※この作品はR-18です。

果てなき夜で、貴方に愛を   作:毒蛇

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第六話 開花

 俺にとって他人と風呂に入るという経験はあまりない。

 たまに行く銭湯では見知らぬ相手、或いは友人と共に入ることはあるが毎日という訳ではない。これまでに家族やそれに類する親族と共に風呂に入ることがある程度だ。

 

「そのっちともこうしてお風呂に入ることあるんですか?」

 

「まあ、中なり小なり、イチャイチャしているよ」

 

「イチャ……亮之佑さんは少しそのっちに甘すぎです」

 

「そうか~?」

 

「そうです」

 

 おぼつかない、稚拙な手の動きに思わず息を止める。

 見知った少女と同じくも、記憶にある物より少し小さく、不慣れな手つきだ。

 

「ご、ごめんなさい。あの、痛かったですか?」

 

「いや、大丈夫。くすぐったかっただけだから。東郷さん(小)」

 

「東郷さん(小)ではありません。私は、鷲尾須美です」

 

 気恥ずかしそうに年上の男の肌を触る少女は、しかし確固たる意志を示す。

 タオルもスポンジも使わず、乙女の掌を使った洗体作業は遅々として進まない。鏡越しに見える彼女は俺の反応一つに、男の肌に触れる度に顔を赤らめ、羞恥に目を伏せる。

 

「一応、本人じゃん?」

 

「本人ではありますけど……あまり認めたくないというか」

 

 スポンジを使うことを申請する彼女に却下を出す。

 肌が敏感だからという理由を告げると、見知った少女よりもやや小さな手を泡に塗れさせた須美は恥ずかしがりながらも、その性格故に真面目な表情を浮かべ俺の背中を掌で擦る。

 そんな優しい彼女も、未来の自分という存在に対してあまり好意的ではないようだ。

 

「東郷さんの事、嫌いなの?」

 

「嫌いという訳では……」

 

 肩甲骨付近を細い指が触れる。

 鏡越しに覗く純白のスクール水着を着た少女と目が合う。

 幼さが多く残る顔、その翡翠の瞳は俺の知る東郷と殆ど同じ物だ。洗うように肩を揉む黒髪少女と鏡越しに目を合わせると、しばらく無言を保っていた彼女は小さな唇を開く。

 

「見ていて恥ずかしいです。あんな風に人前で男の人と触れ合っていたり、友奈さんに対して目が無くてすぐに暴走する。友奈さんとちょっとでも仲良くなるとすぐに嫉妬したり……」

 

「ふーん」

 

「ふーんって……」

 

 長い黒髪を後頭部で纏め、白い首筋を見せる須美。

 下半身に目を向けないように努めているからか、仄かに頬を赤らめたまま、しかし会話するだけの余力は残っているらしい。

 吐息と共にペタリと背中に置かれた掌は柔らかい。

 

「いや、確かに東郷さんは面倒臭いし、放置すると暗くなるし、嫉妬しやすいからね」

 

「む。私は面倒臭くなんてありません!」

 

 きゅっと額に皺を寄せ、上目遣いになるように睨みつける少女。

 そんな反応を見せる彼女の態度は、同じ場面ならば余裕を見せるだろう東郷とはやはり異なる。ただ容姿としては大小の差こそあれ間違いなく同一人物であるのは間違いない。  

 

「でも、そんな東郷さんのことが好きだよ」

 

「え、あ……」

 

「大和撫子なところも、滅茶苦茶に尽くしてくれるところも、エッチなところも、勤勉で努力家なところも、凝り性で器用で美味しい料理を作ってくれるところも。悪いところも良いところも全部含めて、俺は東郷さんのこと好きだよ」

 

「────」

 

「もちろん、須美のこともね」

 

「ふぇぇ!? ……あっ、ああ、あの、あり、ありがっ、……ございまひゅ」

 

 途端に目を左右に泳がし顔を赤らませる少女の反応は素直で可愛らしい。

 挙動不審な動きを見せる彼女を見ながら、背中に置いたままの少女の手を取る。そのまま身体の前面に柔らかな腕を引っ張ると、自然に須美の身体が俺の背中に密着する形になる。

 むにゅりと背中で潰れる乳肉の感触は記憶にある物よりやや小振りながらも豊かさは健在だ。

 

「次はこっちも洗おうね~」

 

