番外編 降ってわいた役得 /御宿華 ★
「……本当、和泉君には女の子をレイプする才能でもあるんでしょうか」
真里亜のマンション、その寝室にて。
手足を枷によって拘束された全裸の少女を見下ろしながら、御宿華は呟いた。
拘束されベッドに転がる少女は、当然、指宿かなめ。
能力者集団『アブソリュート』のリーダーである深海灰人の命を受け、和泉知尋に接触してきた『落とし物』である。
彼女が自ら明かした能力『端末』、その効果で借り受けた能力は、華達には効かないことを確認済み。『端末』の詳細および、かなめが他の能力を持っていないかまではわかっていないが――。
小学六年生の時点で北海道を離れている華の知識では限界がある。
「真里亜ちゃん。この子、他に能力を持っていたりしますか?」
「いいえ。私が知る限りでは持っていないはずよ」
なら、ほぼ安心して問題ないか。
柴鳳学園に転校してくる以前、真里亜は札幌の紫鶴学園にいた。ということは、かなめと同じ学校、同じ学年にいたということだ。加えて、彼女は灰人の実妹でもあるわけで、ある程度、正確な情報を握っていたはず。
まあ、他生徒の前では一度も能力を使わない――詳細を知らせないなんて、どこかで聞いたような真似を彼女がしていれば話は別なのだが。
「……うん。多分ないよ、大丈夫」
「ああ、そういえばそんな能力があるんでしたっけ」
不意に、妙な太鼓判を押してきた鈴を振り返る。
と、移動する際に冷蔵庫からビールを出してきた駄目な社会人は、冷たいアルコールをちびちび口にしながら胸を張る。
「えっへん。……ちゃんと特定するのには時間がかかるから絶対じゃないけど、ある程度信用してくれていいよ」
「ただの駄目人間じゃ無かったんですね」
「酷っ!?」
まあ、この際、鈴の悲鳴は無視しておく。
それよりも今、重要なのはかなめの処遇だ。
「さて。どうやって調教しましょうか、この小娘」
「むーっ、むーっ!」
小娘、と呼ばれたかなめがくぐもった声で抗議してくる。
寝室まで運び、服を脱がせて拘束するついでにボールギャグも嵌めているので、彼女が何を言おうが意味のある言葉としては聞こえない。
いい気味だ、と思う。
正直に言えば、華はあまり、小学生時代のかなめについて覚えていない。
当時のかなめはとても地味な少女だったからだ。
今のような妙に甘ったれた喋り方などしていなかったし、むしろ控えめで臆病な性格だった。当時から灰人に憧れていたというか、恋心を抱いていたのだろうな、と思えるような記憶はある程度。
だから、直接的な恨みつらみがあるわけではない。
しかし、それでも彼女に対してはあまりいい印象がない。テレビや雑誌により、間接的に何度も顔を見せられたせいかもしれない。
だいたい何だ。あの『猟奇的残虐系アイドル』というのは。
パンクロリータファッションが似合っていないとは言わない。公平な目で見れば割と可愛いとは思う。
だが、華の趣味とはまるで違う。女の子はもっと奥ゆかしく清楚であるべきで、そういう子を抱いて乱れさせるのが醍醐味だ。
なのに、あれではせっかくの良い素材が台無し――。
「ええと……華さん、でしたか?」
遠慮がちにかけられた声に意識を引き戻す。
声のした方に顔を向けると、そこには柴鳳学園の現生徒会長にして知尋の四番目の奴隷、黒羽四葉が立っていた。
彼女は華が反応したのを確認してから、視線をかなめへと下ろす。
その目はどこか冷ややかで、獲物をどう料理しようか考えている狩人のように見えた。
「私としては、とりあえず二択だと思うのですが」
「二択、ですか?」
「ええ。……女として生まれたこと、私達のご主人様に盾突いたことを後悔させるか、あるいは女としての快楽を徹底的に与えてご主人様に忠誠を誓わせるか」
「ああ」
なるほど、と華は頷いた。
そうか、この人はそういう人なのか。
話は知尋から聞いていたものの、こうして直接話してようやく実感する。確かに彼女はSで、かつ、かなり高慢なタイプだ。
しかし、たとえ同性でも容赦がない辺りや、責めに喜びを感じるあたりは華とも話が合いそうだと思えた。
にっこりと微笑んで華は答える。
「選ぶ必要はありません。とりあえず後者を進めていれば、自然と前者の目的も達成できます。この子は『あの人』以外に抱かれることを嫌がるはずですから」
「なるほど、道理ですね」
