「服を脱ぐんだ」
「……うん」
素直に立ち上がる李狐。
彼女は一、二歩椅子から離れると、殊更ゆっくりなペースで制服の上着に手をかける。頬を染めたまま、一つずつボタンが外されていく。
思ったよりも上品な仕草で袖から腕を抜くと、彼女は制服を抱いて困った顔をする。
「脱いだ服は床に落としなさい」
真里亜の声が飛んだ。
きっ、と李狐が真里亜を睨む。
「李狐。言う通りにするんだ」
「……わかった」
ぱさり、と制服が落ちた。
続いてリボンも外され、落ちる。ここで李狐は躊躇するように手を止めた。
何か言うべきか口を開くと、「ご主人様」と真里亜の声。軽く振り返れば黙って首を振られる。李狐の意志に任せろということか。
「……うざい」
小さな呟きと共に、李狐が震える手でブラウスに手をかけた。上から一つずつ全てのボタンを外し、これも床へ落とすと白いブラが露わになった。真ん中に小さなリボンが付いた少女らしいデザインだ。
「見ないで……」
ピンク色の唇から懇願が漏れるが、知尋は無視した。
もちろん真里亜も視線を逸らさない。
観念したように李狐がスカートを外した。同じデザインの白いショーツ。
「っ」
ぎゅっと目がつぶられる。
再び開くまでに数秒、意を決したように手を背中側に回し、ホックを外した。
ブラが床に落ちる。
「最後ね」
真里亜の声が李狐の羞恥に追い打ちをかけた。
それは、同時に「早くしろ」という命令でもある。
軽くショーツが下ろされ、右足から一本ずつ足が引き抜かれた。きちんと手入れしているのか、股間の茂みは控え目で、そんなところも可愛らしく思えた。
「次は、どうするの?」
上目遣いの問い。
知尋は自分が座っている椅子を軽く引き、告げた。
「ここに座って、舐めるんだ」
李孤は素直に従った。
椅子の前にしゃがみ、ズボンのホックとファスナーを外す。真里亜とは違う、たどたどしく、完全に諦観しきれていない動きが情欲をそそる。
露わになったペニスは既に半勃ちの状態だった。
そこへ李狐は舌を伸ばし、恐る恐る触れる。
ちろ。
ほんの少し亀頭に触れた途端に顔をしかめた。それでも文句は言わず、ちろちろと舌で亀頭を撫でていく。
かすかな刺激に焦らされたペニスが完全に勃起する。
李狐の動きは少しずつ積極的になっていった。
ぺろぺろと、ソフトクリームか何かを舐めるように舌を動かす彼女。少なくとも、気が進まないながらも一生懸命なのは伝わってくる。
「ふふ」
くすりと笑った真里亜が椅子から降りる。
彼女は這うようにして李狐の隣へ移動すると、耳にそっと囁いた。
「それじゃあご主人様は物足りないわ。もっといやらしい動き方をしなさい。自分が恥ずかしいと思う方法であればあるほど、ご奉仕としては優秀な方法なの」
本人もほんの数日前までは処女だったのだが、そんな事を感じさせないほどの落ち着きようだった。
妖艶な囁きは、この異常状況において李狐の思考を溶かしていく。
「例えば、こうやって」
李狐とそっと入れ替わった真里亜は大きく口を開け、知尋のペニスをぱっくりとくわえこむ。それを見た李狐が目を見開くのを横目で確認しつつ、じゅぼじゅぼと下品な音を立てて唇を動かす。
いったん口を離せば、だらりと涎を垂らしてペニスに絡め、指で小刻みにしごきたてる。陰嚢を口に含んで美味しそうに転がす。
はあ、と甘い吐息を漏らして李狐を振り返る。
「さあ、やってみなさい。できる範囲でいいから。ああ、それから歯は立てないようにね」
「……うん」
小さく口を開けた李狐が、恐る恐る亀頭を咥えた。その際、こつん、と歯がペニスに触れ、李狐がびくんと震えた。
怒られると思ったのだろうか。
知尋は苦笑しながら李狐の頭を撫でた。
「そういえば、真里亜に歯を当てられたことはなかったな……」
「!」
場を持たせるための呟きだったのだが、どういうわけか李狐がそれに反応した。
ペニスを咥えたまま真里亜の方を睨み、歯が当たらない位置を探してもごもごと口を動かし始める。
「……ご主人様。今のはナイスですが、彼女へのフォローにはなってないと」
「う、うん」
しかし、結果的にこれが調教的には功を奏した。
