※この作品はR-18です。

儚き異能は心を映す   作:緑茶わいん

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第五十話  乳コキ、落書きプレイ ★

 本格的なお仕置きを始める前に。

 知尋は真里亜を引き寄せて強く抱きしめた。

 たっぷり数十秒、真里亜の身体を味わった後、彼女と荒々しいキスをする。知尋もそうだが、真里亜の方も唇を交わすのが待ち遠しかったらしい。

 唇を離すと胸を揉みしだく。強く、指の跡が残るくらいに。

 

「そんなに、不安ですか?」

 

 真里亜を手放すのが。

 

「うん……不安だよ」

 

 頷いて、彼女の胸元にキスをする。

 ちゅうう、と強く吸うようにすると唇を離しても跡が残る。真里亜の身体へ意図的にキスマークをつけるのはこれが初めてだ。

 それを見た真里亜は少しだけ困ったような顔をする。

 しかし、それだけ。知尋を咎めようとはしないし、自己治癒が発動することもない。

 

「できればもう、ずっと首輪で繋いでおきたいくらい」

「……ふふ。私は、それでも構いませんけど」

 

 妖艶な笑みを浮かべて真里亜が囁く。

 

「ご主人様が欲しいのは、物質的な繋がりではなく、支配の証――ですよね」

 

 周囲に見せびらかしたいわけではない。

 見るのは真里亜本人だけで構わない。代わりに、知尋の元を離れないという強制力を持った戒めが欲しいと思った。

 そんな都合のいい物、あるわけがないのだが。

 

「似たようなものなら、あるにはあります」

「それって?」

「例えば、ピアスやタトゥー……そういったものです」

 

 真里亜の秘所を愛撫し、既に濡れているそこを更にぬるぬるにする。

 

「ご主人様が李狐にした剃毛も、このキスマークも、ソフトですがそういう側面を持ちますね。……私も、今度していただきたいです」

「なら、今度してあげるよ」

 

 知尋のペニスはもう、いつ暴発してもおかしくない状態。

 しかし、真里亜は挿入を求めるのではなく奉仕を希望してきた。火照った身体や吐息から、彼女自身も興奮しているのは明らかなのに。

 

「私にも、させてください」

 

 唾液を溜め全体に巡らせた口が、竿をぱっくりと咥えこむ。

 とろ……くちゃ……。

 舌が頻繁に動かしてペニスに体液を絡ませる奉仕。多量の液体で蒸れた口腔内はねっとりと熱く、膣とは別の充足感を与えてくる。

 ついすぐにでも射精したくなるが、真里亜は知尋の反応から限界を察知しているらしい。巧みに動きを調節し、イク寸前の状態をキープしてくる。快感は溜めれば溜めるだけ、解放された時の恍惚は強くなる。

 ぷはっ。

 たっぷり数分間、知尋を味わった真里亜は口を離して懇願してくる。

 

「さあ、ご主人様……」

 

 ベッドに寝そべり、差し出してくるのは剥き出しの乳房だ。

 柔らかなそれを両手で持ち上げ、外側から押し付けるようにして合わせる。すると胸の谷間が肉で埋まり、ほんの僅かな間隙だけが残る。

 挿れろ、と言われているのがわかった。

 セックスなら膣にと思わなくもないが、これはそうではなく奉仕の一環なのだろう。パイズリの変形、二つの乳房を膣肉に見立てた淫猥な奉仕。

 

 ――真里亜の腹に乗ってペニスをゆっくりと挿し入れる。

 

 抵抗感は膣よりも薄い。当然ながら潤滑も少ないが、その代わり真里亜の胸は柔らかく、如何様にも形を変えて知尋のペニスを包み込む。

 大きな動きは必要ない。

 ピストンするのとも、扱かれるのとも違う、肉で撫でられるような優しい刺激に酔いしれながら緩やかに腰を動かすうち、絶大な幸福感と共に白濁がとめどなく溢れ出した。

 

