※この作品はR-18です。

ようこそ発情ヒロインがいる教室へ   作:御米粒

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原作5巻分終わりです!


58話 櫛田桔梗の怒り

 借り物競争が終了し、推薦競技2種目めの四方綱引きが開始した。

 原作と違い、須藤がさぼっていないのでベストメンバーで挑んだ我らCクラスは2位の結果を出した。綾小路が本気を出せば1位を取れただろうが、実力を隠したまま体育祭を終えることになりそうだ。

 競技が終わり、クラスの元に戻る際に須藤が龍園に絡まれていた。遠くにいたので聞こえなかったが、恐らく挑発されたのだろう。原作の須藤なら激おこぷんぷん丸になっただろうが、メントレしまくっている須藤に龍園の挑発は効かなかった。

 

「次はいよいよ男女混合二人三脚ね」

 

 鈴音が鼻息を荒くして準備に取り掛かる。

 

「目指すは1位のみよ」

「あいよ。……それよりグラウンドに入る前に足を結ぶ必要はないんじゃないか?」

「これは一秒でも長く足を結んで連携を高めるためよ」

「そ、そうか……」

 

 ならさっきからおっぱいを押し当ててるのも連携を高めるためなのだろうか。

 

「行きましょう、歩夢くん」

「ああ」

 

 男女混合二人三脚に参加する生徒たちがグラウンドに集まる。

 Bクラスを見ると、帆波の姿はなかった。原作では柴田と組んでいたのでどうなるかと思ったがひと安心。

 

「歩夢くん、約束は覚えてるわよね?」

「全種目1位だったらご褒美だろ」

「ええ。今のところ全部1位よ」

「知ってる」

「個人種目は終わったけれど、この男女混合二人三脚もカウントしていいわ」

「いいのか?」

「ええ。だって私たちが負けるはずないもの」

 

 凄い自信だな。確かに俺たちは練習で負け知らずだったけど。

 

「油断は大敵だぞ」

「油断も過信もしてないわ。これは確信よ」

 

 転生してから鈴音が一番カッコよく見える。

 

「そっか。……そろそろ俺たちの番だ」

「ええ。勝つわよ」

「ああ」

 

 今思うとこれが学校のイベントでの俺と鈴音の初めての共同作業になる。

 スタートの合図が鳴ると、俺たちは息の合った走りで、どんどん他のペアを突き放していった。途中で鈴音が俺の腕におっぱいを擦りつけて喘ぐトラブルはあったが、2位以下に大差をつけて1位でゴールをした。

 

「鈴音、あのな……」

 

 右手で触れてないのに競技中に発情した鈴音に呆れる俺。

 

「ご、ごめんなさい……。歩夢くんと密着してたら興奮してしまって……」

「本当、鈴音って変態だな」

「自覚はあるわ」

「いや、そんな凛々しい顔で言われても」

 

 俺のセフレが変態で堂々としている件。

 

「ま、1位でゴール出来たからいいけど」

「やはり私たちの圧勝だったわね」

「そうだな」

 

 結局、男女混合二人三脚で1位を取れたCクラスの生徒は俺と鈴音ペアのみだった。

 点数計算をしてないのでわからないが、学年順位は拮抗してるかもしれない。

 

 

☆☆☆

 

 

 後半戦の最後、この体育祭を締めくくる1200メートルリレーが始まろうとしていた。

 この競技は上級生も入り混じるので、堀北会長と南雲パイセンに絡まれないように気をつけなければならない。

 

(二人は原作と同じ順番かな)

 

 俺は1番手なので上級生二人に絡まれることはなさそうだ。ちなみにCクラスの順番は俺、平田、鈴音、櫛田、小野寺、須藤の順だ。

 

(あれ? 綾小路がリレー出ないと佐藤のフラグ立たなくなるんじゃないか?)

 

 佐藤が綾小路に惚れたきっかけはリレーの活躍を見たからだ。つまりリレーを走らないと佐藤が綾小路に惚れることがなくなる。

 

(でもフラれてたからいいか)

 

 一時期は佐藤の人気が上昇するかと思ったが、8巻と9巻では出番がほぼなかった。10巻以降に出番があるかもしれないが、死んでしまった俺にそれを確認するすべはない。

 

「上里くん任せたよ!」

 

 そう叫ぶ平田に合わせて櫛田たちも黄色い声援をコースに入る俺に飛ばす。1年生は若干有利に出来てるようで、Dクラスが最も内側で、3年のAクラスが一番外側だ。Cクラスは内側から2番目だった。

