朝食の時間。俺は生徒たちの間で人気のバイキングレストランで朝食を取っていた。みんなはビュッフェというけれど、言い辛いので俺はバイキングレストランと言っている。
同じテーブルには鈴音と愛里がいる。俺の左隣に鈴音が座り、真正面に愛里が座っている。
なぜこのお店で朝食を取っているかというと、龍園と接触しないためだ。原作だと『ブルーオーシャン』というカフェで鈴音と綾小路が龍園に絡まれていたので、こっちのお店を選択した。決して朝からハンバーグが食べたかったわけじゃない。
「歩夢くん、野菜も食べないと駄目よ」
俺の皿を見た鈴音が小言を言う。
「朝から野菜食べると身体に悪いんだ」
「そうなのっ!?」
「佐倉さん、騙されないで。彼の嘘に決まってるでしょ」
「嘘なんだ……」
愛里は騙されやすい性格だな。
今度性知識で嘘をついてみよう。
「歩夢くん、聞いているの?」
「わかったよ。野菜も食べるから」
俺はため息をつきながら、席を立った。
野菜が並ばれているところに行くと、健康志向が高そうな生徒たちが笑顔で野菜を皿に盛りつけていた。
(こいつら味覚がおかしいんじゃないか)
そういえば野菜専門のバイキングもあるらしい。
野菜嫌いの俺からしたら狂気の沙汰だ。
「歩夢くん、おはようっ」
背後から聞き慣れた声がした。
「帆波か。おはようさん」
「今日はこっちで朝食なんだね」
「ああ」
『ブルーオーシャン』だと龍園が来ちゃうからね。
「今日から特別試験が始まるね」
「そうだな」
「私と一緒のグループなの知ってる?」
「知ってるよ。よろしくな」
「こちらこそだよ」
「俺はてっきり帆波は竜グループだと思ったよ」
昨晩に平田から全グループのメンバーを教えてもらった。
エース格が集まる竜グループのメンバーは鈴音以外は原作通りだったと思う。
その鈴音の代わりだが、なんと―――――綾小路だった。
このグループに組み込まれたことから、綾小路が茶柱先生に脅迫されたのは明らかだ。
「買いかぶりすぎだよ。それに私は兎グループでよかったと思ってるよ」
「俺と一緒だから?」
「うん」
顔を赤くしながら帆波が答えた。
淫乱な帆波もいいけど、初心な感じの帆波もたまらない。
「たとえ特別試験でも、歩夢くんと一緒にいれるから嬉しい」
「そっか。俺も嬉しいぞ」
「一緒だねっ」
「そうだな」
もう少し帆波と話していたいが、周りの視線がきつくなってきたので、俺は席に戻ることにした。
結局朝食の時間に龍園に絡まれることはなかった。
俺の選択は正しかったのだ。
☆☆☆
午後一時になり、一回目のグループディスカッションが始まった。
原作と同じく椅子が円のように並ばれており、俺の左隣が軽井沢、右隣が鈴音となっている。愛里は鈴音の右隣だ。
鈴音と愛里が両隣になるよう座ろうとしたところ、軽井沢に腕を引っ張られ、強引に彼女の隣に座らされてしまった。
どうやら俺は原作でいう町田ポジションになりそうだ。
「はいちゅうもーく。大体の名前はわかってるけど、学校からの指示もあったことだし、自己紹介はしたほうがいいと思うな。初めて顔を合わせる人もいるだろうし」
帆波が立ち上がって仕切り始めた。
帆波がリーダーっぽいことしてるのを見るのは、合同勉強会以来だ。
凛々しい彼女の姿を見てると、とても失禁しながらセックスする少女と同一人物だと思えない。
帆波の提案に、Aクラスの町田が不満を言っていたが、結局、全員自己紹介をすることになった。
その後も原作通りの展開が続いた。
帆波がグループ全員で結果1を追い求めないかと提案したり、町田がAクラスは全員沈黙を貫くと宣言したり、帆波がそのAクラスの狙いを言い当てたりした。
