※この作品はR-18です。

儚き異能は心を映す   作:緑茶わいん

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第百七十話  ボクっ子の誘惑 2 ★

 ぺろ。ぺろぺろ。

 精液でどろどろになった手のひらを早稀が舐める。

 全体にべっとり付着したため、綺麗に掃除するには何度も繰り返し舐める必要があった。

 最後に、口内に溜まった精液をごくんと飲み干す。

 

「はぁ……ん。和泉君のせーえき、たっぷりで濃厚だね。あの子達はこういうの舐めてるんだぁ」

 

 少女の舌が艶めかしく動いた。

 

「毎日こんなの舐めてたら癖になっちゃうよ。和泉君、責任取れるの?」

「もちろん、責任は取るつもりだよ」

 

 恋人である愛華はともかく、他の子達はなるべく均等に愛せるようにしている。人数がいるから毎日とはいかないが、頻度だって少なくはないはずだ。

 そっか、と早稀は頷いて。

 

「じゃあ、お裾分け……もらっちゃおうかな」

 

 ベッドに寝るよう促された。

 

「ん、しょ……」

 

 と、更に、先程脱がされた服を顔に巻き付けられる。顔の上半分を覆って目隠しされる格好だ。

 口は塞がないでくれているものの、冬服の生地では何も見えない。

 

「これは?」

「ボクのお腹、見るの嫌かなって思って。ただやりたいだけの男は結構、こういうの好きなんだけどね」

 

 早稀のお腹。

 そこにある入れ墨のことだろう。

 確かに、灰人の所有物である証――あの男の横暴の結果を見せつけられるのはあまりいい気分ではない。

 ただ、これでは行為もしづらいが。

 

「和泉君なら大丈夫でしょ。それに……こうやって」

 

 何やらもぞもぞ動く音。

 ぱさりとジーンズが床に落ちる音がして、少女が知尋の上に跨ってくる。

 つぷつぷ……。

 濡れた膣にさしたる抵抗もなく飲みこまれた。柔らかい、と思った次の主観、きゅうっとペニスが締め付けられた。

 

「こうやってぇ……挿れちゃえば平気でしょ?」

 

 早稀はそのままぎゅっと抱き着いてくる。

 悪戯めいた声にふっと笑みがこぼれた。

 

「なるほどね。じゃあ、頑張ってみようかな」

 

 腰あたりに腕を回し、固定してから位置を入れ替える。

 少女が軽く息を漏らすのを聞きながら組み敷く姿勢になり、やや慎重に腰を動かした。ゆっくり引き抜き、素早く突き入れる。

 

「んんっ! あはっ。ね、大丈夫でしょ? さ、どぴゅどぴゅっていっぱい出していいよ?」

 

 知尋が腰を引くときは締め付けが緩み、奥まで入った途端に強く締められる。最初はややタイムラグがあったものの、だんだんと知尋のリズムを把握するとそれにぴったり合わせてくる。

 声量は抑えているものの、嬌声を我慢することもせず思うがまま。与えられる快楽を享受してくる。

 

 入れて、引いて、入れる。

 

 単純な動きだというのに、早稀の締め付けとくぷくぷ鳴る音のお蔭で凄く心地いい。名器というわけでも、知尋との相性がいいわけでもなく、これは早稀の努力によってなされた快感だ。

 

「結構、たくさんの人としたの?」

「あっ……ん、もう。そういうこと聞くのマナー違反じゃない? まあいいけど、普通だよ? 灰人さんの命令でホテル行って現地で男の人としたり、クラスの男の子を誘惑したり」

 

 大した数じゃない、と早稀。

 聞く限りでは十分、大した数に思えるのだが――。

 

「かなめとかに比べたら全然楽だよ。その分、かなめのテクはもっと凄いと思うけど、和泉君も味合わなかった?」

「いや、指宿さんにはずっと抵抗されていたから」

「そっか、残念だね」

 

 睦言という意味もあれど、基本的に話好きなのだろう。

 肉を絡ませ合う合間、早稀は明るい調子で話に付き合ってくれる。

 

「そういえばさ、和泉君。その『指宿さん』とか『白浜さん』っていうの他人行儀じゃない? 知らない仲じゃないんだし」

「それもリップサービス?」

 

 くすっと笑われた。

 

「そうだけど、そうじゃないよ。どうせ何日か同じ部屋なんだし、気安い方がお互い楽でしょ」

「そういうものかな」

「そういうものだよ。ね、ちーひろ?」

「早稀」

 

 着いて早々、何をやっているのかという気もするが。

 観月のお蔭で移動にかかった時間は殆どない。まだ午前十一時を回ったくらいで、お昼ご飯にも早い時間だ。

 逆に海へ繰り出すには時間が足りない。ある意味、都合がいいといえば都合が良かった。

 