 また、3年生は女子が3人もいるので、スタートの優位性は圧倒的だと思われる。

 白組としての勝利はほぼ絶望的だが、せめて学年順位で1位を取りたい。

 陣営を見ると愛里、恵、長谷部が心配そうな顔で見ている。

 

(これがマラソンなら1位になれると断言できるんだけどな)

 

 マラソンは年明けの合宿まで我慢しよう。今はリレーに集中だ。

 気持ちを切り替えスタートに備える。

 そして最後の種目である1200メートルリレーが始まった。

 俺はスタートを告げる音と共に、好スタートを切る。一歩目から他の生徒を出し抜き、混戦に巻き込まれ位置取りに苦労する生徒たちをどんどん突き放していく。

 運も味方したことにより、2位に10メートル以上の差をつけて、バトンを平田に託す。

 

「後はよろしく」

 

 俺からバトンを受け取った平田は1位をキープしたまま、第3走者の鈴音にバトンを繋げる。ここから他クラスの逆襲が始まり、鈴音は1位のまま櫛田にバトンを回すもリードは明らかに詰められていた。

 

「お疲れさん」

「はぁはぁ……え、ええ……」

 

 息切れする鈴音を労う。

 

「1位をキープしたまま繋いだんだ。凄いじゃないか」

「あ、ありがとう……」

 

 これなら原作より上の順位でゴール出来るかもしれない。

 櫛田を見ると、真面目に走ってるようで、巨乳を揺らしながら小野寺にバトンを繋ぐ。この時点でリードはほぼなくなり、直後に上級生の男子に抜き去られてしまった。

 

(後は須藤がどれだけ頑張れるかだな)

 

 とうとうアンカーの須藤にバトンが回る。5番手でバトンを受け取った須藤は一気に加速して、リードを許す他クラスの生徒にプレッシャーを与える。

 

「須藤くん、頑張ってー!」

 

 陣営から珍しく須藤に黄色い声援が飛ぶ。そのおかげか、須藤がさらに加速したように見えた。

 もしかしたら原作の綾小路並に速いんじゃないか。

 そう思わせるくらい須藤の走りは圧倒的だった。

 

 

☆☆☆

 

 

「お疲れ様」

 

 競技を終えて戻ると恵が、労ってきた。

 

「俺じゃなくて平田を労った方がいいんじゃないか?」

「洋介くんはみんなに囲まれてるから」

 

 恵が指さした方を見ると、大勢の女子に囲まれた平田の姿が目に入った。

 彼女がいるのにあの人気ぶり。さすが聖人平田である。

 

「でも一応彼女だろ」

「別にいいし。それでどうなの?」

「なにが?」

「学年で1位は取れそうなわけ?」

「わからない。俺もポイントの計算なんてしてないからな」

「あ、っそ」

 

 自分から訊いておいて、そのそっけない返しはどうなのか。

 

「用件はそれだけか?」

「そうだけど。……用件がないと話しかけちゃいけないわけ?」

「そんなこと言ってないだろ」

「そういう風に聞こえた」

 

 恵が面倒くさくなってる件。

 

「悪かったよ。レースで疲れてるからそっけなくしてしまった」

「あ、そっか……。ごめん……」

 

 素直に謝る恵。根はいい子なんだよな。ちなみに疲れてるのは嘘。これくらいで疲れるやわな俺じゃないんだよね。

 

「あたし、洋介くんのところ行ってくるから」

「あいよ」

 

 わざわざ言わなくてもいいんだけどね。

 

「歩夢くん、お疲れ様っ」

 

 恵に続いて、愛里が話しかけてきた。恵がいなくなるのを待ってたんだろう。

 

「ありがとう。愛里もお疲れ様」

「う、うん。……怪我とかしてない?」

「大丈夫だぞ」

「そっか。ならよかった」

 

 満面の笑みを浮かべる愛里。

 見る者を魅了するその笑顔に癒される。

 

「あ、そろそろ結果が発表されるみたいだよ」

「それじゃ行くか」

 

 愛里と、いつの間にか背後にいた鈴音と三人で電光掲示板に向かう。

 閉会式と共に、結果が発表される運びとなっている。

 

「……負けちゃったね」

 

 結果は赤組の勝利。これはわかっていたことなので驚きは特にない。

 

「肝心なのは学年順位ね」

「鈴音の言う通りだな」

 

 その肝心なクラス別総合得点と順位が電光掲示板に表示された。

 

 1位 1年Bクラス

 2位 1年Cクラス

 3位 1年Dクラス

 4位 1年Aクラス

 

