※この作品はR-18です。

儚き異能は心を映す   作:緑茶わいん

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第二十二話 バスルームで3P ★

 真里亜の言う通り、浴室内は幾分か暖かかった。

 浴槽に湯がたまるまでには少々間がある。しばらくは洗い場で時間を潰さなければならない。

 狭い室内で三人一緒に、裸で、だ。

 

「和泉くん、どうして欲しい?」

 

 一番に浴室に入ったのは真里亜。浴槽を塞ぐ蓋の上に腰かけると背後を振り返り、知尋に判断を促してくる。

 続けて入った知尋は洗い場の奥――といっても二、三歩の距離だが――まで進みつつ頷いた。

 最後に李狐が浴室の入り口を閉じるのを見てから躊躇いがちに口を開く。

 

「あまり大したことは思いつかないけど」

「構わないわ。あなたが望んで、命じてくれることが大事なの」

「むしろ、あんまり変なこと言われても困るんだけど」

 

 鷹揚に頷く真里亜とぶっきらぼうな李狐。

 対照的な返事が、こみあげてくる不安と緊張を和らげてくれた。

 

「……じゃあ、二人に身体を洗って欲しい」

 

 真里亜が瞳に宿る官能の色を深め、息を吐いた。

 

「素敵」

 

 黒髪の少女が身を乗り出し知尋に手を差し伸べる。何気なく手を差し出すとぐいっと引かれ、瞬く間に二人の位置が入れ替わった。

 真里亜が洗い場の奥に立ち、知尋が浴槽へ腰かける。

 

「悪いけど、少しそこで待っていてね」

「な、何する気?」

「ご主人様の身体を洗うには、先に私達の身体を綺麗にしないといけないでしょう?」

 

 でないと逆に汚すことになりかねないと、李狐の問いに笑顔で答えた。

 

「……まあ、確かに」

 

 李狐も釈然としない様子ながら、真里亜の言い分には一定の理解を示したようだ。すぐに知尋から触れられるわけではないというのも多少安心の助けになったのかもしれない。一つきりのバスチェアを脇に避け、二人は向かい合うように床へ座った。

 蛇口から浴槽へ絶賛供給中の湯を洗面器に取り、頭から被って身体を濡らす。肌と髪が十分な湿り気を帯びたら、それぞれに自分の身体を洗い始めた。

 李狐がボディソープを両手で泡立て腕に馴染ませていく中、真里亜はいきなり薄い茂みに指を潜らせ陰部を割り開く。

 

「え。深海さん、まさかそこから洗うの?」

「ええ、そうだけど」

 

 軽く答えた真里亜は、そこで何かに気づいたのかはっと表情を曇らせた。

 

「あ……ごめんなさい。つい癖でいつも通りにやろうと」

「待った。何の話?」

「自慰行為だけど」

 

 汚れてもすぐ洗えるので、一度すっきりしてから身体を洗うことが多いらしい。

 ちょっと、生々しすぎて反応に困った。

 李狐が以降、身体を洗い終えるまで顔を真っ赤にしていたのも無理はない。

 と、余計なスパイスが効いたりはしたものの、少女達の準備は基本的に淡々と進んだ。白く柔らかな身体が泡に包まれ清められていく姿からは、艶めかしさと神聖さとを同時に感じた。

 ボディソープが綺麗に洗い流されると真里亜が知尋を振り返る。

 

「お待たせ、和泉くん」

「……うん」

 

 真里亜と視線が絡まり合い、興奮が加速度的に増していく。

 まず、バスチェアが引き寄せられた。蓋の上から降りてそこへ腰かけると、真里亜が正面から尋ねてくる。

 

「私が後ろになろうと思いますが、よろしいですか?」

「あ、あたしが前なの!?」

 

 李狐が叫んだ。現在の位置関係とは逆になるため意外だったのだろう。

 また、彼女としては後ろ側の方が気楽に違いない。前だと知尋と顔を合わせることになるし、互いの性器も見えるし見られる。恥ずかしさで言えば段違いだ。

 そう考えると――。

 

