夕食を終えた後、知尋は真里亜と一緒に「勉強」を始めた。
この部屋にはテレビがないため、DVDを見るのは必然的にパソコンを利用することになる。これは真里亜が自身のノートパソコンを快く提供してくれた。
「和泉くんにはパスワードを教えておくから、いつでも好きなときに使って」
「うん、ありがとう」
今日は最低限のレクチャーということで、PCに入っているソフトやブラウザのブックマークから「使えそう」なものを教えてもらう。
「ブックマークは動画、文章、漫画、CGで大きく分類しているわ。動画なら実写とアニメみたいに小分類も作ってあるから参考にして。あと、親しみやすさを考えるとゲームもいいかもね。あまり数は入っていないけれど、どれもお勧めよ。それから……」
動画やコミック、ゲームはダウンロードサイトから購入できる。電子マネーを使って購入すると後腐れがなくて楽、などなど。
真里亜は椅子に座る知尋に後ろから覆いかぶさる体勢で説明してくれた。
その表情は、これまでで一番生き生きとしているのではないか、というもの。やはりこういうのは相当好きらしい。
例として各サイトやゲームを見せられたので、肌色の多さに知尋はだんだんと頭がくらくらしてくる。
なお、李狐は密着する二人をやや遠巻きに、つまらなそうに見ていた。
「全部見ようとすると大変だね」
「それはそうね。もちろん網羅する必要はないわ。興味のあるところから見て行けば、自然と食指の動く範囲も広がっていくはずよ」
「なるほど……」
息を吐いて画面を見つめる。
今、画面に表示されているのはアニメ絵で描かれた、いわゆる3Pの場面。仰向けになった女の子の上にもう一人の女の子が覆いかぶさり、二人で男のペニスを待ち受けている。
「……これは、物理的にどうなんだろう?」
呟くと、知尋の視線を追った真里亜が首を傾げた。
「まあ、現実にやるなら、二人へ交互に挿入するんじゃないかしら。あるいは素股の要領で同時に二人を刺激するのか」
「素股?」
「ああ、知らなかったのね。どうせならやってみましょうか?」
妖艶な声が知尋を誘った。
☆ ☆ ☆
真里亜はいったん身体を離すと知尋に椅子を引くよう促した。
素直に従う。
前に回った真里亜はズボンから知尋のペニスを取り出すと、スカートをふわりと翻しながら知尋に跨った。
顔を向き合わせた、キスができそうな体勢。
「まずはショーツのまま、ね」
知尋の足と胸に真里亜の体重がかかっている。その状態でペニスにショーツが押し付けられ、ゆっくり腰が前後する。
柔らかな布地の感触と、その奥から伝わる肉の弾力に吐息が漏れた。
「……っ」
「そういえば、下着でご奉仕したこともなかったかしら」
しゅる、しゅる……。
間接的な刺激なのに、倒錯的な快感によってペニスが硬く屹立する。股間を押し付ける真里亜の動きにも負けず、彼女を押し返そうとする。
つまり、それだけ強く押し付けられているということで。
「あぁ……っ。素敵」
次第にショーツが湿り気を帯び始める。
愛液で濡れる度に感触が変わり、ペニスへ新たな刺激を送り込んでいく。真里亜に任せているのが辛くなった知尋は自分でも腰を振るようにした。
くちゅくちゅと音がするほど濡れてくると、まるで膣内に挿入しているかのようで。
「わかった? それが素股よ、和泉くん……っ」
疑似的なセックス。
挿れていないのに挿れているような快感を味わう不思議な行為。
「そんなの、わざわざする必要……」
李狐の呟きに真里亜が首を振る。
「いいえ。着衣のままできるのは便利だし、擦られ方が違うから感じ方も違うの。小さい子や処女を調教するのにも使えると思うわ」
確かに。何も脱いでいない少女が自分に跨り腰を振る姿は、裸で抱き合うのとはまた違う官能を与えてくれる。
日常と同じ姿をした少女を抱くが故の背徳感、非日常感。
ぞくぞくする。
真里亜と目を合わせ、深い闇に飲み込まれていけば猶更のこと。
切ない。
絶頂できそうでできない微妙な刺激が続き、知尋は知らず腰の動きをエスカレートさせていく。そしてそれは真里亜の側も同じだった。
吐息と喘ぎ声だけが混じりあい、二人は同じように高みへ上りつめていく。
「真里亜、いく……っ」
「ええ、私も、私もいく……ぅっ!」
びくんと。
