※この作品はR-18です。

儚き異能は心を映す   作:緑茶わいん

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第七話 口淫と騎乗位 ★

 夕食のメニューは洋食だった。

 メインはサーモンのムニエルで、付け合わせに茹でたじゃがいもとにんじん、ブロッコリー。スープは塩気を抑えたコンソメ。パンでも合いそうだが、朝食と昼食がパンだったので主食はライスだ。

 

「……美味しい」

「ふふ、ありがとう。味の好みとかあったら遠慮なく言ってね?」

「う、うん」

 

 微妙に正面から視線を逸らしながら真里亜に答える。

 あのあと真里亜は髪を整えて寝間着を身につけた。だから既に下着姿ではないのだが、纏った寝間着が問題だった。

 黒のネグリジェ。それも、割と生地が薄めの。

 正直、知尋の主観ではさっきの下着姿と大差ない。

 

「これ、そんなに似合ってない?」

「いや、逆だよ」

「ええ、わかってる。ごめんなさい、ちょっとからかってみたくなって」

 

 真里亜の態度は堂々としているものの、どうしても直視しがたいのだった。

 

「でも、その奥手な部分は少しずつ直して貰わないとね。時間の問題だとは思うけど」

 

 確かに。

 知尋は真里亜と契約を交わし、彼女の「ご主人様」になった。ならば、彼女が求める通りとはいかなくとも、少しはそれらしい振る舞いを身に付けなくてはならない。

 実際にどうすれば身に付くかはさっぱりわからないが。

 

「できるだけ頑張ってみるよ。どこまでできるかわからないけど」

 

 彼女の言うように、行為を重ねれば少しずつ改善されるかもしれない。きっと、要は気持ちの問題なのだから。

 と、食事の手を止めて言った知尋を見て、真里亜がふっと微笑んだ。

 目が合うと彼女の熱情が身を焦がす。しかし、艶めかしい唇から漏れた言葉はそれに反し、とても穏やかなものだった。

 

「やっぱり、あなたを選んだのは間違いじゃなかった、かな」

 

 こそばゆい言葉。

 思わずまた視線を逸らしたくなるも、真里亜が左手を伸ばしてきて顔の動きを制する。そのせいで手が離れても目を逸らせなくなった。

 結局、食事中の残りの会話は全て真里亜と見つめあったまま行うことに。

 おかげで時を追うごとに知尋の身体は熱くなっていき、食事を終える頃には性的な欲求は抑えがたいレベルに達していた。

 

 そこから十数分、真里亜が洗い物を終えるまで生殺しにされ。

 

「それじゃあ――しましょうか」

「……うん」

 

 寝間着と下着に覆われた肢体から、今度は視線が離せなくなりながら、知尋は少女の誘いに頷いた。

 

 

 ☆   ☆   ☆

 

 

「……あ。ベッドにあなたの匂い、ちょっと残ってる」

 

 部屋に行くとすぐ、真里亜はそう言って床に跪き、シーツに顔を寄せてくんくんと鼻を鳴らした。見ている知尋としては恥ずかしいが、陶然とした彼女の表情を見ると奇妙な満足感もあった。

 

「さ、脱がせるね?」

 

 ひとしきり匂いを嗅いで満足した様子の真里亜が、膝立ちの状態で知尋の身体に手を伸ばす。

 ぷち、ぷち……。

 ワイシャツのボタンがゆっくりと、慣れない手つきで外される。全てのボタンが外れると、しゅるり、僅かな衣擦れの音と共に腕から抜かれ、床へ落とされた。

 今度はズボン。

 正座した真里亜がベルトに手をかけ、丁寧にそれを外す。

 と、不意に彼女の口から浮かない声が上がった。

 

「……うーん」

「どうしたの?」

「いえ、これを口で外すとか、本当にできるものなのかと思って」

「な、何の話?」

「何って言われると難しいけれど……いやらしい小説とかの話?」

 

 また妙なことを考えていたらしい。言われてみれば、ベルトやらズボンのファスナーやらを口や舌で操作する話を聞いたことがあるようなないような。

 しかし可能なのか、と問われても困る。

 真里亜はホックを外し、細い指でファスナーを下ろし、ズボンを足から抜き取りながら、なおもぶつぶつと呟き続けた。

 

「下手にやると痛めてしまいそうだし、やっぱり難しそうね。……でも、和泉くんも、できるものならやってほしいでしょう?」

「……それは、まあ」

 

