浅い階層を後にしていつもの中階層担当のフロアへ戻ってくると、目の端に何か動くものが引っかかった。天井の隅の暗がりをじっと見上げてみれば……こんな所にコウモリ?
「いい所へ戻ってきたわ。 ちょっと手伝いなさい」
「ぉわッ! ……って、姐御だったんですか。 何か、問題でも?」
心の中で首を傾げていた所へ唐突に響いた声に少し動揺してしまう。しかし、手伝えって何をだろう。大概の事は自力でどうにかできそうな姐御がわざわざ眷属を通して命令するなんて、かなりヤバい事態なのかな?
「探索者よ。こっちに差し迫った危険は無いけれど……このまま逃がす訳には行かないわ」
姐御の眷属であるコウモリに先導されながら状況を聞いていく。
たまたま姐御とアニキ、狼人君の3人で移動していた時に強い魔法の気配を感じて現場へと直行。5人組の探索者を発見。そこでは魔法使いが帰還用の転移魔法の詠唱を行っていた、と……なるほど。現在は防御優先の立ち回りをしている探索者達を攻めあぐねていて、このままでは前衛を片付ける間に逃げられてしまう可能性が高いのだという。
ボス格の強力な魔物を吸血鬼が束ねた我らが姐御グループの存在を人間達に知られてしまうのは面倒な事になりそうで、ついでに複数対象をまとめて移動させる転移魔法なんて高度な魔法を使える魔法使いはエモノ的な意味で魅力的であるという点も合わせて、姐御としては逃がしたくないらしい。
「だから貴方には最優先で魔法使いの詠唱を妨害して欲しいの――あ、そこの角を曲がった先よ」
細かい説明を受けながら足早に進んでいると行く手から狼人君の咆哮が聞こえてきた。通路を曲がってその場を目に収めてみれば、神官ちゃんが脱出した時の物に似た魔法陣が探索者パーティの足元で輝いている。ぱっと見た感じ魔法陣に篭められた力はかなり強い。この分では何時発動してもおかしくなさそうだ。
ふむん、パーティ構成は片手剣と大きな盾を構えた戦士♂が一人に、槍を構えた戦士♂が一人。どっしりと両手斧を構えた小柄でヒゲな……もしかしてアレはドワーフかな? が一人。豪華な衣服を纏った眼鏡の神官っぽい女性が一人と、最後にフードを被って大きな杖を構えた魔法使いの、合計5人かー。
「新手!?」
という訳で、お仕事お仕事。横の通路からひょっこり現れた俺に気づいた探索者達が反応しようとする。……が、その動きは鈍い。俺は姿だけなら人間の魔法使いに見えるので、咄嗟に魔物かどうか判断できなかったんだろう。
その遅れを突いて、あらかじめ用意していた雷撃の魔法を魔法使いに向けた杖の先から放つ! 淫魔の適性としては不向きで、クリーンヒットしても即死するほどの威力は出せない雷系統の魔法だけれど人間が回避できる速度ではないので命中率だけは圧倒的だ。
「あぐっ!」
放たれた青紫の電撃が、術式に集中していて無防備なローブ姿へと真っ直ぐに突き刺さる。魔法使いはくぐもった悲鳴を漏らして、その衝撃に身体を硬直させた。
って、あれ……それだけ? 何かの防御魔法が掛けられていたのかな? 通常なら腕一本位の範囲を火傷する程度の威力はある筈なのに、ビクっと痙攣する程度に抑えられてしまった。どうせ殺せる程ではないからと、弱いなりにフルパワーで撃ち込んでいなかったら完全に防がれていたかも知れない。
まぁそれでも、今回のように高度な集中や詠唱を必要とする魔法を妨害する分には充分だったみたいだ。魔法使いの掲げた長い杖から力を送られていた転移の魔法陣は、不安定に揺らいで真っ黒なナニカへと還元されていく。
これでもう探索者達はすぐには逃げられない。
……◇……◆……◇……
「任務完了ッ!」と言いたい所だけど、元からの人数差もあるから……うーん、この後見てるだけって訳にはいかないか。魔法陣が消えるのを見て一瞬動揺した探索者達も、直ぐさま体勢を整えてアニキ達の攻撃に対応してきている。中々やり手の連中らしい。これは一人位は受け持っておいた方が良さそうだ。
そう考えて麻痺薬で作った氷刃の魔法を放ち、魔法使いの完全な無力化を試みる。
「フッ!」
む、驚いた事に高級な神官っぽい――司祭さんでいいか、こちらと魔法使いとの間に移動してきた彼女に防がれてしまった。俺に向かって身構える司祭さんの腕からは少し血が滲んでいる。とっさに腕を使ってそれなりな速度で飛んでいく氷刃の魔法を弾いた、のか……? 回復魔法があるからって無茶するなぁ。
「目を覚ませっ! 貴方は操られているのだ!」
― ターゲット不適合 ―
角と尻尾を隠している俺の事を姐御に操られた人間とでも思っているようで、対峙した俺にそんな事を叫ぶ司祭さん。同時に精神異常を解除する神術もかけてきた。しかし、別に魅了されている訳じゃないので俺に効果がある筈も無い。魔法使いは無力化できなかったけど、姐御と睨み合っていた司祭さんがこっちへ来たのは中々良い状況だ。相性的にもエモノ的にも合っているし、このまま俺が相手をして姐御には魔法使いへと向かってもらおう。
さて、改めて目にする司祭さんは20代の後半へ差し掛かった位の年齢だろうか。眼鏡をしている事と短い髪のぴしっとした姿も相まって、仕事の出来る女上司という感じの印象を受けた。神官職というものは人前に立つ職業であるからか、姿勢が良くてスラリとした佇まいを見せている。肉付きは平均より少し足りない位だけど、キリリと引き締まった表情がたまらない。その時になったらどんな風に この顔を歪めてくれるんだろう……ふふふ、実に楽しみだ。
「仕方ない、少し痛い目を見てもらう」
無力化した後の事を思ってニヤニヤしながら杖の先に魔法を浮かべる俺を危険だと判断したのか、司祭さんが身構えて……おおっと!
