根源のたった一つの過ち。
※第二話の「私は、お前を犯ころし尽くしたい」と共通部分があります。
いつもの通り周回をしつつ、皆の練度を上げていく。いつもと変わらないカルデアでの日常。種火周回に付き合ってくれるサーヴァントの皆にお礼を言い、自分はマイルームに戻る。
「あれ?・・・急に眠く・・・なって」
この感覚は知っている。特異点に入る一日前に見た夢と同じだ。そして夢に導くのは二人いかいない。
一人は花の魔術師、そしてもう一人は嫋やかな女性であるあの人。
「此処で再会するの数ヶ月振りになるのかしら?マスター」
両儀式。もっともこの人はアサシンの霊基で登録されておらず、人格も全くの別人。雰囲気も何もかもが全く違う。
「いつでも会えるのに、わざわざ夢を見せなくても」
「夢じゃないとお話出来ないでしょう?私は眠らないし、貴方は睡眠を取る必要があるんですもの」
雪の降る夜ではなく、桜の舞う並木道のような場所に佇んでいる彼女は柔らかに微笑むと、マスターと会話を始める。
「手の込んだ事をしたんだ。要件があるんでしょ?」
「そうね、以前お話したと思うけど、貴方は私に願う事はないの?」
「その答えは前にも言ったはずだよ?俺には叶える事はないって」
「願いを糧へと変える人、その心こそが異端となり複数の英霊と契約を結んだ礎・・・」
このマスターは自分自身が破綻している事に気付いていながらも、それを受け入れてしまっている。受け入れるという事は苦痛を伴う。
その苦痛すらも糧にして前へと進む。だからこそ私はこのマスターとの縁が出来、そして感情を知ってしまった。
「そろそろ、時間ね。また・・・部屋で会いましょう」
「普通に会いに来ればいいのに」
「あの子が居ると私は動けないの」
「それなら、俺から会いにいくよ」
「ええ、待っているわ」
光の中へと視界が消えていく。少しずつ意識を戻していくと目覚ましのアラームが鳴っている。時刻を見れば朝の七時、どうやら直ぐに眠ってしまっていたらしい。
「起きて朝食でも取りに行こう」
身体を起こし、食堂へと向かう、そこでは変わらず料理を得意とするサーヴァント達が食事の用意をしていた。
「焼き鮭定食、海苔と納豆とご飯多めで」
「承った。君は和食が好きなのだな?」
「一番馴染んでるからね。エミヤのご飯は美味しいし」
「ふむ、ならば一品追加しておこう。最近は野菜も手に入ってね」
「野菜スープにしてよ?サラダは苦手なんだ」
「善処しよう」
そんな会話をしながら、マスターは食事ができるのを待つ。注文した食事が出てくるとテーブルに座り、食事を取る。
周りはサーヴァント達でいっぱいだ。ジャックやナーサリーは子供其のものでオムライスを食べており、ブリュンヒルデと浅上藤乃が珍しく一緒に食事を取っている。あの二人が並ぶと何故か怖く映るのは気のせいだろうか?
少し見回すとルーラーのジャンヌが、アサシンの霊基を持つ両儀式と食事を取っていた。その様子は人懐っこい性格の女の子が人付き合いを苦手としている友人の女の子と戯れているようにしか見えない。
食事を終えるとタイミングが良かったのか、ランサーのスカサハが声をかけてきた。
「お主、今日は私との訓練であろう?食の休みを取ったらすぐに来るがよい」
「分かりました」
マスターはあのクーフーリン曰く、優秀な家系の魔術師ですら裸足で逃げ出すと言われるスカサハからの特訓をこなしているのだ。
無論、勇気ある者。即ち英雄ではないマスターに対しては特訓の練度をいくらか下げている。だが、マスターは倒れるまでその訓練を続けてしまうのだ。
スカサハすれば序の口程度のものなのだが、マスターが死んでしまっては本末転倒だ。その為、スカサハは回復役であるメディア・リリィにも協力してもらっている。
むしろ協力してもらわなければ、マスターは既に死んでいてもおかしくないのだが。
◇
スカサハはマスターがただの人間であることを考慮し、自衛が身に付くまで訓練を施した。今回はその中間試験のようなものに当たる。
「行くぞ・・・」
「はい・・・!」
訓練用の槍と短刀を構え、マスターはスカサハに向かっていく。だが、1分も経たない内に切り返され、マスターは地面に倒れていた。だが・・・。
「ほう?私の頬を掠らせたか・・・」
感心したようにスカサハは掠り傷を負った自分の頬に触れていた。僅かに鮮血が出ているが大した怪我ではない。