李狐は、たとえ性行為に関してでも、自分が真里亜に劣るのは我慢できないらしい。いくら彼女が知尋の奴隷だと言われようと、感情の部分で拒否反応が出るのだろう。
一方で、真里亜が時折見せる妙な優しさに翻弄されてもいる。
拙くも必死な奉仕が続くうち、知尋の快感も高まってきた。
「……よし。李狐、出すから口で受け止めて」
「……え?」
驚いた李狐が口を止める。
知尋は構わず腰を突き出し、彼女の喉を突くようにして射精のトリガーを引いた。
どぷっ、と、ペニスの尖端から粘液が溢れ出す感覚と共に腰が震える。
「ぐ、うえっ……」
喉奥を刺激され、精液を出された李狐が顔を歪めた。彼女は射精の収まらないペニスを口から吐き出しげほげほと咳き込む。
すると当然、精液が顔や髪にも飛び散ってあちこちを汚した。
「あ、ああ……」
呆然と精液を受け止めた李狐が小さく呻く。軽く開いたままの口には少量の精液が残ったまま。飲みこむ踏ん切りもつかず、かといって吐き出す度胸もないようだ。
はあ、と真里亜が溜め息をついて李狐に顔を寄せた。
「仕方ないわね。手伝ってあげる」
ちゅ。
少女同士のキス。
すぐさま真里亜が舌を入れたのだろう。李狐は両手で真里亜を押しのけようとするも、その前に真里亜が李狐の頭をホールドしてしまう。
じゅる、ちゅくちゅく、ぬちゃ……。
「ふ、く……んっ……」
「あ、う、うあ……」
頻繁に唾液が交換され、精液と混じりあって泡を立てる。
こくん、と二人が喉を鳴らしたのは同時のことだった。
真里亜から解放された李狐は荒く息を吐きながら、嗚咽のような声を吐き出した。
「あたし、まだ和泉にもキスされてなかったのに」
「……あら。ふふ、意外に可愛いところあるのね。ご主人様にキスして欲しかったんだ?」
「ち、ちが……っ」
慌てて否定する彼女だったが、もう遅い。
「李狐、こっちに」
「……ん」
恥ずかしそうに顔を寄せてくる李狐の頬を両手で挟んで引き寄せ、頭を抱くようにしてキスをした。
真里亜がしたのと同じように舌を入れ、唾液を絡めながら少女の口内を余すところなく味わう。次第に李狐も身体の力を抜いていき、されるがままになった。
「じゃあ、私はこっちをもらうわね」
言った真里亜が知尋のペニスを咥える。
動き始めた舌は射精優先の動きではなく、しかし楽しむためだけの動きという感じでもなかった。両者の中間、十分に性感を高めた上で射精に導く口淫奉仕。
……そのつもりなら、こっちも長めに楽しもう。
知尋は、身を預けてくる李狐を全身で支えながら、長い間彼女にキスをし続けた。うまく息ができず呼吸が荒くなろうと、李狐が顔を離そうとしてもお構いなし。最終的には李狐も素直に舌を絡め、鼻で呼吸することを覚えていた。
射精と同時に舌を離すと、彼女はむしろ名残惜しそうな顔をする。
「物足りない?」
「そ、そんなんじゃ」
しかし、彼女の顔にはもっと快楽が欲しいと書いてあった。
「大丈夫。まだ終わらないから」
微妙に嬉しそうな顔をする李狐を跨らせ、腰を振らせながら膣内を突き上げる。フェラチオとキスだけで十分に濡れていたために前戯は必要なかった。
ぐちゅぐちゅという音。喘ぎ声を殺しながら腰を振る李狐に真里亜が後ろから抱き着き、首を舐め胸を揉みしだいた。
中に射精したら、今度は李狐を寝かせたまま抱く。
真里亜は李狐に跨り、彼女へ秘所を舐めさせながら知尋にキスを求めてきた。
「ご主人様、3Pは今回が初めてですよね? 如何ですか?」
「……最高だよ」
「あはっ」
彼女にしては珍しい笑い方を知尋は聞いた。
李狐は知尋から二度目の膣内射精を受けると同時に絶頂し、室内に喘ぎ声を響かせたあと気絶した。
「……この子が少し羨ましいわ。嫌なのに欲しくてたまらないなんて倒錯したセックス、私にはできないだろうから」
「真里亜にとっては、全部『望んだセックス』だもんね」
「ええ。……あなたの目を見ていると、余計に」
李狐を床に転がしたまま、二人は更に交わり続けた。知尋が疲れ切って気絶するまで、真里亜ははしたない声を上げ、延々と知尋を求めた。
ただでさえ強烈な欲求が、知尋の能力を受けて更に暴走。昨日分の欲求不満も相まった結果だ。
お蔭で知尋はまた精根尽き果てることになったが、その疲れは辛いものではない、どこか心地のいいものだった。