※この作品はR-18です。

果てなき夜で、貴方に愛を   作:毒蛇

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第三十一話 必要なのだと分かっても

 ──帰りの電車に揺られている時だった。

 

「……そういえば、『わかちか』とは何だ? どういう意味なんだ?」

 

「随分と唐突だな」

 

「亮之佑や園子ほどではない。そもそも最初に言ったのは亮之佑だろう」

 

「……ああ、そうだっけ」

 

 凛々しい花のような少女の言葉に思い出す。

 周囲の目を誤魔化すように、コートのポケットに入れた手。

 剣タコのある柔らかくも鍛えられた少女の手を握りながら思い出す。彼女とのデート、雑談の合間に何となしに出した言葉を若葉は覚えていたようだ。

 車内のシートに座り、触れる肩に少女の体温と柔らかさを覚えながら口を開く。

 

「アレは園子や杏が言い出した造語で……」

 

「ん? 園子はともかく、杏もか? 随分と前から園子の影響を受け気味だったからあり得なくはないのか……、杏は園子のことを先生呼びしているしな」

 

「園子の影響は先祖である若葉の責任だから」

 

「いや待て、流石にそれを先祖の所為にするのはおかしいだろう……」

 

 呆れた声音で呟く若葉の主張は正しい。

 名前も顔も知らない子孫の責任など取る筈が無い。

 そもそも本来ならば顔も名前も知らない。だが、若葉は園子のことを知っている。

 知っているからには、そして自分の手が及ぶ範囲であるからには、真面目で委員長気質な彼女が告げる言葉は一つだ。

 

「なら、これ以上変な道を行かないように、しっかりと私が見張らねば」

 

「園子には俺がいるから大丈夫」

 

「心配だな。二人になると積極的に悪ノリしていたりするではないか」

 

「園子には俺という良い男がついているから何も問題ないって」

 

「……ふん」

 

 そう告げると、ふんす、と鼻で笑う乃木家先祖。

 初代勇者の一人である女騎士は子孫の男にまで口を挟みたいらしい。

 若葉から見れば俺は園子の相手としてはダメな男になるようだ。

 

 実際にこの世界に来てから衝動的な行為に耽ることは多くなった。神樹が創造した世界にいる影響か、勇者になれない影響か、別の要因によるものか。

 元の世界とは異なり、治療という名目で多くの乙女たちと少々爛れた関係を構築してきた。

 残念ながら声を大にして誠実な男ですとは言い難くなってしまっている状況だ。 

 それは若葉も理解してはいるのだろう、口調に苦笑が混じる。

 

「亮之佑も、一応は私の子孫にあたるんだよな……」

 

「そう、らしいけど。あんまり似てないよな」

 

「どこかで妙な血が混ざったのだろうか」

 

「……不満か?」

 

「あ、いや……園子の時も思ったが突然変異過ぎないかとな」

 

「園子は確かに。若葉にふわふわ成分は無さそうだし。身体はふわふわしてたけど」

 

「いや、園子というかお前も……ん? 今何か言ったか?」

 

「何も」

 

 加賀亮之佑は乃木家分家の長男である。

 神世紀300年のどこかで分岐したであろう家ではあるが、記録は消失しているという。

 大赦ならば保管はしているかもしれないが、見せるつもりはないのか。しかし、そうでありながらも加賀家が乃木家の分家であるのは今のところ保証されている。

 

 過去に何があったのか、それは神しか知らないのか。 

 或いは、以前ならば、こういう時に真っ先に聞く相手がいたのだが──、

 

「────」

 

「亮之佑?」

 

「いや、子孫だなんだって言われても別に髪の色も見た目も全然違うから意識したことって全然ないなって。若葉は俺に対してそんな風に意識したことはあるのか?」

 

 生まれた瞬間から髪の色がブロンドだったり、目の色が似ていれば納得したかもしれない。

 外見というのは大事だ。見た目で、直感的に理解出来るから。

 何よりも、彼女よりも明確に繋がりのある人物を知っているから。

 園子と違って、俺は若葉を先祖だと認識したことはあまりない。

 

「正直あまり無いが……、だが二人とも私の大事な子孫だ。それは間違いない」

 

「そう言いながらも普段から男として見ちゃったと……いたた」

 

