【番外】ある夏の日
――蝉の鳴き声が聞こえる。
冬が終われば春が来て。春が終われば夏が来る。
当たり前の事実ではあるが、その当たり前には多くの人の行動が関わっている。
そんな裏側を知っているからこそ、この時間のありがたさを俺は味わっていた。
「……園子」
「どうしたの~?」
木の棒が付いたアイスを食べる令嬢は随分とだらけた姿をしている。
ソファーに背中を預ける園子が着ている紫色を基調とした薄手のワンピースは金髪と白い肌に良く映え、年々増していく美しさと可愛らしさを主張している。
そんな彼女は俺を見るとふわりと柔和な微笑を浮かべる。
「それ、何味?」
「シンプルにバニラだよ」
しゃく、とアイスを割り口元をモゴモゴとする金髪の少女。
よほど美味しいのか、隣に座る俺を余所にふにゃりと相好を崩しながら舌鼓を打つ。
『本日は環境に優しい取り組みをする環境週間です。神樹様に感謝し、冷房の温度を上げるか扇風機を使用するなどしましょう』
ちょうどテレビでは天気予報と同時に『環境に優しくしよう』というスローガンを掲げた日である事を主張している。四国中にファンがいるだろう薄着のアナウンサーはにこやかな笑顔を見せながら扇子で顔を扇いでいる。
環境週間とは言うが、四国以外の人類が滅んでいた土地は自然で溢れ、空気も美味しい。
なにせ三百年も手付かずの状況で放置されたのだから。恐らくは少しでも電力を抑える事で神樹の消耗を抑えるという大社の目的があるのではないのか。
そんな事を考えながら少し東郷に顔が似た彼女が短い髪の毛を風で揺らしながら手を振っている姿に目を細めていると、突然ニュース番組からアニメ番組へと切り替わった。
可愛らしいアナウンサーの姿から二次元の女の子に変わるのを暫くの間見ながら、突如チャンネルが変わった事の原因と思わしき相手に目を向ける。
「園ちゃん。なんで今チャンネル変えたの?」
「ん~、なんとなく」
俺をジッと見ていた彼女に問い掛けると目を逸らされる。
手に持ったリモコンは彼女の手の中でクルクルと回されて背中に隠される。ふんす、と鼻息を吐き棒状のアイスを口に含む金髪少女の姿を目に収めながら、俺は別のリモコンを手に取る。
「――――」
二十五度。
リモコンの小型液晶に映る文字の中で最も大きく表示された数字だ。
何の数字を意味するかは、ときおり頭頂部付近に当たる冷風が教えてくれる。
「かっきー、見て」
「……ん?」
「セクシーポーズ」
手の中のリモコンを回していると隣からの声に目を向ける。
何故か流し目で俺を見る少女は紫色のワンピースの裾を捲ると片脚を上げて際どい部分まで露出させる。滑々の肌は白皙の大理石を連想させ、色白の太腿は魅惑的な曲線美を描く。
確かに園子の言うセクシーなポーズだ。
遠慮なくジロジロと見つめていると、再度ハラリと薄布に色白の肌が隠される。
思春期の男を惑わす色香を放つ金髪の少女は悪戯が成功したような笑顔を見せる。
「以上、現場からのサービスシーンでした~」
「もっと続行してくれて宜しいですよ」
「遠慮するでごわす」
金鈴のような声音で男を揶揄う少女は何がしたいのか。
単純に性欲を持て余しているのか、それとも何か別の意図があるのか。
遠慮のない目線に対し、ニコニコと緩んだ笑みを浮かべる園子はアイスを頬張る。
このまま何もしないのは癪に障る。
ほとんどアイスを食べ終えている彼女を見て、ふわりと人工風で髪が揺れるのを見て。
無言のままに小型リモコンを天井付近にある冷房状態のエアコンに向けた。
――ピッと軽快な音が鳴る。
突如冷風が止まった事で怪訝な顔を向ける園子の視線が刺さる。
「かっきー? なんでエアコン止めたの?」
「なんとなく」
「……なんとなくだったら暑いから点けて欲しいな~って」
「世間では環境週間のようだし、ずっとエアコン点けているよりは健康的かなって。最近はあんまり運動していないし」
「……運動ね。夜のは?」
