※この作品はR-18です。

儚き異能は心を映す   作:緑茶わいん

101 / 223
第九十一話 愛奴隷 ★

 真里亜は情熱的に知尋を求めてきた。

 ベッドに並んで腰かけたまま首を向け合いキスをすれば、すぐさましなやかな両腕が伸びて首に絡みつく。

 優しく強制的に身体を方向転換され、百八十度回転しながらベッドに倒れ込む。

 上から覆いかぶさられる格好。

 上半身、特に胸が強く押し付けられる。

 

 豊満な胸――鈴のそれを味わった後だと、乳房に強い弾力があるのを感じる。

 もちろん柔らかくて気持ちがいいのだが、今のように密着するとより自己主張激しく知尋の身体を押してくる。

 そうなればより明確に形と柔らかさ、先端で硬く勃起した乳首を感じざるを得ない。

 

 更に、剥き出しの両足が艶めかしく両側から足を挟みこんでくる。

 絡まり自由を奪い、上半身だけでなく下半身までも密着させ体温と肌の感触を余すところなく伝えてくる。

 薄布に覆われただけの秘所までも、全て。

 

 重なり合った唇だって同じことだ。

 連結された口内へ舌が惜しげもなく侵入し、縦横無尽に這い回る。誘うように、否、否応なく引っ張り出すように。

 つんつんと先端同士が触れ合う。お互いの表面あるいは裏側をぺろぺろと舐め合う。次第に動きは激しさを増し、まるでスペースを奪い合うように押し合い絡まり合っていく。

 

 唾液も溢れる。

 

 通常、無味のはずのそれを甘いと感じるのは雰囲気に流されているせいだろうか。わからないが、舌に心地よさを感じながら流れ込むそれを嚥下していく。

 お返しに自身の唾液を送り込もうとする。これは体位の関係上うまくいかなかった。代わりと言っていいのかわからないが、唇と舌はひとりでに動き、じゅるじゅると口内の液体を貪っていく。

 二人とも息が荒い。

 鼻から空気を取り込むだけでは足りず、唇を離しては一秒未満の息継ぎを繰り返す。それでも不足すれば相手が吐いた息を口から取り込み自分のものとする。

 溶け合う。

 身体の境界線が曖昧になっていくのを感じる。キスは前戯だが、今の二人にとってこれは性交も同然だった。

 

 技術を吹き飛ばした気持ちが真っすぐぶつかってくる。

 悪い言い方をすれば頭でっかちで、気持ちよくなる効率優先だったこれまでのやり方とは逆――ある意味では愛華の性質に近いキス。

 にもかかわらず、どうしようもなく興奮する。

 テクニックはもちろん重要だが、それだけでなくお互いの気持ちを表すことも同じく大切なのだと明確に証明されていく。

 真里亜も同じ気持ちなのだろう。

 やや驚いたような反応を見せつつも衝動的な動きを止めず、口内性交を続ける。

 

 やがて、二人の唇が糸を引きながら本格的に離れた。

 

「こんなキス、初めてです……」

 

 ぼうっとした呟き。

 

「僕もだよ」

「ふふ。では、お互いに初体験なのですね」

 

 くすりと笑みがこぼれた。

 唇の質感も仕草も声も、これまでと大きく変わらないように見えるのに、何故、艶めかしさだけでなく愛らしさまでも感じるのか。

 ――回されていた腕がいったん解かれ、身体の密着も緩くなる。

 ほう、と小さな吐息。

 

「気持ち一つで、こんなにも感じ方が変わるものなのですね」

 

 声は、経験した者にだけ許される深い感慨を伴っていた。

 

「恋は、苦しかった?」

「ええ。苦しくて、辛くて……どうして私がこんな目に遭わなくてはならないのか、何度も自問しました。何も不満などないはずなのにと」

 

 手を伸ばして髪を撫でれば嬉しそうな顔をしてくれる。

 

「ですが、あなたを選んで良かった。あなたと出会えて良かった。あなたが、私を必要としてくれて良かった」

 

 艶やかな唇が再び触れて、すぐに離れた。

 悪戯っぽく笑って。

 

「ですが(・・・)、覚悟してくださいませ」

「覚悟?」

「ええ。こんな気持ちを知って、一度許されてしまった以上……私はもう、本当にあなたなしでは生きていけません」

 

 以前、李狐がプールで言っていたように。

 捨てられるのなら命を絶つより他にない――そんな心境にまで陥ってしまった。

 ですから、と。

 倒れ込むように全体重を預けられる。

 

「奴隷としてで構いません。一生、お傍に置いてくださいませ。今度こそ誠心誠意、あなた様に最後までお仕え致します」

「ん……」

 

 微笑んで答えた。

 

「もちろん。こちらこそもう逃がさないよ」

 

