勇者たちの為に用意された寄宿舎。
元々あったであろう施設を買い取り、勇者部の初期メンバーが召喚された頃から今後増える勇者や巫女の事を考慮して増築、改修を大赦が進めてきたのだろう。
少女たちが暮らしていく分には快適極まりない空間になったと思う。
一人一人の要望に添いつつ、割り当てられた部屋。
必要な物も大赦がすぐに用意してくれる。
食堂は無料で食べ放題、そして旨い。大浴場もシャワー室も清掃が行き届いている。
掃除の必要もなく、買い出しの必要もなく、好きな事をしたいだけ出来る。
かつての勇者たちに媚びを売るかのように、大赦プレゼンツ至れり尽くせりな環境に対して、やや過剰なのではと萎縮する者と、この世の誰にも出来ない特別な事が出来るのだからこれくらいは当然なのだろうと受け入れる者に別れた。
俺としては後者の意見であり、貰える物はいくらでも貰う派である。
「当たり前とまでは言うつもりもないけれど、貰える物は貰って損はないわ」
「まあ、特別待遇に対してどうこう言う子も慣れただろうし」
「……政治家や芸能人にだって出来ない事を私たちはしている。これくらいは当然のことよ」
この世界での少女たちの役割はバーテックスの撃退と領土の解放。
撃破の度に金銭が生じる訳ではないが、毎月それなりの小遣いを与えられたり、豪華な食事や定期的に貸し切りの温泉旅館で過ごすことも出来る。
勇者の機嫌を損ねたくないのか、或いは金品で大人しくなるならと懐柔するつもりか。
「西暦時代は……もっと多くの人たちから感謝されたわ」
「ふーん」
「神世紀時代だと隠蔽しているからか、そんな事は無いようだけど」
「隠蔽体質なのは仕方ないにしても過ごしやすさなら今の方がイージーだろうよ」
「……そうね。今の方が良いわね」
そんな事を話しながら寄宿舎の談話室を歩く。
夕刻も過ぎて既に食堂に向かったのか、或いは外食か、宿泊か。
小綺麗な談話室には誰もいない。
テレビの電源も消され、俺と千景の足音が響く中で遠くに雨音が聞こえる。
寄宿舎は何度も来た事がある。目隠しをしても辿り着ける程では無いがどこに何があるのかは把握している。そんな訳で食堂の場所に向く脚が止まる筈が無いのだが。
「ちょ、ちょっと待って……」
唐突に腕を引っ張られて立ち止まる。
振り向くと、俯いた少女が長い黒髪に表情を隠している。
「どうした、千景? 幽霊でもいた?」
「そういうのは見なかったけど。その……、手!」
「手?」
「いつまで……繋いでいるつもり?」
三つ編みを手で弄りながら指摘する千景の言葉。
その言葉に、彼女を引っ張り続けていた左手に目を向ける。
敵を屠る時に、鍛錬を行っている時に、死神を思わせる大鎌を武器として扱う彼女の掌は柔らかい。傷痕やマメなど努力の証が垣間見える少女の手を握り続けている事を忘れて彼女と話していた。
それは彼女も一緒だと思っていたが、しっかりと意識していたらしい。
食堂を目前に足を止める彼女に俺は笑い掛ける。
「握り甲斐があったもので」
「……そんな訳ないでしょう」
「千景の手はすべすべしていて好きだよ」
「──。……どうせ、他の子にもそういう事を言っている癖に」
「誰でもって訳じゃない」
「────」
息を呑む彼女を見つめると、そっと目を逸らされる。
ぐいぐいと手を引っ張る千景は無言のまま手を放したがっているようだ。
無人の廊下でありながら、このまま異性と仲良しこよしで食堂に向かえばどうなるだろうか。
間違いなく格好の的になり冷やかされる。そんなのは嫌だろう。
「逃げない?」
「犬じゃないんだから……逃げたりしないわ。向かう場所は一緒でしょ」
「しょうがないな~」
ジロリと俺を睨みつける、恥ずかしがり屋な少女の為に仕方なく手を放す。
彼女の熱が掌から無くなるのを感じながら、彼女の態度に対して悲し気な表情で呟く。
「……そんなに嫌でしたか?」
「あっ、いや、そうじゃなくて……」