「調子に乗るな」

 

 若葉は列車内で暴れたり声を上げたりすることは無い。良識ある女だ。

 精々が無言で俺の手を握り潰そうと力を込めてくる程度。コートのポケットの中で互いの手を握り合っていると、電車の速度がゆっくりと下がり始めるのが分かった。

 讃州市の駅に到着、それは即ち、若葉との疑似デートの終わりを意味していた。

 

「……着いたな」

 

「ん」

 

 電車が止まった。

 どこか寂寥感を滲ませるように若葉は呟いた。

 首肯を返しながら、彼女と共に電車を降りてゆっくりと駅を歩く。人の流れに沿うように、そして出入口直前で人のいない隅へ滑り込むように移動すると若葉に絆創膏を差し出す。

 

「ん? 怪我なんてしてないが?」

 

 コートから僅か覗く白い首筋。

 薄く痕の付いたソレは目敏い者なら察してしまう情事の証だ。その視線から隠し、邪推を防ぎ、虫に刺されたと誤魔化す為の手段として絆創膏を貼るのだ。

 そんなことを彼女に軽く説明すると、少し考えた若葉は顔を上げ目を閉じる。

 口づけを待つかのように、端正な顔を近づけて無防備を晒す若葉は艶やかな唇を開き、

 

「どの辺りか分からない。代わりに貼ってくれるか」

 

「はいよ」

 

「ん……」

 

 首筋に触れる指先に、長い睫毛に縁取られた瞼が揺れる。

 手間取ることなく貼り終えると、瞼が開かれ透き通った紫紺と視線を交わす。 

 

「亮之佑」

 

「うん?」

 

「──今日は楽しかった」

 

「……俺もだ」

 

 チラリと向けられる紫紺の瞳は和らぎ、端正な顔は見る者を惹きつける。

 穏やかに、凛々しさを忘れない彼女の姿に、ふと数十分前の淫らな姿を重ねた。

 

「今日の若葉はエッチだった。きっと帰っても忘れない」

 

「なっ!?」

 

「なんちゃって」

 

「……揶揄うな」

 

 一瞬、若葉の手を強く握り、ゆっくりと静かに離す。

 掌に残る熱と感触が残る中で、駅の出口に脚を向けると声が掛けられた。

 

「──若葉ちゃん」

 

「……む。ひなたか」

 

「おかえりなさい。少し遅かったですね」

 

「あ、ああ。……帰りの電車が雨で遅れてな」

 

「そうでしたか。……亮之佑さんもお疲れ様でした。うちの若葉ちゃんがお世話になりました」

 

「はい」

 

 疑似デートの最後には迎えがあった。

 既に夕暮れ。勇者部に所属する他の少女たちの活動も既に終えている時間帯だ。他の疑似デートの応援に千景と共に参加したひなたが駅まで迎えに来ることは不思議なことではない。

 若葉にはひなたが迎えに来た。そして俺には──、

 

「亮くん」

 

「──ぁ」

 

 耳に馴染む鈴音の声色。

 絹のような黒髪は青色のリボンが束ね、衣服では隠せないほどのスタイルの良さは周囲を歩く男たちの視線を惹きつける。 

 彼女はそれらを気にすることなく俺と若葉にその視線が向ける。

 

「若葉さん。今日は私の亮くんがお世話になりました……色々と」

 

「え? あっ、いや……」

 

「いえいえ、こちらこそ……私の若葉ちゃんがお世話になりました」

 

 唐突に僅かに頭を傾けて、保護者のような、或いは良妻の真似事をするかのように東郷は当然のような態度で若葉に感謝の言葉を告げた。

 困惑する若葉、彼女に代わり応対するのはひなただ。

 巫女もまた平然とした様子で互いに感謝の言葉を告げ、笑みを浮かべ合う。

 

「ひ、ひなた? どうかしたのか?」

 

「若葉ちゃん」

 

「おっ!?」

 

 穏やかな笑みを浮かべていた巫女、その姿に何か違和感を覚えたのかおずおずと若葉は口を開く。名前を呼ばれて振り向いたひなた、その顔に何を見たのか若葉は息を呑む。

 いったい、どんな顔をしているというのだろうか。

 

「亮くん」

 

「────」

 