ほぼ同時に身体を跳ねさせ、相手の身体をきつく抱きしめる。強く押さえ付けられたペニスが白濁を勢いよく吐き出し、ショーツとスカートを容赦なく汚していった。
はぁ……。
息を吐いた真里亜が知尋の上から降りる。
彼女は汚れたスカートを外しながら李狐を振り返った。
「どう? 西崎さんもやってみない?」
「あ、あたしは……そういうのは」
李狐は言葉を濁して視線を彷徨わせる。と、真里亜が知尋をちらりと見た。
後押ししてやれ、と目が言っていた。
「李狐、おいで」
「……なによ、結局命令するんじゃん」
ぶつぶつ文句を言いつつも、彼女がこちらに歩いてくる。真里亜と同じように向かい合わせに座らせた。
「キスするよ」
「ん……」
こくん、と頷いた李狐が目を閉じる。
知尋は彼女と唇を合わせ、できるだけゆっくり、味わうようにキスをした。舌を絡めて唾液を交換するうちに身体から力が抜けてくるので、片手で軽く抱きつつもう片方の手を股間に這わせる。
スカートの下、ショーツに人差し指と中指をあてがい、優しい手つきでなぞる。
「ふあ……っ」
可愛らしく反応する李狐。その唇に再びキスをし、秘所を刺激しながらじっくりと性感を高めていった。
ぽぅっと、彼女の頬が火照ってきたところで、身体の向きを百八十度回転させる。
後ろから抱きしめる姿勢になってペニスを押し当て、薄いイエローのショーツへと擦りつける。
「あ、これやば……い、よぉ……」
向かい合うよりこちらの方が動きやすいのではないかと思ったのだが、どうやら李狐のお気に召したらしい。彼女は途切れ途切れに声をあげながら身を震わせる。
右手の指で唇を割り開くと、逆らわず指を舐め始める。
更に知尋は左手を使い李狐の胸を服越しに揉みしだきながら腰を前後に動かした。
ぐにぐに、くちゅくちゅ。
「ふぁ、あっ、あんっ!」
李狐の甘い声もどんどん大きくなり、半ば無意識に彼女が腰を使いだす。
いったんその気になってしまえば後は話が早い。互いに夢中で快楽を貪り――やがて絶頂に至った。
一回目に負けず劣らずの勢いで精を吐き出すペニスをぐりぐりとショーツに押し付けると、李狐はくすぐったそうに身をよじった。
「それ、やだぁ……」
本気で嫌がっていないのが丸わかりの口調。
日ごとに染まっていく、奴隷として開発されていく彼女がたまらなく愛おしくなり、その髪をゆっくりと撫でてやった。
と、いつの間にか服を全て脱いでいた真里亜が背後から囁いてくる。その首には黒い首輪も巻かれている。
「それじゃあ、問題の画像を再現してみましょうか」
PCはとっくにスクリーンセーバーが起動していたが、画像は頭に残っている。
「うわ、どろどろで気持ち悪い……」
李狐を立たせ、真里亜と二人で服を脱がせる。
真里亜の部屋に移動し、李狐を上にして少女二人を抱き合わせた。
「さあ、和泉くん」
「やるなら早くしてよ」
対照的な台詞を吐く二人の、重なり合った股間の間にペニスを挿入する。
ぐちゅ。
李狐の体重による一定の抵抗を感じつつ、肉棒が女の肉に挟まれた。膣内に挿入した時のような収まるところに収まる感覚はなく、むしろ違和感が強い。にもかかわらず不思議と心地がいい。
真里亜と李狐もまた、驚いたように声を上げた。
「なんか、変な感じ……」
「……そうね。もどかしくて、これが続いたらおかしくなりそう」
でも、気持ちいい。
言外の意味を汲み取りつつ、知尋はゆっくりと前後に動く。ともすればいずれかの膣に挿入してしまいそうになるので、慎重に。
二人の愛液で潤滑をプラスしながら擦る。
にゅる、ぐちゃ、ぬち……。
「っく」
「はぁ……ん」
少女二人が甘く喘ぎ、身をよじらせる。しかし、真里亜は李狐に乗りかかられており、李狐の尻には知尋が両手を置いている。大きく動くことはできず、またお互いに腕を絡めることで更に身動きを取りにくくしていた。
一度に二人とセックスする。
ペニスが一本である以上、物理的にありえない行為を疑似体験する。真里亜と李狐の膣口を何度も虐めながら、知尋はピストンを繰り返した。
「二人でキス、しててもいいよ」
「……あはっ」
真里亜がはしたない声を上げて李狐に口づけた。
レズキスが始まると二人の興奮度合いも高まったらしく、腰をひねってペニスを擦ったり、ぎゅっと下半身を押し付ける動きが加わる。
