耳を澄ませても蝉の音は聞こえない。
地面に目を向けて、死骸すら見つからないのであれば、それはなんとなく夏の終わりが近いのだということを考えてしまう。
季節は次々と変わりゆくというのに、年だけが変わらないのがいっそ滑稽ですらある。
「ん……」
そんなことを考えながら女の髪に触れる。
東郷の髪、濡羽色の手入れがされた髪の毛は絹のように上質な柔らかさと滑らかさだ。
いつまでも触れていたいと思わせ、水のように指の間をすり抜けて柔肌に触れると、くすぐったく感じたのだろう、彼女は目を細めると俺の手に掌を重ねて肌を擦り付ける。
「あなたなら……、亮くんなら好きなだけ触っていていいのよ?」
「そう言って貰えると男冥利に尽きるけど、多分3日くらい離さないよ?」
「……3日で良いの?」
「じゃあ、ずっと」
「もっと」
「俺から離れるな」
「……はい」
俺の身体を抱き、身をくねらせる東郷は淫靡な視線を向ける。
ん、んぅ、と結んだ唇からこぼれる声が空気に溶けていく。もっと可愛げのある声を聞かせて欲しいと普段ならば押し倒すところだが、今いる場所が俺を戸惑わせる。
普段は自分の家か抱く女の家か、兎にも角にも建物の中で行為に至る。
壁と屋根に囲まれた場所ではない安全性の欠片も無い野外という環境は開放感と共に、誰かに見られるのではないのかという不安感も遅れて訪れる。
草木の香りが鼻腔をくすぐる感覚。
上着を敷いたとはいえ、開放感もリスクもあり過ぎるのではないのか。
呼び起こされる理性が突発的に生じただけの獣性を抑え込み始め──、
「やめないで」
──東郷の深緑の瞳に見惚れるのは何度目だろうか。
少女の輝きが薄れ、女の輝きを見せる深緑色。
息を呑むほどに、魂が吸い取られるような美しい眼差しに俺の手が動く。
「んっ」
男の目を惹く主張激しい少女の双丘。
制服と下着ごと荒々しく乳房を揉みながら、首筋を唇で伝う。甘く塩辛い肌を舐めると小さく震える彼女は首を反らせると、ぎゅうっと俺の背中に回した腕に力を籠める。
「んぅ………んッ」
痕にならない程度に首筋を吸う。
はん、と嫌がるように首を振ると、黙らせるように唇を奪う。そのまま目を閉じ、唇を差し出した東郷に誘われるがまま唇を重ね、舌を絡め合う。
ちゅ、ぴちゅ、と小さな水音が響く。
外の音、車の音や草木、遠くで聞こえる人の足音や声、目の前の彼女に意識を向けるほどにそれらがどこか遠くに感じられる。
制服に忍び込ませた手が彼女の柔らかい雪肌を弄る。
甘い喘ぎを漏らす東郷の抵抗はなく、彼女は乳房を差し出す。
フロントホックの下着だと小声で囁く東郷は、外での行為を予想していたのか。
あっけないほど簡単にブラから乳房をこぼした俺は、躊躇うことなく揉む。
指先に吸い付くような麗しい乳肉に触れている間、東郷は目を閉じる。
カーディガンに包まれた夏服だから、乳房に触りやすかった。
これで冬服ならば、彼女から制服を剥ぎ取り、夜空の下で下着姿にしていただろう。
「それともそういうことをしたかった?」
「ン、っぁ……揶揄わないで」
ぷるりと熱を帯びた大きな乳房は汗ばみ、突起が微かに震えている。
制服を脱がせることはせず、しかし彼女の乳房も乳輪も乳首の色も形も思い出すことは容易く、迷うことなく制服越しに乳肉を揉み、乳首を指先で優しく愛撫する。
餅よりも柔らかい東郷の乳房を、乳首を指先で味わう度に彼女の吐息が漏れる。