「────」
「お、男の人とこんな風にするのが初めてで……驚いただけで。嫌、とかじゃ」
内気な性格から捻くれたように見せる彼女だが根は素直で優しい。
何だかんだで他人を思いやれる彼女だからこそ、勇者に見初められたのだろう。
つまり──、
「先輩、かわいいって言われない?」
俺がそんな事を告げると千景は鋭く息を吸い、しかしその殆どを一秒後に吐き出した。
そのまま、ふぃっと顔を背けると三つ編みにしたことで露出したうなじを見せながら、そそくさと食堂へ脚を進めた。
「揶揄わないで。……さっさと行くわよ、加賀くん」
広々とした食堂にはそれなりに人がいる。
大赦の関係者も利用する食堂には大人も何人か食事をしているのが見える。
鼻腔をくすぐる香しい匂いに、さて何を選ぼうかと本日のメニューへと目を向ける。
「今日は……魚だな。白身魚定食だな」
「うどんじゃないのね」
「基本的にうどんは昼飯かおやつ的な立ち位置だから。基本の主食は米だろ」
「珍しいわね」
「そんな先輩は何に?」
「……お腹が空いたから、ガッツリとした物を。……しょうが焼き定食ね」
「うどんじゃないんかい」
運動をすればエネルギーが減って腹が減る。
人間である以上、当たり前の事実ではあるのだが疎かには出来ない。
食事は日々の生活の活力なのだ。美味しい物を食べるだけで簡単に人は幸せになれるのだから。
お盆に載せ、今度は俺が千景を連れて歩く。
それなりに混雑し始めている食堂内を歩き、座る場所として目星を付けていた場所へ。
「ここって空いてる?」
「ん? ああ、どうぞ……って、亮之佑じゃないか。来ていたのか。お、千景も一緒か!」
「……ええ」
振り向かずとも、三つ編みにした黒髪の少女が眉を顰めるのが分かった。
俺と千景が向かった先は、一人で寂しそうに食事をしていた金髪の少女のもとだ。西暦時代、丸亀城で四国を守っていた五人の勇者。そのリーダーをしており、風雲児などと呼ばれていた彼女の名は乃木若葉。
「……? 座らないのか?」
その容姿に見惚れる者も多い。
長い金髪を後ろで束ねた髪型、育ちの良さと生真面目さが混ざり合った雰囲気は天然そうにも頑固そうにも見える。話しかけた俺に眦を下げつつも凛々しさを紫紺色の瞳に宿した少女。
そんな彼女は俺と、その一歩背後にいた千景、その髪へと目を向ける。
「千景、髪型変えたんだな。似合っているぞ」
「……ええ、ありがとう」
その笑顔できっと少女の一人や二人は堕とせただろう。
若葉の言葉に目を伏せる千景、その胸中を悟る前に彼女はそそくさと椅子に座る。
「美味しそうじゃないか」
「そっちは何を食べていたんだ?」
「ん」
「きつねうどんか。もっと七味を掛けた方がうまいぞ」
「あんな風に赤くするのはうどんへの冒涜だからな。歌野も怒っていたぞ。蕎麦もうどんも辛くすれば良い物じゃない。もっと素材の味を楽しむべきなのだと」
「冒涜ではない。日々の辛い事を飲み込み明日も生きる。そういう願掛けなんだ」
「そんな意味があったのか……!」
「今思いついた」
脚を蹴られた。
ムカついたがここでやり返すほど子供ではないので、大人しく箸を手に取る。
出来立てほやほやの白身魚のフライを齧ると、隣に座る千景も釣られて黙々と箸を動かす。
「……」
「……」
「……」
冷めたご飯など誰も食べたくはない。
食べながら話をするよりも、先に空腹を満たしたい。それが全員の意思だった。
空腹が徐々に満たされ、満腹感に心を満たしつつある中で、喜色満面なご様子で上品に箸を動かし麺を啜る若葉を見る。
滲み出る気品は、髪色的に身近にいる天然ふわふわ令嬢の姿を連想させる。
「髪色だけで連想するのもどうなんだろうな」
俺はどれだけ園子のことが好きなのだろうか。
この場にはいないお嬢様、乃木園子は目の前にいる若葉の子孫らしい。
一応分家である俺も子孫になると思うのだが、その辺りは非常に曖昧かつ複雑らしい。文献は失われ、或いは大赦が隠しているのか、真実を知る者は既に死んでいる。