「今日は楽しかった?」

 

 だが、俺には彼女たちの方を事細かく見ている時間は無かった。

 そもそも、そのやり取りすら、耳が機械的に拾うだけで視線は動かせない。

 東郷美森という女から目を逸らすことは許されないことだから。

 

「え? うん。楽しかったよ」

 

「そう。良かったね」

 

 するりと東郷が近寄る。

 ここが私の場所だと言わんばかりに、公衆の面前で腕に抱き着く。

 奥ゆかしさを捨てて、周囲に主張するかのように、豊満な胸で腕を挟む。その温かくも柔らかな感触と、向けられる笑顔は──、

 

「……」

 

 光のない深緑色の瞳を細めて、見る者を魅了させる笑みを浮かべる東郷。

 柔らかな拘束は、しかし絶対に外させないという強い意思によるものだ。

 

「若葉ちゃん? 首の絆創膏どうしたんですか?」

 

「え? ああ……これは、その、虫に刺されたから」

 

「へぇ……。虫、ですか。そうですか。その話、後でたっぷりと聞かせて下さい」

 

「……い、いや本当に虫に刺されたんだ!」

 

「ふ、ふふふ」

 

 仲睦まじい姿を見せる彼女たちはカップルのように腕を組む。

 小首を傾げて笑みを見せるひなたと、何かに怯えるような若葉の姿は印象的だ。

 

「それでは、亮之佑さんと東郷さん。今日はお疲れ様でした」

 

「ええ、若葉さんとひなたさんもお疲れ様です」

 

 クスクスと笑い合う二人。

 目を伏せて存在を希薄化させようとする若葉はチラリと此方を見る。

 

「ま、また会おう」

 

「ああ」

 

 生きていたら、そんな言葉が付いているかのような悲壮さを若葉は漂わせる。

 見送りの必要はないと告げるひなたに従い、俺と東郷は彼女たちを見送った。

 去り行く二人の背中を見ること数秒、首元に少女の鼻が当たる。

 

「それじゃあ、私たちも帰ろうか? 亮くん」

 

 

 

 

 

 

 

 するするとズボンが引き下ろされ、ソファへと寝転がされる。

 天を突くように反り立つ剛直が露わになった。

 微笑む東郷は既に衣服を脱ぎ、白く豊かな乳房を見せつける。

 

「──それで若葉さんと、してたんだ」

 

 膝枕。それも少女の生腿が俺の頭部を支える。

 タオルを敷き、その上に座る形で惜しげもなく裸体を見せる東郷は餅のような質感の乳房で俺の顔を抱いた。ふかふか、もちもちとした乳房に顔を挟まれ僅かに息苦しさを覚える。

 

「……正直に言えて偉いね、亮くん」

 

 吸い付くような餅肌、コリコリとした乳頭が顔面を覆う。

 程よい質量が顔面に圧し掛かり、甘い香りと柔らかな乳房に不思議な気分になる。

 

「吸っていいよ?」

 

 授乳。ピンク色の乳首に吸い付く自分を見下ろす彼女は羞恥と母性を混ぜ合わせたような表情を見せる。僅かな汗と甘い女の体臭、それらを嗅ぎながら出ることのない母乳を求める。

 ちゅ、と唇が乳頭に触れる度に東郷は心地よさそうな息を漏らす。

 片方の乳を吸い、もう片方の乳を揉むと頭の下で膝を擦り合わせて身をくねらせる。

 

「ふふ……赤ちゃんみたい」

 

 どこか得意げな表情を見せる東郷の手は怒張を扱く。

 自分の身体で、鉄のように硬くなった怒張を手にすると東郷の目には形容しがたい淫らな笑みが浮かぶ。

 揶揄され、下腹部に血液が集まる中で彼女の指が絡むとピクリと腰が動く。

 

「動いちゃだーめ」

 

 甘い声色で、教育するように指の一本一本が巧みに竿を刺激する。

 竿裏を爪で軽く撫で、雁周りを指の腹で撫でる。自然と漏れる声を抑える為、唇を噛む俺を見下ろす東郷は男の悦ばせる方を分かっていた。

 指だけではない。自らが履いていた生地の薄いショーツが肉竿に巻かれ、手と共に扱かれる。俺好みのリボンやレースの付いた薄青色の布切れに雄汁が染みを作るも、気にする様子はない。