「ハァ!」
反射的に捻った身体の横を、鋭い呼気と共に風を切る音が通り抜ける。
司祭さんは両手を固く握り締めて、こちらへ踏み込むと同時に素早く拳を放ってきていた。魔法を防いだ時に見せた機敏な動きから、もしやと思っていたけれど……この司祭さんはモンク的な技能を持っているんだろうか。この姿勢の良さも格闘術を修めているが故にって所なのかねぇ。
「……遊んでいる時間は無い。 続けて行くぞ!」
少し離れた後方では、魔法使いが光る壁のようなものを展開して姐御から次々に打ち込まれる魔法をなんとか反らしている。そちらをチラリと見た司祭さんは、数歩下がって間合いを取っていた俺に声をかけると独特のステップから勢い良く身体を捻って……首を刈り取るような軌道で蹴りを繰り出してくる!
「シッ!」
前衛にかけてあるらしい神術の補助や姐御の手加減などもあって、仲間達が互角に近い戦いを出来ているという現在の状況。それを打開する為に、見た目が一番しょぼい俺をさっさと倒して援護に向かいたいのだろうが、そうはいかない。淫魔の柔軟な肉体を最大限に利用して上半身を屈めてそれを回避し、お返しとばかりに氷刃の魔法で切りつけ、ッ?!
――ベギッ!
あぶなっ……嫌な予感がしてカモフラージュ用の杖を盾にしたのは正解だった。耳元で聞こえたヤバい音にじわりと汗が滲む。
回し蹴りを避けられた司祭さんは、そのまま一回転して流れるように後ろ蹴りを放ってきていたみたいだ。防御した重さと音から推測するにブーツや脛当ての部分に鉄板でも仕込んでいるのかな。見事にへし折れてしまった杖が自分の首ではない事に安堵の吐息が漏れた。
「今のを防ぐか。魔道に身を堕とした者にしてはやる」
どうも司祭さんの中では、俺は操られている要救助者から悪魔に魂を売った人間へと悪者ランクがアップしてしまっていたらしい。さっきエロい目で見ていたのが悪かったのかも知れない。でも仕方ないよね、淫魔だもの。
にしてもあの蹴りは危険だなぁ……司祭さんの動きを警戒しながら対策を考える。先ほどのような威力を出す為には数歩の距離が必要だろうから、一度懐へ入り込んでしまえば大振りになるあの攻撃は……
……というか、なんで俺は真面目に正面から戦おうとしてるんだ!? 映画やゲームで見た格闘戦のイメージに引っ張られてたかなぁ。ああいうものじゃ格闘家の相手は格闘家だったし。うん、今やってるのは試合でもストリートファイトでもないんだから、盗賊さんみたいに道具を使って楽して戦おう。
「ひっ、俺の杖が…………く…くるな、くるなぁ」
杖が壊れて情けなく動揺する悪の魔法使い、という風な演技をしつつ後ろに下がっていく。同時に持っていた袋の中から滅茶苦茶にロープや包帯等の道具を投げつけて……最後に麻痺薬入りの瓶を出して投げつけてみる。
「無駄だ」
司祭さんの顔めがけて投げつけた瓶は蹴りで簡単に落とされてしまった。飛んできた物を的確に破壊するなんて……何気に凄い、まるでカンフー映画だ。
まぁ重要なのは割れた瓶から零れる麻痺薬だから問題ないけどねー、ひひひ。という訳で、先に投げた小物類の上にかかった麻痺薬に意識を集中して――
「諦めろ、もう逃げられんぞ…………っ!?」
通路の壁を背にしてへたり込む俺へトドメを刺す為に、足を踏み出そうとする司祭さん。しかし、その時にはもうその両足首に蛇のように蠢く湿ったロープが絡み付いていた。
魔法で液体をスライムのように操作しただけじゃ動く水というだけで、拘束力や強度が弱くて簡単に千切られてしまうだろうけど……クククク。こうしてロープに染み込ませてそれごと操作すれば充分に効果が期待できるってものさ!
「く、何時の間に……卑怯な!」
体勢を崩して倒れた司祭さんは、どんどん絡みついていくロープを外そうとしている。だが生き物のように蠢くそれは簡単には外れない。それに一度絡み付いてしまえば触れた所から染み出す即効性の麻痺薬によって痺れが広がって、身体に力を入れ難くなっていく。司祭さんがどれだけ悔しげな視線を向けてきても、もう勝負は決まったようなもの。
よし、追加で創り出した眠りの薬も肉体全体へスライムのように這わせていって、このまま近寄る事無く司祭さんの身体を無力化してしまおう。……おおぅ、司祭さんのほっそりとしたスタイルであっても、眠りの薬が染み込んで湿った服と締め付けるロープで強調される形となったふくらみは最高にエロいな!
「ははは、良い姿じゃないか」
皮膚からも吸収される眠りの薬が本格的に効いてきたのか、だんだんと動きの弱くなっていく司祭さんを見下ろす。
「私、が…負けるわけ……には…………」
声が途切れると同時に、最後まで持ち上げてこちらを睨みつけていた司祭さんの頭がカクンと落ちた。これで無力化は完了だ。
余裕が出来たので周囲へ目を向けてみれば、アニキ達は変わらずに戦っていて連携して戦っている前衛の戦士達3人もまだまだ余裕そうに見える。……あ、槍の人は防御に向かないから、少し辛そうだ。
