――ふと目を覚ます。
ぼやけた視界、映る景色は薄暗い世界だ。
度の合っていない眼鏡を掛けたような世界を映す瞳は、何度瞬きを繰り返しても終わらない。
仕方なしに手で目元を擦ろうと血の巡りの悪い頭で思いながら、その重さに気づく。
「ん……」
左半身に圧し掛かる柔らかい感触。
すぅ、と規則正しい寝息に混じる寝言は言葉を成してはいない。
それでも、その寝息の持ち主が誰なのか分からない筈が無いのだ。
どれだけの付き合いか。
年単位での思い出を共有する仲なのだ。
「――――」
無言で目を擦ると鮮明になる世界。
リビングのソファの上、暑さの減って来た夏の終わりが近い事を思い出す。
頭に感じる感触は金髪の令嬢が置いて行ったとある生物を模した枕で、何気なく俺の頭にフィットした構造になっている。
ふわふわとした令嬢の姿を脳内に浮かばせていると身体に乗った少女が身動ぎする。
「ぅ……ゆ?」
赤い髪の毛を揺らし、パチリと開かれる薄紅色の瞳と目が合う。
俺の肩に頭を乗せ、薄布に包まれた柔肌を無防備に見せながら、ぼんやりとした表情の彼女は俺の顔を至近距離で見つめている。
口端から垂らした涎を拭う事に意識は向かず、呆けた様子で俺を見る。
「おはよう」
「……おはよー」
朝の挨拶には随分と時間が遅かった。
昼も幾分過ぎて、クーラーの代わりに点けた扇風機の風が定期的に彼女の髪の毛を揺らす。
互いに寝起きの顔を見せる事に抵抗はなく、彼女は僅かにもたげた顔を再度肩に擦りつける。
柔らかな頬の感触と、ふにふにとした柔肌。
誘惑するように、マーキングするように己の肌を擦りつける友奈。
唇から覗く小さな白い歯はそっと俺の肩に甘噛みし、微かな痛みと歯形を残す。
犬のように今度はその痕を愛おし気に舌で這わせる姿は普段とは異なる厭らしさだ。
やがて満足したのか熱い吐息を漏らす少女は小声で呟く。
「……よし」
「何がよし、だっての」
「わぁ!?」
満足気な笑みを零す友奈に話しかけると驚かれる。
無意識だったのか恍惚な表情を浮かべていた友奈を抱きしめると、柔らかく温かな肌の感触が直に伝わる。
一方は衣服を着ておらず、もう片方はどこか大人びた水着を着ている。
「今日はメイドじゃないのか」
「さっき洗濯したんですよ、ご主人様」
彼女が着ている水着は俺が以前与えたメイド服とビキニが一体化した物ではない。カチューシャやシュシュも含めたメイドセット一式は彼女が告げたように洗濯中らしいが、彼女が新しく選んだ水着は可愛らしさと大人のエロスが混ざり合った品だ。
ピンク色を基調とし、フリルや紐などの要所部分は黒色が多い。
彼女が選んだにしてはどこか大人びたデザインに、俺は無言で目を細める。
「ねえ、どうかな?」
「うん、エロい」
「そうでしょ?」
「誰と買ったんだ」
「えっと、秘密。去年の水着が合わなくなっちゃって、二人で買いに行った時に選んで貰ったんだ~」
「園子だな」
「うん!」
楽しそうに笑みを浮かべ、鈴音のような笑い声を上げる友奈。
ポーズを決めているのか滑らかな腋を見せつけるように傾げた頭に手を置いて、ピンクと黒の布地に覆われた双丘の谷間を見せつける。
触って欲しいのか、俺の手を取り豊かになった乳房に自ら宛がう。
ならば、と遠慮なく両手で布地の間から直接餅のような感触の乳房を揉みしだく。
「ん……」
「また、ちょっと大きくなったな」
「えへへ……と、東郷さんには負けるけどね。あと園ちゃんにも」
