※この作品はR-18です。

儚き異能は心を映す   作:緑茶わいん

164 / 223
第百三十八話 隷属の深化・四葉 ★

 おずおずと両手が伸び、二つの手のひらが平らな形を作る。

 知尋がそっと首輪を載せてやると、四葉は品物を顔の傍へと近づけた。

 端正な唇からぽつりと言葉が漏れる。

 

「……首輪」

「安物だけど、ちゃんと新品だよ」

 

 保管状態もそれなりに良かったので劣化も気にならないはず。

 傷や汚れがないことは持ち出す前にも確認している。

 

「いただいてよろしいのですか?」

「もちろん」

 

 真里亜と李狐、華は既にそれぞれの首輪を持っているし、愛華と鈴は奴隷ではない。ちさとは現状、装飾品をつけられないので、残るは四葉だけだ。

 かなめ関連のごたごたもあり、首輪を渡していないことに気づいたのがついこの間。

 何かの機会に渡せればと常備しておいたのが役に立った。

 

「四葉も僕の大事な奴隷だから」

「……ご主人様」

「いらなければ捨てるけど」

「そんな……っ。嬉しいです、ありがとうございます」

 

 ぎゅっと、首輪が胸に抱きしめられる。

 まるで宝物でも手に入れたように。

 長い間、使い道もなく眠らせていた品だが、収まるべきところに収まったのだと思える。真里亜に薦められて買った三つの首輪が、まさか余ることも腐らせることもなく、それぞれ別の少女の手に渡るとは。

 これは運命、なのだろうか。

 

「首輪はできるだけ肌身離さず持っていて欲しいな。でも、絶対に他の人には見つからないように」

 

 形がある分、ある意味『刻印』よりも注意して扱う必要がある。

 『刻印』は知尋が念じれば即座に消せるが、首輪は一度見つかれば隠しようがない。親にでも見つかって追及されれば、知尋との関係を解消するしかなくなるだろう。

 そんなものを四葉自身に管理させるのは、本当は危ない。

 それでも敢えて任せるのは信頼の証であり、同時に、責任を与えることで軽率な行動を封じる意味もある。

 騒ぎが起きて困るのは四葉も同じだから、そうそう変な真似はしないだろう。

 

「かしこまりました。仰せの通りに」

「着けてみてくれるかな」

「はい」

 

 こくりと、四葉が頷いた。

 彼女は軽く巻いた状態から一度留め具を外すと、バックルを正面にして首に巻き付けた。ベルトを締めて留め具に通したら――。

 

「ああ……」

 

 可憐な唇から恍惚の吐息が漏れ、少女はぺたんと床に尻餅をついた。

 全裸のまま見上げてくるその姿に、知尋は、真里亜が初めて首輪を着けた時を思い出す。

 四葉は真里亜と違い、絶頂まではいかなかったようだが――。

 被虐心。

 支配される感覚を全身で味わってくれていることがわかる。

 と、ちさとが音を立てず歩み寄り、四葉の耳元に唇を寄せた。

 

「少しきつく締め付けられるのが、首輪を感じられて気持ちいいですよね」

「っ」

 

 四葉の身体がびくっと震えた。

 

「ちさとって案外、Sっ気もあるんだね」

「私はMの気持ちが良く分かるから。気持ちいいポイントもなんとなくわかっちゃうんだよ」

 

 時々、真里亜が妙に的確に同性を責めるのと同じか。

 それにしても、無防備な姿の四葉は妙に嗜虐心をそそる。根はSである彼女をしっかり従える意味でも、このあたりで強めの調教をしておいてもいいだろうか。

 

「ちさと。ちょっと内緒話があるんだけど」

「うん、一度戻るね」

 

 中に戻ってきたちさとと、四葉には絶対聞こえない形で相談する。

 

「それじゃあ、四葉。始めようか」

「あ……はい」

 

 既に四葉の身体は興奮し始めていた。

 一昨日の件で自慰に狂わされ、更に今、首輪までつけられた。そう考えれば無理もないが――主人に対してだけはMになる体質というのも難儀なものだ。

 四葉の前に膝をつき、彼女の顎に指をかけながら知尋は思った。

 

 そこへ、ちさとが再び実体化。

 制服姿に戻った彼女は四葉の左にしゃがみこむ。

 幻の身体なので、密着していても四葉の動きを邪魔することはない。それを横目で確認してから知尋は尋ねた。

 

「四葉は、どうして欲しい?」

「え……?」

 

 予想外だったのか、返答は瞬きだけだった。

 不思議そうに見上げてくる彼女をじっと見つめ返す。

 

「私が、決めていいのですか?」

 

 本当は「私が決めないといけないのか」と言いたかっただろう問いに「そうだよ」と頷く。

 自分への責めの内容を、自分で決めさせる。

 これも調教の一環。

 四葉をより知尋の色に染めるための手段だ。

 

「きちんとおねだりしないと、兄さんは何もしてくれない……っていうことですよ」

 

 耳元でちさとが囁いた。

 興奮に頬を染めながら、どこか楽しそうに四葉に告げる。

 