「むー、むーっ!」
納得しあう二人に抗議するようにかなめが鳴いた。
それもとりあえず無視。
まだまだ時間は残っている。
のんびりしすぎるのは問題だが、あまり焦る必要もない。
……知尋も今はいないことだし。
色々疲労が溜まっていた彼は、とりあえず、かなめの身体を慣らしておくよう華達に命じ、短い仮眠を取っている。実時間で三十分、『睡眠促進』を使って一時間半相当分も休んだら戻ってくるだろう。
なお、同じく疲労の色が濃く、調教にはあまり役立たない愛華もここにはいない。彼女の方は真里亜のベッドを借りて本格的な睡眠に入っているはずだ。
「そうだ。一応、自己紹介だけさせていただきますね。私は黒羽四葉。ご主人様に忠誠を誓い、身を捧げた者です」
四葉も華と似たような考えなのだろう。
簡単ながら悠長な挨拶を口にし、にっこりと微笑んだ。しかし、まともに対面するのはこれが初めてである以上、必要なことでもある。
華や真里亜も自己紹介を返す。
鈴の紹介は今更必要ないだろうから、残るは――。
「西崎さん」
水を向けられた李狐は少し遅れて答えた。
「あたしは1-Cの西崎李狐。……っていうか、自己紹介もいいけどさっさと始めない? 知尋が起きて来ちゃったら意味ないでしょ?」
「西崎さんは真面目ですね」
知尋への義務感が先に立っているのだろう。
彼女の言い分ももっともなので、華は会話をこの辺りで切り上げることにした。
「では、黒羽先輩。あなたの『込み入った事情』の話はまた今度ということで」
「ええ、わかりました」
四葉も頷き、一同は調教モードへ移った。
李狐が服を着たままベッドに乗り上げて、華を見る。
「メインは御宿さんに任せていいよね」
「はい。もちろんです」
こと女の子の調教となれば、この場にいる誰より上手い自信がある。というか、好みからはやや外れていても可愛い女の子だ。
この機会を他の誰かに譲る気はなかった。
真里亜がくすりと笑い、李狐と左右で挟み込むようにかなめに近づいていく。
「なら、私達はサポートをさせてもらうわ」
「ふふ。嫌がる女の子を無理矢理嬲るのも、なかなか楽しそうね」
不穏な呟きを発した四葉がベッドを回り込み、かなめを背後から抱きかかえた。
必然的に華は正面、最も色々な責めができる位置となる。
「……あれ? 私余っちゃった?」
「姉さんはその辺で、この子の『弱点』でも探していればいいでしょう」
「あ、それいいかも。じゃあ、そうするね」
残った鈴は能力を生かし、かなめの観察に回ることになった。
「さあ、指宿さん。覚悟してくださいね。気を抜いていると、女の子じゃなきゃ満足できない身体になっちゃいますよ」
顔を近づけて囁く。
殺意の籠もった目で睨まれるのを笑って受け流し、華はかなめへの責めを開始した。
ボールギャグの装着により、唾液で汚れた口元や首筋を舌で清める。さすがアイドルをやっているだけあって肌はすべすべで舌触りが良かった。
舌を動かすうちにほんのり汗の味が広がるが、それも嫌な味ではない。
華は熱心に唾液掃除を続けた。
その間に他の少女達も動いていた。
李狐が左、真里亜が右から胸を片方ずつ刺激する。
乳輪の周りを指でぐるぐると刺激し、身体が反応し始めたら、指の腹で乳首を撫でる。硬くなり始めた乳首を指で挟んでこりこりと動かし、かなり控えめな乳房を丁寧に揉みこむ。
最終的には、乳首を口に含んで舌先で転がす。
四葉は背後から腕を回し、秘部を刺激した。
剃っているのか、脱毛か、あるいは天然か。かなめの股間は無毛だった。また、恥丘付近には『性奴隷』を表す英字が入れ墨されている。
趣味の悪い。
いや。女の子の身体をキャンバスに、取り返しのつかないアートへ挑む。その精神は華にも理解できるのだが、如何せん、男の――雄の欲望が透けて見えてしまうと気分が萎える。
「……うん。この子、相当慣れてるね」
「みたいですね」
鈴の発言に頷く。
責めを始めてから今までの十分足らずで、かなめの身体はかなり解れてきていた。乳首は勃起し、秘部からは愛液が順調に分泌され始めている。
同性四人がかりの成果だろうが、それにしても、もし経験が少なければ、好きな男以外に嬲られてこんなに感じるはずがない。
「指宿さんは、たくさん開発されたいやらしい身体なんですね」
「んむーっ!」