「あれは別。ほら、その映画で見る魔女みたいな服でも脱いだら? 箒じゃなくて俺に跨れよ」
「かっきーは箒じゃなくて猫役が良いなぁ」
「猫になったら喋れないぞ」
「それでも傍に居てくれるだけでも良いかなって」
――ポヤポヤとした表情で軽口を叩く少女も一時間が経過する頃には額に汗を浮かべていた。
温度計は上昇し続け、室内はみるみるうちにムワリとした熱気に包まれる。
シャツとハーフパンツという軽装の俺ですら背中を汗ばませる程に暑くなる。
『うどんパーンチッッ!!』
『説明しよう! うどんパンチとは四国の想いを乗せた必殺のパンチ! 相手は死ぬ!』
『ぐわあぁあああ!!』
園子がハマったというアニメも中盤に差し掛かり、ヒーロー的な人の攻撃によって分かりやすい悪役に致命的なダメージを食らわせる。数人がかりでヒーロー役が一人の悪役を倒すというのは前世ならともかく今になって見ると眉を顰めざるを得ない。
もっとも、今の俺がしかめっ面になるのはアニメではなく暑いからだろう。
「ねえ、点けないの……?」
「……点けません」
形の良い眉を顰め、琥珀色の瞳に倦怠感を見せる園子に否定する。
隣に座る彼女は至近距離から端麗な顔を向け、ジッと視線を向けつつも背中に隠したリモコンを奪おうと身体を密着させてくる。いつもなら喜ばしいが今は暑苦しくて仕方がない。
「…………どうしても?」
「……どうしても」
「そっか。分かった」
「うん?」
「かっきーがそんなに私の裸を見たいんだって事。えっちーだもんね」
「ん? ……わっぷ!」
そんな事を告げながらソファから立ち上がる園子を俺は呆然と見上げる。
暑さで彼女の自意識が過剰になったようだと思っていると、汗を頬に伝わせる園子は紫色のワンピースを一息に脱ぎ、俺に投げつけた。
バサッと俺の視界を奪う衣服に園子の残り香を感じながらも脇に置くと、金髪の令嬢は既に背中に手を回しブラのホックを外しているところだった。ワンピースと同色のリボンの装飾が付いた年相応の下着達は、彼女の汗ばんだ色白の肌から外されていく。
ブラジャーを外すとプルンと揺れる双丘。
ショーツを脱いで見せ付けるくびれと薄毛と女の秘裂。
透き通るような肌を俺の前に晒す園子は顔を赤らめながら俺に近づく。
少女から女と呼べる年頃になりつつある園子の成長著しい女体ストリップショーは恥じらいよりも暑さと俺に対する苛立ちが勝ったらしい。
半眼で脱ぎ終えた彼女はソファに座る俺に対して正面から抱き着く攻撃を仕掛けた。
「あっつ!?」
「むふー」
嬉しいとか喜ばしい以上に、女体の熱に俺は呻いた。
薄いシャツ越しに揉みごたえのある乳房がむにゅんと押しつぶされ、いやらしい脱衣劇に勃起した剛直を当てつけのように彼女の恥部が擦りつけ、より硬くしていく。
腰に脚を回して俺に抱き着いてくる園子は驚くほどに柔らかく熱を持っていた。
「かっきーだってあっついよ……」
「いや、園子の方が熱いから。……というか邪魔。どいてよ、むっつり令嬢」
「むっつりじゃないもん。……かっきー汗臭い」
むわりと汗と性臭を漂わせる園子の考えはおおよそ読めていた。
家主である俺からリモコンを奪うよりも俺の意志でエアコンを点けさせたいのだろう。
は、ふ、と熱い吐息を俺の首元で漏らす熱に浮かされたような少女の頬に汗が伝う。
「かっきーも脱ごうよ、シャツの色変わってるよ~」
「……そうだな」
灰色のシャツは自分でも驚く程に汗で黒ずんでいた。
園子が俺のシャツを脱がせようと身体を動かす度に柔らかい感触が俺の素肌に触れる。半裸になった俺の首に腕を回し、胸板に双丘が形を崩す程にしっかりと抱き着く少女は熱い吐息と汗を俺の肌にこぼす。
白い裸体に長い金髪を汗で張り付かせながらも、しかし離れる事はしない彼女。
「……あついね~」
「……そうだな」
「かっきー。暑いのあんまり好きじゃないでしょ?」
「……そうだな」
