っ! んぅ、んぁあっッ!!」
ぴんと背筋を伸ばし、快楽に喘ぐ園子を見る。
暴発寸前の射精感を必死で堪え、彼女の揺れる双丘、桜色の乳首に噛り付いた。
「あッ! ~~~~ッ!!!」
びくんと身体を硬直させ高みに上る園子。
その姿を眼球に焼き付けながら、乳首を虐めたてる。
赤子のようにじゅずっと吸っては離す。
少女の乳首を亮之佑の唾液で汚し、荒々しく吸い尽くす。
「それっ!!? また……また……っ!!」
じゅぷじゅぷと浅めのストロークを繰り返し射精に向けて腰を振る。
男の腰に跨り必死に亮之佑の腕を掴む園子は嫌々と首を振り、苦しそうに嬉しそうに喘ぐ。
振り下ろされないように、あるいは別の目的か、腰に回した脚は毒蛇のように絡みつき離さないという意思すら感じさせる。
「園ちゃん」
「……! だして……っ!」
飛沫となった愛液がお互いの裸体を濡らし、あどけない少女を喘がせ犯す喜び。
下半身の感覚すら薄れる中で、雄の本能に従い、腰を揺らし、雌穴を串刺しにし――、
「ぐ―――」
「~~~~……ぁッッ!!!!」
体中から抜け出ていく感覚。
甘い痺れと白く染まる視界の中で、確かに精液を注いでいく感覚に包まれる。
強く抱きしめ、法悦に酔う園子の奥の奥。
余すことなく最後の一滴まで注いだ亮之佑は、虚脱感と征服感に小さく息を吐いた。
---
「野獣さん」
開口一番に園子が亮之佑に伝えた言葉がそれだった。
裸のまま抱き合いながら、どこか非難めいた眼差しで園子は告げた。
「俺のどこが野獣だよ。ほら、テレビでちょうどやってるのが野獣っていうんだよ」
「かっきーは人の皮を被った獣だと思うんよ」
「男はみな、心に何かを秘めた獣なんだよ」
何気に酷い事を言う園子を抱きしめ、BGMとして流していたテレビに目を向ける。
既に3割程話が進んでいたが、歌ったり踊ったりしているという印象の方が強かった。
それにしても、と亮之佑は無言のままで園子の姿を見る。
金色の髪は情事の汗で濡れ、毛先は首筋に張り付いている。
白い鎖骨はわずかに朱色に染まり、弄り、吸い、揉んだ乳房は張りを保つ。
流れた少女の汗は臍に溜まり、薄く生えた陰毛には淫水が付着している。
控え目にくびれのある腰と健康的なお腹は前かがみ故か僅かに白肉が集っている。
そんな一切の遠慮のない野獣さんの視線から隠すように園子の手が秘部を隠した。
「……えっち」
その仕草が男を興奮させる事を知らない少女。
しかしながら幾ばくかの冷静さを取り返した亮之佑は口を開いた。
「というか、園子さんや」
「なーに? 野獣さん」
「今日は、もう、これで止める?」
「……ん~」
敢えて主語は省き、区切るように告げる。
下を見ると若さ故か、一度白濁を吐き出した程度ではすぐに回復の兆しを見せる怒張。
「……どこでするの?」
数秒ほどの沈黙の後、囁くように彼女が告げた言葉は肯定と捉える事が出来た。
『お預け』が効いたのか、自らの肉体に視線を向ける園子に対して囁くように答える。
「ベッドで」
「ん」
それだけ伝えると、今更ながら恥ずかしいのか俯く園子。
言葉少なに頷く彼女を立たせ、テレビの電源を切り、二人で二階に向かう。
半裸の少女を連れて冷たい廊下を歩く。
腕に摑まる園子はやけに静かで、さりとて何かを話す気にもなれずに歩くと、
「ぁ」
小さく呻く園子に、亮之佑は脚を止めた。
もしや何か機嫌を損ねたのか、怪我でもしたのかと彼女の表情を窺う。
「……かっきー」
「は、はい」
薄いパーカーのみを着用する令嬢はどこか困った様子で内股になっていた。
よくよく見ると、つぅ、と内股を伝う蜜と精液の混ざりあったそれは、ポタリと床に。
「……垂れてきちゃった」
「……」
「わっ!」
無言のままに令嬢を抱き上げる。
お姫様だっこされる形となった園子は静かに亮之佑を見上げる。
「園ちゃん」
「なあに? かっきー」
「今日は寝られると思うなよ」
「……うん!」
亮之佑の首に手を回した園子は、どこか楽しそうに亮之佑に口づけをした。