 これだけのことをして離れるつもりなど毛頭ない。

 決して楽ではない困難な道のりとなるだろうが、それでも諦めることなどできはしない。

 意地と我が儘から言えば、幸福そうな笑顔が返ってくる。

 

「約束、しましたからね」

 

 細い指が服に手をかける。

 着衣が脱がされていくのに従いながら、こちらも少女の寝間着を外した。

 お互いの服と寝間着はまとめて床に放り出す。

 

「ご奉仕、させてください」

 

 宣言と共に竿を握られる。

 笛でも扱うように弄られると半勃起状態だったモノはすぐさま硬度を増した。愛おしそうに人撫でしてから指が離れる。

 先端にキス。

 口づけから鈴口を一舐めし、ぴくんと震えたのを見て得意げに唇を曲げる。

 そのまま先端が口の中へ。

 暖かさの中、唇が雁首を刺激し亀頭を舌が這う。分泌された唾液が徐々に絡まって水気と滑り気を増していく。

 右手の指が再び竿へ。指先だけを使い最小限の力で上下に扱かれる。手を添える位置は数回撫でるごとに不規則に変化して予測がつかない。

 左手は陰嚢へ。手のひらで覆いながらやわやわと刺激しその形を変化させる。

 一体何点を同時に責められているのか。

 起点も方法も違う責めが並行して行いながらも、一つ一つの責めはあくまで優しく。一直線にペニスを射精に向かわせながら、この行為を全力で楽しんでいる。

 

「う……ああっ」

 

 子供のような、あるいは少女のような声を上げながら射精した。

 噴き出た白濁は全て口内に溜められ、そのままこくんと嚥下される。口も離さぬまま飲みこみ残った分も吸い出され舐めとられてしまったため、口が離れたその後も白い色を見ることさえできなかった。

 

「美味しい……。本当に、これだけを飲んで生きていけたらいいのに」

 

 相変わらず、この少女はどこまでも淫らだ。

 ぞくりと危険な震えを覚えるようなことを平然と口にする。もちろん、時と場合は十分に選んでいる……親しい相手以外の前では絶対に口にしないだろうが、だからこそのめり込んでしまう。

 もう、とうの昔に手遅れだが。

 

「……そう言われると、逆に身体を汚したくなるかな」

「ふふ。そうしてくださいませ。それもまた、とても魅力的な提案だと思います」

 

 怯むどころか望むどころだと。

 笑んで、再び少女の身体が覆いかぶさってくる。

 

「ご主人様……真里亜のおまんこを満たしてください」

 

 視線を向ければ、無毛の秘裂はとろとろに蕩けていた。どうやら、これ以上の前戯は必要ないらしい。

 今度は自分から腕を回し、身体の位置を反転させる。

 

 騎乗位もいい。彼女が好むバックという手もあるだろう。

 しかし、やはり最初は普通にしたいと思った。

 

「挿れるよ」

「はい」

 

 返事を待ってから、ずぶずぶと腰を沈めていく。

 ゆっくりと肉棒が膣に飲み込まれる。

 一つになる。

 本当の意味で、少女と身体が重なり合う。

 

 根元まで挿入すると膣肉がきゅっと収縮した。ペニスを抱きしめ離すまいとするかのようにきつく締め付けてくる。せっかちなことだ。

 

「そんなにされたらすぐ射(で)ちゃいそうだよ」

「あら。思う存分付き合ってくださるのでしょう? なら、早いか遅いかなど気にする必要ないではありませんか」

「確かに、そうかもね」

 

 腰を動かす。

 少女の変化に対応し、こちらも意識を変えてみる。ピストンするというより軽く揺するようにして柔らかな肉の感触を味わう。膣壁をなぞったり、ゆるやかにかき回したり。

 己の形と感触をもっと確かに膣へ教え込む。

 

「あ、はぁ……」

「苦しい?」

「いいえ、気持ちいいです。まるで、愛されてるみたいで……」

 

 少女の膣も頻繁に締め付けてくる。

 もっと、もっととねだるように。

 欲しがりやな彼女に応えて動き、膣の奥をこつこつと叩いた。

 

「んー!」

 

 ひときわ強い締め付け。

 耐えられなくなり、深く挿入したまま子種を放出した。数えきれない性行為を経験した知尋のペニスは二回程度で量に変化はない。どろどろの液体をたっぷりと膣内に流し込んだ。

 奴隷の少女の肌を撫で、その感触を味わいながら囁いてやる。

 

「愛してるよ、真里亜」

「あ……そんなこと言われたら、勘違いしてしまいます」

 

 嬉しそうな声で文句を言われた。

 

「勘違いじゃないよ。僕は真里亜を愛してる」

「そんなこと、高槻さんに悪いです」

 

 彼女は首を振って睨むように見上げてくる。

 本気の仕草ではないので、そんな表情ですら可愛らしい。

 

