※この作品はR-18です。

FGO 英霊とXXXX   作:アマゾンズ

6 / 7
IFでオフェリア助け出せたルートになります。

※注意書き

アーマードライダーに変身します。

マスターが怒りに任せ、鍵となる最強のロックシードを用いて今回は敵サーヴァントを倒します。

書きたいことを詰め込んでいますので長いです。

マスター♂×オフェになります。

ゲッテルデメルングのネタバレ要素を含みます。

シャドウ・ボーダー内部を魔改造。

推奨BGM(仮面ライダー縛りの個人的チョイス)

「JUSTICE(仮面ライダーエグゼイド挿入歌)第二章イメージ」

「Rise Up Your Flag(仮面ライダー鎧武挿入歌)カチドキ状態」

「時の華(仮面ライダー鎧武挿入歌)オフェリア戦[戦闘中会話]」

「E-X-A(仮面ライダー鎧武挿入歌)サーヴァントバトル中」

「This Love never ends(仮面ライダーキバ)オフェリアへの想い」

「乱舞Escalation(仮面ライダー鎧武挿入歌)共闘」

行為シーンはFateの「求め合う心」





ですので、勘弁という方はブラウザバックを推奨します。


番外編 守り通した宝石の戦乙女(オフェリアBルート)

今の状況を言うのならば、絶体絶命という言葉がふさわしいと言える状況だろう。

 

相手は赤い目のシグルド、こちらは満身創痍の弓兵クラスのナポレオン、弱体化させられ防御補助に回っているマシュ、そして相性の関係で前線に出れないブリュンヒルデだ。

 

「見逃さず、全てを倒してやる」

 

「随分と・・・遠慮がないな」

 

「・・・セイバー、敵マスターを最も重要な標的としなさい」

 

「標的、全て殺す」

 

オフェリアは眼帯を取っており、魔眼の力でマシュを弱体化させた。その影響で窮地に立ったのなら起死回生の一手、相手が知るはずもない事をすればいい。

 

そう思い立ち、マスターは懐から魔術礼装である戦極ドライバーを取り出した。それを見たマシュは驚き、オフェリアは警戒を強めるが、マスターは構いもせずそれを腰の位置へと持っていく。

 

それが合図となり、自動でベルトが伸長し何も描かれていなかったプレート部分に日本の鎧武者を彷彿とさせる仮面のような横顔の文様が浮かび上がった。

 

「一体何を!?」

 

装着されると同時にマスターは錠前を取り出す。だが、以前の錠前よりも少し大きく、強化されている物だと推測できる。だが、次の瞬間マスターの口から出た言葉に皆が衝撃を受けた。

 

「オフェリア・・・俺は、アンタを助ける!変身!」

 

『KACHIDOKI』

 

「え?」

 

「まさか、新兵の奴も!?」

 

「おのれ・・貴様もか」

 

DJ風味の音楽と共に掛け声のような声が上がり、錠前が開くと巻かれたベルトの窪みへそれを装着し、錠前をかけた。

 

『LOCK ON』

 

音声と共に日本でも滅多に聞く事の出来ない法螺貝の音が響き渡り、マスターの頭上にジッパーで開かれた空間の裂け目が現れる。その出来事にマスター以外の人間やサーヴァント達は困惑していた。

 

それもその筈、この場で日本を祖国とするのはマスター以外にいないからだ。カッティングブレードに手を添えそのまま倒し、金属の果実を切った。するとオレンジを模した日本の甲冑のようなものが分割され、マスターの頭上へ落下し、鎧が展開されていく。

 

『SOIYA!KACHIDOKI ARMS!いざ、出陣!エイ!エイ!オー!』

 

「!な、何だありゃ!?」

 

「先輩が、日本の鎧武者の姿に!?こんな鎧があったなんて・・・」

 

「アレが、ジャパンのアーマー。なんて力強く・・・美しさも感じられるわ」

 

「ふん・・・」

 

それは守る事を体現したような重厚な鎧であった。もっとも実験過程で偶然の産物だとダヴィンチちゃんから聞かされてはいたが、これ程とは本人も思わなかった様子だ。

 

「俺が相手をしてやろう。いかな強力な鎧でも人間ではサーヴァントに勝てん」

 

「勝利しなくとも、防衛は出来る!うおおおああ!」

 

背中に装備されていた旗を手にし、構えをとった後にシグルドへ突撃していく。それを見たシグルドは短刀を投擲し迎撃しようとした。だが、重装甲の鎧武者としての甲冑を纏ったマスターはそれをものともせず、突撃し、旗を振るう。

 

「何!?むっ!」

 

紙一重で回避したシグルドだったが、何かがおかしいと直感的に悟る。幾ら強力な鎧といえども使い手か未熟ならばここまでの動きは出来ない。

 

だが、カルデアのマスターは戦いを知っているような動きをしており、まるでサーヴァントのように戦ってくるのだ。人間としての動き故に見切りやすいが、それだけでも驚異だ。

 

「人間、貴様・・・まさか?」

 

「気付いたかい?俺だって、ただ呆然とカルデアで過ごしていた訳じゃない」

 

ケルトにおけるランサーのスカサハ、クー・フーリン。祖国である日本における最高峰の剣術指南役の柳生但馬守宗矩、新撰組の沖田総司、土方歳三。二天一流開祖者、宮本武蔵。レオニダス、アキレウス、エミヤ、円卓の騎士等といった英雄達とマスターは特訓していた。

 

だからこそ、鎧を使いこなし、サーヴァント相手でも善戦出来る程度の実力を手にしたのだ。勝利する事は出来なくとも、防衛戦程度はこなせるまでに。

 

「眩しい、眩しすぎるわね・・・それなら!」

 

「させるか!うおおおりゃああ!」

 

「きゃ!」

 

魔眼を今度はマスターへ向けて発動させようとしたオフェリアだったが、マスターは己を軸に回転し橙色の光を旗から発して、それを防いだ。だが、オフェリアに傷はない。

 

「貴様・・・・殺す!」

 

「ただで殺せると思うなよ?」

 

鎧を纏ったマスターの手には、いつの間にか大昔に日本の戦いで使われた火縄銃と似た物が握られている。クラブのDJが使用するようなターンテーブルがあり、それをスクラッチし、法螺貝の音が響き渡る。

 

「うおおお!」

 

単発式の銃のように弾丸をシグルドへ放つが、それを難なく回避されてしまう。数回続けた後、再びターンテーブルをスクラッチし、今度は音程スピードを速くする調整をすると装填の代わりに再びスクラッチし、法螺貝の音が早くなるとマシンガンのように弾幕を展開する。

 

「おらあああ!」

 

「ちぃぃ!」

 

流石に秒間で数百発に近い弾幕を回避し続けるのはサーヴァントでも厳しく、数発は当たってしまっている。怯んだ隙を狙い、スクラッチを素早く終わらせ今度は音程スピードが遅く、重低音に変わる。

 

「これでどうだ!」

 

砲台のような一撃を発射し、大砲モードの弾丸をシグルドに当てる事は出来たが、大した負傷はしていない。それを見て、マスターは火縄銃に日本刀を模した武器を装着し、大太刀に変えて構えた。

 

「むぅ!人間如きに・・・!」

 

シグルドが反撃に転じようとした瞬間、まるで演劇を見終わった後に起こる拍手が響く。それは中心である玉座から聞こえていた。

 

 

 

◇

 

 

 

 

「良い良い、なかなか楽しめたぞ?だが、ここまでだ。城を壊されては目も当てられぬ」

 

それはスカサハ=スカディが戦いをを止める為に行っていたようだ。二人の戦いの決着に興味はなく、彼女にとっては演武を見ていたに過ぎない。

 

「双方退け、演武はここまでだ」

 

「仰せのままに、セイバー・・霊体化しなさい」

 

「ふん・・・・」

 

「・・・・いずれ、貴方を倒すわ。マシュ・・・貴女も」

 