「あ、あの……前はご自分で、ひゃう!?」

 

 背中に密着させた須美の身体はじんわりと熱を持つ。

 男の肌に触るということを意識したのか、再び硬直する彼女の手を使い身体を洗う。

 肩から覗く赤らんだ顔を鏡越しに見ながら、胸板、腹と触れる度にビクリと震える少女の反応を楽しむ。身体を洗うだけの作業をこんなにも楽しいと思うのは久しぶりの事だった。 

 

「須美の手、柔らかくて気持ち良いよ」

 

「うっ、くっ、ぅ~~っ」

 

 腹筋に触れると指先を硬直させ、小さな声を上げる。

 少女の手という最上級のスポンジは柔らかく、それでいて肌に良い。

 吐息と悲鳴に近い声を上げる須美の顔は背中越しにもじんわりと熱を持ち、身体を震わせる。

 

「お父さんとか、こんな感じで男の身体を洗ったことある?」

 

「あ、ありません! こんな風に洗うなんて……!」

 

「そっか。じゃあ、貴重な経験を得たな。もっと触ろうね」

 

「あわわわ……っっ!!」

 

 無垢な少女の手に男の身体というものを教える。

 泡に塗れた指の腹で、掌で、背中に密着させた須美に身体中を触れさせる。

 

 時折、そっと彼女の手首を離すと、おずおずと左右に手を動かす彼女は飲み込みが早いのか自らの両手で男の裸体を洗い、水着に包まれた双丘を無意識に押し付けて、俺を愉しませる。

 好奇心か、男への興味か、黒髪の少女は吐息と共に指を動かす。

 

「上手だよ。飲み込みが早いね」

 

「……」

 

「須美」

 

「……えっ、あ、ありがとうござい……ます?」

 

「俺の身体はどう?」

 

「そ、その、ごつごつしていて、温かくて……凄いと思います」

 

 顔を赤くして呻き声を上げる少女に話しかけるも、本人の頭は回っていないらしい。

 潰れる胸肉越しに高鳴る心の鼓動と、冷静さを欠いた須美の細い指先は何かを躊躇うように腹部と胸板の間を行き来する。

 そんな奥手な彼女の態度は予想済みで、俺は無言のまま身体を動かす。

 

「きゃっ!」

 

 可愛らしい悲鳴が浴室に響く。 

 少女の肌に触れた訳ではない。背丈や体格の差がありながらも懸命に自らの身体で奉仕を忘れない愛国少女の正面に身体を向ける、ただそれだけなのだ。

 肉棒は洗われることを切望し反り立つ姿を無垢な少女の瞳に焼き付ける。

 

「な……ぁっ、っ!」

 

 パクパクと金魚のように薄い唇を開閉させる。

 耳まで赤くして慌てて顔を背ける須美、その顎を掴み正面に向けさせる。

 かあああっと可哀想な程に朱に染まった顔の少女に雄竿を見せつけて一言、告げる。

 

「洗って」

 

「は、ぇ」

 

「ちゃんと洗わないとダメだろ? 隠してても興味津々なのは知ってるから」

 

「きょ、興味なんて……!」

 

「凄いチラチラ見てるじゃん」

 

「み、みみみ見てませんっ!!」

 

 薄目で此方を見る彼女が俺の言葉に誘導されて男根に目を向ける。

 腹から垂れる泡が肉棒を一部コーティングし、タイルに垂れ落ちていく。 

 後ろを向いて、赤らんだ顔を隠すように俯く白いスクール水着を着た彼女の手を握る。ビクリと小さく震える小動物のような少女の形の良い耳に安心させるように囁く。

 

「須美は良いのか? いずれ夫婦になる者同士、裸くらいは見慣れないと」

 

「ふう、ふ……?」

 

「そうだよ。ほら、両手を使って」

 

「……ぁ」

 

 泡に塗れた柔らかな手を怒張で包み込ませる。

 どこか熱に浮かされたような表情で、ゆっくりと上下に擦り始める少女。

 小さく呻きながらも、奉仕の精神は既に芽生えているらしい。

 

 ぎこちなさのある、おぼつかない手の動きで竿をしごく。

 本人としてはただ洗っているだけなのか、須美はさほど上手くない手淫を繰り返す。

 

「……」

 