色々と謎だらけなことに頭を悩ませ掛けて、そして俺は考えることを止める。
「ところで、今日は二人で何をしていたんだ?」
食事に専念した矢先、殆ど食べ終わりつつある若葉が箸を置く。
世間話も兼ねているのだろう、俺と千景を交互に見る彼女の疑念は当然だ。
「ゲームをちょっとね。作ったり壊したりする奴。あとは気持ちいい奴とか」
「ぶふっ!? ……ごほっ、ごほっ!!」
「大丈夫か千景? 私もよく千景とゲームはするから前者については知っているが後者の方は知らないな……。新作を買ってきたのか?」
「そそ。今のところ俺の勝ち。折角だし今度一緒にしない?」
「あの千景が負けるのか。なら今度……と、私もそろそろ狩りたい敵がいるんだ。その時は折角だから協力してくれ」
「3Pか」
「ちょっと、加賀くん……。あんまりふざけないで」
そんな風に和気あいあいとした会話を繰り広げながら、俺は千景の背中を摩る。
食事中にむせた彼女の背中を摩る度にブラホックの感触を掌に感じ、先ほどの色濃い情欲を思い出す。口元を押さえる千景は顔を赤らませジロリと俺を睨むだけで何も言わない。
「もう大丈夫か?」
「……あなたがそういう性格なのは知っているから」
「半分冗談だよ」
「そういうところよ」
どういうところなのかとタイツに包まれた腿を揉むと、ビクンと身体を震わせる。
そんな千景の様子に気づくことなく、黙々と残りのうどんを食べ進めた若葉はポツリと呟く。
「いつの間にか、二人は随分と仲良くなったんだな」
「そう見える?」
「ああ、最近学校の方でも噂になっているような」
「そういう、つもりじゃ……」
「ところで若葉は夕飯もうどんなのか?」
「ん? そうだな。いつもという訳ではないが、朝も昼も夜も、明日も明後日もうどんをずっと食べ続けたい。そう思うのは四国の人間ならば当然のことだし、亮之佑もそうは思わないか?」
この惑星の住人、というよりもこの世界の人々はうどんをこよなく愛している。
何故そうなのかは俺にも分からない。加賀亮之佑として生まれた時からそうだったのだ。俺もうどんは好きではあるが毎日三食食べたいとまでは思わない。
それは俺が前世の記憶を持っているからなのか。
いずれにしても、彼女たちほどのうどん愛を持つことはきっと出来そうにないだろう。
「いや、それは亮之佑がうどんに対して真摯に向き合ってないからだ」
「最近は蕎麦も悪くないよねって思うようになったんだ」
「それは私に喧嘩を売っているのか?」
うどんについて語り始める若葉に相槌を打つ。
食堂の窓からは相も変わらず曇天が覗き、雨音が窓を濡らす。
食事も終わり、血の繋がりがあるか不透明な少女の話を聞く。昼間頃までは降っていなかった雨雲は黒く、雨の止む気配はない。
窓の外から眼前にいる金髪美少女に目を移しながら、手を動かす。
黒いタイツに包まれた千景の太腿。
スカートの中は僅かに熱く、美しい脚の内側に手を伸ばす。
「……っ」
「千景? どうかしたのか?」
「い、いえ……何も」
身じろぎした千景はテーブルの下で俺の手首を掴む。
俺はごく自然に腿の付け根まで手を這わせ、下着と肉の境目を軽く撫でる。
「そ、そういえば、鷲尾さんたちは遅いわね」
「確か小学生組は風さんのところで世話になるらしいと連絡があったぞ」
「……そ、そう」
タイツ越しに腿に這わせていた手は完全に少女のスカートの中だ。
腿の付け根、恥丘をなぞる手をきゅっと腿が挟み、僅かに千景は眉根を寄せる。
「ところでひなたさんは? いつもベットリだろうに、反抗期?」
「違う。私とひなただってそこまで常に一緒という訳でもないさ。私にもプライベートはあるし、ひなたにだって大赦での御役目や巫女としての御役目がある。それに……」
「それに?」
「あっ、いや……気のせいかもしれなくてな」