「それって結構前だった気がするな。今日園ちゃんと比べて欲しいな~」
「え~」
中学時代よりもやや豊満になったソレは十分に巨乳と呼べる。
園子とほぼ同じ程度に成長した白皙の双丘はモチモチとした質感と柔らかさに多幸感を誘う。いつまでも揉んでいたいと思わせる飽きる事のない女の胸肉の性感帯付近を撫でる。
「似合うよ、友奈。でもなんで水着?」
「えっ、今日って一緒に海水浴に行く予定だったよね? でも……」
言い淀む彼女の顔を見上げ、暫く無言となる空間。
その空間に静寂はなく、やや遠くの方でパラパラとした雨音が鼓膜に届いた。
「雨、降ってるから」
「それは……仕方ない」
――小雨が降っていた。
窓の外はどんよりとした雲で、海水浴には向かないだろう。
だから、こうして可愛らしい水着を着て健気にも見せてくれたのだ。
「海ならまた今度にしよう。なら、夕方に東郷さんと合流で良いんだよな?」
「そうだよ。今日花火大会だからね! ……ところで、亮ちゃんは服着ないの?」
「何? 恥ずかしいの? 俺のあられもない姿ならよく見てるだろ。それに友奈だって昼頃まで裸だったじゃん。ご主人様だけ裸にしやがって、おらっ、剥いてやる!」
「あれは亮ちゃんが離してくれなかったから……ぁ、ぁっ!」
「あ、そういう事言うんだ」
敏感な肌の少女はあっという間に馬乗りの体勢を崩し、その身体を好きに弄ぶ。
背中の紐を解かれまろびでる白い乳房、薄桃色の乳首に吸い付きながら、くすぐるような愛撫をする頃には俺の隣に横たわっていた。
「ゃ、ぁ! ぁ~~!!」
猫のような甘い鳴き声を漏らしながら俺の隣に寝転がる友奈。
はぁ、はー、と荒い吐息の合間に無言で俺に白い背中を向ける少女はチラリと目線だけを向ける。その視線に快楽を求めている事を悟ると、俺は彼女の背中に抱き着く。
腹と背がくっつく程に抱きしめてボトムスの隙間から自分でも驚く程の正確さで挿入する。
「んぅぅぅ……!」
甘い、甘い喘ぎ。
じゅぷっという水音と共に竿が奥深くまで届く。
抱き枕にするようにサイドポニーのうなじに顔を埋め、背後から乳房を鷲掴みする。
「ぅぅっっ!!」
俺が意識を失う少し前まで快楽にのめり込んでいた友奈。
背後から抱き着き、犯すように腰を揺する度にパクパクと金魚のように口を動かし、虚ろな目をした女の横顔を尻目に、彼女の柔らかい肩肉を甘噛みして小さくも確かな歯形を残す。
燻ぶっていた熱は抽送を繰り返す度に、情欲の炎を彼女の瞳に浮かばせる。
友奈の薄紅色の瞳に浮かぶ感情。
自己嫌悪と高揚と興奮と喜悦を混ぜた涙混じりの瞳が俺を見る。
「これでまた、海には行けないな」
「んぁぁ、ぁ……!」
友奈の片脚を持ち上げて、奥を、奥の奥を犯す。
夏の暑さよりも熱く、ぬめる膣襞に締め付ける俺の形を覚えさせられた花弁は、ピストンの度ににちゅ、ぬちゅ、と淫猥な音が漏れ、ボトムスを汚す。
すっかり虐められ慣れた硬い乳首を摘まむと背中を仰け反らせる。
生乳を揉みながら空いた手は彼女の腹部へ。
くびれた女の腰を撫でながら、右手は女の胎がある腹部へと進む。
薄い陰毛が生えた秘部よりもやや上、女の胎の上にある腹部をそっと押す。
「ぁぅっ、それ、ぁ、~~っっ!」
「好きだろ?」
玩具のように己の恥部を雄肉に貫かれる友奈。
腹部を押され、外から女の胎を刺激されると蜜肉が俺の精子を求めて締まる。