シグルドが霊体化したのを確認しオフェリアはマスターを排除する旨を口にし、城の奥へと行ってしまう。マスター達も体制を立て直さなければならないため、撤退準備をする。

 

「先輩どうしたんです?」

 

「先に行ってて・・・すぐに追いつくから」

 

「わかった、なるべく早く来いよ」

 

マシュとナポレオンは先に撤退していき、鎧を纏ったままのマスターはスカサハ=スカディと対峙する。

 

「カルデアのマスターよ。そなたは力を望むか?望むのならば私が施しをくれてやろう」

 

 

{その力を受け取る}

 

{その力を受け取らない}

 

 

 

 

 

◇

 

 

 

 

 

{その力を受け取る}

 

マスターは迷いながらも返答を口にした。顔は仮面で完全に覆っている為に分からない。

 

「神からの施しを受けるか?なにゆえ、お前は力を欲する?まさか・・・本気でオフェリアを助ける気ではあるまいな?」

 

「そのまさかだ、俺は助けたい」

 

「ならば、お前は人間である事を捨てられるか?」

 

そう言って、スカサハ=スカディは杖を軽く手のひらの上で振るうとそこには、黄金の鍵のようなロックシードが彼女の手の中に現れていた。

 

「お前が使っている錠前を参考に対となる鍵として、これを発現させた。これを使えばお前は人の身で神や英霊であるサーヴァントと互角に戦えるであろう」

 

「!」

 

「だが心して聞け。これを使い続ければ、お前は次第に人間ではなくなっていく・・・その覚悟があるか?」

 

人間ではなくなっていく、それは自分が英霊となってしまう事なのだろうか、考えてみるが可能性が大きすぎてどうなるのかは想像が出来ない。

 

「今、お前が使っている対となる錠前に私が復活のルーンを刻んでやろう。ただ一度のみなら復活を許されるものだ。私の気まぐれではあるがな、あの演武を見られなくなるのは惜しい」

 

スカサハ=スカディは杖を振るってカチドキロックシードへルーンを刻んでいく。同時に手に持っているロックシードを受け取れと言わんばかりに差し出す。

 

「人間である事を捨てるんじゃない・・・違う自分になっても助け出してみせる」

 

変身を解除し黄金の鍵のロックシードを手に、スカサハ=スカディに言い残すと城から出て行く。

 

「真っ直ぐな目だ。だが、それだけではあの娘の心は溶かしきれぬぞ?」

 

 

 

 

◇

 

 

撤退後、手当てと回復を優先し休んでいた。マシュは既に睡眠に入り眠っている。マスターは第二の拠点になっている洞窟の入り口付近で、スカサハ=スカディから受け取った黄金の鍵のロックシードである極ロックシードを手に握ったまま見つめていた。

 

「・・・・俺は」

 

「眠れないのか?新兵」

 

「ナポレオン・・・」

 

マスターが起きている事をナポレオンは察知していた様子で向かい側にドッカリと座り込む。その手には熱いコーヒーが二つ握られていた。マシュが持ってきていた物の中にあったのだろう。片方をマスターに手渡し、それをマスターは受け取る。

 

「まさか、お前もオフェリアに惚れ込んだとはな?一目惚れか?」

 

「そうさ、一目惚れだよ。なんというか・・・放っておけなくて連れ出したいって」

 

「そうか、ならちゃんと責任とって連れ出せ!」

 

「え?」

 

意外な言葉にマスターは目を丸くする。ナポレオンはフッと笑った後、背中をバシバシと叩いた。

 

「惚れた女を助ける、男にとっちゃ当たり前の事だろうが!俺も惚れたが、新兵の方が相当惚れ込んでるようだしな!!」

 

「痛い痛い!」

 

「期待の表れだ!ほれ、酒じゃないのが残念だが、必勝の乾杯だ」

 

二人はまるでグラスを掲げるように持ち上げ、カップを打ち鳴らしてコーヒーを飲んだ、その際、舌を少し火傷したのは言うまでもない。

 

 

 

 

◇

 

 

 

 

最大の目的は空想樹、それを伐採、消滅させる事。だが、マスターはここで懸念を抱いていた。オフェリアを助け出しても異聞帯でのサーヴァントの契約は断ち切れず、ひょっとしたら取り込まれてしまうのではないかと。

 

「・・・・あの人達に協力してもらうしかないな」

 

そう言ってダヴィンチちゃんに連絡が取れる範囲にこっそり向かうと、英霊召喚をさせてくれるように頼み込む。流石にそれは出来ないと渋っていたが、魔力の糧にロックシードを一個使ってくれと頼んだら了承してくれた。触媒は各々の英霊達から貰ってあったために問題ない。狙うはあの人達だ・・・。

 

英霊召喚を行い、目的の英霊を呼び出すことが出来た。そう、キャスターかアーチャーのどちらかでも応じてくれたのだから。

 

応じてくれた英霊は霊体化してくれるように頼んだ。こうすれば魔力の消費を抑えられるからだ。次に帰還にしたら頼むと言って、マスターは再び戦場へ戻っていく。

 

 

 

◇

 

 

 

 

 

 

戦場となっている城ではナポレオンと赤い目のシグルドが互角の戦いを繰り広げていた。その戦いに介入するのは難しい。

 

「マスター・・・お話が」

 

「何?」

 

同じ戦場で戦いの邪魔になる氷の獣をなぎ払って来たブリュンヒルデがマスターに声をかけてくる。

 

「恐らく、あれはシグルド・・・あの人ではありません・・・あの方は炎のルーンは使わないと誓ってくれたのですから」

 

「なんだって!?じゃあ・・・何かがシグルドの身体を利用しているって事か!?」

 

「はい・・・確信を持てます。それゆえ・・・許せません」

 

マスターは戦いを見ながら相手の正体を推理する。ここは北欧神話の神が生き残っている異聞帯・・・シグルドもその世界においてはブリュンヒルデと共に知られた存在だ。もう一度自分が知る北欧神話を思い返す。

 

人理側の書物や記録によれば、北欧神話の世界ではフィンブルの冬の後に神々の黄昏(ラグナロク)によってほとんどの神がいなくなってしまう、その神話の中で炎を扱うといえば一人しかいない。

 

神々の黄昏(ラグナロク)を最後まで生き残り、炎の剣や杖とも言われるに物によって世界の全てを焼き尽くした神・・・スルト。それが異聞帯のセイバー、シグルドの肉体を利用している正体だ。

 

正体が分かると同時にナポレオンが膝を付きかけていた。それを見たマスターは戦極ドライバーを身につけ、走りながら特殊錠前を開放し、鎧を装着する。

 

『KACHIDOKI LOCK ON』

 

「変身!うああああ!」

 

『SOIYA!KACHIDOKI ARMS!いざ、出陣!エイ!エイ!オー!』

 

ナポレオンへ振り下ろされた凶刃を甲冑を身につけたマスターが二本の旗で受け止める。それを見たシグルドとオフェリアはまたなのか、と言いたげだ。

 

「貴様・・人間の分際で・・・」

 

「仲間を死なせてたまるか!俺はお前を絶対に許さねぇ!オフェリアを縛り続けているお前をな!」

 

「何を言っている?オフェリアは俺のマスターだ。それ以下でもそれ以上でもない」

 

「違う!俺にはわかる、心の奥底で助けて欲しいと声を上げている姿が!」

 

「っ!令呪をもって命じる!セイバー、カルデアのマスターを倒しなさい!」

 

「・・・承知した」

 

令呪によって標的を切り替えたシグルドは果敢にマスターを狙いに来る。令呪によって強化されている為、鎧の防御を簡単に貫通している。

 

「ふんっ!」

 

「ぐあっ!?」

 

短刀の投擲から、魔剣による斬撃の連続攻撃をその身に受けてしまうマスター。鎧に守られているとはいえ、ダメージは伝わっており、そして。

 