 どく、どくどく……っ。

 緩やかに圧迫されていたために激しい射精にはならず、代わりに乳房の間へと白い、どろどろした液体が溢れた。真里亜はそれで指で何度もすくい上げ、その度に口へ運んだ。

 

「真里亜」

「はい、ご主人様。お好きなだけ抱いてくださいませ」

 

 今度こそ荒々しく抱き合う。

 正常位で、バックで、騎乗位で。射精するたびに体勢を変えて何度も真里亜を犯す。真里亜も髪を振り乱しながら知尋のペニスを受け入れた。

 ぎゅうぎゅうと痛いほど締め付ける膣肉の感触に、求められていることを実感した。

 

 やがて二人は行為を中断し、繋がったままベッドに寝転んだ。

 

「……でも、ピアスにタトゥーか」

 

 それらは総じて、相手の身体に跡を残す行為。

 タトゥーは簡単に消せないし、ピアスも穴が残る。裸にならなければ他人には見えないが、与えられた本人は毎日、自らの目でそれを認識することになる。

 剃毛やキスマークは短い時間で元に戻るが、もっと長く、深く、主従の証を刻みこめる。

 ただ、費用と手段が問題か。

 華のお蔭で、幾つかの道具が棚ぼたのごとく手に入ったが、あの華でもピアス等は持ち込んでいなかった。つまりはそれだけハードルが高い行為ということだろう。

 

「確かに、すぐには難しいですね。……ですが、いつか、私にご主人様の証を刻んでくださいますか?」

「うん。約束するよ。いつか、そうしよう」

 

 すると真里亜は顔を綻ばせた。まるで少女のように。

 

「嬉しいです。……もちろん、そんなものがなくても私はご主人様の奴隷ですが」

 

 その時。

 知尋は一瞬、己の身体が熱くなるのを感じた。感情的なものではなく実際に熱量が生まれ、腕や足を通して真里亜に伝わっていく。

 

「んっ」

 

 小さく真里亜が呻き、身をよじらせる。

 それから彼女は不思議そうな表情を浮かべた。

 

「今のは、なんでしょう……?」

 

 尋ねられても答えられなかった。

 二人はいったん身を離し、身体に異常がないかを確認する。体調には問題なし、見た目も概ね変化はなかったが、たった一か所だけ小さな変化があった。

 真里亜の下腹部。

 ちょうど臍の位置に、何やら痣のようなものが浮かんでいた。直径数センチ程の、何本もの線が重なり合った複雑な意匠。

 どうやら絵ではなく、いくつもの文字で構成されているように見える。

 とても、自然にできるものとは思えない。

 原因が考えられるとすれば。

 

「新しい能力……?」

「……そう考えるのが自然でしょうね」

 

 眉根を寄せた真里亜はそう答えた。

 不可解な現象に、さすがの彼女も理解が追いついていないらしい。

 

「とりあえず、明日にでも検証してみましょうか」

「そうだね」

 

 明後日は体育祭。

 もしかしたら何かの役に立つかもしないと、知尋は漆黒の少女と頷き合った。

 それからゆっくり身を起こし、幸せそうに寝そべる真里亜に告げた。

 

「じゃあ、真里亜。お仕置きを始めようか」

「……え。今から、ですか?」

「もちろん。まだ何もしてないんだから」

 

 いつもなら今のセックス、あるいはピアスの約束を「お仕置き」としたかもしれないが、今回はそれで済ませるつもりはない。

 らしくもなく、お仕置きのことを忘れていたのか……ぽかんとしながら身を起こす真里亜を置いてベッドサイドのチェストへ近づき、あらかじめ用意しておいたものを取り出す。

 それは何の変哲もない、細い棒状の油性ペン。

 途端、真里亜の顔色が変わった。

 

「ご主人様、まさか」

 

 知尋が知っていたのだ。当然、真里亜がペンの使い道に思い至らないはずがない。

 驚きが緊張に変わり、更に興奮から瞳が潤んでいく。

 既に十分な満足を得たであろう少女の身体が再び熱を帯びていくのが手に取るようにわかった。

 