わざとらしく言葉責めをすると、強烈に睨みつけられた。
図星か。
ご主人様以外からそんなこと言われたくない、といったところだろう。そういう少女は華の周りにもたくさんいるが。
「あ、四葉。この子、お尻も使えるっぽい」
「へえ。お尻の穴を弄るのは初めてです」
華ですらぞくっとする声で四葉。
と、李狐が乳首から口を離し、指での刺激に移行しながら首を傾げた。
「でも、綺麗にしてないなら止めた方が良くない? まあ、浣腸はストックあるけどさ」
「せっかくだから使いましょうか」
話を聞いたかなめがじたばた暴れ出すが、無視。
ごろんと身体をひっくり返し、浣腸液をたっぷり入れてやる。その途中で知尋が仮眠を終えてやってきた。
「……あれ? お尻も使うんだ」
「ええ。しばらくかかりますから、もう少し寝てきてもいいですよ」
「じゃあ、そうしようかな」
部屋を出ていく知尋を見送り、ついでにバケツを持ってきて、かなめのお腹の中を綺麗にしてやる。
さすがに抵抗が激しかったものの多勢に無勢、最後にはかなめも大人しくなった。
「凄い。ちゃんと綺麗にしてあったみたい」
「……なるほど。いつでもご主人様にお使いいただけるように、ね。その忠誠心は見習いたいわ」
「真里亜ちゃんはもう十分だと思いますけど」
片づけと換気をしつつ責めを続行。四葉は「相手が触られたくないところ」を責める行為に喜びを見出したのか、積極的にアナルを弄っていた。
なお、指には真里亜秘蔵のアダルトグッズからゴムサックを着用していた。
三十分追加した仮眠から知尋が帰る頃には、かなめはもうとろとろになっていた。愛液が溢れ、じたばたと暴れることも殆どなくなった。
「ひょっとしたら枕営業とかしてるのかもね」
「それは……他人事とはいえ可哀そうだなぁ」
知尋が嘆息しつつ服を脱ぎ、ベッドに乗り上げる。
「じゃあ、本番を始めようか。指宿さん」
そこからの責めは実に恐ろしいものだった。
と言っても、傍目から見ただけでは凄惨さがわかりにくい。何しろ知尋は、基本的にじっとかなめの目を見つめていただけなのだから。
しかし、実際に受けたことのある華にはわかる。
知尋の能力『願望暴露』の威力と、それを長時間受ければ一体どうなるかが。
長引けば長引くほど抵抗できなくなる。夢と現の境界線が曖昧になり、やがて幸せな幻想の中に溺れてしまう。
目を開けたまま夢を見ている状態。
しかも、今回は同時に、女性陣による責めも行われた。
肉体的な快感が夢の心地よさに変換され、またその逆も発生する。
『願望暴露』によるビジョンは現実とは時の流れ方が違う。下手をすれば倍近い時間を夢心地で過ごすことになり――。
「あ、ああ、あああっ」
ボールギャグを外しても、かなめが発するのは形のない呻きだけだった。
目はじっと知尋に向けられたままで、口は半開き。涎も半ば垂れ流し。知尋が目を合わせたまま彼女に挿入しても、拒むどころか幸せそうに受け入れた。
知尋がメインで犯している間、華達は交代で休憩を取った。
日付が変わってしばらく経った頃に知尋がまた仮眠を取りに行き、快楽の余韻さめやらぬかなめを女性陣総出で嬲った。
かなめは、たった一夜で何十回も、下手をしたら百回以上も絶頂した。
彼女の膣には知尋の精が十回近くも注がれた。
「指宿かなめさん。あなたのご主人様は誰かしら?」
「……っ。深海灰人様。あの方たった一人、です」
ただ、どれだけ嬲っても、彼女を堕としきることはできなかった。
完全に夜が明けて。
華達の介助でシャワーを浴び、ぜリー食と水を胃に落としたかなめは、ふらつく足取りながら自力でマンションを後にしていった。
「……あれだけやって駄目なんて、さすがですね」
「ええ。『あの人』の能力は並大抵のものではないわ。一度堕とされれば、戻ってくることはほぼ不可能」
真里亜の返答に、華はぶるっと身を震わせた。
と、知尋が二人に目を向けて。
「その話、詳しく聞かせて貰える……よね?」
「もちろんです。……こうなった以上、ご主人様にも知っていただくべきことですから」
「………」
やっぱりこうなった。
答える真里亜の声を聞きながら、華は思った。
知尋と灰人の交錯は避けられない。
では、果たして知尋は、あの『絶対の支配者』と対峙して無事でいられるのだろうか。
願わくば。
華と真里亜にとって幸せな結末が待っているといいのだが。