「砕けろ!人理の最後のマスター!」

 

「ぐああああああ!」

 

魔剣と体術のコンビネーションによって鎧を纏ったマスターは柱に叩きつけられ、変身が解除されてしまう。

 

全身はアザだらけであり、俯せに倒れたまま立ち上がろうとするが、それが出来ない。更には絶望的な事にカチドキロックシードを破壊されてしまっていた。戦極ドライバーは無事だったが、これではマスターは戦う事が出来ない。

 

「次はお前だ、間男」

 

「新兵にあそこまでされちゃ、弱音を吐いてられねぇわな!まだまだぁ!」

 

「ぐ・・・ナポレオ・・・ン」

 

だが、強化されたシグルドと何の補助もないナポレオンとでは、やはり差が出来てしまっていた。善戦してはいるが、とうとう深い一撃が入ってしまう。

 

「貴様さえ居なければ!オフェリアは・・・心を揺さぶられる事はなかった!」

 

「ぐおお!」

 

何度何度も刃を突き立てる姿はタダでは殺さないという、意思表示なのだろう。それを只見ていただけのマスターに感情が沸き起こる。

 

そうだ、これは怒りだ。何もできない自分に対する怒り、仲間を殺そうとする敵への怒り、己自身の事しか考えず、相手を威圧する者への怒り。それら全てが爆発した瞬間、マスターは思い切り叫んでいた。

 

「スルトォォォ―――――ッ!!!お前みたいな奴は、此処で俺がぶっ潰す!!」

 

「!くたばり損ないの人間(マスター)が!鎧を呼び出す錠前を破壊された今のお前に何が出来ると言うんだ?」

 

本当の名を明かされたスルトは怒り心頭になるが、人間ごときは簡単に殺せると挑発に近い言葉をマスターに投げつけた。

 

マスターは破壊されたカチドキロックシードに手を伸ばして拾い上げ、魔術礼装である戦極ドライバーを拾い上げて装着する。オフェリアは自分のサーヴァントが乗っ取られていた事に動揺を隠せない様子だが、それ以上に後輩であるカルデアのマスターの立ち上がって来る事にも驚いている。

 

「うおおおおお!」

 

手にした特殊錠前を目の前に掲げると、カチドキロックシードに原初のルーンの一つである復活のルーンが現れ、一瞬でロックシードを復元してしまう。それと同時に左手で鍵である極ロックシードを取り出した。

 

スカサハ=スカディから気まぐれで齎された加護を此処で使った。戦いへと戻る為に。

 

「先輩・・・!?錠前を復元させるなんて!」

 

『心して聞け。これを使い続ければ、お前は次第に人間ではなくなっていく・・・その覚悟があるか?』

 

「俺は必ずオフェリアを助ける!例え俺が人間でなくなっても!変身・・・!」

 

『KACHIDOKI』

 

『FRUIT BASKET』

 

マスターはスカサハ=スカディの忠告を思い返しつつも、極ロックシードを起動させ、鍵の状態にすると同時に鎧の種類を描いたフェイスプレート部分が鍵穴へと変化し、頭上からあらゆる種類のフルーツを模した展開前の鎧がマスターの周りを回り始めた。

 

「ふんっ!」

 

黄金の鍵を鍵穴に差し込み、それを捻ると周りを回っていた鎧全てがマスターを中心に集まっていく。

 

『LOCK OPEN』

 

『KIWAMI ARMS!大・大・大・大・大将軍!』

 

全ての鎧を取り込み、甲冑が弾け飛ぶと中から現れたのは、白銀の南蛮胴具足の鎧武者だ。その姿にマシュやブリュンヒルデ、傷だらけのナポレオンも敵であるシグルド、オフェリアまでもが驚きを隠せていない。

 

「・・・これは!?人間の力じゃありません。純粋な何か?違う、この魔力の流れはサーヴァント!」

 

マシュの観察は的確であった。今現在は残滓しか宿してはいないが彼女の脳には魔力の感知能力が刻まれている。今のマスターからはサーヴァントに匹敵する程の魔力が溢れ出ており、諸葛亮孔明の寄り代になっているエルメロイⅡ世やイシュタルなどのような例もある。だが、驚くべき事は英霊を宿していないのにも関わらず、サーヴァントと同等の存在になっていることだ。

 

「おおおおお・・・!」

 

「でやあああ!」

 

『KAGEMATU(影松)』

 

白銀の南蛮胴具足の鎧武者は鍵を回し、三叉の槍を出現させそれを手にすると、同じように向かってくるシグルドへ向かっていく。

 

クラス相性は関係ない。己のエゴかも知れない、それでも彼女を助けたい。それだけがマスターに力を湧き上がらせる。

 

「おらぁ!でやあ!せりやああ!!」

 

「ぬおお!?」

 

その槍捌きは手ほどきを受けていたケルトの英霊のようであり、全員がその戦いに目を奪われている。純粋なサーヴァントである自分をを追い込んできているマスターをシグルドが許せるはずがなかった。

 

「おのれ・・おのれ・・!人間んん!」

 

シグルドは短刀をを殴って飛ばしてくるが、マスターは再び鍵を回し、鎧と対にある武器を大量に出現させ停滞させる。

 

『STRAWBERRY(イチゴ) KUNAI』

 

『DORINOKO』

 

「はぁっ!」

 

シグルドの短刀とマスターが呼び出したクナイがぶつかり合い相殺される。次は鋸のような刃を持った双剣を手にして競り合いを始めた。それを見ていたマシュは彼の戦い方に覚えがあった。

 

「あの戦い方・・・まるで、かの英雄王ギルガメッシュのような」

 

武器を弾丸として使用する戦法があまりに酷似している。だが、違っている点が一つだけあった。それはマスターが「持ち主」ではなく「使い手」として戦っている事だ。エミヤのように蓄積された年月を解析している訳ではなく、己が努力し己が手にした武器に対する経験を使っている。

 

「どうして?最強の英霊であるはずなのに・・・どうして鎧を身に纏ったマスターに押されているの!?」

 

「先輩は・・・貴女を助けようとしているんです、オフェリアさん。貴女を縛る呪縛から」

 

「マシュ・・!?」

 

「先輩が頑張っているのに・・・私だって頑張らない訳にはいきません!」

 

オフェリアは顔に出さずとも動揺していた。異聞帯のマスターとしてこの世界を安定させて来たはずが、後輩であり、魔術のイロハをほとんど知らないはずのカルデアのマスターに追い込まれている。

 

更には王女が気まぐれで渡したであろう力を使って、自分を助けようなどと言っている。何故?考えれば考える程、理解ができない。可能性を止めようとすると迷いが出てしまう。必ず助ける、この言葉をどこかで信じてしまう自分が居るために。

 

「何故だ・・・オフェリアの最強の騎士であるこの俺が!」

 

「最強の騎士だと、ふざけんな!お前なんかシグルドの威を借りてるだけだ!」

 

『よく言った、マスター。だが、その威勢の前にすぐに左へ避けろ』

 

「っ!?」

 

謎の声に言われた通り、左へ避けると一本の小さな光の矢がオフェリアの肩に刺さっていた。彼女からすれば蜂に刺されたような感覚しかないが、矢を見てマスターは仮面越しに笑っていた。その気配に気づいたシグルドはマスターを殴り飛ばす。

 

「何を笑っている、貴様」

 

「ぐあっ!・・・笑っている理由かい?賭けに勝ったからさ」

 

「賭けだと?」

 

 

 

 

◇

 

 

 

 

 

 

 

オフェリアの肩に刺さった矢の正体、それは破戒すべき全ての符(ルールブレイカー)。「あらゆる魔術を初期化する」という特性を持つ最強の対魔術宝具であり、令呪の契約すらもを打ち消すほどの能力を持つと言われる短剣であった。

 

 

「何・・・オフェリアからの魔力が?」

 

「令呪が・・・消えている?そんな!」

 