 見知った、しかし記憶にある物よりも幼さが目立つ顔。

 鼻息を肉棒に吹き掛ける彼女は口数を減らし、甘いもどかしさだけが残る。

 

 反り立つ肉竿をしごき、亀頭を指で触る。

 小さく息を漏らす少女はぼんやりとした表情で、時折チラリと俺に目を向ける。

 

「須美」

 

「………はい」

 

「今、自分が何をしているか分かる?」

 

「……洗っています」

 

「何を?」

 

「……亮之佑さんの、その、大事なところを」

 

 純白の生地越しに柔らかな腹部が吐息と共に動く。

 自分がしていることを意識する彼女の首筋を湯の粒が伝う。

 

 肌に張り付いた水着は人前には見せられない。

 はあ、はあ、と呼吸を乱しつつも、怒張を拙く刺激する少女の白皙の肌は薄い生地越しに透けている。幼い顔に似合わず、豊かな双丘の形や薄いピンク色の先端も窮屈な生地の中で揺れ動く。

 

 いっそのこと全裸ならば、卑猥さは少なかっただろうか。

 奉仕することに夢中で羞恥から目を背ける彼女は自らの痴態に気づけない。美しい深緑の瞳は微かな情欲を孕み、俺の身体と顔にのみ交互に向けられていた。

 仄かに頬を赤らめながらも、奉仕に悦びを見出す姿は既視感を覚える。

 

「ぁ」

 

 何度目かの上目遣い、そして羞恥に目を伏せる。 

 そんな淑女のような態度にもどかしさを覚え、顎を掴み持ち上げる。 

 

「──! ………」

 

 見つめ合うと少女の唇がきゅっと結ばれる。 

 小さく喉を鳴らす彼女は瞳を数多の感情で揺らし、観念したように瞼を閉じた。

 

「……っ、……ん……」

 

 そっと唇を重ねる。

 甘いものが混じる鼻息。

 

 抱き寄せた身体は小さく、しかし胸板に押し付けられる双丘は豊かだ。 

 薄く開いた瞳は戸惑いと羞恥と淫熱が籠り、底知れぬ熱と闇を秘めた表情を浮かべている。 

 ──見慣れた、どこかで見たことのある表情だった。

 

「なあ、須美」

 

「なんれすかぁ……亮之佑さん」

 

 艶やかな唇を離し、酩酊したような眼差しを向ける須美に話しかける。 

 どこか呆けたような表情は、以前友奈たちが勇者部の少女たちにマッサージを行い、身体と意識をふにゃふにゃにさせられた時の物に似ている。

 

「風呂場で水着って変だからさ、脱ごうか」

 

「そうれすか……?」

 

「そうだよ。普段の疲れを落とす為には不要だからね。俺も裸だけど二人で裸になれば恥ずかしくないから」

 

「ん……。そうれすね……、わかりました」

 

 虚ろな表情を見せつつある彼女は首肯を見せると、自らの水着に手を掛ける。

 明らかに背丈が合っていない水着はゆるゆるで横から見ると雪肌の露出が多い。水を吸ったスクール水着は張り付いており、脱ぐのが大変そうだ。 

 これは手伝わなければと使命感を発揮した俺は、水着の肩紐を掴み下へ引っ張る。

 

「んっ、ぁ……っ!」

 

 葡萄の皮を剥くように、少女の上半身が裸になる。

 ぷるりと揺れ動く乳房は微細な汗が光で浮き、乳頭は僅かに硬く尖っている。

 

 そっと乳房を腕で隠そうとする須美の腰は既にくびれが見え始め、将来のスタイルの良さが見え隠れしている。そのまま水着を脱がしていき、下腹部、生え始めたばかりの恥毛と色素の薄い秘所、艶やかな太腿と生まれたままの姿を彼女は見せる。

 生まれたままの姿になった少女は、既に女性としての美しさといやらしさを兼ね備えていた。

 

「ほら、座って」

 

 秘所と胸元を隠すポーズをする少女の手を引く。

 椅子に座り、更に年端もいかない黒髪の少女を俺の膝の間に座らせる。

 

「あ、あの……当たって」

 

「ん~? ほら、須美も綺麗に洗おうね」

 

 小さな少女の声に耳を傾けることはない。

 大人しく肉椅子に座った須美を洗う為、俺の両手は既に泡に塗れていた。

 