「1位は取れなかったか……」

 

 総合力で上回るBクラスに軍配が上がった。やはり一人欠席者(高円寺)を出してしまったのが痛かった。

 またクラスポイントも白組が負けてしまったため100ポイントも引かれることになる。

 Bクラスに上がるのは次回に持ち越しだ。

 

「ま、こんなもんか」

「そうね。私たちはよくやったわ」

「みんなよくやったと思うぞ」

 

 本気の綾小路と高円寺を抜いてこの順位だ。十二分に誇っていいだろう。茶柱先生も満足してくれてると思う。

 結果が分かったので、元の場所に戻ろうとしたところ、鈴音に腕を掴まれる。

 

「まだ学年別最優秀選手の発表が残ってるわ」

「あ、そうだった」

 

 すっかり忘れてた。

 どうせ柴田だろうけど、淡い期待を抱き結果発表を待つ。

 

 1年最優秀賞 Cクラス 上里歩夢

 

 予想外の結果が発表された。

 

「ありゃ」

「歩夢くん、おめでとう」

「おめでとうっ」

「あ、ありがと……」

 

 鈴音、愛里が祝福してくれる。てっきり柴田だと思っていたので、驚きが隠せない。

 

「柴田くんは2位の競技が2つあったからね。個人種目が全部1位の上里くんの方がポイントが高かったんだね」

 

 平田が俺の疑問を解消した。

 何も言ってないのに、よくわかったな。

 

「そういうことか」

「上里くん、おめでとう」

「ありがとさん」

 

 その後、クラスメイトに次々と祝福された。俺を嫌ってそうな男子も祝福してきたが、きっとボーナスポイント目当てだろう。もちろんそいつらに奢るつもりはない。

 

 

☆☆☆

 

 

「上里くん、おめでとうございます」

「ありがとう、椎名」

 

 その日の夜。俺は椎名と寮の屋上で密会していた。

 どうやら学年別最優秀選手に選ばれた俺を祝いたかったようで、一時間前に連絡があったのだ。

 

「これで本がたくさん買えますね」

「そ、そうだな……」

 

 学年別最優秀選手に選ばれたことにより、1万プライベートポイントが付与されている。

 

「羨ましいです。私は全種目7位以下だったので……」

「あー、椎名は運動が苦手だからな」

 

 確か最下位になると1000プライベートポイントが没収されるはず。椎名のポイントは大丈夫だろうか。

 

「おかげで3000ポイントを失うことになりました……」

 

 3つも最下位を取ってたよ……。

 

「そ、そっか……。残念だったな」

「はい。3000ポイントあれば、小説が4冊は買えましたし……」

 

 どこまでも小説基準なんだなこの子は。

 

「でも過ぎたことを気にしても仕方ありません。次回以降の特別試験で頑張ることにします」

「学力の試験なら余裕だろ」

「余裕ではありませんが、自信はあります」

「それならまずは中間テストだな」

 

 二週間後には中間テストが始まる。俺は通常の勉強会以外に、三宅に個人で勉強を教えなければならない。以前、協力してもらったのでその対価だ。

 

「そうですね。お互いに頑張りましょう」

「ああ」

「中間テストが終わったら、また面白いアニメを教えて下さいね」

「もちろんだ」

 

 30分ほど談笑して、椎名と別れた俺が部屋に戻ると玄関ドアの前で座り込んでる美少女がいた。

 

「あ、やっと帰ってきた」

 

 櫛田桔梗。綾小路の協力者でクラスの裏切者だ。さらに俺が暗躍していることを龍園にリークしたクソアマである。

 

「どこ行ってたの? メッセージ送ったのに返信もないし」

「スマホを部屋に置き忘れたんだよ」

 

 嘘である。本当はサイレントにしていて通知に気づかなかっただけだ。

 

「もしかして最近仲良くしてる長谷部さんと会ってきたのかな?」

「どうだろうな」

「私とも仲良くしてくれると嬉しいんだけどなー」

 

 魅惑の笑みを浮かべてすり寄ってくる櫛田。

 池や山内ならともかくこれくらいで俺が照れると思うなよ。

 

「それは櫛田次第だな」

「つまり身体を差し出せば仲良くしてくれるってことかな?」

「いや、裏切りを止めればって意味だよ。何なの? 欲求不満なの?」

「ち、違うよっ!」

 

 櫛田が慌てて否定する。原作1巻でも綾小路にビッチと言われてマジ切れしてたし、櫛田は思ったよりエロに耐性がないのかもしれない。

 