「死がふたりを分断つまで(ブリュンヒルデ・ロマンシア)」

 

瞬間、ブリュンヒルデの宝具であり槍である鋒がシグルドの肉体を貫いた。マスターは一種の賭けをしていたのだ。破戒すべき全ての符(ルールブレイカー)を使えばオフェリアを助け出せ、瞬間にシグルドを殺したブリュンヒルデならば倒す事が出来るだろうと。しかし、誤算が出てきてしまった。

 

「フハハハ!これで俺は本来の力を取り戻した!全てを焼き尽くしてやろう!!」

 

「あれが・・・・正体」

 

シグルドという名の殻の中に閉じ込めておいたスルトの本体が出てきてしまったのだ。しかし、サーヴァントとしての契約を完全に切られているため、長い時間、自身を現界させ続ける事は出来ないだろう。

 

殻となっていたシグルドは意識はあるが膝をついており、まだ霊格を失っていない。だが、このままではすぐに魔力を失い消滅するだろう。オフェリアは呆然としているままで動かない。だが、シグルドはオフェリアに近づき、言葉を促した。

 

「もう一度、当方と契約して欲しい」

 

「え?」

 

「私からもお願いします。あの人に戦う力を」

 

ブリュンヒルデの願いに現代の戦乙女は騎士へと手を伸ばし、契約の言霊を口にしていた。

 

 

 

 

 

◇

 

 

 

「そうはさせるか!」

 

「汎人類史の最後のマスター!礼を言うぞ、これでオフェリアに星の破壊の輝きを見せることができる!」

 

「お前なんか神でも何でもない!ただ、欲しい物が手に入らなくてダダを捏ねている子供と同じだ!!」

 

「おのれ、愚弄するか!」

 

「サーヴァントとしてじゃ足りない・・・俺を、人間としての俺の一部をくれてやる!だから、スルトを倒せる力を!!」

 

マスターの決意の声にナポレオンは笑みを深くする。白銀の南蛮胴具足の鎧武者の姿となって顔すらも見えないが、惚れた女を助けるためにそこまで覚悟を決めたのかと。その理由は初めてロストベルトの空想樹を伐採する前の戦いにあった。その世界における全ての生きている存在を犠牲にしなければならないと知っている。オフェリアを助けるには、この世界で出会ったあの少女とこの世界そのものを犠牲にしなければならない。

 

世界も少女も同等の重さだ。しかし既に自分は異聞帯とはいえど世界を滅ぼしている。自分の世界を守る為に世界を破壊する。他の世界からすれば災厄の破壊者とも言えるだろう。それでも進むと決めた、重くても、苦しくても、泣いてでも歩みを止めないと。

 

「もう、俺は後悔なんてしない!!」

 

「新兵・・・!(いい覚悟だ。なら、道は俺が作ってやる)」

 

自身を一時的にスルトと同じランク、つまり神にまで格上げさせる。だが、擬似的であり時間も非常に短く、人間が神と同等になるためには禁断の果実を食さなればならない。

 

その禁断の果実と同じ性質の一部が極ロックシードである。己の人間としての存在の一部を代償にする事で始まりの存在として己を変化させた。

 

再び鎧の鍵を捻り、武器を取り出す。この相手に勝つにはあの武器しかない。神殺しすら体現できる可能性を秘めたあの武器でなれば。

 

『HINAWA (火縄) DAIDAI(橙) DJ GUN(DJ銃)』

 

『MUSOU(無双) SABER(セイバー)』

 

二つの刃を一つにし、大剣が完成する。大剣に己が変身に使っている物と似ているロックシードに今だからこそ出来る魔力を込めてを装着し、更にカッティングブレードを二回倒す。

 

『FRUIT CHARGE 一、十、百、千、万、億、兆!無量大数!!』

 

『SOIYA!KIWAMI AULAIT!』

 

本来ならば有り得ないはずのチャージと必殺の同時発動。だが、チャージに時間が掛かっておりこのままでは決める事が出来ない。

 

「不可能を可能にする、か・・・お前の時間は俺が稼いでやる!」

 

その声は傷だらけのナポレオンだった。不敵な笑みを浮かべ、巨大な大砲をスルトに向けている。マスターの隣に立ち、もはや消滅の状態に近い。

 

「俺は振られちまったが・・・アイツの願いを叶え、アイツの呪詛は俺が持っていく!新兵、お前がオフェリアを連れ出してやれ。鎧を纏った武装者、即ち鎧武として!!」

 

「ナポレオン!」

 

「集中しろ!今の俺はここまでだが、泣くな!お前との縁は切れねえ!」

 

己の全てを出し切ってでの全力砲撃、それはさながら虹の橋のように見えて・・・。彼は消滅していってしまった。だが、次の瞬間、強い魔力の流れを感じた。

 

「我が騎士、セイバー!令呪を持って命ずる!宝具を使い、あの虹に続け!」

 

その声は騎士を従える宝石の戦乙女、炎の神の人身御供になりかけていた戦乙女と殻として利用されていた騎士の姿であった。

 

「承知した・・・!絶技用意。太陽の魔剣よ、その身で破壊を巻き起こせ!破滅の黎明、壊劫の天輪(ベルヴェルク・グラム)!!」

 

敵対していたはずのシグルドが宝具で自分を援護してくれている。その後ろにはマシュに支えられたオフェリアの姿もある。

 

「先輩!オフェリアさんはもう大丈夫です!」

 

「私のことは気にせず、倒しなさい」

 

「!」

 

オフェリアの合図と共に全てのチャージが終わる。大剣から溢れている光の切っ先は天まで届く程に長く巨大で空想樹をも切り裂くのではないかと思える程だ。

 

「セイハァァァ!」

 

大剣を振り下ろし、巨大な刃がスルトへと向かっていく。それを防御し受けきろうとするスルト。

 

「ぬううう!人間に・・・倒されるものか!それに貴様はこの世界の破壊者だ!」

 

「ああ、そうだな・・・!だけど俺は進む!それが、俺の決めたことだ!出会った人達の命を背負って俺は進み続ける!」

 

マスターの背中には今まで出会ってきた人間、英霊、異聞帯の世界の住人までもがいた。助けられなかった存在、己の意思を貫き通した存在、自分に託してくれた存在、道を示してくれた存在、その全てを背負っている。そしてスルトにとって最も忌むべき男、ナポレオンがマスターの背中を押していた。

 

スルトの腕が切り裂かれ、本体を一刀両断にした。瞬間、スルトは最後の最後でオフェリアへと向かっていく。

 

「オフェリアァァァ!お前だけは、お前だけはァァ!!」

 

後、数センチというところでスルトは消滅し、空想樹も切除された。この北欧の異聞帯も消滅するだろう。

 

「ぐ・・・うっ・・・・」

 

鎧が解除され、マスターは膝をついてしまう。マシュとオフェリアが駆けつけ、彼を支えた。

 

「先輩!大丈夫ですか?」

 

「あんなムチャをするからよ。呆れるわ」

 

「・・・酷いですね、オフェリア先・・・・輩」

 

それだけを言い残し、限界を迎えて気絶してしまった。シグルドとブリュンヒルデは光に包まれている。

 

「どうやら、ここまでのようですね・・・」

 

「そうだな、マスター、無事で何よりだ」

 

オフェリアは自分の騎士の前に立ち、真っ直ぐにその目を向けていた。ブリュンヒルデは何かを察し、マシュとマスターを伴って距離を置いた。

 

 

 

 

 

◇

 

 

 

「シグルド、もう一度契約はしてくれないの?」

 

「それは出来ない、当方はこの世界でのサーヴァントだ。この世界が消滅するのであれば契約しても意味はない」

 

「っ・・・それでも!貴方は私の・・・!」

 

オフェリアが眼帯を外し、魔眼を使おうとしたがシグルドは目を瞑って首を横に振っていた。

 