「っ、出すよ……っ」
追加された刺激に限界を迎えた知尋は、肉棒を挿入した状態のまま射精した。少女達の肉の間を精液が満たし、どろりと垂れてくる。
「ああ、熱い……」
恍惚の声。
しかし真里亜達はまだ絶頂を迎えられていない。
なら、まだまだ何度でも犯してやる。
少女達の痴態に興奮を高めると、知尋は再びピストンを開始する。淫らな液体が加わったことで水音は強くなり、三人の興奮を高めていく。
何度も何度も白い肌に白濁を放ち、自身と少女達を絶頂に導いた。
精力が限界に達したら二人に汚れの処理を命じる。真里亜はもちろん、快感に脳を染められた李狐もまた、従順に知尋のペニスを舌で清めてくれた。
いつの間にか当たり前になりつつある三人での性行為。
それを心地いい、と感じている自分がいた。
☆ ☆ ☆
それから約二週間があっという間に過ぎた。
その間、知尋は毎日登校して授業を受け、放課後は個室訓練場で特訓に励んだ。だいたい午後七時頃まで続けたらマンションへ帰り夕食、入浴を経てPCを弄り、それから真里亜達を抱く。
ハードなスケジュールだったが、一日の疲れは眠れば吹き飛ぶ。
真里亜や李狐が家事を引き受けてくれ、時々は訓練にも付き合ってくれたこともあり、余計な事を考えず特訓に集中できた。
メニューはやはり素振りや型を中心としたもの。また、合間にはランニングや筋肉トレーニングも交えた。もちろん放課後の特訓だけでなく、授業時間中の体育や試合にも精一杯取り組んだ。
成果は、少しずつだが着実に表れた。
相変わらず筋肉は殆どつかなかったが、体力はだいぶ身についた。ランニングで走れる距離、時間が延び、当初は特訓を終えた後一歩も歩けなかったのが、メニューを追加してもなお歩いてマンションへ帰れるように。
李狐との実戦訓練を行い、フェイントや変則的な攻撃にも多少耐性ができる。
真里亜とも訓練し、前よりは痛みにも慣れた。
限界まで身体を虐めては回復させる。アスリートが日々繰り返しているようなトレーニングを短期間に再現したような形。
元が元なので、効果は限定的だが。
ゼロに近かった試合での勝率が、ここ最近に限れば二割程まで上がった。
「一応言っとくけど、手加減しないからね」
「うん、わかってる」
そして金曜日の放課後。
知尋は個室訓練場にて李狐と対峙した。今週が終われば定期テスト、そしてランクの判定期間に入る。その前に神代と戦うため、知尋達は明日の土曜日を勝負の時と思い定めていた。
だから今日は最後の仕上げ。
幻影使い、西崎李狐と真剣勝負を行い、どれだけ戦えるようになったかを見定める。かつての私闘と同じく何でもあり、木刀を使用しての一対一。
真里亜も号令役として部屋の端で見守っている。
もちろん、以前のように彼女が止めに入るような事態にはならないはずだが。
「二人とも、準備はいい?」
「うん」
「こっちも」
お互いに武器を正眼に構えて立つ。
李狐はダークイエローのウェアは赤のジャージ。知尋も黒メインのウェアにダークブルーのジャージ姿だ。
また、今回二人が使う木刀には薄い布でカバーをかけてある。なるべく怪我をしないように直接的な打撃力を抑え、衝撃により相手の体力を奪うことを主眼とする。それでも全力でやりあえば怪我の危険は十分あるし、終わった後の疲労はかなりのものがあるはずだ。
知尋も李狐もそれは了承済みだ。
「では……始め!」
真里亜の号令が室内に響く。
直後、知尋と李狐は同時に前へ踏み出した。李狐の顔は黒いサングラスへと覆われ、彼女の心を読めなくなる。
知尋もそれは予想していた。
読心に頼らず、李狐の動きから攻撃の軌道を予測するよう努める。また、幻影を使った目くらましやフェイントにも注意――と。
思った途端、知尋の顔めがけて何かが飛んでくる。李狐が投擲のモーションを取る様子はなかったため幻と判断、そのまま真っすぐ進もうとして。
「へ?」
視認した「それ」がどう見ても女性ものの下着であることに気づき、知尋は思わず間の抜けた声を上げてしまった。
真剣勝負、だからこそこういう攻撃らしくない攻撃への予測が漏れていた。
そのことに思い至り、顔に覆いかぶさろうとしてくるパンツを一歩、左に避ける。
「本気で行くって言ったよね」
