四葉の身体を手頃な岩に横たえた。
「冷たい、です」
「じゃあ、早めに温かくしないとね」
答えながら秘部を割り開く。
柔らかな肉に覆われたそこは、
「濡れてるね」
「あれだけ焦らされれば、こうもなります」
先程、尻でしたことだけではない。愛華との行為も含めてだろう。
知尋は笑みをこぼしながら、四葉の膣に指を差し入れた。風や波の音に混じってぐちゅぐちゅと淫音が聞こえる。
「やぁ……」
悲鳴を漏らしながらも感じている四葉。
しかし宣言した通り、今回は悠長に前戯をするつもりはなかった。
濡れ具合が十分であることを確認したところで、すぐにペニスを挿入する。
「んっ!」
予告なしの挿入に四葉が声を上げた。
「ご主人様、今日はいつもより少し乱暴ですね」
「さっき、僕に『優しすぎる』って言った子がいてさ」
「そうですか。……でも、嬉しいです」
呟いた言葉には何か深い感情がこもっているように思えた。
彼女の瞳を覗き込むと、返ってくるのは被虐的な喜びの感情だった。そのことに内心でほっとする。
――四葉が、鳳と実質的に決別したことは知尋も聞いている。
朝から四葉がやや不安定になっているのもそのせいだろう。
婚約者という繋がりを失った彼女は別の繋がり、知尋達との関係に縋っている。もちろん、溺れてしまうほど弱い少女ではないが、無意識に引っ張られる部分があるのだろう。
彼女のために知尋ができること。なるべくいつも通りを心がけつつ、せめてプレイで気持ちを伝えることだと思った。
……今回のことで知尋が四葉を手放すことなんてない、と。
愛華や真里亜達だって同じ気持ちのはずだ。
もともと四葉を欲した理由に「鳳に対抗するため」というのがあったのは事実だし、マンションの新しい部屋に関して家柄や資産を頼ったのも事実だ。
しかし、知尋達が四葉に向ける好意はそれとは全く別の話なのだから。
だから、知尋は四葉を支配し続ける。
彼女が安心して寄りかかれるご主人様でいたいと思っている事実を、彼女を犯すことで示す。
少女の膣を激しく突きながら、豊かな胸元へ手を伸ばした。
自身の放った精を指に取って塗りつける。同時に指で乳房を軽く押しつぶしながら揉みしだいた。
「知尋様、私も、もう我慢できません」
真里亜の甘い声。
何やら動き始める気配からして、どうやら自慰を始めたようだ。
もしかしたら知尋の意図を察してくれたのか、と思いつつ、知尋は『刺激共有』の能力を操作する。
この場にいるメンバー、かなめと早稀以外から更に愛華とちさとを除いた四人。彼女達の快感を共有。
「ふああっ!」
途端、四葉の上げる声の質が変化した。
「ん、く……そんなことされたら、あたしも我慢できないじゃん」
そう言って、李狐もどうやら自慰を開始。
取り残された華は、はぁ、と悩ましげな吐息を漏らして声を上げた。
「真里亜ちゃん、それなら私としましょうよ……?」
「ごめんなさい、華さん。交わっている余裕はもうないの」
「あたしも。レズりたいなら他の子としなよ」
李狐までがレズプレイを拒否。
愛華はまだ休憩中のため、そうすると華一人。「仕方ないですね」と、彼女は渋々自慰を始める気配だったが。
「華、一人でするならボクとしようよ」
「って、何ですか急に! さっき和泉君としてたんじゃないんですか!?」
「あの位じゃまだ欲求不満なんだよ。ね、いいでしょ?」
ちゅっ、と、キスまでされれば、華も満更ではないらしい。
そのままディープキスに移行するのが息遣いでわかった。こうなると、かなめは本格的に一人、取り残された格好。
「アホらしいです。先に帰らせてもらいますよぉ」
さくさくと砂を歩く音が数回聞こえた後、愛華の声。
「……でも、考えてみたら、指宿さんは最初から海に来なくても良かったんじゃ?」
「っ」
足音が止まった。
図星を突かれたのか、かなめの硬い声。
「高槻さんって、大人しいかと思ったら案外腹黒いんですねぇ」
「そう、なのかな?」
おそらく、愛華もそれでかなめが足止めされるとは思わなかっただろうが。
ある意味ファインプレー、だったのかもしれない。
「ふあっ、ああっ、ご主人様ぁ!」
ぱんぱんと音を立てて肉がぶつかり合う。
四葉は両手を岩に這わせながら喘ぎ声を上げている。間隔の短さから言ってもう絶頂が近そうだ。
「イっていいよ、四葉」
ペニスを突きこみながら、乳首をぎゅう、っと抓んだ。
すると少女の身体が大きく。
「あ、イ……っ!」
はぁっ!