しかし、あの拮抗も今掛かっている補助の神術が切れるまでだろう。見たところ衝撃を緩和軽減する術式が掛かっているみたいだけれど、確かあれは効果が強い分持続時間が短い魔法だ。きっと転移魔法が発動するまで持たせれば良いという選択だったはず。しかし狙いである転移魔法の詠唱を妨害され、司祭さんが俺に倒されてしまった現状では、もう神術の掛け直しは出来ない。残った魔法使いも姐御の魔法に追い立てられて息が上がっている様子が窺える。あと少しで体力や精神力が切れてしまうと思われる。
……◇……◆……◇……
「きゃうっ」
疲労によってついに集中力が切れたのか、姐御の手加減した魔法が直撃して吹き飛ばされる魔法使い。壁に打ち付けられて気絶したようで、そのままずるずると崩れ落ちて倒れていった。これで二人目、探索者のパーティは残り3人か。それにしても……妙に可愛らしい悲鳴だったな、今の。
「チッ! 魔物どもがぁ!」
おっと、前衛側でも状況に変化があったようだ。男の叫び声に顔を向けてみれば、防御が弱そうだった槍戦士の人が胸を大きく切り裂かれて倒れていくのが見えた。ついに神術の効果が切れたのかな。
そう広くない通路で、3人で連携しなければならないほどアニキ達の攻撃が激しかった事が彼の不幸だろう。槍の穂先で突いて攻撃するのはともかく、重い一撃を防ぐのには柄を横に構えられない状況じゃ無理っぽいし。残りの二人も気合を入れて諦めずに頑張っているけど……これはもう長くないね。相手が弱くなってアニキ達も飽きがきているみたいだ。
一応逃げだそうとした時の為にいつでも動けるようにしていると、斧を大きく振り切ったアニキが半ば背を向けるような体勢を取った。
……! こ、これは……アレをやるつもりですかアニキ! 内心わくわくしながら、ぐっと手を握り締める。
盾戦士の人は斧での一撃を外したアニキが大きな隙を見せたと思ったに違いない。仲間の復讐だと言わんばかりに大きく踏み込んで切りつけようとする。だが……それは間違いだ。
「ガッ!!」
あたりにバゴンと響く爆発音のような音。そして重たい物が天井にぶつかり、落下する音。
うへぇ……これはひどい。アニキの必殺"後ろ脚キック"を受けた盾戦士は一瞬で5~6メートルはある天井にぶち当たり、そして地面に叩きつけられていた。金属製の鎧にくっきりと残された蹄の跡にぞっとする。あれじゃ衝撃で即死だろうなぁ……まさに必殺。馬なんかの後ろ蹴りはかなり危険という話を聞いた事があったからこの前軽い気持ちでアニキとの会話でネタに出したけど、大柄で金属鎧に身を固めた戦士をあそこまで吹っ飛ばすなんて、ミノタウロスの巨体を支える強靭な脚は伊達じゃないらしい。
「…………ぅ、ぐ…ゴフッ」
馬鹿げた威力の蹴りで同僚が宙を舞うのを唖然と見ていたドワーフの人。その隙を狼人君が見逃す筈も無く、首元を切り裂かれた彼もゆっくりと膝を落としてその命を終えた。うつ伏せに倒れた、小さいながらもがっちりとした身体の下から赤い水溜りが広がっていく。
……流石に血の替わりに酒が流れているような生き物じゃなかったか。あぁでも、もしかしたら何か酒を持っている可能性もあるかも……彼らの荷物をチェックしてみよう。
……◇……◆……◇……
─ エール酒を手に入れた ─
予想に違わずドワーフの人は酒を持っていた。命のやり取りをする危険な場所にまで嗜好品を持ち込んでいるとは……やっぱりこの世界でも歩く酒樽とか呼ばれているんだろうか。
「皆ご苦労さま。 さっさと片付けて帰るわよ」
そんな事を思いながら周りを見回すと姐御からそう号令が掛かった。戦利品を持ち帰る量や種類が一番多いのは俺なので、てきぱきと動いてまだ使用可能な小物や布製品、銀貨等を集めていく。
─ 種火の小枝を手に入れた ─
20cmほどの形が整えられた棒を手にすると、そんな表示が流れる。んん、これは……魔法のかかった道具なのかな? 簡単な術式が側面に掘り込まれている。火の魔法を使える俺には関係無いけれど、火種を手軽に用意できる魔法の品のようだ。マッチやライターの魔法版という所か。そういえば先日の時に盗賊さんがこんなの使っていたっけ。
「ぶるぅ」
おや珍しい、アニキ達も回収ですか? ――なるほど、それは記念に良いですね。……あぁ、その部分はここの紐を解けば外れますよ。盾戦士の着ていた鎧を剥がそうとしているアニキを軽く手伝いつつ話をする。アニキは自分の蹄の跡が残った鎧を、狼人君はドワーフの斧を、それぞれトロフィーとして持っていく事にしたらしい。
せっかくだから俺も、うーん……戦士の一人が持ってた槍でも持っていこうかな? 悪魔の武器といえば槍だよね、性的な意味も含めて。そう考えて亡骸の横に落ちている槍を手にとってみる。
─ 壊れた槍を手に入れた ─
あちゃー穂先が駄目になってるか……まぁ良いや。柄の部分は金属製でまだまだしっかりしている。折れてしまった杖の代わりにもなるし、一応持っていく事にしよう。
……
…………
うん、大漁大漁。目の前には使えそうな品物を詰め込んだ袋。今日は温かくて柔らかくていい匂いのする戦利品もあるし、拠点に戻ってからが愉しみだ。うひひ。
それにしても……狩人さんの時の経験から、この手のロープ類はイロイロ役に立つだろうと多めに持っておいて正解だったな。いつの間にか頭の中にあった知識を引き出して司祭さんをしっかり拘束し直す。
――何故か亀の甲羅を思い出させる縛りになってしまった、適当に知識から引っ張ってきたら……拘束ってそっちか!