「うん。じゃあそれでお願い」

「和泉!?」

 

 どうせなら李狐の恥ずかしがる顔を見てみたい。

 おそらくは真里亜も似たようなことを考えたのだろう。

 

「西崎さん、諦めなさい」

「ああもう、わかったわよ。……で、どうするの?」

「ソープを腕や胸、自分の身体に馴染ませるの。いつもより多めにね。そうしたら身体を和泉くんに擦りつけて洗うの」

 

 少女達が位置を入れ替え、知尋の身体を湿らせてからボディーソープを手にする。

 

「何それ。スポンジは? 身体って……胸も使うってこと?」

「当然でしょう?」

「……変態」

 

 二人揃ってじろりと睨まれた。それでも止めると言い出されることはなく、

 

「では、始めますね……」

 

 豊かな胸が惜しげもなく背中に押し当てられる。真里亜の胸にはこれまでにも何度か触れたが、ソープのせいか今までの経験――乾いている時や唾液でべとべとな時とはまた違う質感だった。

 腕と腕も密着し、緩い動きで擦りつけられる。「洗う」という目的からすれば無駄にも程があるが、真里亜はあくまで手ではなく身体で洗うつもりらしい。その分ボディーソープはたっぷり使っていて、浴室内は既に甘い匂いで一杯だった。

 

「……これも、意外と難しいのね」

「んっ……練習なら、またいつでも付き合うよ」

「ふふ、ありがとうございます」

 

 難しいと言いつつも真里亜の奉仕は丁寧で、かつ淫らだ。

 柔らかい身体と甘い匂い、耳元から聞こえるかすかな喘ぎ声が混ざり合い、知尋は蕩けるような心地に包まれる。

 と、ようやく前側からも柔らかな感触が触れた。李狐が恐る恐る己の肌を寄せてきたのだ。

 ぺたんと床に座ったまま膝立ちになり、首と胸を伸ばして知尋の胸に押し付ける。

 至近距離に迫った唇が当惑を表した。

 

「何これ、こんなことしたらどうやったって……」

 

 キスするか抱き着くしかない。

 密着しなければ洗えないし、知尋がバスチェアに座っているせいで姿勢が安定せず、体重を預けざるを得ない。李狐の性格上キスを受け入れるのは難しいだろうが、そうするとより身体の密着する方を選ぶことになる。

 固く勃起した知尋のペニスが、李狐の下腹部あたりに触れた。

 

「やっ」

 

 少女はびくんと震えるが、諦めたのかすぐに身体を押し付けてきた。

 ……こんな、望まない行為を強いられた心境はどうだろう。

 不意に確かめてみたくなり、知尋は李狐に呼びかけた。

 

「李狐」

「え……?」

 

 顔を上げた彼女の目を至近距離から見つめる。直後に李狐は知尋の意図を察したようだったがもう遅い。

 読心の能力が発動し、彼女の一番感じている気持ちが伝わってくる。

 羞恥だ。

 嫌悪でも恐怖でもなかった。

 表情には一定の忌避感があるものの、知尋に逆らおうとはしていない。

 

「……李狐、キスするよ」

「え。う、うん」

 

 彼女の返事を待ってから唇を合わせた。

 舌を絡めるディープキス。李狐も初めてではないため、ある程度は知尋の動きを受け入れてくる。お互いに裸で触れ合っているという状況もあってか、思ったよりは積極的な動きだった。

 知尋が動くと真里亜の動きにも影響が出るため、どれだけ密着するかは殆ど李狐に任せる。それでも少女は知尋とのキスを止めようとしなかった。

 程なく、二人の全身が限界まで触れ合う。上半身から下半身までを知尋に押し付けるようにしながら、知尋は李狐の舌を貪った。

 

「西崎さん。手を出して」

「ふぁ……?」

 