「それより何の用だよ? 綾小路の部屋に行った帰りか?」

「綾小路くんは関係ないよ。上里くんに用があってきたの」

「そうか。なら部屋入るか?」

「入れてくれるの?」

「拒否しても、どうせこの前みたいに無理やり上がり込むんだろ」

「そうだね」

 

 俺は肯定した櫛田を部屋に上がらせ、客用のクッションに座らせた。

 櫛田は薄めのパーカーにショートパンツと生足を惜しげもなく晒している。

 

「あ、そうだ。学年別最優秀選手に選ばれたんだよね。おめでとう」

「どうも」

 

 櫛田のような美少女に祝ってもらうのはありがたいことだが、椎名に祝ってもらった時の方が100倍嬉しかった。

 

「それで俺に用って?」

「うん、そろそろ龍園くんに見切りをつけようと思って」

「鈴音を退学させるのを諦めたってことか?」

「諦めてはないよ。龍園くんを見限るだけ」

 

 原作では6巻まで櫛田は龍園に協力していたが、体育祭で見切りをつけたのだろうか。

 

「ただ後一回。後一回だけ龍園くんに協力する。それでだめだったら違う方法を考える」

「……なんで俺に教えるんだ?」

「上里くんの実力を見極めたいからかな?」

「なんで疑問形なんだよ。それに俺の実力を測りたいなら言わない方がよかったと思うんだが」

「それはね……上里くんに信用されたいからだよ」

 

 四つん這いになり谷間を見せながら櫛田が言った。

 

「裏切り者のくせに信用されたいとか……矛盾しすぎだろ」

「あはは、そうかもね」

「それに俺に媚びを売っても、櫛田に協力することはあり得ないぞ」

「知ってる。上里くんは堀北さんのこと大好きだもんね」

 

 大好きなんだろうな。転生してから初めて抱いたヒロインだし、鈴音とならずっと一緒にいてもいいと思ってる。他のヒロインにも思ってるんだが……。

 

「堀北さんだけじゃないよね。佐倉さん、帆波ちゃん、長谷部さんもそうかな」

「……どうだろうな」

「ほんと、上里くんって女たらしだよね」

「俺に信用されたいんじゃないの? なんで俺をディスってるの?」

 

 女たらしなのは認めるが、裏切者には言われたくない。

 

「ディスってるわけじゃないよ。褒めてるんだよ」

「本当かよ」

「本当だよ。……だから私のことも好きになってほしいな」

 

 パーカーのチャックを下ろして、より谷間を強調する櫛田。オレンジのブラも見えており、思春期の男子なら押し倒しても仕方ない状況だ。

 

「あのさ、俺に色仕掛けは通用しないぞ。櫛田より素敵な女の子に囲まれてるし」

「……なにそれ? 私が堀北さんより下だって言いたいの?」

 

 一瞬で闇櫛田にチェンジした。さっきまでの天使のような微笑みは何処に。

 

「だとしたら?」

「上里くんは女を見る目がないね。あんな女より私の方がいいに決まってるよ」

 

 徐々に櫛田の本性が露わになっていく。

 このまま彼女のプライドを傷つけてみよう。

 

「ふーん。おっと、鈴音からメッセージだ」

「っ……」

「それで、櫛田が鈴音に勝ってるところってなんだ?」

 

 スマホを弄りながら問う。

 

「全部に決まってるじゃん」

「そうか? 櫛田が鈴音に勝ってる部分って胸の大きさくらいじゃないか?」

「っ……!?」

 

 ただその胸の大きさも愛里、帆波、長谷部には適わない。

 そういえば櫛田は一番になれなかったから、承認欲求を満たすことに依存したんだった。

 

「ま、胸も櫛田より大きい生徒は沢山いるからな」

「だ、だから……?」

「つまり櫛田は美少女だけど、一番可愛いってわけじゃないってことだ」

 

 直後に、櫛田が殴りかかってきた。

 

「おっと」

「くっ、この……っ!」

 

 喧嘩の経験がない俺だが、女子のパンチくらいは軽くいなせる。

 俺は櫛田の右腕を左手で掴んで離さない。

 

「暴力はよくないぞ。それに今どき暴力系ヒロインは流行らない」

「うるさいっ! アンタが私を馬鹿にするからっ……!」

「馬鹿にはしてない。事実を言っただけだ」

「だからそれがムカつくって言ってるのっ!」

 

 俺が言葉を放つたびに、櫛田の自尊心が傷つけられていく。

 

「そう怒るなよ。そこそこ可愛い顔が台無しだぞ」

「~~~~~~っ!」

「ほら、笑って笑って」

 