鷲掴みにしても手から溢れてしまう豊満な存在。
母性の象徴を指に吸い付かせ、生乳を両手で味わう。
「んっ、んん……」
東郷の乳房を揉みしだくと彼女は俺に身を委ねる。
左右の指で乳首を優しく愛撫すると、瞳を潤ませて頬を赤らめる。
「そこ……」
「ん?」
「好きよね? ふふっ、そうよね。知ってる……」
彼女の確信混じりの質問にコクコクと俺は頷く。
そもそも否とは言わせない、肯定ありきの質問だった。
幾度も自らの性器を挟み、赤子よりも吸い付いた乳房を狂ったように揉む。そんな姿を見る東郷は心地よさそうな顔を見せながら俺に身体を委ねる。
俺は「東郷さん」と名前を呼びながらそっと彼女を立ち上がらせる。
「こっち」
「ぇ、ぁ……」
戸惑うような彼女の手を引いて歩く。
夕暮れが光を失う水平線、空は濃厚な闇色と小さく輝く星々が見える。
公園に人影はなく、外れたブラが気になるのか、そっと胸元を押さえる東郷は情欲に頬を赤らませながら、俺に目線だけで問いかける。
「亮くん」
「ここでやめたりしないから」
公園のベンチの裏側、ほどほどに大きな木の幹に彼女の手をつかせる。
少女の白い手を木に触らせることに心が痛むが、外での性行為というリスクと面倒臭さが同居している以上、目を瞑る。
家での行為のように、裸に剥き地べたに寝転がす訳にもいかない。
木の幹に手をつかせ、尻を突き出すようなポーズをさせる。
彼女の双丘は見事な豊かさだが、栄養は身体全体に行き渡っているのか、スカートから覗く尻肉は第二の乳房とも呼べる独特の弾力と大きさがある。
「……」
まるで屈服したかのように、俺に臀部を差し出す彼女。
生足を出すことをあまりしない彼女の黒色のタイツに包まれた腿を撫でる。
「っ」
一瞬だけ布越しに秘裂に触れると湿り気を帯びていた。
ピクッと身体を震わせた彼女が俺に顔を向けてくる中で、尻肉を撫で回す。僅かに内股になる彼女の下半身に跪くと、俺は恭しくスカートの奥、タイツと下着を掴み、ゆっくりと引き下ろす。
「ん………、は」
彼女の吐息を耳にしながら、葡萄の皮を剥くように優しく撫でるようにスカートの中からタイツと下着をするすると下ろしていく。
興奮に高鳴る鼓動、口内が渇きを覚える中で膝まで下ろす。
薄青色の下着、恥部が触れていた部分には彼女の情欲の証が透明な糸を繋いでいる。
「ぁぁ……」
性器が外気に触れたからか、ぶるりと震える少女。
そっとスカートを捲り上げると彼女の内腿がきゅっと閉じられる。
外で下半身を露出させた少女の桃尻が俺の目の前にあった。
それどころか、まだ誰も知らない不浄の穴さえも。
彼女の顔は見えない。
そっと伏せた黒髪に顔を隠し、唯一見える耳は朱色に染まっている。
己の状態を把握し、背後の男に自らの秘部の全てを曝け出しているのだ。
「全て?」
「な、なに……?」
身を強張らせていた東郷が俺の独り言を拾う。
チラリとこちらに向けられる横顔は羞恥に染まり、瞳を潤ませている。
思わず抱きしめたくなる彼女に俺は更なる要求を行った。
「ぇ、ぁ……」
「…………」
「ほ、本当にするの?」
「────」
「……鬼畜」
その要求を呑んだ彼女の朱色が濃くなるのが分かった。
傷一つない膝には黒タイツとショーツが絡まり、内腿には蜜液が伝う。
白い恥部に黒色の茂みが薄く生え揃い、陰唇は花弁のようなピンク色だ。