「うん。これで真里亜の身体に落書きをする。もちろん、ただの落書きじゃなくて、いやらしい単語をね」

「……それは」

「最初は胸のあたりからにしようかな。油性ペンだから簡単には落ちないし、明日の学校でも残るんじゃないかな。……嫌? もしそうなら止めるけど」

 

 もともとこれはお仕置きだ。

 それを拒否するのが何を意味するか、敢えて言わなくても真里亜には十分に察せられたはずだ。

 ぶるりと。

 少女は身体を震わせた後、知尋に答えた。

 

「お願いします。真里亜の身体に、いやらしい落書きをしてください」

「よし」

 

 知尋はまず、ベッドへ仰向けに寝転がるよう真里亜に命じた。軽く足を開いて立膝の状態を作り、手は軽く握って頭の横へ。

 ――深呼吸。

 ドン引きすると李狐が言っていた通り、このプレイは知尋の経験を軽く飛び越えている。否応なく興奮する自分をできるかぎり落ち着かせてから告げる。

 

「じゃあ、真里亜。書いてほしいことを自分で言うんだ」

「……私が、言うんですか?」

「そうだよ。僕は一切強制しない。ただし、落書きは僕が満足するまで続ける。穏便な言葉でお茶を濁してもいいけど、そうしたら書くスペースがどんどん潰れていくよ」

 

 胴体を使い切っても知尋が満足しなければ、腕や足、あるいは顔をキャンバスにすることになる。

 そして当然、落書きが夏服や体操服をはみ出れば衆人の目に晒される。

 お仕置きを受ける奴隷の身でジャージを着るような真似が許されるはずはなく、落書きの量が多くなれば一日で消しきれないかもしれない。

 ……そうなれば、身体に落書きを残したまま体育祭に参加することに。

 

「――ふあぁ!?」

 

 びくん。

 前触れもなく真里亜が嬌声を上げ、自分の身体を抱きしめた。初めて首輪を着けた時と同様、想像だけで軽くイったらしい。

 知尋は、自身のペニスが屹立していくのを感じながら冷たく告げた。

 

「真里亜。一つめの言葉は何かな? 早くしないと、朝になっても終わらないよ」

「あ……」

 

 少女の瞳に涙が浮かぶ。

 唇が震え、数秒をかけて一つの単語が紡ぎ出された。

 

「私立柴鳳学園一年C組、深海真里亜」

「な」

 

 いきなり所属とフルネーム。

 脅して煽りはしたものの、あまりの思い切りの良さについ絶句してしまった。こほんと咳払いして油性ペンのキャップを取る。

 

 真里亜の滑らかな肌に、黒いインクの跡を残す。

 乳房の下あたりへできるだけ綺麗に、ある程度遠くから見える大きさで、かつ大きすぎないように。

 

「……ああっ」

「真里亜。動くと書き損じが出るよ」

「っ、申し訳ありません」

 

 身を震わせた真里亜へぴしゃりと言うと、彼女は両の拳をきゅっと握りながら反応を抑えようと努め始めた。

 程なく一つ目の言葉が書き終わったため次を促す。

 

「雌奴隷」

 

 甘い声で、最低なフレーズが囁かれる。

 単語を一つ一つ口に出す度、肌を油性ペンが滑る度に真里亜は途方もない快感を味わっているようだった。

 二つ目の言葉は最初の言葉の下に記した。

 

「淫乱」

「変態」

「マゾ」

「雌豚」

 

 二人とも、だんだんとペースが上がっていく。

 知尋は単に慣れのせいだが、真里亜は更なる快楽を求めて知尋を急き立てているのだ。それも奴隷としてはしたない行いではあるが、さすがに咎めることはしなかった。

 

「人間、失格」

 

 きゅ、と。

 その文字が鎖骨の辺りに記され、ペンの先が離れた瞬間。びくびくっと真里亜が身体を震わせて絶頂に達した。

 

「ああ……これ、駄目です」

 

 この上なく幸せそうだった。

 先程、知尋と共にベッドへ寝ていた時とは別人のよう。絶望と羞恥に彩られた快楽に浸りきった、まさにマゾの姿だった。

 ……全く、業の深い。

 