 唇が離れて涎が糸を引いた。

 真里亜が李狐の手を引き、自分の腕を李狐の腰に、李狐の腕を自分の腰に回させる。知尋の腕は二人の腕に絡み――限界だと思っていた密着度が更に高まる。

 真里亜と李狐の高鳴る鼓動が胸と背中から伝わってくる。

 互いの体温で互いを温めあい、身体が熱くなっていく。

 

「あぁ、これいい……」

 

 恍惚の吐息を漏らした真里亜が知尋の肩越しに李狐を見た。

 

「和泉くんへのご奉仕も忘れちゃ駄目よ。それから、私にも少しは和泉くんの唾を寄越しなさい」

「……あんた、本当に」

 

 今度は少女二人のキスが始まった。

 欲にかられた奴隷同士の濃厚なキス。それを真里亜は主導しながらも、自身の言葉通り胸や腕、腰を使って知尋にボディーソープを擦りつけた。李狐も見様見真似でその動きを再現し始める。

 二人の息も次第に荒くなり、だんだん自分が奉仕されているのか、オナニーの道具に使われているのかわからなくなるが。

 柔らかな身体に挟まれ愛撫されて、知尋は確実に上り詰めていく。

 

「李狐。ごめん、出る」

「ふぇ……あ、ちょ、待っ……」

 

 呆けた表情でキスを止めた李狐が慌てて身体を離そうとするも、一度限界を超えたペニスが止まることはなかった。

 びゅる、びゅる……。

 白い精液が飛び散り、李狐の腹から下腹部に飛ぶ。ボディソープとは違う白い液体によって彼女の身体はどろどろになった。

 

「ああ、西崎さんだけずるいわ」

「じゃなくて。せっかく洗ったのにこれじゃ洗い直しじゃん」

「あら。どの道それはそうなるわ。だって、お楽しみはこれからなんだから」

 

 浴槽の湯も十分な量に達していたため、供給を止めてシャワーに切り替える。全員の泡をしっかり流したら、全員で浴槽に身体を沈めた。

 李狐が片側の端に背をつけ足を伸ばし、知尋が彼女に軽く背を預ける。

 そして、真里亜が知尋と向かい合うようにして腰を落とす。

 

「今度は、私の番……」

 

 片手で知尋のペニスを支え、自身の秘裂に挿入。

 水圧のせいか、少し強めの抵抗を受けつつ、肉棒がずぶずぶと飲みこまれていく。それだけで感じているのか、きゅっと膣が締まった。

 

「和泉くん、キスを頂戴……」

「……ん」

 

 舌を絡め、唾液を飲ませあう。同時にお互い緩く腰をくねらせて性感を高める。

 夢中になって背後の李狐を忘れ始めた頃、背中に胸やお腹が押し付けられて動き始めた。

 まるで先程の行為の裏返しのごとく、知尋は絶頂し真里亜の膣へと精を吐き出した。

 

「……はぁ……」

 

 恍惚に打ち震える真里亜。

 どうやら絶頂には達しなかったようだが、かなり深い快感を味わっているらしい。

 手を伸ばして頭を撫でてやると、髪が濡れているせいであまり感触はよくなかったが、撫でられる側は気持ちいいのかうっとり目を細める。

 と、そこでぐいっと腕を引かれた。

 殆ど無理矢理向きを反転させられ、むっとした李狐が知尋を睨む。

 

「和泉。もう、満足した?」

「……いや」

 

 ギブアップとも催促とも取れる瞳を見返すと、物足りなさを感じ取れた。

 知尋は微笑んで首を振り、李狐の腰に手を伸ばした。

 

「おいで、李狐」

「……うん」

 

 水中で抱き合いながら李狐の中で果て、すると回復した真里亜から求められる。この流れを何度も繰り返し――やがて暑さに耐えきれなくなった三人は行為を打ち切り、身体を洗って浴室を出た。

 その後、体力の限界を感じた知尋は寝室で眠りについた。

 横になった傍から意識が遠くなっていくのを感じながら、知尋は、部屋を出ていく真里亜と李狐が浴室の掃除とベッドの割り当てで言い合っているのをかすかに聞いた。

 