そうだ、忘れない内に魔法使いも拘束しておくか。おぉ? 小さい奴だと思ってたけど……フードの奥を覗いたら女のコじゃないか。魔法使いにしては珍しい。
そんな事を思いながらも ささっと別の縄を用意して拘束を開始する。しかしこれは……ううむ、魔法使いちゃんの肉体はちょっと起伏に乏しくて、触ってもあんまり嬉しくないね。淫魔の感覚で魔法使いちゃんは20歳前後だと感じられるのに……首元からすとーんと足元まで視線が通る平らな肉体。背も高くない。まぁいいか、どうせ魔法使いだから姐御のエモノだし。
ちなみに姐御は欲しい物があったら俺に声をかけてくる位で、基本的に立ったままで居てこうした作業に加わる事は無い。コウモリを使って周囲の警戒をしてくれているから不満は無いけど、細かい事を手下に任せた姿はいかにも"姐御"って感じだ。
よっし、詠唱できないように猿轡も噛ませて……と。ふぅ、拘束はこんな物かな。気絶したままの魔法使いちゃんを担ぎ上げて、同じく意識の無い司祭さんの横に並べて何となく眺める。
同じ縛り方だというのに、司祭さんのやや小ぶりながらしっかりと存在を主張しているふくらみに縄が喰い込んだ背徳感溢れるエロエロな姿と、「木切れが邪魔だったので集めて縄で束ねました」的な魔法使いちゃんの姿……うんうん、これが格差社会か……かわいそうに。司祭さんもどちらかと言うとスレンダーな体形なのに、それに輪をかけてまっ平らとは。魔法使いのイメージは痩せている物が多いけれど、もしかして脂肪を燃焼させて魔法を使っていたりするのだろうか。
……◇……◆……◇……
「貴方もお疲れ様、今日は助かったわ」
めぼしい物をあらかた回収して、立ち去るアニキ達を見送っていると姐御からそんな言葉がかかる。
「お疲れ様です。いえまぁ、不意打ちでしたしね。楽なもんですよ」
「その割には、そいつから一発喰らいかけてたみたいだけど……」
足元に転がる司祭さんを示して、じっとりと視線を向けてくる姐御。うっ、杖が折られた時を見てたのか。あの時は本当にヤバかったからちょっと恥ずかしい。
「い、いやぁ。余裕……そう、余裕でしたヨ?」
「ふぅん? ならいいけど――マ、油断して死なないようにね」
「むぐ…………んむ?」
そんな風に姐御と軽く会話していると変な声が聞こえた。
「アラ、お目覚め?」
視線を下に向ければ魔法使いちゃんが混乱した様子で もぞもぞ動いている。そういえば司祭さんには眠りの薬を使ってあるけれど、結局こっちのコには使ってなかったな。
「…………っ!? むわー! んむぅー!」
自分を覗き込んでいる人影がさっきまで戦っていた吸血鬼である事に気付いたのだろう。魔法使いちゃんは必死な顔で、近寄る姐御から逃げようと身を捩り始めた。
「珍しく当たりを引いたかしら。フフ……この魔力、美味しそう……」
目を細め、ペロリと自らの唇を舐める姐御。その伸びた牙を目にして激しく首を振りながらむーむー言っている魔法使いちゃん。まぁどんなに拒絶しようとも、身動きできない状態から逃げられる訳が無いわけで……
引っ張り起こした魔法使いちゃんの小柄な肉体を後ろから抱えた姐御は、嬲るように細い首筋へと舌を這わせ、恐怖に震えるその表情をたっぷりと堪能してから口を大きく開き――つぷりと牙を突きたてる。
「んうッ!?」
と、ここで俺が想定していなかった事態が発生した。首筋から吸い上げられ、急激に欠乏していく力を無意識の内に肉体が補おうとでもしているのだろうか。吸血鬼の口付けを受けて不規則に痙攣する魔法使いちゃんの身体へと、周辺に漂う真っ黒なナニカがぎゅんぎゅん集まっていく!
「ん…………うぅっ……んっ! んぅ…………」
……な、なんかヤバくないですか? 集束していくこの感じ……いまにも自爆でもしそうだ。あるいは魔砲。力が集まり、呻き声を洩らしてヒクっ、ヒクっと痙攣している魔法使いちゃんの姿に思わず身体が後ずさってしまう。
そんな異常事態に対して姐御は……あれ? 気にする事なく普通に血を吸っていた。これといった危険は無いって事?
「…………フゥ」
普段よりも時間を掛けて血を飲んでいた姐御が満足そうに吐息を漏らす。しかし今まで見た獲物達とは違い、吸血を終えても魔法使いちゃんはパサパサの干物になってはいないようだ。一体どうなっているんです?
「フフ……アハハハ! 本当に素晴らしいわ、この子!」
どこか恍惚とした表情で、ぼうっと突っ立ったままな魔法使いちゃん。その隣で上機嫌に、片手で自分の顔を覆ってラスボスっぽい笑い声を上げている姐御。……何と言うか、血に染まった口元もあって雰囲気ありすぎてちょっと怖いです。
「あー、姐御? コレはどうなったんですか?」
「ンフフ、ふふ…… ――んんっ。そうね、説明が必要かしら」
魔法使いちゃんを指差しながら問い掛けてみれば、ようやく笑いをおさめた姐御は軽く咳払いをしてから返事を返してくれた。
「と、言ってもそう大したことじゃないわ。前に貴方から受け取った術式を使ってみただけよ」
その内容を聞いて、改めて魔法使いちゃんへと目を向けてみる。俺が女のコとシた時にはあんな風に真っ黒なナニカが集まるような事は無かったけれど……姐御の方で術式を弄ってみたのかな。
「ホラ、挨拶なさい」
どこも見ていない瞳で佇んでいた魔法使いちゃんは、姐御からそう声がかかるとピクリと反応してこちらへ振り向いて……あ、転んだ。
そういえば縛ったままだったね。猿轡もかけてあるし。
「…………」
ちょっと居辛い沈黙の中を動いて、縄を解いて立たせてあげてみる。
「わたしはおねえさまのしもべ。コンゴトモヨロシク」
魔法使いちゃんは何事も無かったかのような様子で、たどたどしくそう言葉を発した。しもべ……下僕かぁ。俺の使っている術式よりも表層意識を支配する効果が強くなった感じなのかな。
「……私の事はマスターと呼びなさい」
「ますたーですね。わかりましたおねえさま」
おねえさま、という辺りで少し動揺した姐御の命令にトンチンカンな答えを返す魔法使いちゃん。
「姐御……このコ、大丈夫なんですか?」
「エ、えぇ。肉体が上手く動かないのは存在が変えられたショックからくるものだから、一時的なものだけど…………どこか失敗したのかしら……」
早口でそう語り、最後にボソっと呟く姐御。……聞こえてます、聞こえてますよ!
……◇……◆……◇……
そのまま熟考モードに突入してしまった姐御は、別れの挨拶もそこそこに魔法使いちゃんを引き連れて去っていった。新しいお酒が手に入ったから一緒にどうかと思ったけれど……まぁいいか。今日はこっちもヤる事あるし。
─ 司祭♀を手に入れた ─
よっこらせ、と肩に担いだ司祭さんの温もりと柔らかさを感じてほくそ笑む。適度に鍛えられて引き締まっているスリムなこの肉体を、さてどうやって愉しもうか。
……そうだ、さっきの服が薬に濡れた姿がエロかったから……ふふふふふ。
という訳で、特に何事もなく戻ってきました愉しい小部屋。部屋の隅に回収した荷物を放り出して……ってそろそろアイテム類も整理して片付けないと邪魔だな。
……うん、めんどいから後でいいや。即座に結論を出して、意識が無くぐったりとした司祭さんを向かいの小部屋へと連れ込む。
ここは拠点の部屋と似たような造りの小部屋で、扉の鍵が壊れていたので使わなかった場所だった。しかし、改めて考えてみると薄い結界を扉へ重ねて設置すれば鍵の代わりになる。結界を張ったままでは力の一部が取られっぱなしになるから常用するには向かないけれど、短期間で使う分には問題無い。
神官ちゃんを逃がしてしまった時の事を考えると、一応帰還のスクロールなんかも確保してある拠点は使えない。そんな理由から今回はこっちを使う事にしたのである。少々埃っぽかったので、まずは魔法を使って水を操り埃を掃除していく。床に広げた流れを一箇所に集めてから元の真っ黒なナニカへと還元。跡には小さな埃の山が残された。これ洗濯とかにも使えるなぁ。魔法便利すぎる。
とりあえず担いだ司祭さんを床へ下ろしてっと。
「…………ぅ……」
眠りの薬は良く効いてるみたいだ。今のうちに司祭さんをヤり易い形に拘束し直しておこう。手早く肉体全体を縛っていた縄を一旦外し、縄の液体操作や尻尾を駆使して今度は手首と壁にあるレリーフの突起とを結びつける。長さは……つま先がギリギリ床に着く程度の高さでいいかな。Yの字に両手を広げて磔にされた聖職者とナニするなんて……くくく、何とも興奮するネ!