 

「それで? 亮くんは若葉さんとどんなことをしてたの?」

 

 動いてはならない。

 それを分かりやすくしたのが手首の拘束だ。

 何を考えたのか、薄青色のブラジャーを器用に使って手錠のように拘束している。

 

 この程度の拘束は簡単に解ける。

 だが、それをするのは許されないらしい。

 

「前に部室で亮くんが男女の営みに関する漫画を置いていたでしょう? こういう奉仕の方法もあるのね」

 

 それは出来心だった。無垢な少女たちが集う部室。 

 そこにエッチな本を置いたら何が起きるのか。

 数冊ほど置いて、カメラも設置して、最終的には吊るされた出来事を懐かしそうに語る彼女は妖しい光を灯らせた翡翠の瞳を和らげながら、俺の唇に顔を寄せる。

 

「若葉さんとの逢引は楽しかった? そうよね。あんなに格好いい人だもの。亮くんが目を奪われるのも分かるわ。治療だけじゃなくて……一杯、したんでしょう?」

 

「んっ……」

 

「ううん。それは良いの。分かってる。亮くんは優しいから」

 

「……っ!」

 

 薄青の柔らかい下着で肉棒を扱かれながら、キスをする。

 柔らかなキス、唇を甘噛みし、絡ませる舌は情事を上書きするような上手さだ。

 

「私ね、多分、嫉妬してるし怒っているんだと思う。自分勝手でごめんね」

 

 肉体が少しずつ熱を帯びていく。 

 柔らかな少女の掌は慣れた様子で肉棒を扱き、角度や指の動きを変える。

 俺を翻弄するように亀頭を指で押し潰し、擦り、扱かれて吐精へと導かれる。

 

「仕方のないことだって分かっているけど、元の世界よりも許容しないといけないって。でも、やっぱり夫の不貞は見逃せないから……!」

 

「うぐっ! ……ッ、ぁ──」

 

「治療以外で変なことをしないように、またお仕置きしないと」

 

 白く艶めかしい脚から頭を上げることは許されない。

 見上げると質量のある下乳と乳頭、端正な顔という絶景で弄ばれる。

 若さ故の欲望を、他の女への視線を削ぐように、陰嚢を指で撫でて口を塞ぐ。

 

「ん、ぷっ……」

 

 ──若葉は今頃、ひなたとどうしているのだろうか。

 

 一瞬、意識が明後日の方向に向かったことを悟った黒髪の少女が舌の動きを強める。普段と違い強気のキスは舌を絡められながら頬肉や舌裏を味わわれる。

 くちゅくちゅと卑猥な音を口腔に立てながら、肉棒を扱く手に力が籠る。

 

「痕が付くのは嫌? 噛み痕が付くのは嫌?」

 

 東郷は俺の首筋に甘噛みして、皮膚をきつく吸う。

 質問への回答など求めてはいない。ただ、自分をマーキングするだけ。

 卑猥な吸血鬼は、淫魔のごとく精を搾ろうと怒張の扱きの速度を上げていく。

 

「ぐっ! くぅ……!!」

 

 東郷の指は竿を掴み、限りなく膣に近い締め付けを再現していた。

 絶妙な力加減は我慢を許さず、意識を白ませ、果てさせる。

 

 びゅうっと噴き出した白濁は東郷が巻き付けた彼女の下着を汚す。

 染みを作り、そこから溢れる汚濁は彼女の白魚の手をも濡らしていく。

 

「ぁ、あ、……!」

 

 射精が終わるまで、陰茎を東郷は強く握る。 

 ビクッビクッと震える剛直には目を向けず、キスをしながら吐精を受け入れる。

 数秒して、口を離すと、肉棒に巻き付けたショーツを外していく。

 

「うわぁ……凄い出たわね」

 

 クロッチ部分を白濁で汚された自らの下着。

 濡れた瞳で満足そうに俺に告げる東郷。 

 妖しい笑みを浮かべる彼女はそのまま白濁で汚れた怒張に顔を近づける。

 

「気持ちよかった?」

 

「あ、ああ」

 

「そう……」

 