「マスターを日曜日という牢獄から連れ出してくれる存在が居る。私はその者に託そう。記憶はなくなるが再び召喚されん事を・・・この叡智の結晶をマスター」

 

それだけを伝え、シグルドはオフェリアに聖遺物ともいえる物を渡して消えていった。受け取ったそれを祈りのような仕草で胸元に当てると泣いた。

 

その姿に声をかけることは許されなかった。そう、許されない。これは、彼女だけに許された別れの儀式であったのだから。

 

 

 

 

◇

 

 

 

全員が戻るとオフェリアの姿を見て、ゴルドルフ新所長が声を荒らげた。クリプターの一人が生きており、出戻りにも近い状態で来たのだから無理はないだろう。

 

「そのクリプターからは聞きたいことが山ほどある!こちらで尋問を」

 

「・・・・」

 

「それは・・待って頂けませんか?」

 

「なんで、私がこんな」

 

「む?」

 

「先輩!?もう大丈夫なんですか?」

 

気絶して医務室で寝ていたはずのマスターが起きて、皆に合流してきた。無論、完全に回復した訳では無い為、付き添いのサーヴァントの一人である虞美人に支えられている。

 

「ああ、大丈夫だよマシュ。ゴルドルフ新所長・・・捕虜をすぐに尋問にかけるものなのですか?」

 

「む・・・」

 

「話すのならマシュやダヴィンチちゃんの方が良いかと、下手な尋問は却って情報を聞き出せません」

 

「確かにマスターの言う通りかもしれないね、彼女は精神的に弱っている」

 

「ぐぐぐ・・・・仕方あるまいしっかりと聞き出すのだぞ!」

 

そう言ってゴルドルフは引き下がった。なんだかんだ言って聞き分けが良いのが彼の長所である。マスターは支えられつつ背を壁に付け、話を始める。

 

クリプターの目的は異界の神を顕現させる事、その為に地球を漂白し人類が神と共にある世界を蘇らせることが目的だそうだ。この話は口外しない事を条件にマシュとマスターのみに話された。

 

「私はあのお方の役に立ちたかった・・・地球を漂白する事に興味はなかった。でも、今は・・・」

 

そう、今のオフェリアはクリプターとなる前の状態、即ちカルデアに来た当初の状態に戻っているのだ。

 

運命を変えられたために生き残った彼女に生きる目的がない。死ぬことすらも考えていたが彼女にはまだ生きる糧があった。

 

「これから、新しい生き方を考えましょう?オフェリアさん」

 

「マシュ・・・本当に貴女は変わったわね?私なんかよりもずっと強くなった」

 

 

 

 

◇

 

 

 

 

二人の話が終わる頃、マスターはダヴィンチちゃんの工房へ来ていた。理由は極ロックシードを封印するためである。

 

「これは、魔力の塊・・・これ自身が神の玩具と言っても過言ではないよ。でも、本当にいいのかい?これを封印したら君はまた防衛しか出来ない状態に戻るよ?」

 

「それでいいんだ。それを使い続けたら人間じゃなくなるって異聞帯のスカサハ=スカディに言われたから」

 

「!キミ・・・ちょっと良いかな?」

 

ダヴィンチは急遽メディカルチェックをマスターにし始めた。その結果、ロックシードからの魔力の残留が残っており、それが肉体に作用してしまっている。

 

「どおりで怪我の治りが早いはずだ・・・これは確かに封印した方がいいね」

 

「うん、お願い」

 

マスターは要件だけを伝えると車内の食堂へと行く。そこではオフェリアとマシュが楽しそうに談笑していた。

 

こちらに気づいた二人が相席の形で座ってくる。マスターはきにせずに食事を取り、一口食べると不思議な事を言い出した。

 

「これ・・・味が薄くないかな?」

 

「え?少し貰いますね」

 

「私も貰うわ」

 

マシュとオフェリアがハンバーグソースを指で掬い口に運ぶが、マシュは首を傾げてマスターに返答し、オフェリアも生真面目な表情で答える。

 

「いつもと変わりませんよ?」

 

「美味しいデミグラスソースよ、この味が薄いはずがないわ」

 

「?そっか、疲れてるのかな?」

 

まだ軽い段階ではあったが、確実に使用した時の代償をマスターは支払っていたのだ。だが、封印をした今では使うことはないだろう。食事後、マスターは常にオフェリアと過ごす時間を取っていた。

 

ペーパームーンを取り返し、虚数空間を航行している間はオフェリアにサーヴァントに対する制御方法、魔術の基礎などを果敢に聞いて回った。

 

最初のうちはうっとおしく感じていたが、いつの間にかそれを楽しんでいる自分が居た。紅茶を飲んでお茶をしている時に思わず彼女はマスターに聞いてしまった。

 

「どうして貴方は私に構って離れようとしないの?」

 

「それは戦ってた時も言ったけど、オフェリアさんが好きだし・・・それに」

 

「それに?」

 

「助けて欲しいって言っていたように見えたから、なんて言うんだろう・・・クリプターからじゃなくて、もっとこう、別の何かから」

 

マスターは当てずっぽうで言ったのだろうが、オフェリアは内心動揺していた。このマスターには自分の最も嫌う「日曜日」に肉薄していたのだから。

 

「そう・・・悪いけど先に休むわね」

 

「あ、うん・・・お休み」

 

 

 

◇

 

 

自室として解放された一室にオフェリアは扉を開けて入ると、シャワーで身を清めて着替えるとベッドへ腰掛けた。今は誰もいない独りの時間。

 

オフェリアは考える。後輩であるマスターに助けられ、今やクリプターでも異聞帯のマスターでもない。ただの魔術師であるオフェリア・ファムルソローネという存在のみ。キリシュタリア・ヴォーダイムへの忠義は残っているのだが、最早彼に会うこともかなわない。恋心を忠義として認識していた為に己の本当の気持ちもわからない。

 

「あ・・・・れ・・・・?」

 

オフェリアは身体の疲れからベッドへ横になってしまった。そのまま夢へと誘われていく。まだ、眠りたくないと思っても肉体の疲れを誤魔化すことはできない。

 

夢を見ている。これは地球が漂白する前、自分自身の幼き記憶。魔眼を発眼させ、父母が喜んだ事。

 

だが、こちらが愛しても・・・両親が愛していたのはオフェリア・ファムルソローネ自身ではなく、彼女の持った魔眼であった。

 

魔術師であるのならばそれは正しい事なのだろう。だが、親の愛情を受けたい年齢の時代に彼女はそれを放棄してしまった。己の中に愛情は受けられないと根付かせてしまった。

 

彼女は口に出さずとも願っていた。誰か、誰か助けて!私をこの日曜日から開放して欲しいと。

 

「誰か、助けて!」

 

「フェリア・・・さ・・・オフェ・・・ん!」

 

「誰?」

 

誰かが呼んでいる。それは優しい光でもあり、連れ出してくれるものでもあるようで、幼き彼女はその光に向かって手を伸ばしていた。

 

「はっ!?」

 

「良かった、目を覚ましてくれた。ものすごくうなされてて、手を伸ばしてたから、つい」

 

「え?」

 

隣へ視線を移すとマスターが自分の手を握っていた。手を握って呼びかけ続けてくれていたのだろう、夢で見た光はこれだったのかと。

 

「虚数空間に居ては意味のない事だけど、今日は何曜日?」

 

「日曜日だよ」

 

それを聞いてオフェリアの心臓は不安で跳ね上がる。だが、マスターは手を離すと改めて手を伸ばした。

 

「今日はマシュが三人でお茶をしようって言ってるんだ。一緒に行こう?」

 

「マシュが?」

 

「ほら!」

 

「え、あ?ちょっと!」

 

新しい服に着替えてあったのが幸いだったが、マスターはオフェリアの手を握って、彼女を扉の外へと連れ出してしまった。

 