「なんかだるいね」
帆波と町田のやり取りを見ながら、軽井沢が呟いた。
「無人島と違って冷房が効いてるだけマシだろ」
「そうなんだけどさ……。じっとしてるの苦手なんだよね」
「俺もだ」
次回から暇つぶし用に持参したラノベを持ち込もうかな。
でもブックカバーがないから、周りの人たちに引かれちゃうかも。
「ねえ歩夢くん」
「どうした鈴音」
「話し合いが終わったら、ダーツでも行かない?」
「いいけど……鈴音から誘うなんて珍しいな」
鈴音が娯楽施設に俺を誘うのは初めてかもしれない。プールも俺が誘ったし、俺と遊ぶ時以外は部屋でずっと読書してるようだし。
「たまにはね」
「えー、いいな。あたしも行っていい?」
俺と鈴音の話を聞いていた軽井沢が、参加を希望してきた。
「なぜあなたと一緒に遊ばないといけないのかしら?」
「クラスメイトなんだからいいじゃん」
「別に同じクラスだからといって、遊ぶ道理はないと思うのだけれど」
「平田くんも誘うからさ。ダブルデートなんてどう?」
「だ、ダブルデート……」
デートという単語を聞いて、鈴音の反応が変わった。
「……仕方ないわね。今回だけよ」
「堀北さん、ありがとう。上里くんも一緒に楽しもうねっ」
「あ、ああ……」
チョロイ。チョロ過ぎるぞ鈴音……。
そんなに俺とデートしたかったのか。
「あう……」
そんな俺たちの様子を見て、愛里が落ち込んでいる。
昔の愛里ならそのまま諦めていただろうが、この世界線の愛里は違う。
「あ、歩夢くんっ!」
「どうした?」
「今日の夕食二人で食べようっ!」
「……いいぞ」
「あ、ありがとっ」
大勢の前で異性を食事に誘うなんて、昔や原作の愛里ならできないことだ。
すっかり成長しちゃって……。
「歩夢くんたちもお喋りしてないで、話し合いに参加して欲しいんだけどっ」
いつの間にか町田との話が終わったようで、帆波が咎めるように言ってきた。
「悪い」
「申し訳ないわね」
「ご、ごめんなさい……」
「ごめんねー」
Dクラス全員で謝罪をするが、申し訳なさを感じられるのは愛里一人だけだった。
(そろそろ真鍋が軽井沢に絡んでくる時間だがどうなんだろう)
原作だと帆波と町田の話が終わるタイミングで、真鍋が軽井沢に話しかけていた。
この世界の軽井沢は原作より尖ってないようなので、他クラスの生徒と問題は起こしてないように見えるが。
「ねえ軽井沢さんだっけ。ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
真鍋が軽井沢に話しかけた。
どうやらこれも原作通りに進むようだ。
「なに」
「私の勘違いじゃなかったらなんだけど……もしかして夏休み前にリカと揉めた?」
「なにそれ、リカって誰よ」
「私たちと同じクラスの子でメガネかけてるんだけど。お団子頭の。覚えない?」
「お団子頭なんて生徒会書記の人しかわかんないんだけど」
さすが橘先輩。
後輩にお団子頭のイメージが定着してますよ。
「私たちリカに聞いたんだよね。Dクラスの軽井沢って子に、食堂で割り込まれて足を踏まれたって」
「……知らないし。それがあたしだって証拠あるわけ?」
「それを確認してるの。もし軽井沢さんならリカに謝ってほしいの。リカって全部自分で抱えちゃうタイプだから私たちがなんとかしてあげないといけないから」
今思うと余計なお世話だと思う。
そういえば8巻で真鍋だけイラストなかったな。
「面倒くさっ」
軽井沢のぼやきを聞いた真鍋が苛立ったように軽井沢に携帯のカメラを向ける。
