※このお話はかなり短く、また原作通り助けられないので行為のシーンはありません。
マスターが再びアーマードライダーになります。このルートではロックシードの選択が間違っています。
スカサハ=スカディへの選択肢が書かれていますが、どちらかを選んだ事を分かりやすくするためです。
行為をお求めの方はBルートができるまでお待ちください。
その目に魅せられていた。遷延の魔眼、あらゆる可能性をまるで昆虫の標本の如く止めてしまう魔眼。だが、恐ろしくあるはずのその眼が美しいと、左右異なる宝石のような目に心を奪われてしまっていた。
「オフェリアさん。悪いけど・・・今は撤退させてもらうよ」
「どうやって?今のアナタ達は満身創痍という言葉が当てはまるほど消耗している」
「ああ、確かにね。だけど・・!」
マスターはある物を懐から取り出す。それはマシュだけが知り得て、マスターだけが使える特殊な魔術礼装。
それを腰に当てると自動でベルトが伸長し、何も描かれていなかった部分に西洋の騎士をモチーフにしたような絵柄が浮かび上がり、果物を模した錠前を取り出した。
『BANANA』
それを手元で回転させベルトに装着し、鍵を閉めるかのように錠前をセットする。
「俺は諦めない!変身!!」
『LOCK ON』
ジッパーが開くような音と共にマスターの頭上にバナナを模した鎧が現れる。それを見た味方陣営も敵陣営も何だあれはと言いたげだ。
凱旋時に流れる洋風のファンファーレのような音楽が鳴り響き、さらに驚くマスター以外の存在達。
「あ?なんだ、ありゃあ!?」
「え?あれって・・・」
「バナナ!?バナ、バナナ!?」
『COME ON!』
カッティングブレードを倒し、バナナを模した鎧を頭からぶるマスター。それと同時に鎧が展開され、その手には西洋槍を携えている。
『BANANA ARMS!KNIGHT OF SPEAR』
「バナナじゃない、バロンだ!!アーマードライダー、バロン!」
バナナというツッコミに即座に反応し、切り返すマスター。相手は律儀に待っていてくれたのか、赤い目をしたシグルドが前に出る。
「魔術による鎧とはなかなか面白い見世物だな?」
「ああ、そうだな・・・これを纏ったとしてもサーヴァントには絶対に勝てない。良くて防衛か殿が務まるくらいだ」
「ふん、それで?お前はどうするというのだ?」
「こうするのさ!」
『COME ON!BANANA SQUASH』
カッティングブレードを一度だけ倒し、簡単な目くらましを作り出した。オフェリア達からすればなんの驚異もないものだ。
だが、鎧の威力を見せつけられた事で動揺を隠せずにいた。あの鎧がサーヴァントとの防衛戦で役立つ所を見た為に驚きを隠せなかった。
「しまった!」
「悪いね」
「待て」
撤退しようとした最中、声をかけてきたのは女王であるスカサハ=スカディであった。その顔は楽しそうで何かを施そうといった様子だ。
「カルデアのマスターよ。そなたは力を望むか?望むのならば私が施しをくれてやろう」
{その力を受け取る}
{その力を受け取らない}
◇
{その力を受け取らない}
「俺はそんな力いらない」
「ほう?まぁ・・・それも構わぬがな」
敵かも知れない相手から施しは受けられない、そう考えたマスターはすぐに撤退して行く。この選択が彼にとって更なる傷を増やす事になるとは知らずに。
撤退したマスター達は態勢を立て直し再び、シグルド達に挑んで行った。だが、最後の最後で犠牲を出してしまった。
空想樹を刈り取ることには成功したものの、オフェリアの命を喪わせてしまう魔術を彼女自身が発動させてしまった。
「此処に輝け、私の!」
それはまさしく戦乙女の最後の輝きという言葉がふさわしいほど、眩しく、儚く、そして美しい輝きであった。
「オフェリアさん!」
「オフェリア!」
「あ・・・マシュ、それに・・・バロン・・・だったわよね」
「なんで・・・なんでなんだよ!なんで、使ったんだよ!!」
マスターはアーマードライダーバロンの姿でオフェリアを支えていた。呼吸が弱々しいところを見ると彼女の余命は幾許かも無いだろう。
「私は・・どうしても裏切れなかった・・・あの方を」
「あの方・・・?」
「キリシュタリア様・・・の事」