「ね、ボクのおまんこ、気持ちいでしょ……っ?」

「うん。早稀の中、気持ちいいよっ……」

 

 知尋と早稀は、ここだけを見ればまるで恋人同士のように睦みあう。

 一歩ずつ着実に、知尋は絶頂へと向かいつつあった。

 息が荒くなり抑えるのが難しくなる。早稀もそれは同じようで、互いの吐息で更に興奮を高めながら動いた。

 絶頂が近づくにつれてペースは早まり不規則になる。それを察した早稀は膣を収縮させる動きから、知尋と同じく腰を振る動きへシフトチェンジ。

 

「ね、知尋。ボク、もうイきそう。イっていい?」

「いいよ、早稀。思う存分イけばいいよ」

「うん、じゃあ、イクね。あ、ああっ、イク、イクイクイクぅっっ!」

 

 びくん、と。

 早稀が身を仰け反らせると同時、膣がきゅうう、と強く締めつけられた。

 それが最後の刺激となり、知尋もまた絶頂に達した。ペニスの先端から精液が溢れて少女の膣内へと注ぎ込まれていく。

 と、早稀の膣はまるで精を最後の一滴まで搾り取ろうとするように動いた。

 

「あはっ。一杯出るねえ」

 

 二人の絶頂が収まるには一分近くかかり、知尋がペニスを引き抜くと早稀は「あ……」と名残惜しそうな声を上げた。

 無意識だったのか、彼女は少し慌てたように続けて。

 

「えっと、ちょっと待ってね」

 

 制止の声の後、十数秒経ってからOKが出る。

 目隠しを解くと、早稀が微妙に恥ずかしそうにしながら下半身下着姿でベッドに座っていた。

 膣内射精された秘所は特に拭ったわけではないらしく、ショーツには染みができ始めている。それでも布地を隔てた分、溢れた液がベッドを濡らす恐れはだいぶ減っただろう。

 

「えへへ、気持ちよかったね」

 

 言って、彼女は知尋に腕を絡めてきた。

 これも計算、というか培ってきたプロセスなのだろうが、そうされて悪い気はしない。微笑んで謝意を伝えることにした。

 

「ありがとう、早稀。気持ちよかったよ」

「ん、良かった。……あー、なんか知尋は優しいね」

 

 頭まで知尋に預けながら呟く早稀。

 

「でも、だからかな。ボクはちょっと欲求不満」

「一回イったくらいじゃ物足りない?」

「ぜーんぜん。ボクを満足させたかったら、もっと激しくしてくれないと。玩具で遊ぶみたいに、壊しても構わないってくらい」

 

 なかなか、知尋にとっては難しい注文だった。

 そう言うということは、早稀の相手はそういう男が多いのだろう。そして彼女の身体もそういう相手に都合のいいように調教されている。

 ……だいたい想像はついていたが。

 

「あの人の調教はハードなんだね」

「そりゃあね。灰人さんの周りには女の子いくらでもいるし。壊れたら捨てればいいんだから」

 

 もちろん、本当に死ぬまで責めはしないだろう。

 性器が使い物にならなくなった女性を「後は好きにしろ」と放り出す、とかおそらくそういう方向性。

 ……だから許せるというわけではないが。

 

「というわけで。もーちょっとしようよ」

 

 随分と積極的なことだ。

 

「もしかして、欲求不満?」

「そりゃそうだよ。東京(こっち)であんまり派手なことするわけにいかないし。引っ越してから、かなめとレズるしかなかったんだもん」

 

 なるほど。

 さすがに見境なく相手を求めない程度の分別はあるらしい。

 まあ、知尋としては相手をする分には構わない。今度はバックからのプレイでも提案しようか、と思った時、こんこんと部屋のドアがノックされた。

 ぴょこんと立った早稀がドアに駆け寄っていく。

 元気なのはいいことである。ただ、彼女は自分の格好をわかっているのか。慌てて呼び止めようとするも間に合わず。

 

「……何て格好してるんですか」

 

 ドアを開けた華が半眼で呟いた。

 彼女の視線はドア前の早稀だけでなく、ベッドにいる知尋にまで向いている。思えば知尋も全裸なのだから無理はない。

 

「えへへ。さっそく知尋をつまみ食いしちゃった」

「……へえ。短い時間で随分仲良くなったんですね、和泉君」

「う、うん。ごめん、つい」

 

 知尋、という呼び方をしっかり聞きつけたらしい。

 冷たい声で言われた知尋は思わず謝る。違うんだ、という弁解も出かけたが嘘になるのでやめておく。

 華の用件は「少し早いが昼食にしないか」というものだった。

 了承すると、十五分後に集合を指定してドアが閉じた。残念ながらと言っていいものか、続きはできそうにない。

 