「私は別に手ではなくても……ひゃあ!?」

 

「静かに」

 

 長い髪を纏めている須美は鏡越しに俺を一瞥する。

 つるりとした背中、薄い腰、弾力的な尻、そしてしっとりとした乳房。

 将来性が高い十代の少女の胸は思わず鷲掴みしてしまうのも仕方ないだろう。

 

「ゃん……、あ、あの……んっ」

 

 くすぐったがることも、笑いだすこともない、少女の反応。

 水風船のように柔らかい胸肉、その膨らみの先端付近を指の腹で撫でると少女は小さく息を漏らし、僅かに身体を強張らせる。

 鏡を前に脚を開かせるとその奥の媚肉が映り込み、羞恥に揺れる翡翠の瞳。

 

「やっぱり重かったりする?」

 

「えっ? そ、そうですね……。今みたいに凄く視線を感じたり、不便に感じたりします」

 

「クラスじゃ一番大きいだろ?」

 

「そうですけど……んッ、自分だけ成長が早いみたいで、あまり好きじゃないです」

 

「大は小を兼ねるという。今の台詞さ、今度樹に言ってみてよ」

 

「樹さんは……風さんを見ている限り大丈夫だと思いますよ。………ぁ」

 

 鏡の中で俺と目が合い、須美の頬が更に色づく。

 そっと目を逸らす彼女の肉体を後ろからそっと抱き締め、胸板を小さな背中に密着させる。

 乱れる須美の鼓動がよく聞こえ、押し付けた肉棒に尻肉が弾力を返す。

 

「ん……」

 

 小さく息を漏らす少女の柔肌を洗う度に羞恥と興奮の朱色が差す。

 乳房を洗い、腹部を洗い、鼠径部を伝い、少女の秘所へ。

 

「ぁっ」

 

 ぬめるその場所を指で撫でると須美の吐息が漏れ出す。

 浴室に声を響かせ、鏡に映る脚が曲がっては伸びる。

 

 きゅっと唇を結んだ少女の目が閉じられる。 

 太腿を閉じて秘所への侵入を阻み、それでも触れようとする腕を掴む。

 

「あ、あの……」

 

「ん~? ここも綺麗にしないとね~」

 

「ひぅっ……」

 

 当たり前だが東郷と須美では身体の成長も異なる。

 腕の細さ、双丘の大きさ、顔の幼さ、柔和さの足りない性格。

 

「ここをトントンってされるのが好きでしょ。知ってるよ」

 

「っ……ぁ……これ、ちがっ」

 

「こうやって洗うんだよ。ちゃんと覚えようね」

 

「や、や……! こんなのっ、しらない……!」

 

 たとえ記憶があっても無くても、身体は同一の物なのだ。

 そうして少女の未来にいるであろう東郷と身体を重ねた俺にとっては、須美自身よりも彼女の性感を、肉体が悦ぶ場所とその奉仕方法を知っているのは当然のことだ。

 

 秘所から溢れる蜜は徐々に増していた。 

 親指と人差し指で秘裂の縁を上下に動かし、小さな肉芽をくりくりと刺激する。

 

「は……っん……!!」

 

 僅かに背を反らし、結ばれた口が小さく開く。

 粘ついた唾液が唇に糸を引き、熱い呼気が湯舟の蒸気に混ざる。

 

 須美の上半身がぴくぴくと跳ねる中、指で乳首を挟みこねる。

 円を描き、突端をくりくりと刺激して、最後に指の腹で転がす。

 

「ここを触った後に、ここを押されるのが好きだよね」

 

「んあッッ……なんで、ぇ……っ!」

 

 切なげな表情、俺を見上げる翡翠の瞳には涙が浮かんでいる。

 腰が僅かに前後に動き、逃げるように或いは快楽を求めるように小さく震える。

 

 身体から力を抜き、俺の肩に少女の小さな頭が置かれる。 

 結った髪の甘い香りと冷たさを感じながら、絶え間なく陰核を刺激し続ける。

 

「ぁ、あ……っ、ぁ! ヤダっ……ダメぇ……!」

 

 俺の腕を掴む力は強い。

 首は赤らみ、拒絶するように小さく頭を振る。

 

「ゃ……ぁ……」

 