「どうしますか? おねだりするのが辛ければ、兄さんにオナニーを披露してもいいと思いますよ」

「……ぁ」

 

 声自体は優しいが、四葉にとっては酷く残酷だっただろう。

 何をして欲しいか言わないといけない。言わなければ何もしてもらえず、自慰をするしかない。

 わざわざこうして時間を取ったのに。

 首輪に浮かれていた心に冷水を浴びせかけられたような、そんな気分になったはず。

 

 しかし、同時に。

 四葉にM性があれば、この状況に倒錯的な快感を覚えるはず。

 

「………」

「何でもいいよ、四葉。難しく考えなくてもいい。どんなことでも僕は受け入れるし、受け止めるから」

 

 逡巡する四葉に、せめてもの助けとして囁いてやる。

 心を開放しろ、自分を曝け出せと。

 言われた四葉は、はっとした表情を浮かべて知尋を見た。瞳の中の揺らぎが徐々に取り払われ、確固たる色を帯び始める。

 それでも告げられた声は小さく、

 

「……犯して、くださいませ」

 

 無理もない。

 本来『犯す側』の性癖である彼女には精一杯のはず。

 あるいはこうして、あらためて懇願するようなシチュエーションでなければ――彼女の処女を奪った時のように、高揚の中で求められたかもしれないが。

 ふっと笑って知尋は尋ね返す。

 敢えて意地悪に。無慈悲を装って。

 

「犯すって、具体的にどうすればいい?」

「何を、どこに、どうして欲しいのか、ちゃんと言わないと伝わりませんよ――四葉さん」

 

 ちさとがすかさず援護射撃。

 兄妹であり、事前打ち合わせまでしている彼女は完全に、知尋と息を合わせている。彼女はアメとムチを知尋と分担する役回り。

 以前、真里亜が李狐にそうしたように、既に素直になっている奴隷が道を、お手本を示すことでより深く少女を堕としていく。

 

 ……はぁ。

 複雑なため息を吐いた四葉が再び唇を動かした。

 

「ご主人様の、おちんちんを……私の中に」

「おちんぽ」

「……っ」

 

 震える四葉に、ちさとは敢えて淡々と。

 

「おちんぽ、です。おちんちんなんて上品な言葉では駄目です」

「……ご、ご主人様のおちんぽ、を」

 

 促されるまま繰り返す四葉。

 元が知尋の命令であり、懇願できなければ快楽を得られない――そうなれば彼女に選択肢など存在しない。

 ちさとに反抗するなど論外。知尋に従順に従うちさとを否定すれば、不要と判断されるのは果たして誰か。

 

「よくできました。じゃあ続きです。こちらも、きちんと『おまんこ』って言いましょうね」

「おまんこ」

 

 上品な唇からその言葉が漏れると、知尋の背筋がぞくっと震えた。

 泣きそうなほど瞳を潤ませ、羞恥から全身を震わせながら、四葉がちさとのアシストにより淫らなおねだりを発する。

 

「私のおまんこに、ご主人様のおちんぽを突っ込んで――ぐちゃぐちゃに掻き回して、中だしして妊娠させてくださいませ」

 

 言った。

 声は小さく、たどたどしい部分もあったが言い切った。

 言葉を切った直後に涙が溢れ、同時に前のめりに倒れ込む彼女を慌てて支える。

 

「あ、ああ、ああああ――っ!」

 

 膜を再生する前で良かった。

 思いつつ、絶叫を上げる唇をキスで強引に塞ぎ、やや濡れ方の足りない膣へ強引にペニスをねじ込んだ。

 目を見開いた四葉が多少の冷静さを取り戻す。

 そんな彼女の耳元に低い声で囁いた。

 

「望み通り犯してあげるよ。何回も、四葉の中に射精すれば――もしかしたら妊娠だってするかもしれないね」

 

 言い終わって腰を動かすと、くちゅりと水音。

 今の囁きで興奮した四葉が新たに愛液を分泌したらしい。

 

 数十秒間、口内をまんべんなく味わってから唇を離すと、四葉は甘い喘ぎ声を漏らした。

 

「あ、ああ……ご主人様」

「いい子だね、四葉」

「はいっ。ご主人様、ご主人様……ぁ」

 

 水音を聞きながらリズミカルに腰を打ち付ける。

 無毛の股間が、知尋のそれとぶつかってぱんぱんと音を立てる。痛みが走るほどではないはずだが、羞恥と興奮は否応なくかきたてられるだろう。

 もちろん、四葉を抱く知尋自身も。

 処女を奪ってからまだ数回。キツさの残る膣の感触と相まって、昂ぶりペニスへ血液を送り込んでいく。

 

「ああ、凄い……」

 

 傍らのちさともまた夢心地だった。

 彼女には今回、知尋と四葉、双方の感覚を共有している。

 『刺激増幅』によって増えた四葉の快感の半分――割合、等倍に近い感覚に加え、知尋の男性的性感の半分が受けた彼女が、ある意味一番得をしているかもしれない。

 しかし、事前の宣誓によって主従プレイに酔わされた四葉もまた、通常ならありえないレベルで快楽を貪っている。

 知尋も、性感が半分になったせいで射精まで持っていきにくいものの、その分だけ長く四葉を味わえる。

 