「リカに確認してもらうけどいい? いいよね、軽井沢さんじゃないなら問題ないでしょ」
「ちょっとやめてくんないっ!?」
「いいでしょ」
「嫌だってば……。上里くんもなんか言ってよ」
ここで俺にくるのかよ……。
しかも両手で俺の袖を引っ張ってるし。
軽井沢が密着したせいで、鈴音と愛里と帆波と伊吹からの視線が痛い。
「あー……写真を撮るなら事務所通してからにしてくれない?」
「は……?」
「この子うちの大事な商品なんで」
「何言ってんの。それに上里くんには関係ないでしょ」
やっぱり通じなかったか。
隣の軽井沢を見ると呆れた顔をしていた。
お前のために頑張ってるのにそんな顔するんじゃないよ。
ひん剥いて古傷晒してやるぞ。
「俺が関係ないなら真鍋も関係ないだろ」
「なんでよ。私たちはリカの友達なんだから関係あるに決まってるじゃない」
「なら俺も軽井沢の友達だから関係あるな」
「くっ……」
女子って口強いイメージだったけど、真鍋は弱いな。
これならこのまま勝てそうだ。
「そもそもリカって子は、軽井沢からの謝罪を求めてるのか?」
「え」
「本当は真鍋たちが盛り上がってるだけじゃないのか」
「そ、それは……」
「こういうのはまず本人が何を望んでいるのかが大切なんだぞ。周りが勝手に物事を進めるのが一番よくない」
確か3月のライオンでそんなことを言っていたような気がする。
「とりあえずこの話はこれでおしまいだな。帆波、話を再開していいぞ」
「え、う、うん……!」
きまったな。
華麗に真鍋を論破してやったぜ。
「上里くん」
軽井沢が俺の裾を掴んで話しかけてきた。
「どうした?」
「あ、ありがと」
「ああ」
乙女な顔をした軽井沢が、すぐにそっぽを向いてしまう。
やべえ、可愛すぎだろ。
一時間が経過した。アナウンスが流れて解散可能な状態となった。
結局話にまとまりが生まれることはなかった。
「それじゃ後は好きにやってくれ」
Aクラスの面々が固まって部屋を後にした。
「一応、話し合いの場はあと五回作れるし、ひとまず今回は解散しよっか」
帆波がさっぱりした声でそう言った。
直後にCクラスの生徒たちが部屋を後にする。
部屋を出る際の真鍋の苦虫を噛み潰したよう顔が印象的だった。
(俺も帰るか。最後までクールに決めるか)
華麗に立ち上がり、ドアに向かう。
「あ、上里くん、待って。あっ」
慌てて立ち上がる軽井沢だが、座っていた時に足が痺れたのか前のめりになる。
「がっ……!」
倒れるのを防ごうとしたため、ふらついた軽井沢の頭が俺の顎に勢いよくヒットした。
脳が揺れて、身体が動かなくなり、立てなくなってしまう。
「ご、ごめんっ! 大丈夫っ!?」
軽井沢が謝りながら崩れ落ちる俺を支えた。
「か、身体が動かない……」
「え、マジっ!? ど、どうしよう……」
「軽井沢さん、落ち着いて。一時的に動けなくなってるだけよ」
武道を嗜んでいただけあって鈴音は冷静だった。
「そ、そうなの……?」
「ええ。だから後は私に任せなさい」
「わ、私も肩貸すよっ!」
「念のため保健室に連れてった方がいいんじゃない?」
鈴音に続いて、愛里と帆波も駆け寄ってきた。
情けないところを見せてしまったが、これもこれで悪くない。
俺は美少女四人に付き添われて保健室に向かった。
☆☆☆
「ん……んちゅ……んんっ……」
その日の午後十時。今日も俺は伊吹を非常階段に呼び出し、彼女の唇を貪っていた。
「んはぁ……んむっ……ちゅっ……」
すっかりキスに慣れた伊吹が、俺の舌を愛おしそうに自身の舌で絡めてくる。
上の口だけでもいやらしい水音が聞こえる。