 話を振らないで欲しいと思いつつ素直に頷いた。

 

「じゃあ、頑張ってみるわ。……今度、練習させてね」

 

 言ううちにトランクスに手がかかり、これも脱がされる。女の子に服を脱がされる行為には、なんだか倒錯的な快感があった。

 靴下も脱がされて全裸になると、真里亜に手を引かれてベッドへ寝転がる。

 

「ああ、やっとできる……」

「我慢、してたんだ?」

「ええ。朝起きた時からずっと我慢していたわ。……ずっとね」

 

 少女の声が急速に蕩けていく。

 自制が外れ、抱え込んだ性欲が解放され始めているのだ。

 ネグリジェに手を付けないまま、真里亜が知尋の足に手を添える。その手に導かれるように膝を立て、足をM字に開くと、少女の顔が知尋の股間に近づいていく。

 はあ、はあ。

 開いた口から唾液が垂れてペニスを濡らす。

 とろとろと、何度も。

 十分な潤滑を確保すると唇が閉じ、亀頭へ軽くキスされた。更に舌が伸びて先端をぺろぺろと舐め、口でちゅうちゅう吸われる。

 

「ふぁ……っ」

 

 立て続けに襲う小さな刺激に声が漏れる。

 知尋の反応に目を細めながら、真里亜はなおも奉仕を続けた。

 緩い刺激の連続はまるで遊ばれているようだったが、その実、彼女は一回ごとに少しずつ責める角度や方向を変えてきている。

 どうすれば知尋が感じるのか、それを熱心に探っている。

 技術と熱意のアンバランス。

 現在の拙い動きを向上心が補い、急速に昇華させている。

 この調子ならきっと遠くない将来、真里亜の奉仕は洗練された雌奴隷のそれに変わっていくだろう。

 

「っ、出るっ」

 

 指で陰嚢をやわやわと刺激しながら唇で扱き上げられたところで、知尋は堪えきれずに射精した。

 びゅくびゅくと、一日の間に生産された精液が惜しげもなく吐き出される。

 

「ん、ふ……」

 

 真里亜は昨日同様、白濁液を口で受け止めようとした。唇でペニスの半ほどをすっぽりと覆って口内へ迎える姿勢。

 しかし、今回はペニスの動きが少し激しかった。

 指で支えていなかったのも災いしたのだろう。竿は射精中に真里亜の口から外れて、彼女の端正な顔を白く汚していく。

 

「ごめん、真里亜」

「ん……もう、謝らないで。元気なのはいいことよ」

 

 こくん、と口内の精液を飲み込むと、真里亜はぺろりと口の周りを舐めた。

 残った分は指で掬い、まるで飴でも舐めるように丁寧に口へ。結局は全て嚥下されて体内へ消える。

 

「……それ、美味しくはない、んだよね?」

「そうね。味自体は良くないわ。なのに妙に舌に残るし、べたべたする。でも、そういうものを飲んでるって思うと興奮するの。よく美味しいって言われるのは、きっとそういう意味なんじゃない?」

 

 真里亜の瞳はきらきらと輝いていた。

 彼女は自らの身体を持ち上げると、四つん這いの状態で知尋を見下ろしてくる。

 

「和泉くんも疲れてるだろうから、今日はちょっと軽めにしましょう」

「軽め?」

「ええ。だから、そのまま横になっていて」

 

 言って、覆いかぶさる姿勢のまま器用にショーツを抜き取っていく。

 そして、濡れそぼった股間を知尋の亀頭に宛がい腰を下ろす。ずぶずぶと、ペニスが淫裂へ飲み込まれた。

 昨日処女を喪失したばかりの膣内は狭く、柔らかく肉棒を包むと同時にきゅっと絞めつけてくる。

 

「ああ……っ、これっ、凄い……」

 

 根元まで腰を下ろした真里亜は表情を蕩けさせながら、快楽に染まり切った吐息を漏らした。

 

「自分から動くと、気持ちよくてっ、動くのがぁ……っ」

 