わくわくしながら未だに意識の無い司祭さんに手を伸ばして、防具を兼ねているのか少し丈の長いチョッキのような形状の上着のボタンを外していく。ふむ、これは確か規律の神のものだったかな。上着には三角形に3本の横線が入った紋章が刺繍されていた。そんな事を確認しつつ、開かれた上着の下に残ったブラウスのボタンも全て開けてしまう。少し覗いているおヘソが可愛らしい。
狩人さんもそうだったけど、この手触りの柔らかな肌着はブラジャーの代わりみたいなものなんだろうか。思い起こせば今まで見た女のコ達は肌着のみかサラシ、そもそも何も無しかのどれかだった。下半身に関しては現代風に近いものが流通していても、上半身の下着は無いのかも知れない。
さて、お次は下半身だ。腰帯を解いて、少しだぼっとした裾の広いズボンのような装備をずり下げるとスラリとした曲線を描く脚が露わになる。続けて靴を脱がせようと足先を持ち上げてみると、妙に重い。……あぁ、やっぱり中に鉄が仕込んであるのか。そりゃ受けた木の杖が折れる訳だよ。
「……ん………………」
物騒なブーツを脱がせ終わり、衣服の前を開かれて下着が見えている無防備な姿を眺めていると、司祭さんが小さく声を発した。もう少ししたら眠りの薬も切れてきそうだ。まぁ、その前に別の刺激で起きるかも知れないけどな!
それじゃ、早速……ひっひっひ。
ほくそ笑みながら肌を晒して磔にされた司祭さんの鍛えられたお腹に手を触れさせて、質感を確かめるように軽く押してみる。手のひらに伝わる体温と、女性特有の柔らかな肌の内側に存在している引き締まった筋肉。これならば強力な蹴りを繰り出せるのも頷けるというもの。ははっ、この肉体ならさぞかし他の部分の締まりも良い事だろう。
「ぁ………………ぅ……」
そんな事を思いながら手のひらを進め、肌着の上からやわやわとふくらみをまさぐる。揺れるほどには大きく無いけれど、確かに存在する温かな柔らかさ。……生理的な反応で、薄い布地の下の一部分が固くなっていく。戦闘中の司祭さんからは男勝りな印象を受けたけれど、こういった所はやっぱり女だね。うむうむ。
「……んぅ………………ふ……」
おっと、そろそろ司祭さんの目が覚めそうだ。変に抵抗される前に仕込みをしておこう。爪の先から意識して粘度を増したエロ成分を創り出して、司祭さんの上半身へとトロリトロリと塗りこむ。くくく……思ったとおりにエロい仕上がりだ。そう、名づけるなら透け透け裸ブラウス!裸Yシャツというにはふくらみを覆う肌着が残っているので厳密には違うかも知れない。だが素肌にぴったりと張り付き、その下の形をくっきりと浮かび上がらせた肌着は扇情的で、とてもイイ。これからの期待にイロイロと膨らむというものだ。
ぬるぬるになった肉体を服の上から撫で回し、次第に下へ。仕上げに両手で引き締まったお尻をむにむにと弄りつつ、ねっとりと念入りに――
ん? この感じ……どうやら司祭さんは生娘ではないらしい。確かに年齢的に結婚していてもおかしくは無いけれど、その割には男の臭いがしない。少なくともここ数年は男の影は無いっぽい。司祭さんの過去に思いをはせながら、足の間に手のひらを滑り込ませる。
「あ……ここは……?」
分泌させたエロ成分が茂みを隠している下着を透けさせる程になった頃、ぼんやりとそんな声が聞こえた。とりあえずそのまま手を前後させてみる。ぬるんぬらりらぬるぬちゃりっと。
ふむん、経験があるって事と、数年はヤってない事を合わせて考えると……司祭さんがまだ駆け出しだった頃に男と付き合っていた? ……少し違和感を感じる。厳格そうな性格に見える司祭さんが結婚以外で異性と関係を持つようには見えない。既に家庭を持っていると考えても、それはそれでこの年齢になってまで未だに危険な迷宮へ出入りしているのは妙だ。
「っ! なっ……何っ!?」
敏感な部分に強い刺激を受けて目が覚めたらしい司祭さん。その一瞬に見せた感情の色から、一つの推測が成り立つ。
迷宮を探索するには妙に小奇麗で豪華な……今思えば潔癖な印象を与える服装。体術を使うにはちょっと動きを阻害しそうな、だぼっとした肉体のラインが出ない装備。女性である事をあまり感じさせない、まるで男のように装った容姿や口調。武器が無くても戦える、肉体一つになっても抵抗する手段を失わないその技能。
表情から伺えた感情は、恐怖……ははぁん、つまり司祭さんは……
「犯された事があるのか」
口に出した言葉に、至近距離にある司祭さんの肉体がぎくりと硬直する。正解……か、まぁ直前までヤられてて他人のアレが付着したままだったら気になるけど、何年も前なら関係ないな。でも、ふふふっ、これをネタにして愉しむのも面白そうだ。
「なっ、何故それを……」
「さぁな、なぜだろうな?」
目が覚めたらドロドロになっていて股間を弄られていたというアレな状況で、それに触れもしないで何故知っているのかを聞いてくるという事は、余程その時の記憶が強く残っているんだなぁ。もっと現状には色々と問題があるだろうに。
適当に返事をはぐらかして、答える事無く行為を続行する。べちょべちょになった下着にひとまず別れを告げて段々と上へ、肉体の曲線をなぞる様にしてふくらみへと向かう。
「ぅあっ!? あ……な。くっ、こんな縄でっ」
エロ成分で濡れた上着が、手の動きに応じて司祭さんの素肌を刺激する。その感触を受けた事で拘束されている自分に気づいたのか、逃げようと腕に力を篭めている司祭さん。
「無駄だ、魔法がかかった縄だからな。 さっきも見ただろう?」
弱体化の毒を使ってあるから引き千切られる事は無いだろうけど、一応はったりをかましておこう。疑う事に慣れてなさそうな司祭さんには効くだろうし。こういうのは一度「この縄は切れない」と思わせてしまえば意外と効果がある。人は無駄だと思った行動は続けないものだ。
それにしても神官系統の人は集中力が高いというか、まわりを見ていないというか……濡れた肌着にふくらみ全体の形が浮かんで見えてしまっているという、無防備な自分の姿に気が回らないんだろうか。俺の息遣いだって近くに感じているだろうに。……うん、ここは一つ自分の現状を教えてあげないとね!