「んぁ……あっ……だめだってば……」
「誰も来ないから大丈夫だろ」
スカートの中に手を突っ込み、伊吹の小ぶりなお尻を左手だけで揉みしだく。
(本当は右手も使いたいけど、さすがにここでセックスはリスクが高すぎる)
お尻を揉んでいる指に力を入れるたびに、伊吹が淫らな声をあげる。
さらに唇を離すと、前のめりになって口づけを求めてくる。
今の伊吹を表すなら、接吻中毒といっても過言じゃないだろう。
「あむぅ……ちゅぅ……ぢゅる……」
「んむぅ……んっ……」
グループディスカッションの時の不愛想な伊吹とは違う。
完全に牝の顔になってしまってる彼女を堪能しながら、唇と尻を貪る。
「ぷはっ……は、激しすぎ……だってば……」
「それは伊吹もだろ」
「ち、ちがっ……わ、私は……」
実際に壁に追いやられてるのは俺だ。
伊吹は俺に身を預けて、されるがままになっている。
「何が違うんだ?」
「あっ……あんっ……つ、強いっ……!」
本来はキスまでという約束だったが、尻を揉まれても拒絶しない。
今の発言だって、もう少し優しく揉んでほしいって意味だろう。
「悪い。もう少し優しくだな」
「……そ、そうよ……。私だって女の子なんだから……もう少し優しく……」
「十分優しくしてるつもりなんだけど」
「それは知ってるけど……はぁんっ!?」
左手をお尻から股間に移動させる。
そして下着越しに人差し指と中指で陰部を擦りつける。
「ちょっ……ど、どこ触って……ひゃひぃっ!」
「嫌だったら拒絶していいんだぞ」
徐々に愛液が下着に染み込んでいるのが指先から伝わってくる。
「い、嫌じゃない……けど……人が……来た……らぁ……あぁぁんっ!」
「伊吹が声上げるのを我慢すれば大丈夫だぞ」
「そ、そんな……んくっ……んん……むぁっ……!」
俺がそう言うと、伊吹は歯を食いしばって嬌声をあげるのを我慢し始めた。
健気な彼女を見て、指の動きが激しくなってしまう。
「んん゛っ! あふぅ……やぁ……ひゃぁ……っ!」
「イっていいぞ」
「ふぁ……ひぃんっ! んぁぁぁぁんっ!」
「ほらイけっ!」
伊吹の両脚がガクガク震え始めた。
絶頂寸前のところで、絶頂するよう命令する。
「はぁぁぁぁ――――むぐうううぅぅぅっ!」
大声を出しそうだったので、口づけで彼女の口を物理的に塞いだ。
股間からは下着を伝わって、愛液が垂れ始めている。
伊吹は口づけをされながら、絶頂の余韻に浸っていた。
伊吹が絶頂してから5分。
彼女は不機嫌な表情で、非常階段に腰を下ろしていた。
「そんな怒るなよ」
「別に怒ってないっ!」
「いや怒ってるだろ」
キスまでの約束だったのに、手マンまでされて、絶頂させられたのだ。
伊吹が怒るのも仕方ない。
「……やりすぎだから」
「やっぱ怒ってるじゃん」
「呆れてるだけだから」
「なにに?」
「あんたの性欲に」
「いや、本番してないから性欲満たせてないし」
あくまで伊吹を気持ちよくしただけだ。
俺はそんな彼女を見て興奮したが、性欲を満たしたわけじゃない。
「ほ、本番なんて出来るわけないでしょっ!?」
「そうなんだよな。……どっかいい場所知らない?」
「私に聞かれても知らないに決まってるでしょ」
「だよな……」
早くピストンされて喘いでる伊吹が見たいんだけど。
そんなことを言ったら、顔を真っ赤にした伊吹に蹴られてしまった。
(今日はやたらと美少女にダメージを与えられるな)
そんなことを思いながら、彼女の蹴りを数発受けた後に、再び伊吹の唇と尻を堪能した。
二人が部屋に戻ったのは日付が変わったころだった。
軽井沢とやるなら古傷上書きプレイですね!