「人の身で私に一撃を入れるとは、見事だ。合格としよう」
「あり・・がとう・・ございます
「だが、これからも特訓はしてやろう。気を抜くなよ?」
「は・・い」
「少し待て。メディアリリィ頼む」
「は、はい。どうか誰も傷つけぬ、傷つけられぬ世界でありますように……
本来、この宝具は魔術による損傷や呪いを本来あるべき姿に戻すというものであるが、特訓では傷に魔力が残留するため治癒が可能になっている。
「マスター、無理をなさらないでください」
「大丈夫、ありがとう」
「訓練は終わりだ。戻っていいいぞ」
「失礼します」
マイルームへと戻り、身体を清めて服を着替える。約束していたことを果たすために。
◇
とあるヘアをノックする。サーヴァントが居る部屋として認知されてはいるが、滅多に出てこないので怪しまれてもいる場所。
此処には一人のサーヴァントしかない。扉を開くと同時にロックがかけられてしまう。いつもそうだ、この人は俺が来ると必ず鍵を閉めてしまう。
「鍵は締めなくても大丈夫じゃないんですか?式さん」
「貴方が起きている時の二人きりの時間は貴重だもの」
両儀式。セイバーのサーヴァントとして登録されている彼女は本来の人格であるものではなく、肉体の人格である。
彼女が表に出ればアサシンの式は部屋で眠っている。アサシンの式が表に出ていれば彼女は部屋から出てこない。
なんとも奇妙だが、二人が出てくるととてもややこしい事になりかねないのだ。
「それで、俺に何か御用ですか?」
「そうね・・・私が望むものを貴方が持っている。私はそれが欲しいわ」
「?一体・・何・・っ!?」
ふわりと式の身体がこちらへ抱きついてくる。マスター自身もこちらの式に心惹かれてはいたが、あまりの急な行動に心臓が高鳴る。
「しばらく外に出なかったから魔力が足りないのよ・・・」
「っ・・だけど、いきなり過ぎる気が」
「私に感情を教えたのは貴方よ?今、私が欲しいのは貴方」
「本気にするよ?」
「してくれて良いわ。好きという感情、愛するという感情を教えてくれる?」
その言葉が引き金となった。マスターは式の頬を両手で包むと、ゆっくりと唇を重ねた。
「ん・・・んんっ・・・」
「っん」
式はマスターの背中に腕を回し、マスターも手を離すと答えるように背中へ腕を回した。二人の口付けは長く、自然と二人はベッドへと寝転んでいた。
寝転んでから唇を離すと式は少し呼吸を荒くしつつ、マスターに待ったのサインを出していた。
「待って・・・この着物、汚しても構わないものだけど・・・緩めたほうがいいわよね」
そう言って式は着物の帯をシュルシュルと解いていき、ハラリと全てが解き終えると着物を着たたまま、脱ぎかけの姿で裸体を晒した。
それは着物が主流であった時代の夜伽に似ている。下手な裸体を晒さられるよりも清楚さと淫らさが合わさって、淫気とも呼べるものが漂っている。
日本の女性の真髄、伴侶と決めた相手へ尽くす献身的な愛。その片鱗を見たようでマスターは式に見とれていた。
「どうしたの?私の身体は式と変わらないわ・・・」
「そうだけど・・・雰囲気が違いすぎるよ」
「それって、褒めてるの?」
「褒め言葉のつもり」
マスターの言葉に式は微笑むと、服を脱がしていってしまう。今、マスターが着ているのはロイヤルブランドと呼ばれるスーツタイプの礼装だ。着替えがなかった故に仕方なく着ていたが、こうも簡単に脱がされてしまうと少し気恥ずかしい。
「鍛えてあるのね・・・肉体美というものかしら?」
「っ・・自分じゃわからないけどね」
肌に指を滑らせ、男根を優しくさすり刺激を与えてくる式。マスターは彼女に対する情愛を優しさと行動で示す。首筋を甘噛みし、乳房を優しく揉みしだく。
吐息のような喘ぎを式は漏らすが、この式に取って肉体への刺激は未知の感覚だった。抗おうにも抗えない、でも嫌じゃない・・人間というものはこの感覚を求めて悪へ走りもする。そう、確かにこれは依存しやすいものだ。
一方的な快楽の求めもあれば、お互いを愛するからこそ共有したいというものもあるのだろう。
「はぁ・・・ぁぁ・・・何・・・?不思議な・・感じ・・・」
「俺もだよ。今夜は俺も眠らないさ」
式を押し倒し、乳房の突起を口に含んで吸い上げるマスター。電気が走っていくような感覚に式は喘ぐが、同時にマスターを両腕を使って引き寄せていた。