その瞬間、彼の背中を見たオフェリアの中に、白銀の南蛮胴具足の鎧武者の姿となったマスターの姿が浮かぶ。あの姿で戦い続ける可能性を見てしまっている。魔眼は封じているはずなのに。

 

「?どうしたのさ?オフェリアさん」

 

「え?何でもないわ・・・手を離してくれる?」

 

「あ、咄嗟にやってたから、ごめんなさい!」

 

「大丈夫よ」

 

その後、お茶会に参加し、マスターが巻き込まれた出来事、マシュの中にいた英霊の話など話題は尽きることがなかった。

 

独りの時間になるたびにオフェリアは考える。自分の心が、氷のようにしてきた自分の心がとかされてきていると。マシュは友達になりたかったという思いがあった。だが、マスターに関しては失いたくないという思いと共に初めて連れ出してくれた思いが強くなっていた。

 

「日曜日」から連れ出してくれた、あの「手」を実感してから何かおかしい。マスターの事ばかりを考えるようになってしまっている。

 

「私、どうかしちゃったのかしら?ずっと彼のことを考えてばかり・・・」

 

そんなふうに考えていると自室の扉がノックされる。オフェリアは慌てて返事をした。

 

「だ、誰?」

 

「俺です。中に入っても大丈夫?」

 

「え、ああ・・・どうぞ。入っていいわよ」

 

扉を開いて入ってくるマスターは少し笑顔のようにも見える。一体何を考えているのだろうか?

 

「これ、感謝のプレゼントです」

 

「?」

 

差し出されたのはメガネケースとコンタクトレンズが入っているケースだった。コンタクトレンズの方は良いとして、メガネケースを開けると中にはメガネが入っていた。

 

「眼鏡?」

 

「かけてみればわかるよ。あ、眼帯は取ってね?」

 

「?」

 

言われた通り、眼帯を取って渡された眼鏡をかけてみる。魔眼で景色は見えないのに、と思っていたが可能性が見えてない。左目からくる情報が両方の目から入ってくる。少しズラすと可能性が見えて、完全にかけると普通の景色だけが見える。

 

「何なの?このメガネは!?」

 

「魔眼封じの眼鏡、ダヴィンチちゃんがとあるサーヴァントが掛けていたメガネを参考に苦心して作ってくれた物だよ」

 

訳が解らない、どうしてこんな貴重品とも言える物を私に渡してくれるのか?すると彼は眼鏡をかけた私の瞳を覗き込むように顔近づけた。

 

「やっぱり、眼帯をしているよりもオッドアイの方がオフェリアさんは綺麗ですよ。眼帯をしている方も凛々しくて好きですけど、って何言ってんだ俺」

 

すぐに離れると顔を赤くしながら頭をガシガシを掻き毟る彼、ドクンと心臓が高鳴り、電気が走った感覚が起こる。どうして私は彼に胸が高鳴っているの?

 

「じゃあ、また明日!今度は効率の良いパーティーの組み方を教えてくださいよ!」

 

そう言い残して彼は部屋から出て行ってしまった。引きとめようとする前に出て行かれて寂しさが溢れてくる。

 

「・・・そんなはずは」

 

キリシュタリア様に対する感情と似ている。でも彼だと全く違う。キリシュタリア様は私を「日曜日」から守ってくれたお方、ああ・・そうか、彼は私を「日曜日」から「守る」のではなく「連れ出してくれた」人なのだ。

 

マシュと友達になりたいという思いも、「日曜日」から開放してくれた事も全て彼が・・・この感情の正体、これが恋というもの。総てをこなしてしまう完璧なキリシュタリア様ではなく、泥を被ってでも進み続ける彼に心を奪われてしまった。

 

「皮肉ね・・・あの方の傍に居れば良いと思っていたのに、一緒に歩いてくれる相手に惹かれてしまうなんて」

 

あの英霊(ナポレオン)もそうだった。彼(マスター)は泣きながらも進む事を止めず、あの英霊(ナポレオン)は可能性の体現者。似ているようで似ていない、でも、やり方は違えども二人は私を助けてくれた。

 

「今はまだ、この気持ちを知るために秘めておきましょう」

 

 

 

 

 

◇

 

 

 

 

 

それから半年ほど経ち、三人はいつも一緒であったが、この日だけはマシュとオフェリアが二人だけでお茶をしていた。その際に眼帯から眼鏡をかけた事にマシュから驚かれたが、嬉しそうでもあった。

 

「マシュ」

 

「なんですか?オフェリアさん」

 

「貴女はマスターの彼をどう思っているのかしら?異性として」

 

「私は確かに先輩が好きですよ。でも、私の好きは愛情ではないです。尊敬なんです」

 

「そうなの?私はてっきり」

 

紅茶を一口飲んでのどを潤す。同時にマシュは笑顔で返答してきた。

 

「オフェリアさんは先輩が好きなんですか?」

 

一瞬、紅茶を吹きかけたが、カップを置いて堂々と答える。恥ずかしくも何もない、私の正直な気持ちを。

 

「・・・ええ、いつの間にか私は彼を好きになっていたわ」

 

「先輩もオフェリアさんの事が好きですからね」

 

「え?それは初耳だけど?」

 

「内緒だって言われてたんです。初めて対面した時に好きになっていたそうですよ」

 

マシュから聞かされて顔が熱くなってくる。まさか彼が私を?そんな気はあの時にはなかったのだから当然か。

 

「オフェリアさん、先輩に伝えてあげてください」

 

「マシュ、それにはまだ少しだけ時間が欲しいの」

 

「そうなんですか?」

 

「そうよ」

 

二人のお茶会はしばらくして終わり、オフェリアは席を立つとマスターを探していた。少し広めの部屋の中からマスターの声が聞こえてくる。

 

気になって覗くと彼は基礎トレーニングらしきものを自主的におこなっている。どうやら身体を鍛えているようだ。

 

「ふう・・・ん?誰かいるのかい?」

 

「あ、ごめんなさい。覗く気は・・・きゃっ!」

 

「ん?ああ・・・ゴメンゴメン!上半身が裸のままだった」

 

マスターはタオルで汗を拭うとインナーに近いTシャツを着込んだ。一瞬だけだったが彼の身体には傷がたくさんあったのをオフェリアは見逃さなかった。

 

「その身体中の傷・・・人理修復の時に?」

 

「まぁ・・ね」

 

マスターとしては傷だらけの身体をあまり見られたくなかったようだ。少しだけ隠すような仕草をする。

 

「ねぇ、今日の夜・・・貴方と内密な話をしたいのだけれど?」

 

「構わないよ。俺の部屋は防音だし」

 

「そう、じゃあ・・・また後で」

 

用件だけを伝えるとオフェリアは部屋から去っていった。マスターは汗を流すためにシャワー室へと向かっていった。

 

 

 

◇

 

 

その夜、オフェリアはシャワーを浴びながら、なぜあのような事を言ってしまったのかと考えていた。夜に男女が内密な話など、その意味は一つしかないと。

 

「っ・・・行けるところまで行くしかないわ」

 

シャワー止めて、湯船へと向かう。マスターの出身国である日本の風習に湯に浸かるというものがあり、髪を纏め上げると湯船へと身を沈めた。

 

「悪くないわね・・・温泉というものもあるらしいけど」

 

身体が温まり、湯船から出るとタオルで髪と身体についた水気を拭き取っていく。顔は桜色になっており、白い肌が桃色になっていて男性から見れば綺麗だと言ってしまうくらいに今のオフェリアは美しかった。

 

いつもの服装に着替えてマスターのマイルームへと向かう。マスターのマイルームに入るのは初めてではないが、緊張気味になってしまう。

 

「入るわよ?」

 

「どうぞ」

 

マスターは黒のスーツに身を包んでいた。カルデアの服は礼装だが、ほとんどが調整兼洗濯中らしく、流石にまともな服を考えた結果がこれらしい。

 

「なんだか、魔術師を殺しそうな格好ね?それも外道みたいに」

 