男の肉棒を受け入れる為の場所を、彼女の指先が自ら触れる。
「ふ、ぅっ」
ピンと背を伸ばす東郷は濡れた指先で、陰唇の縁に触れる。
確かな羞恥の吐息を漏らす彼女は、しかし従順に閉じられていた花弁を広げる。
男に媚びるように自らの陰唇、その奥を指で広げて見せた。
「………うぅ」
強い羞恥を感じているのだろう。
国防を愛する少女の肉体は先ほどよりも熱を帯びる。くぱぁと開かれた陰唇から垂れ落ちる愛液が恥毛やショーツを濡らし、その奥にある小さな穴からは新鮮な蜜が生まれていた。
ぷるぷると震える温かい肉体に愛おしい気持ちを持って顔を近づける。
「んぁっっ!!」
甲高い悲鳴を自らの手で押さえる東郷。
指で広げて差し出した蜜裂に口づけした俺は、彼女の指が離れても吸い付く。
反射的に自らの口を押さえ、もう片方の手で俺の頭を掴むが、遅い。
そもそも、この状況下で極上の身体という餌を前にして、獣が我慢する筈がない。
本物の唇よりも情熱的に陰唇へとキスをする。
もっちりとした尻肉を掴み、閉じようとする内腿を掴み、優しくキスを繰り返す。
優しく、丁寧に、彼女が悦ぶクンニリングスを外で行い続ける。
「ンっ、ん、ふッ、んぅぅ……!」
掌で押さえた口から漏れる喘ぎ声。
柔らかい貝状の肉を舌で解し、その奥に舌を挿入する。
上へ、下へ、右へ、左へ。
執拗に舐めるほど身体が悦ぶのか奥から花の蜜が滲み出る。
尻肉を割り拓き、鍛え上げた舌を自在に動かし、一思いに吸い上げた。
「くぅぅ……ッッッ!!!」
がく、がくっと生まれたての小鹿のように東郷が脚を震わせる。
今にも崩れ落ちてしまいそうな絶頂を迎える中で、俺は雌肉にキスを続ける。
彼女の脚の間に跪き、俺は東郷を悦ばせる。
舌に淫液を絡ませながら、じゅる、じゅるっと水音と共に啜る。
肉竿のように奥まで貫けないが浅く悦ぶ場所を舌で責める。
白い尻肉を揉みしだき、包皮の剥けた肉芽ごとディープキスを続けると、舐めきれないほどに溢れる蜜液が腿を伝い、ショーツとタイツを濡らす。
ふと顔を上げると、幹に手を置く彼女は頭を垂れていた。
「は……ぁ……」
肩で息をする東郷の姿を認めながら、俺は再び陰唇とキスをする。
脚を閉じようとする度に肉芽を指で弄ると、指を口に含み声を抑える彼女の限界は近い。陰唇とキスをしながらクリトリスを弄られるのが好きなのか、彼女の嬌声が手からこぼれる。
「ゃ! ぁぁっ!!」
白い肌に汗が伝う。
むわりと漂う雌臭を肺に満たしながら恥部から覗く肉芽に触れる。
ビクッと身体を震わせる姿を見下ろしながら、くびれた白い腰に腕を回し、愛液に濡れたクリトリスを指の腹で転がすと彼女は静かに絶頂した。
「~~ッ!? ~~~~っ、い……ッ!!」
必死に声を抑えながらも肢体が跳ねる姿に息を呑む。
彼女の濃厚なエキス入りの唾液で舌を濡らしながら、彼女の奥から滲み出た愛液を肉芽にまぶすと、指の腹で円を描くように、乱雑に、繊細に弄る。
「ぅ……ぁぁ……!!」
幹から手を離し、倒れそうになる彼女を抱える。
乳房を揉み、空いた片手をクリトリスに添えて動かす。
「ま、まっへっ! ──ぁ、ぃッ……ンッ!!」
プシッと滴が花弁から噴き出し、芝やタイツを濡らす。
少女の朱色に染まった身体は熱く、髪を乱し、小刻みに震える姿を見せる。
「ふぇ………もう……ゆるひて……」
俺に身体を預け、背後から抱かれる彼女が懇願する。