狙うのは、眠っていた時に受けた刺激によって肌着を内側からツンと押し上げている慎ましやかなふくらみの頂。透けた服の上からその先端を捕捉して吸い付こうとする。しかし肌着の厚さがある為か上手くいかない。
……でも、それでいい。ヌメリを帯びたエロ成分のおかげで充血したそこがつるんと口から逃げてしまう度に、お尻を掴むようにして押さえつけている司祭さんの背中にはクっと力が篭るのが感じられた。
「あッ……やめ、やめないかっ!」
自分がどんな状態か、やっと把握しきったのかな。ははっ、何しろこうして襲われる事の"経験者"だ。理解するのも早いだろう。司祭さんは切羽詰った声を上げて、胸元の俺へと眼鏡のガラス越しに鋭い視線を向けてくる。まぁそんな風に怖い顔をされた所で、武装解除されて両手を拘束された状態ではこちらの嗜虐心を煽るだけなんだけども。
勿論司祭さんの言葉を聞き入れる事はしないで、次は放置していたもう一方の先端へ。胴体を捻って逃げようとする所を追いかけて吸い付き、同じように硬くなったそこを弄ぶ。
「このっ! ……く…………んぅっ、身体が……」
舌のざらつきを肌着越しに伝えるように、硬く自己主張しているそこをゆっくりと舐め上げると司祭さんは思わずといった様子で噛み締めた奥歯のさらに奥から小さく声を漏らした。
「どうした? くく……感じて、火照ってきたか?」
「っ……け、けがらわしい」
反応してしまった自分を恥じたのか、そっけなく言葉を返した司祭さんが顔を背ける。しかしその刺激を受けている部分がツンと立ち上がって反応している事実は変わらない。
神官ちゃんの時と同じ様に、信仰心に支えられた意識がどれだけ耐えられても、その肉体は正直だ。熱い時には汗を滲ませ、寒いときには鳥肌が、痛みを受ければ強張って……女としての部分を意識してしまえば欲情してしまう。男に組み付かれ、素肌を弄ばれている自分に司祭さんは気づいた、認識してしまった。
そうして、その現在へと囚われていく。
「汚れるということは、綺麗なモノにしか起こりえない」
言いながら、最初に口を付けた側のふくらみへと移り、小刻みに吸いついてちゅっちゅっと音を立てる。吊り下げられて爪先立ちになっている脚がその度にふらふらと力無く揺れ動く。刺激に強張る司祭さんの肉体にじんわりと熱が広がるのが押さえつけた両手に感じられた。
「うっ…………く、ふ…………はぁ……」
女性を女に……雌に、淫らに創りかえてしまう淫魔の体液が、もうそろそろ本格的に効果が出てきた頃である。それをたっぷりと塗り込められていたふくらみの先端は、より強い刺激を求めるかのように存在を主張していた。一度目に吸い付かれた時よりも、二度目、三度目……皮膚に染み込んだ背徳の成分が、順調に司祭さんの肉体を狂わせていく。
「なぁ、アンタはそんなに綺麗なモノだったのか?」
「くぅ……私は……キサマ等のような、っ……下劣な、欲望など…………ひあっ?!」
途切れ途切れの言葉を遮るように、先ほど塗りこんだエロ成分と……それ以外の液体とでねちょねちょになっている足の間へ。濡れた下着の中……熱の篭るそこへ片手をぬるんと滑り込ませて、軽く指先を動かす。僅かに動かした、ただそれだけであるのに、司祭さんは声を裏返らせ跳ねるようにヒクンと背中を反らせた。
「下劣な欲望、ねぇ? ハッ、それなら……これはなんだ? 綺麗な欲望とでも?」
顎を引き、お腹に力を込めて声を堪えている司祭さんの様子を鼻で嘲う。粘液に塗れた指で縁をなぞるようにしてから、泉の中心やや下側にある入り口へとあてる。
司祭さんの顔色が変わった。
「よせっ、このような事……間違っている!」
「間違ってなんかいないさ。 弱肉強食がここの法……そして、アンタは負けたんだからな」
慌てた様子の司祭さんに視線を向けながら、言葉と共に……泉の中へぬちゅうと、指を一気に沈み込ませる。犯されたという過去により性的なもの全てを忌避していたのか、司祭さんのソコは男を知らない少女のように強い抵抗があった。
「ひぅ、ぁ……あぁ……」
司祭さんが恐怖の色を含んだ短い悲鳴を上げる……そして同時に、その表情には僅かな戸惑いが覗く。呪術師ちゃんがそうだったように、初体験時と2度目では感覚がかなり違っている筈である。薬によるものとは言え、これだけヌルヌルになっていれば尚更その差は大きくなるだろう。
「アンタが昔どんな風に犯されたか知らないが、安心しろ」
これは正しい事だ――そう告げて、行為を続ける。ふふ、昔の事を忘れる位に愉しませてあげよう。
……◇……◆……◇……
「っ! ……ぁ……ふ…………っく、ぅうぅ……」
片手で泉をかき混ぜつつ、ヌメってつるんと逃げるふくらみを唇で追い立てて、二箇所を一度に責めたてる。淫魔の体液によって増幅された快楽を受け、必死に口を閉じて声を堪えている司祭さん。濡れた衣服がくったりと脱力した肉体に張り付いて、何とも色気のあるイイ姿だ。
もうそろそろ本格的に頂いても良いかな。びんびんになっているふくらみの先端をれろんと舐め上げて、その拍子に泉の中の指が締め付けられるのを感じながらそう思う。服の裾から覗く司祭さんの健康的な肌もすっかり桜色に染まり、更なる悦びを求めているように見えた。
「どうだ、気持ちいいか?」
一旦手を止めて話しかけながら、さりげなく司祭さんの両足の間へと立ち位置を変更する。行為を始めた頃はぎゅっと頑なに閉じられていた彼女の膝は、軽く押しただけで俺の肉体をその内側へと迎え入れた。ぬちゅりと泉から抜いた指から粘液が糸を引いて、ふつんと切れて垂れ落ちる。