「言わないで、結構利くからその言葉。それで話は?」

 

内密な話というのは自分がこのまま協力する事を約束するということであった。それを聞いたマスターは笑顔になり、手を握って喜んでいた。

 

「よろしく、先輩!」

 

「ええ、任せなさい。それと・・・貴方、魔術回路が少ないって聞いたけど?」

 

「う・・・まぁ、極端って訳じゃないけど」

 

「なら、他の所から持って来れば良いの。そうすれば一体くらいは英霊を召喚できる」

 

「簡単に言うけど、どこから魔力を引っ張ってくれば・・!」

 

マスターの指摘にオフェリアは顔を隠すように俯いてボソボソと小声で何かを言い始めた。

 

「じゃない・・・・」

 

「え?」

 

「此処にあるじゃない・・・魔術師の魔術回路が」

 

何故かオフェリアの顔は真っ赤だ。マスターはなぜ彼女が真っ赤なのか気づいていない。

 

「え・・・オフェリアさんしか・・・えええ!?」

 

「そうよ。貴方と私の間で魔力回路のパスを繋げるの」

 

「だ・・だけど、どうやって?」

 

「っ・・・・夜伽よ。すなわち性行為をすればいいの」

 

「え・・・えええええ!?」

 

とんでもない発言を聞いたマスターも顔を赤くして動揺しており、オフェリア自身も真っ赤になって俯いている。

 

「だ、だってそんな事・・・あ、俺・・飲み物取って」

 

マスターは逃げようとしたがオフェリアにスーツの背中を捕まれ、逃げられなかった。さらには背中に抱きつきオフェリアのオッドアイは潤んで、逃がさないと言いたげだ。

 

「私とじゃ嫌なのかしら・・・・?」

 

「そんな訳あるか!ただ・・・その、いきなり過ぎて動揺してるんだよ」

 

自分の心音が激しく鼓動している。好きなった異性が自分の背中に密着しているのだから当然だろう。

 

「私もね・・・どうしてこうしてるのか分からない。でも、離れたくもない」

 

「っ・・・」

 

生真面目な委員長タイプ・・それが彼女を初めて見た印象だった。だけどそれは違った、氷のような表情の中に助けて欲しいと泣いている彼女が見えたのだ。何もしたくない、他人の願いなんて叶えたくないと。

 

だからこそ、ナポレオンが呼ばれたのだろう。彼はあらゆる可能性の体現者、誰もやらないのなら自分がやる、自分がやらなくてもあの人ならば叶えてくれるという願いを受け止め続けた英雄だったのだから。

 

故に俺は彼を嫌いになれなかった。俺がやらなきゃ誰がやると・・・。そんな時に答えてくれたのが彼だった。だからこそ、俺は・・・。

 

 

◇

 

彼の鼓動が早くなっているのが分かる。私自身も心臓の鼓動が早い、泥を被ってでも進み続けるという考えが理解できなかった。そんな考えが嫌で遠ざけ続けていた。でも、彼を見てそれを改める事が出来たのも事実。

 

私は自分の性格上、這い上がるという考えを全く理解しようとしなかった。この彼を見るまでは。

 

私との戦いで彼は何度も何度も果敢に挑んできた。負けて続けても、挑み続けてきた。いい加減に諦めろとも思った。

 

でも、彼が命をかけてまで私を救おうとしているのを気づいた時に、私の中で亀裂が走った。特に彼が変身してしまった瞬間を見てから私の中の決意が少しずつ割れていくのも。

 

「ねぇ・・・?一つだけ、教えて?」

 

「何?」

 

「私とスルトの契約を破ったあの矢、いえ・・・短刀ね。あれは一体何?」

 

「ギリシャ神話の裏切りの魔女って知っているよね?」

 

「ええ、まさか・・・?」

 

「うん、あれは破戒すべき全ての符(ルールブレイカー)・・・あらゆる魔術を初期化するという特性を持つ宝具だよ」

 

「それはおかしいわ、剣を矢として放つのならアーチャークラスでないと・・・それに聞く限り、その宝具持っているのは確実にキャスタークラスのはずじゃない」

 

「アーチャーの中で投影が得意な無銘の英霊がいてね。そいつは剣に限っては永久的に投影出来る奴で、破戒すべき全ての符(ルールブレイカー)を矢に変えて放ったんだ」

 

「!そう、あの時に・・・負けていたのね。私は」

 

私は彼の背中に額を当てる。心が落ち着いてくる感覚に身を任せていく。この人は英霊でなくても私を救ってくれた英雄だ。白銀の鎧を身に付けた姿が浮かびつつも彼の背中のぬくもりが愛しい。

 

 

 

◇

 

 

「オフェリアさん・・・」

 

マスターは決意したように振り返るとオフェリアの手を握り、利き手で彼女の頬に優しく触れた。触れられた事に驚き、少しだけ目を見開いたがすぐに受け入れ目を閉じた。

 

「私、今・・・とても安らかな気持ちよ」

 

「っ・・・」

 

「・・・・っあ」

 

優しく抱きしめ、その体温を感じる。現代の戦乙女と呼ばれていたそうだが、家系の重みも忠誠もスルトへの対抗もこの身一つで引き受けていたというのか。

 

少しだけ身体を離し、お互いに見つめ合う。お互いに目を閉じ触れ合うだけのキスをする。唇が触れ合った瞬間、何かを感じた。

 

「あ・・・少し待ってくれる?」

 

「え?」

 

「この服はお気に入りなの、皺だらけにしたくないから・・・それと眼鏡からコンタクトレンズに変えるわ」

 

オフェリアは魔眼封じの眼鏡から、魔眼封じのコンタクトに変え、服を軽く脱いで下着姿にワイシャツを羽織った格好になった。それだけでもマスターは彼女を意識してしまう。

 

眼帯のしていない彼女の素顔、それだけでも興奮しない訳がない。だが、あくまでも魔力のパスを繋ぐだけだと自分に言い聞かせる。

 

「今度は私から・・・」

 

辿たどしくも情熱的なキスをしてくるオフェリア。それを受け入れるマスター、まるで自分達はシグルドとブリュンヒルデの二人のようである。

 

英雄と戦乙女、呼ばれ方が似ているだけだが、初めは戦い合い、そして愛し合おうとしている。パサリとワイシャツが床に落ち、息が続かなくなって唇を離すとマスターはお互いに横になる形でオフェリアをベッドに寝かせた。

 

「本当なら別の手段もあるの・・・だけど」

 

「だけど?」

 

「私は初めて汚れても良いと思った。汚れても進み続ける・・・それがきっと強さだって事だから」

 

「違うよ、汚れなんて払えば落ちる物が大半さ。汚れない人間なんていないんだよ」

 

「そうね・・・ねえ?パスを繋げるだけでなく、私を受け入れて愛してくれる?」

 

「俺のような未熟もいい所の魔術師でよければ。それにもう、自分の中に押し込めなくて大丈夫だからさ」

 

オフェリアは何も言わずにマスターの胸元に顔を埋めた。それは告白に近かったのだろう。恥ずかしさで顔が見れないのもあるが、マスターからの言葉に彼女はカタルシスが起こり、しばらく泣いていた。

 

「笑わないで・・・私、女性としては貧素だから」

 

泣き止んだオフェリアはそう言って下着姿を晒し、ブラジャーのホックを外した。だが、マスターにとっては決して貧素ではなく、魅力の塊であった。

 

雪のように白い肌、女性特有の胸元の膨らみは大きすぎず、かと言って小さくもない。口にするなら美乳という所で、スレンダーな身体はモデルといっても通用するだろう、何よりも魔眼であるオッドアイが彼女の美しさを引き立てている。

 

「綺麗すぎる・・・」

 

「っ・・・ほら、貴方も見せて」

 

「あ、ああ」

 