「話してみなよ。悩んだら相談って言葉が勇者部にはあるんだから。ねえ、千景先輩」
「ええ……。っ、んんっ」
先ほどの情事で履き直しただけの下着は既に湿っていた。
タイツ越しに布切れを指の腹で押し続けると、しっとりとした感触を感じる。
俺を横目に見る千景は耳を傾けるような仕草を見せて、頷き返す。
「その、だな。少し前に四国の奪還が完了しただろう? その後の方針を立て、我々の現在の目標は旧近畿地方の奪還を続けている最中だが……」
「ん、ぇっ、ええ……」
「最近ひなたからのスキンシップが妙に激しくなってきているように感じてな……」
「具体的には?」
俺を止める手を放し、千景はテーブルのコップを手に取る。
喉の調子が悪いとアピールするかのように、ごく、ごくっとコップを傾ける。
そんな小細工を披露する少女、その恥丘を薄布ごしに一定のリズムで、押すように円を描く。
「ぐ、具体的にはか……。まあ、なんだ………触れ合いが凄いというか」
「……!」
「や、やっぱり私の気のせいだろう。うん、すまない。なんでもないんだ」
「ふーん」
ぬちゅ、と俺と千景にしか聞こえない水音。
爪でかりかりと秘裂を擦る度に熱っぽい吐息を漏らし始める千景は話を聞いているのか。
数秒に一回ほど曖昧に首肯する千景は虚ろな目でテーブルを見下ろしていた。
疑似的なピストンをするように指で執拗に恥丘を押す。
不自然に思われることが無いように、若葉と会話をしながら薄布越しにある場所を探す。
テーブルの下で腰を引かせようとする千景よりも早く、探り当てた肉芽を爪で押す。
「~~~ぁっ!」
僅かに口を開けた千景の掠れた喘ぎ声。
さすがにそれを聞き漏らすことはなく、若葉が形の良い眉を顰める。
「千景? どうかしたのか?」
「な、なんれも……ないから」
「そういえば今日はちょっと熱っぽいとか言っていたような」
「確かに妙に顔が赤いな……。どれどれ」
「ちょっ、乃木さん!?」
淫らな悲鳴を上げた千景の頬は確かに朱が差している。
黒曜の瞳を虚ろながらも潤ませている表情は、どこか艶めかしさを見せる。
そんな仲間の状態を見逃せないのか、若葉は心配そうに千景のおでこに手を当てる。
俺も心配そうな顔を見せながら、中指と人差し指でそっと秘裂を押した。
「ぁ、……っは……!」
「うーん……。熱はなさそうだが……」
「ちがっ、本当に大丈夫だから。乃木さん」
「そうは言っても顔は赤らんでいるし、目も潤んでいて、なんというか……」
「……! ゃ、見ないで……」
「千景……?」
「~~~ッ」
「まあ風邪薬を飲んで早めに眠れば大丈夫だろう。俺が部屋まで連れていくよ」
「……そ、そうだな。私も何か飲み物とかを持っていくとしよう」
俺は千景を支えながら立ち上がった。
僅かに脚を震わせる少女は呼吸を乱しながらも、平静を保とうとする。
その行為に意味があったのかは分からないが、若葉がそれ以上何か言うことは無かった。
+
千景の自室に戻り扉を閉めた瞬間、罵倒を浴びせられる。
「最低……、最低ッ!」
壁に押し付けるように、俺は千景の身体を抱きしめる。
くしゃりと衣服に皺が寄り、蜂蜜のような甘い香りを漂わせる少女は衣服越しに胸を揉むだけでやん、と甘い声を上げる。
「乃木さんにあんな顔を見られた……!」
「────」
「絶対に変だって……思われた」
「────」
「あなたの、あなたの所為で……!」
目を潤ませながら睨む少女の眼力に力はない。
睨みつける少女の唇は果実のように甘く、熱く蕩けそうだった。口腔行為を繰り返しながら、俺は彼女の手にスカートの裾を掴ませる。
無言のまま彼女の言葉に反応することなく、耳元に囁く。
「自分で上げろ」
「……っ!」
涙声を漏らしながらも彼女は俺の言葉に従い、スカートの裾をつまみ、持ち上げる。
先ほどの悪戯で爪が引っ掛かったのか、黒タイツに出来た穴から覗く白くむっちりとした太腿、明らかに湿っていると分かる白い下着が視界に映り込む。