「こん、な事が、正しイっ……等と」
「あぁ、そうだ。 クク、ただ賊に犯されるのとは、全く違うだろう?」
乱れた呼吸を整えようとする合間に、途切れ途切れに話す司祭さんへとそう言葉を返す。
まぁ本当は全く同じ事だけどネ! 正当性を主張するのだって、規律の神に仕えている司祭さんの精神的抵抗を少しでも減らせるかもってだけだし。でも、おそらく初めてをロクな愛撫も受けずに奪われたであろう司祭さんにとっては、こうして感じるように肌をまさぐられて薬によって欲情させられた上での行為は随分と違ったモノになる筈だ。
「お前は今正しい事をしているのさ。だから痛みなど感じない……それを、これから証明してやろう」
ローブの裾から露出させた俺自身を、ずり下げられ伸びきってしまった下着と泉の隙間へと差し入れ、位置を整える。そして……
「……っ!? 嫌っ、いやだっ……それは、やめてくれっ!」
会話に気をとられていたのか、泉の入り口へ宛がわれた俺自身にようやく気づいた司祭さんが怯えた様子で暴れ始める。そんな事を頼まれても止める訳が無い。柔らかな女の肉体に触れて、その匂いを嗅いで、俺の方だってすぐさま愉しみたくて仕方がない位に興奮しているのだ。痛みを感じないように、事前に可能な限り泉をほぐしていた事に感謝して欲しいもんだよ。
と、いう訳で……いただきまーす。
「あっ……あ゛ああああっ!!」
半分ほど暖かいヌメリの中に入り込んだ時に、司祭さんがいきなり叫び声を上げた。あー、びっくりした……にしても、今までヤった女のコ達とは反応がかなり違うなぁ。そう思って意識を向けてみれば、どうにも司祭さんの様子がおかしい。
「やだ、やめて…………うぅ、痛いのは……」
司祭さんは虚ろな瞳からぽろぽろと涙を零しながら、さっきまでとは随分変わった口調で訴えてくる。先ほど暴れた時に外れてしまったのか、眼鏡の無くなった素顔と相まって、まるで別人になったみたいだ。
「ぅ……ぐすっ……いたいの、ぃやぁ」
あら、あらららら……何だろうね、この状態。司祭さんは細かく震えながら肉体を丸めようとして、しかし拘束されているのでそれは叶わずに、ただひたすら怯えている。
心に負っていた傷のフラッシュバックみたいなもんなのかなぁ。精神が退行しちゃってるみたいだし……まったく酷いもんだ。よっぽど酷く痛めつけられて、乱暴にされたんだろう。個人的に行為の時には女のコの方も悦んでくれないと愉しくないので、何とも場違いな怒りが湧いてくる。捕まえて無理やりヤろうとしている俺が言うなって話だけども。
まぁ、結局スる事には変わりないし……と、途中で止めていた腰をずいずい前へ進める。司祭さんもまだ女盛りだってのに、エロい事を嫌ったままなのは勿体ない。是非とも好きになってもらわないと……ね、ふふふ。
「あゃ……うあ、わぁあ……」
初めてではない成人した女性がこれだけトロトロになっているならば、痛い訳がなかった。身構えていた司祭さんも、予想していた感覚との違いに変なうめき声を上げている。
そのまま、痛みが無い事を司祭さんへ理解させるように、ゆっくりと数回腰を突き上げる。腰を引く時、引き止めるように強くなる締め付けに思わず笑みが浮かぶ。ははっ、肉体の方は素直なもんだ。エロ体液の効果もあるだろうけど、もう馴染んできているみたいだ。
「ひぅ、う…………んっ……ふぁっ」
肉体の深い部分に発生した熱が伝染して、ゆるやかに喘ぐ司祭さんの頬がだんだんと桜色に染まっていく。眼鏡と共に強さを装っていた意識から仮面が外れてしまったのか、実に素直な反応で、可愛らしい。丁度良い、このまま一気に畳み掛けていこう。
頼りなく揺れるくびれを支えていた両手を張り付いた肌着の下へ入り込ませ、前後する腰の動きに合わせるように、液体に濡れた素肌の感触を愉しみながら肌着を少しずつたくし上げる。肌着の下から顔を覗かせた桜色のソコは、出番を待ち焦がれていたかのように上を仰いでいた。
「うわ……あぁ、んぅう…………くは、あっ!」
ふくらみを、中央に寄せるようにしてにゅむにゅむと軽く揉んで……続けてその頂を指で挟み、軽く動かす。弾けるような吐息を漏らした司祭さんの反った肉体の奥から、嬌声と同時にねっとりとした液体が新しく溢れてくる。
くくくく、司祭さんはもっと激しいモノをお望みらしい。突き入れた俺自身に絡みつく べったりと濡れた肉の襞。先ほどまで男を怖れていた女の部分は、今ではもっともっとと求めるように強く包み込んできていた。
「あぅっ……あっ! ……だめ、まっ、待って!」
次第に強くなっていく行為によって生み出された未知の感覚に不安を覚えたのか、息を乱した司祭さんが懇願するように話かけてくる。でも……
「待たないさ。 オマエも、そうだろう?」
「やっ、あ……あぁっ! やだぁ、私っ、変にな――あンっ!」
会話の途中でふくらみの頂をぴんと指で弾いて司祭さんの言葉を封じ、それを皮切りに腰の動きの速度を上昇させて、更なる悦びを掘り起こしていく。口ではあれこれ言っていても、唯一自由に動かせる司祭さんの脚はさっきからこちらの腰へと内ももをすり寄せてきている訳だし、本心では異論も無いだろう。
「くぅっ! うぅ……あっ、あぁ……あぁあっ!」
繰り返される突き上げと、それによって揺れる控えめなふくらみ。淫魔の体液に濡れてぬらりと光を照り返すそこに触れれば、その硬くなった先端が動きにつれて手のひらの下でコリコリと転がる。上下に擦り合わされて蓄積される快感に、耐え切れなくなった司祭さんが喉を晒して反りながら大きな声を放ち始めた。