大きな瞳の目尻に涙を浮かべ、熱い呼気と衣服の乱れた姿は目に毒だ。
「……」
俺は何も言わず、東郷の頭を撫でる。
しっとりと水気を含んだ長い黒髪。
彼女を抱きすくめたまま、少しだけ前に向かって歩く。
木陰から身体を出して近くにある公園のベンチの裏まで歩く。
「誰も来ないと良いね」
「ぇ」
木の幹の次は、ベンチの背もたれに手を置かせる。
先ほどのような草木も木もない視界には生え揃った芝や砂場、遊具が広がる。
戸惑う彼女を抱きかかえ、白い腰を手で支え、ぬめる肉壺を怒張で貫く。
「ぁ……ぁ……!」
にちゅ、と淫らな音と共に彼女と繋がる。
その状況に1秒遅れた彼女は反射的に俺を振り払おうとするも、背後からの拘束を逃れる術はない。雄に羽交い絞めにされた雌の肉沼を再び貫く。
「ひ、ぁっ……!! あぁぁ……」
ふるり、と震える白い肉体。
蕩けた表情、艶やかな唇の端から透明な唾液が地面に落ちる。
「あっ、はぁ、あぁ、ぁ……っ!」
ぬめる膣襞が肉棒を包み込む極上の感触。
獣のようにパンパンと腰を振る度に尻肉が腿を叩く。
夜風に当たりながら、立ちバックで彼女を犯す。
性欲と所有欲を満たす快感が脳を痺れさせ、腰を振らせる。
「んっっ! ぁう! あっ、んッ、ああっっ!」
突き上げるようなピストンに喘ぐ東郷は俺の動きに応じる。
くびれた腰をくねらせ、先端が異なる場所に当たると、酷く熱い呼気を吐く。
「は、ぁ……す、き」
「は……ッ、は───」
「しゅき……っ、りょうのすけ……」
「……っ!!」
揺れる黒髪に鼻先を突っ込み、一突きごとに快楽に溺れる。
心地よさそうに喘ぐ東郷が振り向き俺の唇を奪う。甘い唾液を啜りながら胸肉を揉み、スカートの内部に空いた手を伸ばし、雄竿を咥えた秘裂の縁にある肉芽を指で擦る。
小刻みに震える東郷に俺は囁く。
「好きだ」
その瞬間、蜜壺がぎゅううっと締まった。
「ぁ、っ……ぁぁぁっっっ!!!」
短い悲鳴に近い東郷の嬌声。
俺は濃厚な白濁を彼女の最奥へと吐き出し続ける。
僅かに意識が酩酊する中で、一滴も残さず膣に飲み込ませた。
「学生らしいこと、しちゃったね」
「……学生らしい?」
「こういう場所で何も考えずにスリルを楽しむ、学生らしくない?」
普通の学生ならば家での性行為など厳しいだろう。
都合が悪ければ親がいるだろうし、仮にいなかった場合でも余裕をもって女との行為に浸るという機会も少ない。何よりもこの年齢ならばセックス以外のことなど考えられないだろう。
そういう意味では、俺は東郷と楽しい青春の一ページを作ったとも言える。
「学生らしいって言うなら、友達とキャンプとか音楽とかじゃない?」
「キャンプも釣りもバーベキューもサバゲーもしたじゃん。音楽は方向性の違いで解散したし」
永遠に学生をしている限り、青春の一ページが増えていく。
増えて、増えて、一冊の大きな本になっても、未だに学生でいる。
「東郷さん…………美森」
「ふふっ……どうしたの、亮之佑?」
「呼んでみただけ」
「あら、いくらでも呼んで良いのよ」
乱れた衣服を整える少女も中身は殆ど大人に近い。
滲み出る色気は年々増しており、彼女の肌の色も、蜜の味も覚えた。
つるりとした顎を持ち上げると深緑色の瞳に女の煌めきを見せる。
首に腕を回されて、濡れた瞳を閉じると彼女と顔を近づける。
「ん──」
「────」
唇が重なる。