蠕動する膣襞は一突きごとに剛直への吸い付きを強め、俺は激しいピストンに身を置く。
亀頭が子宮口に吸い付く。
グリグリと亀頭で奥の奥を刺激すると結合部からはトロリと愛液が腿を垂れる。
「やっ、ぁ、ぁっ、ぁあッ!!」
白い尻肉が脛骨部に当たり、パンパンと音を立てる。
既に射精を待つだけの下半身となると、俺は彼女をギュッと抱きしめる。
予期せぬほどあっさりと、その瞬間が訪れた。
「ぅぁっ!」
「~~~~~ッッ!!」
濃厚なスープが彼女の奥へと噴き出す。
震え、声なき叫びをあげる友奈を抱きしめて歯を食い縛る。
どくどく、と幼顔の幼馴染を孕ませようと、少女を女にした剛直から大量の子種が膣襞の一つ一つに染み込んでいく。
最後の一滴まで吐精した事を感じると、同時に吐息した。
射精の余韻に息をする事すら忘れていたらしい。
「は―――、ふ――」
「ハァ……ハァ……! また、いっぱい出たね……」
途端にムワリとした熱気が室内に漂っている事に気づく。
扇風機でも掻き消せない、退廃的で淫靡な性臭が熱気と共にリビングに漂う。
それに気づいたのか、モゾモゾと身体を動かす友奈がそっと立ち上がる。
「亮ちゃん。シャワー、借りるね」
「……」
ドロリと恥部から零れる白濁を恥ずかしそうに抑えながら浴室へと向かう少女。中途半端に水着を脱がされ白濁を腿に伝わせながら浴室へと歩く白い裸体をジッと見ていると胸中を過る薄暗い感情。
ペタペタと裸足で床を踏む度にぷるぷると震える尻肉に目を向ける。
「友奈」
「なーに?」
「一緒に入ろうか。そう、水道代節約の為に」
「……、節約の為なら仕方ないね!」
――じっくりと互いの身体を清めていると夕方になった。
何となく時計を目にして、慌てて衣服を身に着ける。
性行為を覚えたての大学生のように爛れた日々を送るが支障はない。
なんせ、夏休みなのだ。
友奈も自分も律するところは律して勉強も部活も御役目も行っているつもりだが。
「いや、参ったな」
「東郷さんに怒られちゃうね」
「吊るされるな」
少しだけ遅れかけている。
待ち合わせ場所はすぐ近くなのだが。
「晴れたから、夜の花火大会は問題ないらしいって」
小雨が過ぎ去った夕方。
携帯端末を弄る友奈と玄関に向かう。
雨は神樹の粋な計らいか夕方にはピタリと止み、花火大会は予告通りに開催されるらしい。
今年も無事に行われるソレに、勇者部メンバーで遊びに行く予定だ。
「少し急いだ方が良いな。東郷さん達が待ってる」
「急がないといけなくなったのは誰のせいかな……?」
「誰だろうな、友奈だな」
「私~……?」
半眼で俺を見る視線を受け流し、彼女の身体を押す。
軽く柔らかい彼女と共に外に出ると、久方振りに感じる残暑と雨の残り香が鼻腔をくすぐる。
「本当に、晴れて良かった」
「そうだね……」
チラリと彼女を見ると、笑みを浮かべる友奈。
門扉の前に立ち、いつの間にか少しだけ背が伸びた少女と顔を合わせる。
俺の顔を見上げて、ゆっくりと手を差し出す姿は、まるでダンスに誘うようで――、
「……行こう?」
一緒に。
親愛と友愛を感じさせる笑顔は、俺が最も見たかった物。
夏の彩りを飾る彼女の笑顔は艶やかで。
「……ああ」
――俺は彼女の手を取って、二人で歩きだすのだった。
AFTER話は終わり。ちょうど50話なので完結です(何回目かの宣言)
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