 怒りがマックスに達してる櫛田を撮影する。―――していた。

 

「ちょっ、何してるの!? 撮らないでっ!」

「もう保存しちゃった」

「消して……!」

「嫌だ」

「このっ……!」

 

 ヒロインのアヘ顔コレクションとは別のフォルダに保存しなければ。

 アヘ顔見ていて、いきなり怒り顔が表示されたら萎えちゃいそうだ。

 

「落ち着けよ。別にこれを使って脅すつもりはない」

「なに脅すって? 私が怒ってるところを撮影した写真か動画くらいで脅せると思ってるの?」

「確かにそれじゃ脅しには使えないな。だが櫛田が自分が裏切者だと自白してる動画ならどう思う?」

「…………え?」

 

 櫛田の顔が赤から青に一気に染まった。

 

「そんなのありえない……。上里くんは、部屋に入ってからスマホをすぐに弄ってなかったはず……」

「いや、俺はすぐに弄ったぞ」

「だ、だって……スマホを部屋に置き忘れたんだよね……?」

「あれは嘘だ」

「う、嘘……?」

「返信が面倒くさいから無視してたと言ったら怒られそうだったから。スマホはずっとポケットに入ってた」

「っ……」

 

 まさかこんなに上手くいくとはね。

 櫛田相手に何かいい材料が手に入ればと思い、櫛田を部屋に上げてすぐにスマホの動画アプリを起動した。会話の部分はスマホをフローリングに置いていたので音声のみとなるが十分だろう。

 それに櫛田を怒らせたのも作戦が上手くいった要因の一つだ。

 普段の櫛田なら、自身の怒ってる姿など撮影させる隙を与えなかったはず。

 

「そんなこの世の終わりみたいな顔するなって。クラスメイトにばらすつもりはない」

「……何が目的なの?」

「鈴音を退学させるのを諦めろ。それだけ約束してくれればいい」

「……無理って言ったら?」

「櫛田が言うわけないよな。今まで築き上げたクラスメイトからの信頼を失うのと、鈴音がいる恐怖と不安に耐えること。どっちを選ぶか自分でもわかってるだろ」

「…………わかった。堀北さんを退学させるのは諦める」

「言質取ったぞ」

 

 綾小路は、櫛田が俺たちに勝てるわけがないので安心しろって言ってたけど、何が起きるかわからないからな。

 綾小路だって、いつ俺を見限るかわからない。

 保険は多いに越したことはないのだ。

 

「最悪」

「そう言うなよ。それと嘘ついてごめんな」

「嘘って……?」

「櫛田がそこそこ可愛いって言ったことだよ。本当は超可愛いと思ってるから」

「なっ……!?」

 

 櫛田が腹黒ヒロインじゃなければ、とっくに発情送り(ハートリジェクター)を使って抱いていたはずだ。

 

「それにエロい身体してるよな。さっきの谷間アピールは最高だった」

「へ、変態っ!」

 

 櫛田が肩にパンチして来た。

 油断していたのでモロに喰らってしまう。

 

「痛い……」

「馬鹿なことを言うからだよっ!」

「なんで怒るんだよ……。褒めてるだろうが……」

「そんな褒め方されても嬉しくないよっ!」

「でも事実だから仕方ないだろ。それに櫛田はとあるランキングで1位なんだぞ」

「ランキングって……?」

「1年男子のオナペットランキングで1位なんだって」

 

 1学期の中間テスト前に、池と山内から聞いたことがある。2位は帆波、3位が長谷部だった。

 

「お、オナペットって……」

「よかったな、お前がナンバーワンだ」

「……」

「ちなみに鈴音は9位。櫛田の圧勝だ」

 

 大嫌いな鈴音に勝ったんだ。これで櫛田の心も少しは晴れたんじゃないだろうか。

 

「1位がキープできるよう俺も応援してるぞ」

「~~~~~っ!」

 

 おかしい。櫛田が再びお怒りになってらっしゃる。

 

「し……死ねっ……!!」

「ぶふっ!?」

 

 櫛田が俺の顔面にクッションをぶん投げてきた。

 

「いたた……」

「もう帰るからっ……!」

 

 憤怒の化身なった櫛田は乱暴にドアを開けて部屋を後にした。

 

「さすがにオナペットランキングはなかったか」

 

 今日は一日下ネタばかりだった。

 禁欲が続くと言動がおかしくなるらしい。

 俺は正常に戻るために、伊吹を呼び出して、二時間ほど身体を重ねた。




次回は一之瀬と調教デートです!
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