「……ぁ、っ、でも我慢強いから熱中症になった事一回あったよね」
「あの時は園子に助けられたな」
至近距離で見つめてくる園子の視線。
暑いからエアコン点けろ、という意思が如実に込められている。
下半身に血が巡り勃起した怒張を感じ取り薄い尻肉と恥部を上から押し付け、小さく喘ぎ声を漏らす少女は令嬢とは思えないはしたなさを露呈させる。
『くっ、ここまでか』
『お前はここで終わりだ!』
『……いや、まだだ』
『何!?』
『まだ、やれる!! 誰が第二形態までだと言った!!』
『馬鹿な!』
柔らかさと熱を与える令嬢の攻撃に耐えながらテレビに目を向ける。
意外としぶとい悪役も遂に観念する時が来たのか、爆殺される寸前である。そんな悪役に共感するように、正面からの大好きホールドという愛する金髪ふわふわ少女の攻撃に俺はぎしりと奥歯を食い縛る。
そんな意志を笑うかのように、首筋を熱くぬるりとした物が触れる。
「ちょ、園ちゃん。何してるの?」
「塩分補給」
「――――」
「かっきーって本当に美味しいなって」
ぺろぺろと水を舐める犬のように吸い付き舐める園子の顔は赤い。
額に汗を張り付かせ、全身を長距離走をしたように汗ばむ身体を同じく汗ばんだ俺の裸体に擦りつける。むにゅ、むにゅんと押し潰れる彼女の乳房で唯一硬くなっている乳首を擦り付ける度にピクッと身体を震わせる姿に鼓動が高鳴る。
暑さで朦朧とする意識の中で、俺から塩分を摂取する少女に唇を奪われる。
園子の唇はバニラ味だった。
テレビの音が遠くに聞こえる中、積極的に口付けを求める彼女。
俺の額に浮かぶ汗と髪の毛を指で拭う園子は、ボソリと俺だけに聞こえる声量で呟く。
「私を見て」
「見てるとも」
「私だけ、見て」
どこか酩酊したような眼差しで俺を見つめる彼女は名残惜し気に身体を離す。
許可なく離れようとする少女の背中に手を回すと、安心させるかのような微笑みと共に膝立ちで豊満と呼べる乳房を俺に差し出す。
以前より一回り成長した双丘は汗でてらつき、薄いピンクの乳首は反抗的に上を向いている。
鎖骨を伝う一滴の汗が寄せた谷間に小さな湖を作り出す。
素晴らしくもいやらしい光景に目が釘付けになっていると、彼女は告げた。
「……かっきーも塩分、摂って」
「……」
断れる筈がなかった。
朦朧とする意識の中、身体は本能のままに少女の乳房にむしゃぶりつく。
甘じょっぱい肉の果実は手に馴染み、揉む度にいやらしく形を変えていく。口の中で唯一硬い肉粒は飴玉のように舌上で転がすと、は、あ、と園子は熱い吐息をした。
「ぁ、ぁ、す、吸い過ぎだよ~。まだ出ないよ?」
「――――」
「ん、んっ、……んんッッ!!」
俺の頭部を掴んで抗議する園子のくびれた腰を抱きしめ、尻肉を掴む。
遠慮のない刺激に、咄嗟に逃れようとする彼女の身体を抱き貪るように授乳経験を奪う。
ちゅぱ、ちゅぱと音を立てながら吸う度に腰を震わせる少女の華奢な体躯を抱きしめながら、同時に柔らかく熱い恥部に手が伸びる。
貝状の肉は汗と愛液で濡れそぼり、触れた手に熱を伝える。
「んふっ、ぅぁ! 同時には駄目、駄目だってば! うひゅ!」
挿入した指を膣壁が甘く締め付ける。
そっと指を曲げて臍側の膣壁を撫でると真新しい愛液が俺の指を濡らす。
彼女だけを見て、一心不乱に彼女の乳房を、尻肉を、秘裂に愛撫を続ける。
「ぁ、ぁー……」
ガクガクと膝を震えさせる彼女は限界だとばかりに首を振る。
顔を赤く染め、口端から涎を垂らしながらトロンとした瞳を熱で潤ませる。
互いに限界を悟り下着から剛直を見せると、俺は彼女を見上げて告げた。
「ほら、腰を下ろして」
「……ん」
僅かな戸惑いの後、園子は従順に腰を下ろす。
ぬぷぷ、と普段よりも遠慮がちに挿入されると、熱い膣が剛直を包み迎える。
最初俺に抱き着いた姿勢よりも深く深く繋がった事を実感した俺は、彼女を突き上げる。
「ぁ……! ぉ、ぁぅ」
本日は積極的な彼女は本能に突き動かされたのか、自ら腰をシェイクする。