「気に入ったか……いつでもイっていいぞ」
後ろの壁との間に挟みこまれ逃げ場のない司祭さんのお腹の中をぐりぐりと押し上げて、潤んでのぼせたような表情を浮かべた瞳を至近距離で覗き込みながら声をかける。
「ふぁ、あっ……ぁ……ゃめ、違っ! ンっ、んん……い、あぁッ!」
司祭さんはふるふると首を振ったり喘いだりと、イロイロ大忙しだ。そんな風に混乱している所へ顔を寄せ、頬に口付けをしてから優しく囁く。
「痛みは、無いだろう? だから、拒む必要は無い」
司祭さんが冷静な時ならおかしいと、馬鹿な事をと一笑に付しただろう理由にもなっていない理由。でも、ふふふ……交わった肉体の奥を押し上げつつ、表情に出さないようにしながら心の中で嗤う。どんなに固い信念を持っていても、男に犯されている時に冷静でいられる訳が無い。俺が冷静でなんて居させない。
腰をゆっくりと引いて、また押し込みながら、司祭さんの耳元で言葉を続ける。
「さぁ受け入れろ……それが秩序だ」
……◇……◆……◇……
「ん、ンっ! あ……あっ、あッ! くぁ、あっ……あぃっ!」
吊り下げられた司祭さんの重みを押し上げるように腰を突き出す。俺自身に感じる濡れた内部の奥底をトントンとノックすると、肘の上へ抱えた片方の脚が応えるようにヒクンと宙を蹴る。二人の結合部から零れた液体が、足元の床に水溜りを作っていく。
はっ、はっと半開きの唇から熱い吐息を漏らす司祭さんからは、恐怖や怯えはもう欠片も感じられない。淫らに火照ったその肉体は、性の衝動を顕にして入り込む雄に悦びの声を上げている。
「ククッ、いいぞ……覚えておけ。これが、正しい感覚だ」
きゅうきゅうと強く締め付けられる俺自身にほくそ笑みながら、司祭さんの引き締まったお尻を持ち上げるようにして抱き上げる。こうすれば、少し調節するだけで全体重を二人の結合部に集中させる事ができるようになる。
「つぁっ! あっ! あぁ……ぉくっ、奥がぁ!」
最初の時の経験によるものか、それとも格闘技を修めているからか、司祭さんは少々乱暴な方がイイらしい。腕の動きと合わせて勢い良くその深みを突き上げてみると、持ち上げられた肉体全体が大きくガクンと震えた……軽くイッたかな?
よし、ちょっと腕が疲れるけどこのまま一回目と行こう。
「ひっ、くぁっ! あっ! あくっ! うぅうっ!」
肉体全体を持ち上げて……そして突き出した腰の上へ落とすように腕を動かす。ずんっ、ずんっと女の中心を激しく強く貫かれる司祭さんは、その度に見上げるように首を反らして自らの悦びを表現している。
そうして、司祭さんの内部は貫く俺自身を奥へ奥へといざなうように蠢き始めた。こちらの腰を逃がさないと言わんばかりにがっちりと挟み込んだ司祭さんの脚。大きな上下運動に揺れ動くふくらみの間を、汗が線を引いて流れ落ちていく。
「ふぁっ……あぁっ! ひぁ、あっ! あぅっ! あぁあっ!」
吊り下げられた腕と、俺に抱え持ち上げられた下半身。その間で、司祭さんの腰が風にあおられた布のように滅茶苦茶に振り乱されて、しなる。きつく締め付けられた内部の接触が強くなり、連鎖的に更なる快楽を生み出す。
「あ…はっ! うぁっ! あっ! あぁっ! あーっ! あーっ! あアぁっ!」
欲情に染まり切った高い声。快楽の頂点はもう目前だ。こちらも根元まで一気に俺自身を突き入れ、さらに押し付けるように力を篭めて――
「ぁぐッ! くぁ…アあぁっ、ぁあぁああっっーーーーー!!」
ついに絶頂を迎えて全身を痙攣させる司祭さんの胎内……その最奥の壁を強引に抉じ開け、奥の先へと術式を注ぎ込む!!
……◇……◆……◇……
「……かッ! は……く、かふっ……はっ……はっ」
おうふ……ちょっと調子に乗ってヤり過ぎてしまったようだ。ほぼ初めてと言っても良い行為だし、あんなに奥まで入れてしまうのは無理があった気がしないでもない。ぐりんと白目を向いて、ヤバ気な呼吸をしている司祭さんを見やりながらそんな事を思う。
事後に、行為の跡を残して艶っぽくクタっとなった女のコを観賞するのが密かな楽しみだけど……流石にこの顔だとちょっと怖いよ。
ま、良いか! 気分を切り替えて、意識を司祭さんの中に打ち込んだ術式へと傾けていく。うーん、予想通りというべきか……神官系統の職という事もあって、神官ちゃんほどでは無いにせよ壁があるなぁ。神官ちゃんはヤったら防御が外れたから楽だったけれど、この分では何日か時間を掛けないとならない感じだ。
結論が出た所で、ずるんと繋がったままでいた交わりを解いて肉体を離した。続けて意識を失って縄にぶら下がっている司祭さんへと睡眠薬に弱体の薬、加えて念のために回復薬を打ちこむ。
む、縄を外す前に寝床を用意しないと駄目か。……隣の部屋から余っている毛皮を持ち込んで適当に敷いてっと。うむうむ、頷きながら縄を外した司祭さんの脱力した肉体をごろりと横たえる。そうだ、多少とはいえ術式が通っているから多分もう必要無いけれど、雰囲気作りに後ろ手に腕を縛っておこう。ただ寝ているだけよりも拘束されてた方が何かエロいし。
こうして、上半身に肌蹴た上着だけを纏って腕を拘束された司祭さんが完成した。くくく……これで次の時もたっぷり愉しめそうだ。
それはさて置き、後は……まぁその都度準備したらいいかな。戦利品の中に数日分の保存食はあった筈だし、水は創れるし。頭の中で予定を確認しながら部屋を出て、扉を結界で封鎖する。
さて、姐御に頼んで仕事を休ませてもらわないとな……ふふふふふ。