「そう言われても。僕は愛華も、真里亜も、李狐も華も愛してるから」

 

 漆黒の瞳が瞬く。

 

「皆、同じように、ですか?」

「いや。皆違う、別々の意味で……かな」

 

 愛華のことは愛すると同時に、愛華にも愛して欲しいと思っている。

 李狐には連帯感のような絆を感じている。

 華への愛情は言葉にするのが難しいが、なかなか懐かないペットに対する気持ちに近いだろうか。

 そして真里亜にも彼女達とは別の気持ちを。

 

「真里亜への気持ちは真里亜だけのものだよ」

「……嬉しいです。物凄く。死んでしまいたいくらいに」

 

 少女が足を持ち上げて腰元に絡めてくる。

 

「激しくしてください。私はそう簡単に壊れたりしませんし、あなたの責めならなんだって嬉しいと思えますから」

「うん。そうだね、そうなんだよね」

 

 先程とは一転、正常位での二回戦は激しい交わりとなった。

 ペニスの先端あたりまで引き抜いては打ち付ける。愛液と精液が混ざり合いぐちゅぐちゅと音を立てるのを聞きながらお互いに腰を振り、相手をサポートあるいは反発、増幅させあいながら快楽を貪る。

 自分が気持ちよくなることと相手が気持ちよくなること。両立させたいなら行きつく先を同じにしてしまえばいい、言うなればそんな考え方。

 相手の癖や動きは十分に把握している。

 快楽に蕩けながらでも、蕩けているからこそ、本能がどうするべきなのかを教えてくれる。

 幾度ものピストンの果てに二人は同時に絶頂を迎えた。

 

 少女が大きく喜びの声を上げる中、ペニスを引き抜きその身体に精液をまき散らす。不格好なマーキングを、少女は恍惚の表情で受け入れた。

 

「真里亜、ベッドにうつぶせになってくれるかな?」

「あ……はい」

 

 言われた通りの格好になると、尻の穴や秘部の様子が丸見えになる。

 それでも素直に尻を突き出す姿はいじらしかった。

 

 バックから挿入。

 少女の両手を掴むとそれを支えにどろどろの膣内を犯した。

 やはり恥ずかしいのが感じるのか、ぎゅっと締め付けられることにより射精し、今度は引き抜いたペニスで尻を汚した。

 

 少々疲労を感じ始めたため、両の乳房で奉仕してもらった。

 パイズリにより乳房の柔らかさと弾力をペニスで味わい、精液で胸を汚す。白い胸に白濁がたっぷり降りかかって艶めかしさを助長する。

 

 最後は定番の騎乗位となった。

 そそり立つペニスに少女が跨り思いのままに腰を振る。最初の正常位の再現か、ゆるゆると擦りつけるように味わい方。

 身体が上下に揺れるたび乳房も揺れるのを見ながら、再び膣内に射精。

 

「ふふ。本当に中も外もどろどろです……」

「気は済んだ?」

「はい、十分です。後は、朝までご主人様を独占させていただければ」

 

 行為を始めたのは零時ごろ。それからかなりの時間が過ぎていることを考えると猶予は多くないだろうが……まあ、睦みあうには十分か。

 繋がったまま身を預けてくる真里亜の頭を右手で撫でる。すると少女はごろごろと猫が甘えるように頬を擦りつけてきた。

 それを眺めながら、ふと彼女に尋ねる。

 

「……そういえば、真里亜」

「はい、なんでしょう?」

「真里亜の望み、もう一度見せてくれないかな」

 

 読心の新機能『願望暴露』を試した際、彼女の性的願望を見ることは叶わなかった。

 しかし、なんだか今ならできそうな気がする。

 くすり。真里亜が穏やかに笑って答えた。

 

「もちろん。お好きなだけご覧くださいませ」

 

 目を合わせる。溢れる愛情を受け取りながらスイッチを切り替えると、イメージが見えた。

 寝室で裸のまま横になる二人。

 抱きしめあったまま目を閉じ、微睡みに落ちている。

 

 ……つまり、今この時においての彼女の望みは。

 

 何とも言えない思いがこみ上げるのを感じながら、知尋は能力を終了した。

 

「寝ようか、真里亜」

「はい」

 

 気怠さと心地よさの中、微笑みあって目を閉じる。

 少女の望み――イメージの『続き』を見るために。

 そうするうちにだんだんと、知尋は睡魔に襲われる。

 

「愛しています、ご主人様。これからも、ずっと――」

 

 真里亜の囁きを聞きながら、知尋は薄れ行く意識の中、最後の力を振り絞って彼女を抱きしめた。

 目が覚めたら彼女がいなかった……万が一にも、そんなことが無いようにと。

 

 ずっと、ずっと抱きしめていた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。