抽送する中で、挿入したまま動かされる腰の刺激に快楽が俺の脳を焼きかける。
「キス、キスして」
ピストンの最中、園子が喘ぎながらおねだりをする。
ん、と突き出した唇を奪いながらひたすらに腰を突き上げる。
深く挿入した剛直、亀頭は彼女の最奥を叩きながら、たまらず絶頂に至る。
「ん、~~~~!!」
ぎゅううっと俺を抱きしめ、声なき声を上げる園子。
吐精の余韻に浸りながら、彼女の汗塗れの身体を抱きしめる。
――冷房を点けよう。
今更ながらそんな事を思った。
何故俺は園子と我慢大会をしているのだろうか、と馬鹿馬鹿しくなる。
さっさと点けて、その前に彼女と風呂場で汗を流そうと考えだしていた時だった。
「は、はひ……」
ふらり、と抱きしめていた彼女が立ち上がる。
結合部からぬるん、と剛直が抜け白濁が逆流するが園子は気にも留めない。
ゆっくりとした動きで台所に向かおうとしているが、腰に力が入らないのかふにゃりと四つん這いになり、ぷるんと尻を揺らした。
「み、水……」
ゆっくりと這うように進む姿の園子。
無意識に肉感的な尻を振り男を誘う光景に高鳴る鼓動と本能に従う。
「ん、え」
再びの挿入。
身体の危機だと本能が告げているのか。
既に二発目が装填された剛直を挿入し、獣のように腰を振る。
「あ、あ~~~~っっっ!!!」
ひたすらに快楽を貪る。
いきり立つ竿を沈める肉穴として彼女をモノのように扱く。
ぱんぱん、と肉を叩く。
腰を揺する度に結合部からは精液と愛液がぐじゅり、ぐじゅりと猥音を響かせ、床に垂らす。
「ぁ、ぁ、ひぁぁ!?」
掴みやすいくびれた腰を掴みピストンを続ける。
彼女の悲鳴が途切れ、荒い吐息だけを漏らすようになった頃。
ガクッと園子の上半身を支えていた腕が力を失い、彼女は床に身体を伏した。
後ろから抱きしめて動物のように交尾する。
身体の前面に両腕を回し、床に潰れた乳房を揉みながら余す事なく膣壁を擦る。
「~っっ、っ……、~~ッ!!」
喘ぐ余裕すら失くし、首を振って限界を知らせる彼女。
そんな園子の背中に腹をくっつける程に抱き着き返して蜜壺を無心に味わった。
稲穂のような金髪から覗かせる耳を甘噛みしながら、ひたすらに腰を振り射精に至る。
「っ」
「ひっ、ぃ、ぁ~~~~ッッ!!!」
先ほど彼女の子宮に吐精したばかりなのに、今度の射精は長かった。
亀頭が子宮口を擦る度に、精液が膣内を跳ねる度に、令嬢は幾度となく身を震わせた。
やがて俺たちはどちらともなく脱力した。
「はー、はー……、ふへへ」
冷たいフローリングの床に抱き組み伏せられた少女。
互いに汗と獣臭の混ざり合った暑苦しい環境下で疲労感を見せながら満足気に笑う園子を抱きしめる俺は、無言のままプリンのような柔らかい双丘を揉み始める。
「んっ、ま、待って、かっきー……」
彼女の滑らかな肌を伝う汗を舐めると、自然と情欲が湧き上がる。
頭が壊れたのか、生存本能が刺激されたのか、白い背中を伝う汗を舐めると、耳の奥で血の流れを感じた。ごくっと喉を鳴らす。
「きゅ、休憩しよう? ねっ?」
黙らせるように性感帯である彼女の耳を舐めながら、ゆっくりと腰を振る。
結合部からはにじゅりと水音が蒸した部屋に響き始める。
『うわぁぁあっっ!!』
『知ってるかヒーロー。正義の反対は正義なんだよ!』
視界の隅で捉えたテレビ。
ぼやけた視界では自らを正しいと思い込むヒーローが悪役に敗北していた。
そんな悪役のように可憐な少女を組み伏せる。
恥部に手を伸ばすとピストンを繰り返し泡立った結合部と精液の付着した陰毛の感触が手に伝わる。秘裂付近を手探りで探ると硬く小さな肉粒を見つける。
「……や、やら」
言葉を失ったように口を開閉させ、懇願するように俺を見上げる園子。
涙で濡らし被虐性を浮かべた琥珀色の瞳を見て、その姿に竿が痛い程にいきり立つ。
「あ、あ、あ……!」
――遠くで蝉の鳴き声が聞こえた。