 

  ☆   ☆   ☆

 

 

 翌朝、目を覚ますと李狐が隣で寝ていた。

 一瞬、ぎょっとして跳ね起きたところで昨日の出来事を思い出した。

 幸い、今の物音で李狐が起きることはなかったので、このまま寝かせておくことにした。

 

「……でも、綺麗な寝顔だな」

 

 横を向き、軽く丸まるようにして熟睡している。

 こうして見ているとあどけない少女のようだ。まだ高校一年生、知尋と同い年なのだから当然といえば当然なのだが。

 毛布を掛け直してあげようか。

 思って一度手を伸ばすも、それで起こしてしまったら藪蛇だと考え取りやめる。

 室温は高めだから風邪を引くことはないだろう。

 

 彼女も昨夜の行為で疲れているはず。

 知尋は睡眠促進の効果もあって回復が早いし、真里亜も疲労以外は治せる。

 三人の中では李狐が一番、休息を必要とする立場だ。

 

 なるべく音を立てないように寝室を出て居間へ。

 居間では真里亜が下着姿のままコーヒーを飲んでいた。

 

「おはよう」

「うん、おはよう。身体は大丈夫?」

「ええ、私は平気。あの子は、もうしばらく寝かせてあげた方がいいだろうけれど」

「そうだね」

 

 テーブルに置いていたスマホを確認すると、時刻は七時過ぎだった。

 真里亜に答えつつ、知尋は隅に置かれたスポーツバッグへ歩み寄る。すると背後から声をかけられた。

 

「和泉くん。良かったら今日、買い物に付き合って欲しいんだけど」

「買い物? いいけど、何を買うの?」

 

 答えつつ服を見繕う。外出するならある程度ちゃんとした服装をした方が良いか。

 と、返ってきた声はどこか弾んでいた。

 

「詳しくはまだ秘密。でも、今の私とあなたに必要なものよ」

「そっか」

 

 下着にズボン、シャツに上着……次々と選び出しながら頷く。

 真里亜の反応から、なんとなく買い物の方向性は割れた気がした。

 必要なもの。

 そう聞いて、知尋の頭にも思い浮かぶものがあった。

 今まで漠然と思っていて、昨夜の行為で実感した事柄。それを補うために得るべきもの。

 

「真里亜」

「なに?」

「僕も、もう少し知識があった方がいいと思うんだ。その、真里亜みたいな」

「……ああ」

 

 つまりはいかがわしい類の知識。

 性行為のバリエーションや、奴隷に対する主人の振る舞い、女の子の喜ばせ方等々……それらについて、今は断片的な知識しかない。

 真里亜だけが相手にならそれでも良い。女の子にリードされるのはちょっと恥ずかしいが、相手の好みはむしろ吸収しやすいだろう。

 しかし、今後李狐を調教することを考えると、もっと色々知るべきだ。

 勉強にも時間がかかるだろうから、できれば早めに。

 ただ、知尋には何をどうすれば効率が良いかわからないので、

 

「用事のついでになるかはわからないけど、アドバイスを貰えないかな?」

「……ふふっ」

 

 衣類を抱いて振り返れば、真里亜がくすくすと笑っていた。

 

「ええ、それならちょうどいいわ。良さそうな作品を見繕ってあげる」

「ありがとう。……って、作品か。やっぱりそういう勉強の仕方になるんだ」

「創作物の方がわかりやすいもの。もちろん現実離れする面もあるけれど、和泉くんにはその方が良いでしょうし」

「なるほど」

 

 『落とし物』の力の源は精神力。自由なイメージは力にもなる。

 頷いて、知尋は着替えのため洗面所へ向かう。

 しかし、脇を通り過ぎようとしたところで腕を取られ引き留められた。

 

「待ちなさい。まだ話は終わってないわ。小説にコミック、アニメに実写……どういう媒体がいいか、特徴とデメリットを説明してあげる」

 

 結局、知尋は居間で着替えた。

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