「真里亜。今からそれだと、後が辛いよ」

「はい。そうですけど……はぁん」

 

 調教中。

 見られると感じます。

 罵ってください。

 ご主人様のペニスに人生を捧げました。

 ……エトセトラ。

 

 真里亜の紡ぐ、自らを辱めるための言葉には「どうしてこれだけのフレーズを思いつけるのか」と言いたくなるような多彩さがあった。

 幾度も絶頂しながらも真里亜は口を開くのを止めず、いい加減にパターンが出尽くしたのではないかという頃、ちょうど彼女の胴部に文字を書くスペースがなくなった。

 

「はぁ、はぁ……。これで、よろしいでしょうか?」

 

 言って、真里亜は知尋を窺ってくる。イキすぎて狂う寸前といった彼女の表情を見て、知尋はふと思った。

 ……まさか、自分の身体がちょうど埋まるようにフレーズを調整していたのか。

 この調教が、簡単に終わってしまうことを避けるために。

 ふっ、と。

 自然に口元から笑みが漏れた。

 

「うん、十分だよ。表面(・・)はね」

「……え?」

 

 遂に、真里亜の表情が青く染まった。

 たった一言で知尋の意図を察し、同時に自分の犯した過ちを理解したのだろう。

 両手をベッドに乗せ、力の入らない腕を必死に動かしながら知尋に懇願してくる。

 

「お、お願いします。ご主人様。お許しください。これ以上されたら、私は……っ」

「真里亜。背中を向けるんだ」

「……あ、はは」

 

 涙を浮かべた顔が硬直する。

 真里亜はそれ以上何も言わず、ごろんとベッドの上で反転した。

 無防備な「白い」背中が晒される。

 先程から罪悪感で胸がズキズキ痛むのと、それ以上の興奮が胸を焦がすのを感じながら、知尋は努めて冷静な声で尋ねた。

 

「前側と同じ単語でも許してあげるよ。さあ、何がいい?」

「……ふ、あはは」

 

 唐突に。

 

「あはははははっ!」

 

 哄笑が、防音の寝室内に響き渡った。

 部屋の防音を突き破って、隣にいる李狐に聞こえてしまうのではないか。そう思えるような声を上げた真里亜は、それから一転、マシンガンのごとく淫らな言葉を紡ぎ出し始めた。

 その瞳は蕩けきっていて何も映していない。

 

 普通のセックスからの徹底した羞恥責め。

 急激なアップダウンが、強靭な理性で守られた真里亜の心を一気に燃やした。

 

「ご主人様、ご主人様ぁ。最高です。狂っちゃいそうなくらい気持ちいいです。犯して、壊して、真里亜をもっと滅茶苦茶にしてください! イキ殺してください! 今なら殺されてもいいですからぁ!」

 

 それは正真正銘、淫欲のみで彩られた極限の狂気だった。

 

『強すぎて、私自身でも制御しきれない』

 

 かつて真里亜が言った言葉の真の意味を、初めて目の当たりにしたことを感じる。

 ……こんなものを自力で抑えるのは誰にも無理だ。

 他人の手を借りたとしても同じこと。だから彼女は――。

 

 ほんの最初こそ律儀にペンを動かそうとした知尋だったが、ほんの数文字を書いたところで断念した。

 書かなくていい。

 こんな調教のルールなんてもはやどうでもいい。

 責めはもはや十二分。あの真里亜が壊れるほどに効果を上げた。

 

「……真里亜」

 

 笑いながらびくびくと身体を震わせ絶頂し続ける真里亜を、知尋はぎゅっ、と、腕と足で拘束するように抱きしめた。

 真里亜が身をよじって振りほどこうとすれば、より強い力で。

 彼女が落ち着くまで何分も、何十分も。

 

 やがて真里亜は泣き疲れたようにくたりと動きを止めた。

 そのまま眠りにつき、すぅすぅと寝息を立て始めるのを確認した知尋は、自らも身体の限界を感じそのまま意識を落とした。

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