四葉の腹から空気が大きく吐き出される。知尋もそれに数秒遅れて絶頂に達した。
敢えて、ペニスを引き抜き白濁のシャワーを降りかけていると、背後からも立て続けに高い声が響いた。
振り返った先には、ぺたんと座り込んだ少女達の姿。どうやら四葉の絶頂により連鎖反応的に絶頂したらしい。早稀が「え、もうイったの? もっとしようよ」と言っているが、華はそれどころではなさそうだ。
……ふう。
知尋は息を吐いて『刺激共有』を元に戻した。
さすがに少し疲れがあった。朝から何度も射精したので、回復のためにも少し仮眠を取りたい気分である。
「ああ、べとべとします」
四葉が身を起こしながら呟いた。
「ごめん、やりすぎたかな?」
「いいえ。でも、これはどうしましょう……?」
肌に広くべっとり精液が付着し、一部は髪にも飛んでいる。
うーん、と、愛華が首を傾げる。
「ウェットティッシュじゃ間に合わないかな。……指宿さん、中の自販機でお水、買ってきてくれないかな?」
「はぁ? 何で私がそんなこと……」
「お願い」
「……わかりましたよぉ」
案外、かなめは素直に水を買ってきてくれた。
先程言っていた愛華の腹黒さを感じたのか――いや、考えてみると愛華だけはかなめの凌辱に参加していなかったので、あまり恨みを買っていないのかもしれない。
ミネラルウォーターを使い、四葉の身体を洗い流した。ベルトを外し、タオルで濡れた身体を拭えば応急処置としては十分だろう。後は部屋のシャワーで本格的に洗えばいい。
「それじゃ、戻ろうか」
「知尋君、海はいいの?」
「うん。ちさとが遊ぶのを中で見てたし、ちょっと疲れたから」
その言葉に少女達がくすりと笑った。
部屋に戻った知尋はベッドに倒れ込……もうとしてギリギリで思いとどまる。億劫だが、先にシャワーを浴びた方がいいだろう。
そう思うと余計に疲労が辛くなってくるのは気のせいだろうか。
腕に身体を押し付けてくる早稀にも気の入った対応ができない。
「知尋、一緒に入る?」
「ごめん早稀、今ちょっと余裕ないんだ」
「そっか、じゃあボクが身体洗ってあげようか」
「いいよ」
「いいの!?」
逆に早稀が驚いていた。
ノズルを捻ってシャワーを出し、バスチェアに座る。その時点で目を瞑れば眠れそうだったが、何とか頑張って意識を保った。
身体で洗ってくれた早稀の様子を殆ど覚えていないあたり、実は保てていなかったかもしれないが。
バスタオルで身体を拭いて、今度こそベッドに倒れ込む。
性行為で出来た染みはさほどでもない。この程度なら気にならないし、洗濯の際にもおそらく不審には思われないだろう。
「知尋、エッチ……は無理だよね。寝てる間フェラしてていい?」
「好きにしていいよ」
寝ている男にフェラをして楽しいのか。飴代わり、的なことなのか。
良く分からないが、今はとにかく眠りたい。と、知尋はそのまま意識を落とした。
目が覚めたのは二、三時間後。
股間に湿り気を感じて目を開けると、早稀がフェラチオの真っ最中だった。
既にペニスは勃起している。十分な刺激が与えられて脈打ち、痛いくらいだ。一晩寝たに等しい休息の後だから当然とも言えるが。
「……あれ? まさかずっとしてたの?」
返答の代わりに強くペニスを吸引された。
そのまま口を動かされてあえなく射精。嬉しそうに精液を飲み干した早稀はようやく口を離した。
「ぷはっ……ご馳走様。うん、暇だったから今の含めて二回くらい出して貰っちゃった」
「いや、暇ならテレビ見るとか」
「いやさ、それがこのテレビ殆どDVDとかブルーレイ専用なんだよね」
ここは存在も知られていない小さな島。
当然、近隣にテレビ局などあるわけもなく、据え付けの機器でDVD等を再生して楽しむしかないらしい。
なるほど。それは中々に厳しい。
ネットは一応使えるようだが、規制により娯楽系のサイトにはほぼ繋がらないとのこと。
「というわけで。もうすぐご飯だからさ、食べ終わったらまたセックスしようよ」
「いいけど、今日、殆どそれしかしてないような」