 その感覚は知尋にもわかった。自慰行為の際などが顕著だが、自分での行為だとどうしても強い刺激が加わった際、つい動きを止めてしまいがちになる。

 快感を得、絶頂するにはそれが必要なのに。

 騎乗位で女性が腰を振るのも似たようなものだろう。知尋も肌で感じた真里亜の性欲を思えば、苦しさはより強いかもしれない。

 コントロールするには慣れが必要。

 慣れないうちに意志だけを頼りに快感に逆らうのは、きっとかなりの重労働だ。

 助けるには、知尋も動けばいい。他人の意志で働く快感があれば絶頂はぐっと楽になる。寝たまま腰を突き上げるだけでもかなりの助けに――。

 

「駄目」

 

 しかし、真里亜は知尋の動きを封じてくる。

 脚で脚を押さえ、さらには知尋の腹に手をついて知尋が動きにくい体勢を構築する。

 蕩けた目が知尋を見下ろす。

 

「私にやらせて。ね?」

 

 真里亜の心は被虐の快感でいっぱいになっていた。

 ――快感で動きが止まりそうになっても腰を動かし続けないといけない。自身のためではなく、相手に気持ちよくなってもらうために。

 それが気持ちいい。

 たまらなく興奮するのだと訴えかけてくる。

 なら、止めるのも野暮だ。

 

「わかった。……お願いするよ」

「ありがとう、和泉くん」

 

 知尋の頷きを受け、真里亜がゆっくりと動き始める。

 始めは小刻みに。一センチも動かないうちにびくんと震えて腰が落ちた。しかし彼女はすぐに動きを再開する。

 ゆっくりと。

 物凄い量の愛液を溢れさせ、ぐちゅぐちゅと音を立てながら動きを大きくしていく。

 感触を確かめながら。

 快感の許容量をだんだんと増やしていく。

 数分もかけて感覚を掴むと、真里亜は腰を大きくグラインドさせ始めた。すると今度は幅が大きくなりすぎて抜けかける。

 彼女は慌てたように腰をずん、と落とし、

 

「―――~~~っ!」

 

 言葉にならない悲鳴を上げて身を震わせた。

 絶頂ギリギリの快感に瞳には涙が浮かび、口からは断続的に息が漏れていた。既に視点も定まらないような状態だったが、それでも真里亜は止まらない。

 時折、びくん、とスピードを落としながら腰を振り続け、やがて、ぱんぱんとリズミカルな音が鳴り始める。

 当然、比例するように知尋の受ける快感も増していた。

 身体の一番敏感な部分に、自分の意思によらない気持ちよさが断続的に送られ続ける。美しい少女が知尋のためだけに、必死で奉仕を続けている。

 何度も腰が跳ねそうになるも、さっきのやりとりを思い出して必死に我慢する。

 今にも射精できそうなペニスも限界まで自制させ、

 

「あ、あー、あー!」

 

 呂律すら回らなくなった真里亜が髪を振り乱し、半開きになった口を閉じられなくなった頃、知尋にも限界が訪れた。

 

「真里亜っ、出すよっ」

「うんっ、きへえ、らひへ、いっぱいらひてえっ!」

 

 部屋いっぱいに絶叫が響き、最後に一度だけ知尋が腰を突き上げると、真里亜は天を仰いでびくんと身を震わせた。

 同時に膣がきつく締まって、知尋の精液を全て絞り出していく。

 射精は数秒間続き、その間、真里亜は上を向いた姿勢のまま硬直していた。そうして射精が終わると一転、くたりと全身の力を抜き、知尋に体重を預けてくる。

 重い。重いけど、軽い。

 人一人分の重量。

 知尋自身と比べればかなり軽いと思われる体を全身で感じた。

 

「ね、和泉くん。気持ちよくなってくれた……?」

 

 はあはあと荒く息を吐きながら、真里亜が知尋を見上げてくる。その瞳は快楽に蕩けながらも不安げに潤んでいる。

 あまりにも可愛らしい仕草に思わず微笑みが零れた。

 

「もちろん。……ありがとう、真里亜」

 

 すると彼女はふっと表情を和らげて目を閉じた。

 

「そう……良かった」

 

 あれだけのよがりようだったのだ。真里亜も相当疲れたのだろう。

 

 ――お疲れ様。

 

 心の中でそう告げて、知尋は右手を持ち上げる。

 それを真里亜の髪にぽんと乗せてから、彼は自分があまりにも恥ずかしいことをしようとしていたことに気づいた。

 さすがに頭を撫でるのは自重するべきか。

 手を離さないまま逡巡していると、真里亜がかすかに首を動かし、幸せそうに口元を緩めた。

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