そこを李狐の木刀が狙い違わず突き、知尋の脇腹を抉った。
「っ!?」
カバーがあっても固い木の棒には違いない。やはり身体に十分な衝撃がかかるのを、知尋はなんとか堪えた。
木刀が引き戻されるのと合わせて後退しつつ思う。
確かに李狐は本気のようだ。いくら対戦相手が何度も抱き合った知尋で、かつギャラリーが真里亜だけとはいえ、下着の幻を目くらましに使おうなんて発想はなかなかできない。羞恥心よりも勝負を優先した結果だ。
加えて、今の彼女が知尋を侮ることはない。
知尋は一度、手酷い方法で彼女を打倒、凌辱している。慢心などあるはずがなく、安易な油断に期待することはできない。
「……もちろん、わかってるよ」
答え、木刀を握り直して向かっていく。
接近しながら広く、大振り気味に横薙ぎの攻撃。後退してかわされる。すかさず飛んできた肩への突きは敢えて受け、お返しに斜めの斬撃を李狐の肩へ。
「いたっ」
李狐が小さく悲鳴を上げ、知尋から距離を取る。接近したまま叩きあうのは良くないと判断したのだろう。
おそらく、その判断は正しい。
今度は目線の高さから野球のボールが飛んでくる。無視して前進すると大振りの一撃が飛んできたので慌ててガードする。身体に届かせないことは成功したものの、重い一撃に手が痺れた。
李狐の幻は、こうした一対一の白兵戦においてはかなり恐ろしい能力だ。
たとえ幻だとわかっていようと、目線を塞がれれば攻撃、防御の手は否応なく鈍る。そこを突くだけで簡単に優位が取れるのだから。
集中の問題で生み出せる幻にはサイズ、ディティールの限界があるらしいのが救いだが、現状でも知尋が彼女に対して取れる対処はそう多くない。
なるべく近づく。
ピンポイント攻撃ではなく、なるべく大きく広範囲に攻撃する。
多少ダメージを受けても無視する。
だから、止まらずに踏み出さないといけない。
「やっ!」
木刀を握り、大きく振る。防がれても気にせず何度も。
顔に被さる大きな布だの、二本目の木刀だの、上から降ってくるたらいだのといった幻は全て無視。多少視界が塞がれても当たるようにするための大振り攻撃だ。
また、知尋が動き続ける限り、李狐はそれに対処しないといけない。動作に意識のリソースが取られれば大きく精密な幻は出せなくなるから、幻の使い方も限られてくる。
後は我慢比べだ。
李狐は知尋に幻を見せながら攻撃し、着実にダメージを与える。
知尋は李狐の攻撃を堪えながら攻撃を続け、体力と精神力を奪っていく。
はぁっ、はぁっ。
互いに息を荒くしながら木刀を振り続け、次第に子供の喧嘩のような叩きあいへと移行し――。
先に限界を迎えたのは。
「……参った」
ほんの少しの差で李狐の方だった。
降参を告げた途端、彼女はぺたんと床に座り込み、手にした木刀を取り落とす。
「もう無理。ほんとに無理。帰る前にしばらく休ませて」
それを見て、知尋も深い息と共に身体の力を抜いた。ふらつきながら部屋の端に歩いていき、壁に背を預ける。
真里亜が微笑んで二人に告げる。
「二人ともお疲れ様。今日はもう、訓練は終わりにしておきましょう」
「賛成。今日はあたし、早めに寝る」
帰りのHRからはまだ三十分ちょっとしか経っていないが、授業を受けた後に全力での試合はかなり負担になる。
これまでの訓練の成果を見る、という意味でも今日の目的は果たしたので、これで打ち切って問題ない。
「そうしようか。……こんなに早く帰るのは久しぶりだな」
呟くと、真里亜が知尋を振り返った。
「そうね。久しぶりにゆっくりしましょう。……西崎さんは無理でも、私は元気だから。たっぷり、時間をかけてご奉仕してあげる」
ぺろり、と。
彼女の唇から舌が覗き、艶めかしく動いた。
何度も経験した口淫奉仕の感触を思い出し、知尋はぞくりと身を震わせた。
「なっ。あんたたち、何する気?」
「さあ? それはこれからだけど。……ね、ご主人様?」
「う、うん」
真里亜も自分も満足できるようにするには、今日はどんな趣向にすべきか。考えを巡らせながら頷くと、李狐がぷっくりと頬を膨らませた。
くすくすと、真里亜が笑いながら。
「西崎さんは気にせず、早く休んでくれていいのよ?」
「う……もちろん、言われなくてもそうするっての!」
李狐が拗ねたように叫び、ぷいっと顔を背けた。