自分で上げておいて流石に恥ずかしいのか、千景は顔を背ける。
背けた顔、その顎を掴み無理やり此方を向かせると俺は口づける。
粘りついた舌を絡め、下着越しに触れた媚肉はくちゅりと水音が響かせる。
「んっ……!」
黒タイツを無理やりに破くと、ショーツをずらす。
純白の下着は汗や蜜を吸ったことで黒色の恥毛を透かし、媚肉から溢れる新鮮な蜜が破けたタイツを伝い、床に垂れ落ちる。
いやらしい姿を見せる彼女は自らスカートの中を見せ、俺は中指を媚肉へと挿入する。
「ぁ、ぁ……!」
熱く濡れた瞳で俺を睨みながらも、どこか歓喜に近しい声を上げる。
被害者のように羞恥の涙を浮かべながら、部屋に響き始める淫らな水音の正体を知るとスカートをつまむ手を離した。
「んっ……んん」
媚肉を割り拓き挿入した指で疑似ピストンをする。
先ほど子種を味わったことが忘れられないのか、彼女の媚肉はきゅうっと締まり、抜き差しを繰り返す度に喘ぎ声を漏らす。
膝をガクガクと震わせて、俺の肩を掴む千景はあられもない表情を見せる。
喉を動かし、俺の指先の動きに不規則な呼吸を繰り返す。
疑似的な肉棒でも気持ち良さはあるようで、腰を引かせては壁にぶつかる。
「ぁ、ぁぁっ、ゃ、だめ……」
ちゅぷちゅぷと溢れる愛液は俺の手を汚す。
嫌々と首を振りながら、しかし悦んでいる彼女の媚肉の中でザラザラとした部分を指で探り当てる。ビクッと震わせる身体に熱い首元に吸い付きながら指を曲げた。
「ぁぁぁっっっ……!!!」
突如、千景の悲鳴と時を同じくして締め付ける膣肉。
弱点と思わしき場所を中心に曲げた指でこりこりと肉壁をこする。
「やっ! んん~~~~っっ!!!」
びくびくと千景が痙攣した。
腰を前後に動かし、ぷしゃ、ぷしゃりと愛液が床に小さな染みを作った。
「声、他の人に聞こえちゃうかも」
「っ」
俺の肩に自らの顔を押し付けるのと、膣壁を小突くのは同時だった。
痛いほどに肩を掴む彼女、赤らんだ耳と揺れる黒髪に思わず鼻先を突っ込む。
「ぁぐっ、~~~っっ!!」
汗に混じる千景のあまやかな香り。
俺の指に合わせて俺の肩に噛みつく彼女の悲鳴は必死に堪えた物だった。
小水を思わせる飛沫が膝を濡らし、腰砕けになったかのように俺に倒れ込んだ。
ぽたりと指から滴る花蜜。
それを舐めとりながら、彼女をベッドに運ぶ。
「…………」
「もう一回する?」
ぐったりとした千景は、恨みがましそうに俺を見上げる。
睨んでいるのか、上目遣いをしているのか判断に迷う眼差しに獣欲を覚える。
顔を赤らませ、瞳を潤ませ、先ほど作った三つ編みが解け掛けている。
ビリビリに破けたタイツからは白い腿肉を覗かせて、たった今あなたに襲われたばかりですよとアピールする少女にタオルケットを掛ける。
最っ低、と小さく呟く彼女はふいっと顔を背けた。
「……気持ち良かった?」
「……」
俺の問いかけに数秒ほど硬直する彼女は、やがて小さく顎を引く。
自分で何を言っているのか分からないほどふにゃふにゃになった少女の首肯に俺は頷き返す。
「それじゃあ、また来ますね」
「……帰るの?」
「ええ。続きはまた今度にしましょう。次は先輩の全部が見たいです」
「……あ、あなたの頭にはそういうことしか入ってないの?」
「可愛い子の前では男ってのはそういう物なんですよ」
「……本当にケダモノね」
そう告げながら此方を向き身体を起こそうとする千景を止めて、抱き締める。
慌てたような態度を見せる彼女は、硬直しながらもおずおずと背中に腕を回す。
「──温かいわね」
人を抱きしめたことなど、今まで無かったかのような抱擁は僅かに力が入っていた。
「加賀くん。……またね」
千景に別れを告げて部屋を出る。
窓から夜空を見上げると、雨は既に止んでいるようだった。
途中で若葉と会うと少し顔が赤らんでいた。
先ほどとは異なり少し挙動不審な様子を見せる彼女に挨拶をして、俺は帰宅するのだった。