熱く柔らかい唇だ。
ディープではない、情熱と確かな親愛を感じるキス。
自分は今生きているのだと、そう実感させるような温かい接吻。
「……亮之佑」
愛称ではない、名前呼び。
信頼を感じさせる呼び方に彼女の背中に腕を回す。
俺には分かった。
彼女はまだ満足していない。
外での中途半端な行為は彼女の胸中に情欲の火を灯したのか。
月も見えない薄暗い夜は更なる深まりを見せ、静かな呼気が期待を見せる。
幸いにもお互いの家は近くにある。そこで彼女を床なり寝台なりに組み伏せて、纏った衣服を一枚残らず剥いて、その白い肌をどこまでも汚してしまおう。
そんな思いと共に唇を奪おうとして──、
「ぁ──」
けたたましい音にビクリと身体が震える。
声を上げた少女は拒絶ではなく戸惑いの声を上げた。
「……バーテックス、ね」
整えられた制服から取り出したのは端末。
普段から趣味で改造が施された彼女のスマホには、聞き慣れた忌まわしい警報音。
──樹海化警報に鼓動が高鳴る。
「おのれバーテックス……、逢引の邪魔を……ッ!」
ギリッと奥歯を噛み締める彼女に数秒前までの妖艶さはない。
勇者として溢れ出す衝動を抑えながらも、敵に向かう殺意は溢れんばかりだ。
彼女の持つスマホに目を向ける俺に、東郷がちらと視線を向けた。
「東郷さん」
「大丈夫よ、亮くん。すぐに片づけてくるから」
「あ、うん」
モチベーションが高いのは良いことだ。
高すぎて困ることなど無いのだし、そもそも高すぎたとしても他の優秀な仲間が彼女を援護してくれるのは間違いない。西暦組や防人組の優秀さは彼女からよく聞かされている。
ふんすふんす、と鼻息荒くやる気に溢れた少女の抱擁。
汗を吸った黒髪は彼女特有の甘い香りを漂わせ、その優しさに息を呑む。
抱きしめ返して瞬きをする。
この世界に来てから、人肌を知ることが増えたと思う。
「と───」
ふわり、と3回目の瞬きで少女が消えた。
腕の中の少女が消えるのはいつも一瞬のことだが慣れそうにない喪失感だ。
どれだけ強く抱きしめても、消えるなと強く思っても、後には何も残らない。
「────」
自分だけが取り残されるのだ。
その度に俺は、加賀亮之佑は己の無力とこの世界を呪う。
いったい、何のためにこの世界にいるのだろうかと、この瞬間にいつも思う。
神樹が無垢な少女たちにのみ戦う力を与える。
それはこの世界の絶対的なルールであり、決して例外はない。
悪魔との契約で勇者になっていた男に、神樹がこの世界で力を与える訳がないのだ。
そもそも自分のような中途半端な存在よりも優秀な少女たちが、それこそ召喚すればいくらでも呼ぶことが出来るのだから、元の世界のように戦う必要もない。
加賀亮之佑はただ守られるだけの一般人である。
「……ぁ」
掛けられていた人の重さが消えて、たたらを踏む。
振り返ると、力不足を呪った自分以外誰もいない公園に静寂が広がる。
「……」
ポツリと額が濡れる。腕が、鼻が、頬が濡れる。
季節の変わり目に多い雨が降り始め地面を黒色に変えていく。
月もない星のみの夜空は一転して曇天が支配していく。
胸の奥のしこりは消えない。
指に付けた指輪は何の反応も示さない。
「……」
人肌で暖を取った熱が冷めていく。
雨に熱を奪われながら、せめて熱を求めて俺は待つことにした。
東郷が、彼女が、誰かが戻ってくるのを、待つ、ことにした。