「早稀。シャワー浴びて来なよ」

「うん。一緒に入る?」

「いや。僕はタオルで拭くくらいでいいからさ」

 

 わかった、と早稀は素直に従ってくれた。

 早稀がシャワーを浴びている間に濡れタオルで身体を拭き、服を身に着けたら程なく約束の時間になった。

 部屋を出て皆と合流。すぐさま愛華に腕を引かれた。

 右腕が乳房の間に押し当てられる。

 

「白浜さん。あんまり知尋君を誘惑しないでね」

「あはは。大丈夫だよ、ボクは気持ちよくなりたいだけだから」

 

 棘のある視線を向ける愛華にあっけらかんと早稀。

 これにはかなめまで変な顔になった。

 

「本当に早稀は楽観的すぎますよぉ」

「変なところで気が合いますね」

 

 宿泊区画を出てしばらく歩き、食堂へ出た。

 ランチのメニューは二種類だった。その他にグランドメニューもいくつかあるものの、せっかくなのでランチを頼むことに。

 選択肢は「健康ランチ」「不健康ランチ」の二択。

 鶏肉メインでサラダ付きというヘルシーなプレートか、ハンバーグやメンチカツがでん! と乗った茶色の強い昼食である。どちらも主食はライスかパンを選べる模様。

 後者の写真を見た李狐がひくっと頬をひきつらせた。

 

「……こ、このネーミングは何がしたいんだか」

「心理的に後者を選ばせないようにするテクニックじゃないかしら」

 

 真里亜が何の気なしに答え、四葉も頷いた。

 

「あるいは、後者を頼んだ回数が記録されていて、バランスが悪いと指導が入る……なんて可能性もあるわね」

 

 恐ろしいシステムである。

 狭い島で研究詰めではストレスも溜まる。たまには思いっきり食べたい時もあるだろうに、人目を気にしなければならないとは。

 まあ、不摂生をしがちな研究者相手だからこそこうなっているのかもしれない。

 

「皆、健康ランチでいいんじゃないでかぁ?」

「んー。でも、そっちだとちょっと量が足りなくない? 半々で頼んで分けようよ」

 

 早稀の提案に皆が頷いた。

 成人向けの健康メニューでは育ち盛りの高校生、それも柴鳳の生徒達には足りない。健康ランチ四、不健康ランチ四で注文し、四人ずつに分かれてテーブルを囲んだ。知尋は愛華と真里亜、李狐が一緒だ。

 なんと、知尋達の食事に関しては全てタダらしい。太っ腹なことである。

 

「そういえば、ここって通貨は何なんだろう?」

「日本円だったよ。食堂ではドルも使えるみたいだったけど、自販機は日本のだった」

 

 数日滞在する分には何の問題もなさそうだ。

 ただ、まあ、会話の問題などはどうしようもないが。

 食堂の職員は日本人だったが、同じフロアで食事をする研究者やスタッフの中には黒髪以外の姿も多く見ある。彼らからの視線は物珍しさや微笑ましい感じのもので、刺々しくはないのが幸いだが、もし話しかけられた場合に対応できないのは少々居心地の悪さを感じる。

 

「で、でも。挨拶くらいならなんとかなるし」

「そうね。授業では英会話より文法が中心だから、あまり自信はないけれど」

 

 とりあえず、すれ違ったら会釈しておけばいいだろう、的な日本人対応をする方向で一同は合意。

 そこから話題はこの施設のことになった。

 

「案内図などを見たところ、研究フロアはここから少し離れているようですね」

 

 施設の内訳は大きく分けて四つ。

 知尋達が泊まるゲスト用の宿泊施設や、この食堂などがある一般エリア。研究者などスタッフが住む居住エリア。あとは研究エリアと、システムや電力を管理するエリアである。

 

「あたし達は変なところに入らないようにしてればいい、ってことか」

「あと、私達っていつまでここにいるんだろうね?」

「……さあ?」

 

 詳しい滞在期間については知らされていない。

 研究への知尋の協力がメインである以上、それが一段落するまで滞在することになると考えればいいだろう。

 一応、宿泊が一週間以上になってもいいように準備はしてあるし、南の島で年越しになる覚悟もしている。

 

「二学期が始まるまでに帰れればいいけど」

 

 何しろ主導している面子が灰人に楓である。

 観月も関わっている以上、あまり横暴なことはないと思いたいが、若干不安もあったり。

 と、李狐がくすりと笑った。

 

「大丈夫でしょ。少なくとも、長引くようなら知尋以外は先に帰してくれるって」

「いや、それはあんまり大丈夫じゃないような……」

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