感情を教えてくれた人、好意、愛するという感情を教えてくれた人。ああ・・・女性というのは好きになった人に征服されたいという感情が根源にあるのだと式は思った。
「あんっ!?」
乳房を堪能された矢先、シックスナインの体勢にさせられ恥部を舐められ思わず声を上げてしまった。
「感覚に慣れてないなら慣らさないと」
マスターは知識としてだけは知っていた。ぶっつけ本番でやる事になるとは思わなかったが、成功したのなら続けるのが最回答だろう。
「卑怯・・・者・・あっ!あん!」
「魔術師は卑怯の塊だもの」
魔術師としての言葉を述べるが、あくまで切り返しに過ぎない。魔術師であっても冷酷になれない。手助けし、悲しい時は涙するそれが自分だ。だから今は、この目の前にいる
「んっ・・もう」
仕返しとばかりに式も口淫を始める。じっくりと丁寧にされるそれは、並みの男ならあっという間に果ててしまうくらいの快感をマスターに与えていた。
「んっ・・・はむ」
だが、お互いに止まらず快感の果てへと向かっていき、爆発した。口内で受け止めた精液を式は飲み干し、マスターは蜜を無抵抗で浴びていた。
「はぁ・・・はぁ・・・濃い。次は一つになるのね」
「夢でも幻でも、俺の想い・・・受けて止めて欲しい」
「貴方が好き、だからこの身を委ねるわ」
式は裸体になっており、腕を広げて所謂、おいでの姿をしていた。マスターは誘われるまま式の中へと入って行く。
「んっ・・・あっ・・ぁぁぁぁ」
「っくぅ」
男根と恥部が完全に結合し、陰陽の交わりを開始する二人。
式はマスターの背中に腕を回し、足を腰に絡みつけ、離れないようにしている。動きにくいからといって動きを止める程やわではない。
むしろ、さらなる奥へ奥へと入って行く。魔術師が目指すべきモノである根源、その最深まで至ろうとするのを錯覚してしまう程の契り、それ程までにお互いを求め合っているのだ。
「あっ・・ああん・・何か・・・来るっ・・これが・・・果てる・・・?」
「そう・・だよ・・俺もっ」
「そ・・う・・ならこのまま・・・貴方の熱を・・・私に」
そのままマスターは動き続け、射精へ向かう。式は身体を震わせ、その瞬間を待ちわびる。
「ぐ・・・うっ!」
「っあ!、あああっ!」
マスターは式の中へと射精し、それを受け止めた式はどこか嬉しそうに微笑んでいた。射精が終わり、引き抜くと同時に式の恥部から大量の精液が垂らしたとろろ芋のように溢れ出てくる。
「貴方の熱・・・確かに受け止めたわ。溢れてしまうと空洞になっていくみたいだけど」
「ずっとは繋がっていられないから・・・ね」
「この状態が続けばいい・・・なんていうのは野暮よね」
「永遠なんて無いんだ・・・だか、刹那だとしても俺は君といる時間を大切にする」
「結ばれる事はない、でも・・・あなたが願い続ければいつかは、いえ・・・違うわね」
「・・・・」
マスターは人間、この式は根源・・・好きあっていようとも決して交わる事のない道。その道が一瞬でも交わった今の世界。
「私はこの出来事を思い返し続けるわ、貴方がいなくなっても」
「俺は転生し続けても忘れないよ・・・」
魂の記憶、それすらもいずれは失っていくのだろう。失いたくないと願っても摩耗していくのが命あるモノの定め。
だが、彼女は報われるだけが全てではないと言った。感情を教えてくれた貴方の魂の色彩を私は決して忘れることはないだろうと。
そういって式はマスターの唇に自分の唇を重ねた。マスターの意識が次第に薄れていく。ああ、これは彼女の優しさであると、それを思いながらマスターはまどろみの中へと落ちていった。
剣式も頑張って書いてみましたが・・・式以上に難しい!
好意と感情を教えられたというのは絆ボイスから考えたものです。
お互いを認識できていそうで出来ていないという考えから、こんな形になりました。
リクエストをくれた方に最大の感謝を。
次回は番外編としてクリプターの一人であるオフェリア・ファムルソローネを書こうと思っています。
コラボ要素も入るのでご都合主義になるかと思います。
この番外編はAルート(真実であり原作通りの助けられなかったルート)を前編とし、Bルート(コラボ要素の力を借りて助ける事の出来たIFルート)に分けます。
それでは。また