ああ、その言葉を聞いてバロンたる自分の中に嫉妬が渦巻く。恋した女性には既に恋をしていた相手がいたのだと。自分のような凡人には追いつく事すらもかなわない程に。
「ああ・・・出来れば貴方達・・・二人を見守りたかった。でも、もう叶わない」
「ぐ・・く」
バロンとなっている為に泣き顔すら見せることはない。こちらから見えても、オフェリアからはマスターの顔が見えないのだ。
オフェリアは弱々しく、血のついた腕でバロンの仮面に触れる。微笑んだ彼女はバロンに言葉を紡ぐ。
「バロン・・・・貴方の騎士としての姿・・・見ていたかった・・・でも、もう・・・私は・・・」
「オフェリア・・・ッ!」
仮面の下の涙は決して拭うことは出来ない。人間のままの英雄と呼ばれる仮面の戦士はたった一つの命を守ることが出来なかった。
何のため、この鎧を纏った。守るためだろう・・・自分は浮かれたままで、好意を持った女の命すら助ける事が出来ず無力なままだった。
「あの……に……、また、出会えたら…… 彼、私を、覚えていないでしょうけど…………ありがとうって・・・結婚は、お断りする、けど……の虹、綺麗、だった、って・・・・それと、重荷を・・・背負わせて・・・ごめんなさい・・・私の後輩・・・カルデアの最後の・・・マスター・・・バロン」
そう言って、仮面に触れていたオフェリアの手がスルリと離れた。その死に顔はどこか満足そうである。
「あ・・あああっ・・・・・ううううあああああああああああああああああああ!うわああああああああああ!」
バロンの鎧を纏い、オフェリアの遺骸を軽く抱きしめるとマスターは悲しみの慟哭を上げた。声だけを聞けば彼が嘆き、泣いている事はわかるが仮面で覆い隠している今はわからない。
「先輩・・・・」
マシュはマスターの気持ちを理解できていた。彼の目は冷たくなって腕の中にいるオフェリアに好意を持っていた。
彼にとって初めての恋だったのだろう。想いを言えずに死別してしまった。助けようとして助けられなかった自分に対する無力感、それが痛いほどに伝わって来る。だが、彼はすぐさま別の方角を見ていた。
「先輩?どうしました?」
「分かる・・・遠くからこっち見て楽しそうに笑ってやがる奴がなぁ!」
◇
バロンであるマスターはオフェリアの遺骸を横たえ、彼女の魔眼を封印していた眼帯を槍の柄に結びつけると、ダヴィンチちゃんが偶然作り上げる事の出来たダンテライナーに乗って睨んでいた方角へ向って行ってしまった。
「そこかあああああああああ!!」
そこにいたのは、双眼鏡でマスター達を見ていたコヤンスカヤであった。それでも彼女は楽しそうに笑っている。
「おやぁ?私を認知できるなんて勘が鋭くなりましたか?カルデアのマスターさん」
「お前が、お前がオフェリアを!!」
「いい~え?私は軽ーく背中を押してあげただけですよ?敵対していた相手に同情するなんて不思議ですねぇ・・・もしかして、あの子に惚れちゃってました?」
「!野郎おおおおおおおお!!」
「おやおや、図星だったみたいですね」
魔術の障壁でバロンの槍を簡単に抑え込んでいるコヤンスカヤ、尚も押し込もうとするマスター。僅かに笑みを変えながらも、マスターに対する挑発は止めない。
「ふふふ、その怒り、その悲しみ。心地良いですねぇ。どうあがいても貴方は私に勝てない、そんな骨董品みたいな物を身につけていようと。早く次へ行かないと、その眼帯を身につけていた彼女の死は無駄という事になりますよ?」
「っ!?ぐ・・おおおおお!!」
カッティングブレードを三回倒し、さらに押し込もうとする。
『BANANA SPARKING』
「え?」
魔術障壁を貫き、コヤンスカヤの肌に傷をつけた。ほんの掠り傷程度ではあったが、彼女を怒らせるには充分であった。
「たかが人間如きに傷つけられるなんて、屈辱です・・・ね!これは正当防衛」
「うわあああああ!?」
たった一発、強化された回し蹴りでマスターはマシュ達の居る方角へと蹴り飛ばされた。まるでホコリを払うかのような仕草をした後に飛ばした方向を見る。
「ふふ、一体何が間違いだったのでしょうね?」
Aルートはここで終わりです。Bルートではマスターの使うロックシードと選択肢が変わります。
Bルートは選択肢の地点まで戻ります。そしてマスターが禁断を手にします。
それでは。