「一日中セックスしていいなんて最高じゃない。何か問題ある?」
……色々と問題はあるが黙っておく。
結局その日、知尋は更に数回、搾り取られた。
☆ ☆ ☆
翌日の朝も皆で食事にした。
やはり「健康朝食」と「不健康朝食」の二つがあり、さすがに朝は……と、全員で前者を選択。更に和洋を選んで受け取る。
ピークタイムからはやや時間をずらしたものの、食堂には研究者達の姿も多かった。やはり朝はこれから仕事という者が多いのだろう。一方、仕事終わりらしい眠そうな人もちらほら見られる。
「丁度良かった。ここにいたか」
「姉さん」
食事をしているところに楓が現れた。
「食べ終わったらそのまま向かうぞ」
「ん、わかった」
パンとオレンジジュース、目玉焼きをやや急ぎ気味に詰め込んで立ち上がる。
「知尋君」
「皆はゆっくりしてて。一応、僕も用心はするから」
傷やダメージは共有できる状態に設定し、愛華達に笑いかける。
楓の先導で食堂を出て歩いた。
一般エリアを出ると人気がぐっと減る。自動ドア横の端末にカードキーを通し、研究エリアへと入った。
「このカードでも入れるんだ」
「お前のカードだけは権限が強化されているからな」
白衣姿やワイシャツ姿、逆に妙にラフだったりする研究者達とすれ違いながら、楓はどんどん奥へと進んでいく。
セオリー的には、奥まった区画ほど重要な研究になるはずだが。
存在が秘匿されている島内、それ自体が重要すぎるこの施設における「重要な研究」とは一体どれほどのものなのか。
……あんまり会話を耳に入れないようにしよう。
ひとまず、チキンな方針を決定。
もう一度自動ドアでセキュリティチェックを行った後、通路をしばらく進み、更にもう一度カードキーを使った。
そうしてようやく辿り着いた部屋は、かなり広かった。
学園の教室が幾つかすっぽり収まるスペースが、物で漠然と区切られている。
一角には仮眠用と思われるベッドが二つ並び、すぐ近くにロッカーと衣装箪笥。別の一角には冷蔵庫に食器棚、簡単なキッチン。部屋の中央手前側には十人以上が座れそうな大テーブルがあり、その上は書類やらPCやらでごちゃごちゃな状態。
部屋の奥――全スペースの何割かを占める空間は、防弾と思われる分厚い透明の板で区切られ、その中には『何か』があった。入り口からでは良く見えないが……。
「来たか、和泉知尋」
大テーブルの傍で抱き合う男女の方が、直近の問題としては重要だった。
一人は透明で中性的な美貌を持った男――深海灰人。色つきのシャツにスラックスというホストめいた格好で、シャツのボタンを上二つ分外している。
彼の首に腕を回しているのは金髪碧眼、いかにも「アメリカ」という感じのワイルドボディを持った女性である。キャミソールのようなトップスと短いタイトスカートの上に白衣を羽織っているところを見ると、おそらくは。
「彼女はナタリー・バロウズ。この施設の最重要研究を行う、二人の研究者の一人だ」
楓が淡々と告げた。
彼女は入り口付近に知尋を残したまま、早足で二人の元へ向かっていく。女性、ナタリーの方が知尋にウインクするのを無視し、灰人の首根っこを掴む。
「少し目を離しただけでこれか。さすがだな、深海灰人」
「はは。たとえどこだろうと、俺は俺のやりたいようにやるさ」
ナタリーから引き離され、ぽいっと床に捨てられながら宣言する灰人。
ある意味格好良く、彼にはその実力があるのも確かなのだが、少々情けなくも思える。
はあ、と楓がため息。
「燕条さんも、少しは止めてくださるとありがたいのですが」
「ごめんなさい。私が止めようとすると、たぶん部屋を荒らしてしまうので」
大テーブルの端の方にちょこん、と観月が座っていた。
彼女がすまなそうに頭を下げると、くくく、と笑い声が聞こえた。
部屋に居る最後の一人、この場にいる面々の中ではぶっちぎりで最高齢な――白衣を着た白髪の老人である。
「とりあえず役者は揃ったか。そこの少年が和泉知尋君だな?」
ちらりと、年を経た者特有の深い瞳が知尋を見つめた。