 虚像の須美と目が合う。

 泡に濡れた肌、自らの恥丘と胸の突起を背後にいる男に弄ばれる少女の痴態に、瞼を閉じるも切れ切れの吐息を至近距離で漏らす。

 全身が小刻みに震え、くちゅくちゅと淫水の音が聞かせながら陰核を弾く。

 

「~~~~~ッッッ!!!」

 

 閉じていた両脚は開かれるとタイルに爪先立ちとなった。

 身を震わせる須美の腰がかくっ、かくっと上下する。

 

「ぁ、は……」

 

 須美の吐息。

 俺の肩に頬ずりをし、身体を預けて法悦に浸る少女。

 甘い声と長く浅い呼吸を繰り返す姿は、俺の知る東郷と重なる。

 

 ノズルをひねり、シャワーヘッドからお湯を流す。

 湯雨が泡を流し排水口へと流れていく中で、絶頂の余韻に震える少女に囁く。

 

「……気持ち良かった?」

 

「…………」

 

 甘く虚ろな表情を浮かべている須美。

 雪肌を水の粒が流れていく中で、チラリと此方を見ると小さく頷く。

 

「……これ以上のエッチなこと、しちゃう?」

 

「………えっちな、こと」

 

 この年頃でも既に知識としてはあるのだろう。

 早熟なのか、それとも須美の知識が豊富なのか。

 

 脱力した彼女を抱きとめながら身体を洗いつつ、返事を求める。

 内股になる須美の恥部を指で弄び、湯気に包まれながら沈黙が裂かれるのを待つ。

 

「……」

 

 雨の中で解れる黒髪。

 須美は何かを呟いた。

 シャワーの音で聞こえず少女の口元に耳を傾けると、

 

 

「──亮くん」

 

 

 コンコン、と浴室の扉を叩く音がした。

 思わず黙り込む俺と須美を余所に、目の前の少女が成長した声が耳に届く。

 きゅっと俺の腕を掴む少女の肌は上気し、目元はとろんと蕩け、唇は柔らかく濡れている。

 

「少し長湯のようだけど、大丈夫?」

 

「ん。ああ、大丈夫だよ。もう少ししたら上がるところ」

 

「そう。なら、上がったらご飯にしましょう?」

 

 息を止める。

 足音が聞こえなくなるまで息を止めて、そっと吐く。

 

 シャワーのノズルを止める。

 湯雨が止み、乱れ濡れた髪をした少女と見つめ合う。

 

「……」

 

「……」

 

 どちらからともなく、俺たちは唇を寄せた。

 

 

 

 +

 

 

 

「美味しい?」

 

「ああ。東郷さんの作ったうどん、美味しいよ。美味すぎるっ!!」

 

「ふふっ、そう言って貰えると嬉しいわ」

 

 須美と湯舟に浸かり百秒。 

 何もなかったということにして浴室から出た俺と須美。

 

「隠し味は愛情です」

 

 両手でハートを作って見せる東郷の夕ご飯、プロ仕様のうどんだ。

 菊菜のおひたし、焦がしにんにくと唐辛子を入れたタレで炒めた豚肉と細部への拘りを感じる。実に美味なそれを食した後、少し眠くなってきたと小さく欠伸をした須美はそのまま東郷の部屋に連れて行かれる。きっと疲れたのだろう。

 時計を見ると夜も深まりつつある時間帯になっていた。

 

「東郷さんのご飯は本当に美味しいな。今度は俺も何か作るよ」

 

「良いのよ、そんな……。あなたが喜んでくれるだけで」

 

「何かないの? 出来る限り頑張るよ」

 

「そう?」

 

 思い返すと俺と須美でうどん以外の献立が微妙に異なっていた気がする。

 どれも美味しかったと語彙力の無い己を悔やみつつ、一つも残さずに食べ終えて。

 

「そういえば……食べたい物があるのだけど」

 

「ほう。美食家な東郷さんが食べたい物ですか。用意できるかな」

 

「美食家じゃないわ。それに、亮くんだからこそ用意出来ると思うから」

 

 普段よりも熱っぽく感じる俺の身体を抱くのは和服の似合う美少女。

 人目が無いからか、スキンシップの激しい彼女はどこか艶やかな眼差しを向ける。

 

「……」

 

「……」

 

 その視線は熱を帯びていて。

 気が付くと、身体の下腹部がじんわりと熱く感じた。

 

 

 

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