 果てたから終わり。そんな訳が無かった。

 臍へと垂れ下がりかけた怒張、その先端に東郷の唇が触れる。

 俺の腹部に手を置き、鼻息が根本をくすぐり、眼前で乳房が揺れた。

 

「あッ」

 

 女のような声を上げたのは、果てて敏感だった怒張を頬張られたから。

 張り付いた白濁を舌が舐めとり、その刺激に思わず腰を引かせる。やわやわと陰嚢を手で揉みながら頭を前後に動かす彼女は子種を促す。

 

 腰を引かすも、肉棒に追いすがる彼女は何度も何度も顔を動かす。

 さらりとした髪を肩から流し、意識を飛ばした。

 

「あぁっ!」

 

 先ほどの射精、その残りがじゅるるっと音を立てて吸い出された。

 僅かながらも勢いのある子種が彼女の口腔を汚すのが分かった。

 濡羽色の頭を掴むも、東郷は決して雄竿から口を離すことはしない。隅々まで味わい尽くすかのように、舌で先端を弄り回し飽きるまで吸い付く。

 

「ん……おいしい」

 

 こくん、と東郷は嚥下する音を聞かせた。

 極上の料理を口にしたように、熱い吐息をしながら脱力する俺を抱く。

 

「よしよし……」

 

「ハァ、ハァ──、ぁぁ……」

 

「ごちそうさま」

 

「……」

 

 豊満な乳房に顔を沈め、谷間を伝う汗を舐めとる。

 淫靡な芳香は脳裏を白く染め上げ、甘美な刺激が脳を震わせる。

 耳元で囁く甘やかな言葉は、思わず瞼を閉じて余韻に浸らせた。

 

 

 

 

 

「夕ご飯、私が作るからゆっくりしてて」

 

「……ありがとう」

 

 ──別に珍しいことではなかった。

 

 東郷が重い女で、嫉妬しやすいことも。

 園子もふわふわしているが、意外と重いことも。

 友奈も普段は無防備で天然が多いけれど、それなりに嫉妬したりすることも。

  

 治療名目という大義名分など関係ない。

 嫉妬して、そのガス抜きとして玩具のように少女たちに精を搾り取られる。

 それは、この世界に来てから、何度も何度も繰り返されたことだ。

 

「……」

 

 しっとりと濡れた肢体。

 こちらに背を向け、ふるりと揺れる尻肉。

 彼女が手に取るのはアサガオの模様がついた可愛らしいエプロン。いつだったか、この世界で友奈が手縫いで作った渾身のエプロンは彼女のお気に入りだ。

 

 唯一といっていい衣服は全裸姿よりもいやらしい。

 エプロンとリボンだけの姿、横から覗く豊満な乳房は揉んで欲しいとばかりに揺れ動く。

 その姿を見せられて襲わないのは男ではないのだが、今の俺は反省している。

 

「……」

 

 幾度も繰り返されたことだ。

 挑発するようにチラリと流し目で此方を見る東郷の姿も。

 

「……」

 

 素足でペタリペタリと床を歩く少女。

 その後ろ姿を追いかけて、背後から抱き寄せると苦笑と冷たい言葉が返ってくる。

 

「今日はもうおあずけよ」

 

「……」

 

「駄目、だから……っ、ひぁん!」

 

 ぎゅむ、とエプロンごと乳房を揉む。

 独特の弾力のある尻肉に肉棒を突っ込みながら、怒っていますという雰囲気を見せる彼女にキスを迫る。顔を背ける少女の頬を突き、顎を持ち上げて唇を奪う。

 

「りょうく……ん」

 

「……」

 

「……離して。離しなさい」

 

 怒りを滲ませる東郷の唇は変わらず柔らかい。

 腰に回した腕に力を籠めると、困ったように呻く彼女は脱力する。

 

「……もう」

 

 仕方ない男だ、そんな表情で東郷は口づけを返してきた。

 くるりと俺と向き合うように身体を回すと、僅かに背を伸ばして唇を交わらせる。

 

 熱い吐息には諦観と喜悦と期待が混じり、白い顔が紅潮して──、

  

「東郷さーん! 園ちゃんからプレゼントが……って!? あ、ごめんね。お邪魔だったかな」

 

「ゆ、友奈ちゃん!? ち、違うの。これは──」

 

 

 

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