マスターは上半身だけ服を脱ぎ、見られた時と同じ状態にした。オフェリアは傷だらけの身体を見て、一つ一つに触れていく。

 

この傷こそが彼が戦ってきた証。切り傷や撃たれた後などがあちこちにある。

 

「この傷は・・・私との」

 

「そう、戦った時の物」

 

オフェリアの指先が治りかけの傷に触れて、くすぐったそうに身を捩るマスター。そんな彼を見て微笑んでしまう。

 

「可愛いわ」

 

「からかわないでくれよ・・・」

 

「ふふ、ごめんなさい」

 

笑っていた拍子にオフェリアのブラジャーがハラリと落ちてしまう。マスターは慌てて横を向くが、視線は向いたままだ。

 

「あ・・・」

 

顔が一気に真っ赤になるが、オフェリアは隠そうとしていない。寧ろ、ちゃんとこっちを向けと言いたげだ。

 

「顔を逸らさないで」

 

「いや、だって」

 

「っ・・・!」

 

業を煮やしたのかオフェリアはマスターの顔を自分の胸元に引き寄せて抱きしめた。オフェリアのぬくもりに気恥ずかしさ以上に心音が落ち着いていくのが感じる。

 

これが、異性からの癒しなのか?傷だらけで熱を持った己の心が、オフェリアという泉の中で癒されていく。

 

「・・・お互いに邪魔な物を取りましょう?」

 

「待った・・・!」

 

マスターは一旦離れると、部屋の照明を常備灯モードに切り替え、まるで蝋燭の灯くらいの薄暗さにした。

 

「気を遣ってくれたの?」

 

「震えてたから、言ったはずだけど?溜め込まなくていいって」

 

少しだけ悔しいと思ってしまう。私の考えを見透かされているようで悔しい。でも、恥ずかしかったのは事実だ。異性に肌を晒した事など無かったから。

 

二人は産まれたままの姿となり、ベッドへ横になるとお互いを抱き締めあった。その際、オフェリアは術式に関する詠唱を済ませている。

 

「っ・・・肌が触れてるだけでこんなに」

 

「俺も同じ事考えてたよ、オフェリアさん」

 

「さん付けは要らないわ・・・オフェリア、そう呼んで?」

 

抱き合ったままでいるとオフェリアが腕から離れ、体勢を変えマスターの陰茎が見れるような位置、即ちシックスナインの体勢になっていた。

 

「これが・・・・男性の」

 

「っっっ!!!?」

 

自分のが見られている恥ずかしさ以上にオフェリアの恥部が目先にあるのが、刺激的すぎていた。視線を逸らしていると、陰茎に触られている事が分かる暖かさを感じた。

 

「こうすれば良いの?なんだか、必死になってるみたい」

 

「うっ!く・・・う」

 

オフェリアは微笑みながら手淫をし始めていた。どうやらソフトなSっ気があるらしく、マスターの反応を見て楽しんでいる。

 

「ヤるのは初めてだけど、お互いに清めてあるし、えいっ!」

 

「うあっ!?」

 

オフェリアは手淫しながら口淫もし始めた。潔癖症であった彼女がいきなりこんな事をするなど予想できなかっただろう。

 

「ん・・ふぅ(穢らわしく思ってたけど・・・いざヤってみたら何も変わらないわね)」

 

技術も何もない、ただ効率と陰茎を勃たせる為に続けている。だが、マスターにとってオフェリアは今や愛しい存在だけにその奉仕は最大の快楽となって襲いかかってくる。

 

だが、マスター自身も負けず嫌いだということをオフェリアは失念していた。

 

「んっ・・・んんんっ!?」

 

オフェリアは未知の刺激を恥部に受けた事を知覚する。マスターが己の舌を使って刺激を与えてきたのだ。

 

「・・・っく」

 

「ふぅ・・う・・んんっ」

 

お互いに性的な刺激を与えるのを止めようとしない。逆に激しさを増していき、最後にはとうとうお互いに果て合った。

 

「んっ・・んんんっ・・・んぐっ(う・・飲んじゃった。苦い・・。おまけに髪にも着いた。でも、身体が熱い)」

 

「っ・・・ぐ・・・ヤバ」

 

お互いに離れると正常位のような格好になり、お互いに真っ赤なまま固まってしまう。どうしたらいいのかわからないのもあるがマスターは迷い、オフェリアも覚悟を決め兼ねている。

 

「私の中に来てくれないと、パスが繋がらないけど?」

 

「う、分かってる。けど・・・」

 

「私なら気にしないで?だから・・・・来て?」

 

優しく抱き寄せられ、導かれていく。オフェリアの恥部へ己の陰茎を入れていくが、それを恥部が拒む。

 

「っぐ・・う!?」

 

「あっ!うううっ・・・痛っ・・!」

 

当然といえば当然の事だが、マスターは強引には進まなかった。だが、少しずつ進んでいき全てがオフェリアの中へ導かれた。

 

 

 

◇

 

 

「はぁ・・はぁ・・・痛い・・・こんなに痛かったのね」

 

「っ・・・」

 

「気にしないで、受け入れられて嬉しいのも事実・・・だから、動いて?」

 

マスターは頷くと優しく動き始める。本来ならば貪りたい程の情欲に駆られている。だが、それを抑え込んでゆっくりと動き、キスをする。

 

「んっ・・・ふぅ・・・」

 

受け入れているオフェリアの両手はシーツを掴み、全身を震わせながら未知の刺激に耐えていた。情欲はあったが本当に体験するとは思わなかったのだから。唇を離され、馴染んできた感覚から次第に快楽へと変わっていく。

 

「あ・・ああっ・・あん・・・何・・・これ・・だんだん気持ち良くなって、はううっ!」

 

「オフェリア・・・」

 

シーツを握っている両腕のうち、右手を握り締めて腰の動きを止めようとしないマスター。握られた手を強く握り、快楽に蕩けてしまいそうになるオフェリア。

 

「あん・・・あ・・ああんっ!ダ・・・メ・・・ダメェ!何か・・・来る・・・私の中に・・・!」

 

「っ俺も・・・来る」

 

「怖い・・怖いのぉ・・!あっ・・あっ・・離れ・・あんっ!ないで、離れちゃ、嫌ぁ・・・!」

 

手を握る力が緩んでいたのか、マスターへ強く抱きつき離れさせまいとする。

 

「うっ・・・ぐ!」

 

動く度に抱きつかれたオフェリアに背中へ爪を立てられ、呻くマスターであったがそれを耐え抜く。

 

「も、もう・・・と・・溶ける・・・私!」

 

「う・・・あっ!」

 

「あああああっーーーー!」

 

瞬間マスターは射精し、それに宿る魔力をオフェリアは受け止め絶頂しつつ、パスが繋がった事を確信した。

 

「はぁ・・はぁ・・・もう、中に出すなんて・・・」

 

「うう・・・」

 

「でも、これで私のパスと貴方のパスが繋がったわ」

 

マスターの二の腕には、しっかりとオフェリアの令呪のような刻印が刻み込まれている。

 

「オフェリア・・・ありがとう」

 

「素直に受け取っておくわ。でも・・・ちゃんと責任、取りなさい?」

 

「う、うん」

 

オフェリアの恥部から陰茎を引き抜くと、恥部内に出された精液が音を立てて流れ出てくる。

 

「・・・こんなに」

 

「っ」

 

二人の夜は始まったばかり、一度タガが外れたオフェリアはマスターが気絶するまで夜伽を続けるのであった。

 

これはもしもの話、基本の世界の彼女は・・・。




長い、長すぎる!

22428字とかありえないわ・・・。

おまけに報われてる。

後々、明日くらいに活動報告にアンケートを出します。

オフェリアは本当好きすぎます。

マスター♂×オフェ、もっと増えろ。

行為のシーンを漫画にできないのが悔しい。

もっと見たいのであれば書きます。

鈴鹿御前とブリュンヒルデ・・・どちらを優先しよう?
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