 と。

 

「あくっ!?」

 

 不意に四葉の声が跳ね上がった。

 顔には驚愕の色。それを見た知尋は小さく微笑んだ。

 どうやら、期待していたことが現実になったらしい。

 

 誰か――おそらくは鈴あたりが自慰を始め、その快感が四葉に流れ込んだのだ。

 『刺激共有』の効果範囲を複雑に設定できないか、ぶっつけで試してみた結果である。現在、四葉は双方向ではなく一方通行、つまり自分の快感はそのままに、他の少女達の快感は半分ずつ得てしまう状態。

 鈴達に連絡する暇はなかったので、彼女らが自分の感覚が鈍いことに気づき、そこから正確に連想してくれるかは賭けだったが。

 

「感じすぎて……ふぁあ!?」

 

 恥も外聞もなく四葉が喘ぐ。

 一昨日も似たような状態になっていたはずだが、一度や二度で簡単に慣れるようなものではない。

 一人分以上の快楽に否応なく押し流される。

 思考が蕩け、身体は理性でコントロールできなくなり、唇と腰が勝手に動いてしまう。

 

「四葉、体勢を変えるよ」

「あ、え……そんなっ……っ!?」

 

 正常位で挿入した状態から腰を捻り、四葉の身体を逆転させる。

 うつ伏せになった彼女の腰を軽く持ち上げ背後から犯した。

 いわゆる寝バックという体勢。この方が腰の位置が高くなるため、下が硬い床の状況では動きやすい。

 

「ん、ふ、んううっ!?」

 

 四葉は必死に声と快感を堪えようとしていた。

 両手で口を押さえるも、完全な効果は上がっていない。

 ちさとが悩ましげに息を吐き、四葉に囁いた。

 

「はぁ……。ふふ。いんですよ、四葉さん。ここには兄さんと私しかいません。どれだけいやらしくなっても、あなたを軽蔑する人なんていません」

 

 また一段、堕ちようとしている少女にとって、その囁きは天使か悪魔か。

 

「むしろ、本当の四葉を見せて欲しい。それとも、僕にも見せられないかな?」

 

 知尋もまた激しく、容赦なくペニスを突き立て――逆に優しく語り掛けた。

 言葉が四葉の耳に、心にゆっくりと染み込む。

 

「っ。あぁ、ご主人様ぁっ」

「四葉。おまんこ気持ちいい?」

「はいっ、おまんこ気持ちいいですっ。四葉をもっと犯してくださいませっ!」

 

 四葉が叫んだ。

 顔を半ば床に押し付けたまま、彼女は腰を上げて尻を突き出す。

 両手で軽く全身を支え、知尋が挿入しやすい体勢を作る。

 きゅっ。

 膣が締め付けられる感触に、知尋の射精欲も高まった。

 

「四葉さん。イク時は遠慮なくイってくださいね。兄さんもいっぱいあなたを犯しますから」

「はいっ。でも、怖いですっ。このままイってしまったら私、帰ってこれなく……っ!」

「いいよ」

 

 不意に動きを止めて囁いてやる。

 

「気絶するまでイけばいい。ずっとそれを見ていてあげるから」

「―――っ」

 

 そして。

 ずん、と。深くペニスを突き立ててやる。

 それが最後の一押しだった。

 

「あ、イ――あああぁぁぁっ!」

 

 最後まで宣言するのも間に合わず。

 残りはただの絶叫に変えて、四葉が身を震わせた。

 個室。知尋と四葉とちさと以外いない部屋に声が響く中、知尋は更に動きを続けて四葉を犯した。

 そうして、彼女の絶頂から遅れること数十秒。

 

「んあっ、ああっ、ふああっ!?」

「っ、射すよ、四葉っ」

 

 どくん。

 なおもイき続ける彼女の膣に白濁液を注ぎ込んだ。

 すっぽりと嵌められた膣内は、知尋の精を余すことなくしっかりと受け止めた。数十秒かけて全てを注ぎ込むと、再び腰を動かし始める。

 

「やっ、ご主人様っ!」

「ほら、四葉さん。もっとイきましょう? 兄さんもまだまだ物足りないみたいです」

 

 ちさとが恍惚の声で囁いた。

 

 それから。

 四葉は結局、一時間に満たない短い間に何回もイった。一度、絶頂して敏感になった身体は際限なく快感を受け入れ、イきっぱなしのごとく身を震わせた。

 都合数回、知尋の精を膣に注ぎ込まれた彼女は、行為の後、しばらく動けない様子だった。

 

「ありがとうございました……ご主人様」

 

 呼吸を整えながら見上げる四葉。

 知尋は彼女をそっと抱きしめ、髪を撫でた。

 少女の膣からは白濁した液体が少しずつ、外へと溢れ出していた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。