---ベルモット---
全裸にされ大の字拘束とは…私もヤキが回ったわ。まさか、私を捕らえる為に、ホテルを爆破するとは…コイツら、クレージーすぎる。
「残りのメンバーの居場所はどこかな?」
「私の口は軽く無いわよ」
「そうか…どこまで耐えられるかな?」
目の前の男が細長い針を手にした。先端をアルコール消毒し、それを…おい!どこへ刺すんだ…うっ…一撃で大洪水である。何…
「性感帯のツボに刺していくよ」
2本目で意識が飛びそうだ。口元から大量に唾液が漏れていく。5本ほど刺されると、メス犬になった気分である。
「次に針に電気を流すか」
首を激しく横に振る。電流が流される度に意識が飛んでいく。
「準備が出来たようだな。なぁ、馬と土佐犬のどっちがいい?」
その選択はおかしいだろう…うっ!一頭と1匹に突かれた。
「言うから…もう止めて…」
いくら私でも馬と犬相手でよがるとは…プライドはボロボロである。だけど、目の前の男は満足していないようだ。
「まだいいよ。次は何をしようかな?」
口を割らせておいて、まだいいって…コイツ、拷問有りきだ。証言を引き出す意志がないのか?
「やめてぇぇぇぇ~!」
この場に、キールが連れて来られ、エム字拘束されている。もしかして、既に全員が手に墜ちているのでは?
「いやぁぁぁぁぁ~!」
指先で捏ねくり回されているキール。針の無い注射器で何かを注入されると、大人しくなった。
「後、女性のメンバーはいないのか?」
どこまでも冷たい眼で、私を見つめるクレイジーボーイ…
◇
キールと二人で、あの男を満足させている。コイツ…まだ証言を取る気がないようだ。キールは壊れたのか、言われたことを素直に熟している。私は、色々なポーズを取り、色々な物で突かれた。もう尊厳なんかは無い…楽になりたい、それだけである。
「じゃ、そろそろ、仲間の居場所を訊くか。残っているのはラム、バーボン、ライ、シェリーと工藤新一だ」
何?なんでシルバーブレッドの名前が…
「さぁ、居場所と本名を言えよ。楽にしてやるよ」
キールが答えだした、私の口には拘束具が嵌められている。私は拷問地獄から出られないのか?
---江川拓也---
漸く帰宅…1週間振りの我が家…誰もいない。愛想を尽かして出て言ったのか?まぁ、いいか。部屋で報告書を書いていく。背後に気配を感じ、背中に柔らかい感触を感じた。
「お帰りなさい」
全裸の美和子のようだ。
「二人も私の部屋にいるわよ。威かそうと思って…」
「愛想を尽かして、出て言ったんだろ?構わないよ」
「そんな事無いって…ごめんなさい」
俺の腿の上に座る美和子。仕事のジャマなんですが…背中には違う女性の感触。たぶん、蘭だろう。
「ねぇ、休みは取れないんですか?」
蘭に訊かれた。
「報告書を出せば、1週間の休みだよ。蘭、足首はいいのか?」
「もう少しかな。後で診察をお願いします」
「わかった。美和子は、どうなんだ?」
「自分では見え無いからわからないなぁ。診察、お願い」
そうなるな。
---安室透---
アイツらが動いたようだ。公安からの連絡では、ジン、ウォッカ、キャンティ、コルンはやられたらしい。ベルモットとキールは行方不明だそうだ。
残る4名、バーボン、ライ、シェリー、ラムを探しているようだ。
「まさか、お前がバーボンとはな」
うっ!何時の間に背後に…こめかみに当たる金属の筒…俺程度、いつでも消せるってことか…
「お前達2名はそのまま、潜って居ろ」
2名?後1名は誰だ?背後へ振り向くと、もういなかった。もう1名ってライのことか?
---江戸川コナン---
1日で3件の爆発事件…海老名、丹沢、横浜って、どんな関係性があるんだ?あの組織が関係しているのか?
喫茶ポワロに向かうと、安室さんが真っ青な顔で座り込んでいた。
「安室さん、どうしたの?」
何かに怯えている表情である。何が遭ったんだ。安室さんを追い込む程の恐怖って何だ?
「やぁ、コナン君…」
テレビでは爆発事件のことをやっている。あれ?海老名の事件現場、被害に遭った車はジンのポルシェじゃねぇか?まさか、やれたのは組織の方か…
「君も気づいたようだな。ジンの車だよ」
「やったのは、公安?」
「1日に3箇所も強襲できないよ。たぶん、必要悪の狩人達だよ」
まさか、あの江川拓也か?
「江川拓也って、公安じゃないの?」
「先輩は元公安だ。今は違う。特殊急襲部隊だよ」
特殊急襲部隊…そんな部隊があるのか…
「警視庁?」
「警視庁では、隣の県では行動出来ないだろ?警察庁だよ」
アイツ、警察庁なのか?
「想い出したんだよ。先輩の飛ばされた先…FBIだった。そこで赤井と知り合ったんだろう」
何を言い出しているんだ、安室さんは…
「俺と赤井には大人しくしろって…手を出すなと警告をしてきたようだ」
警告…安室さんと赤井さんがジャマってことか?いや、二人を凌ぐ能力持ちって事なのか?
「何をやらかすつもりなんだ?」
「わからない…ただ、言えることは、必要なことなんだと思う。俺達には出来ないことだ」
巨大な権力に、何かを仕掛けるのか?
---江川拓也---
今日もよく働いたので、帰宅した。裸エプロンの女性3名が出迎えてくれた。
「ねぇ、どうかな?エプロン姿」
って、蘭。う~ん、押し倒したい。
「で、誰を食べたいのかな?」
って、美和子。三人とも食べ頃では無い気がする。
「禁酒がんばっているよ」
まぁ、病人だから当然だよな。
「すまない。疲れたから、少し寝るよ」
一人でベッドに横たわった。
◇
翌日、一人で墓参りに向かった。先輩の命日だったことを、想い出したからだ。港の見える丘にある墓地。先輩の墓は海を見つめるように建立されていた。
タバコに火を点けて、線香代わりに手向けた。バーボンを水受けに入れて、味わってもらう。
「拓也…戻って来たのか?」
「リョウ…彼女が出来た報告か?」
「はぁ?コイツは彼女では無い!」
否定スルのは怪しい証拠だな。
「って、言うか、アンタ誰?アニキの彼氏?」
アニキ?
「この子って、リョウの妹か?」
「違うって、槇村の妹の香だよ」
「え?先輩の?似ていないなぁ」
「香!ソイツは江川拓也だ。お前のアニキが、香に紹介しようとしていたヤツだよ」
「え?アニキの弟分の?」
そんなこともあったっけ…いつか紹介してくれるって、言っていた槇村先輩。
「こんな綺麗な人は、俺にはもったいないな。それに、リョウの好みじゃないか」
「え?綺麗だって。ねぇねぇ、リョウ、訊いた?」
「あ?ソイツの言う綺麗の意味は違うぞ。手を汚していないってことだ」
「えっ!じゃ、彼もスィーパー?」
「違うよ。ソイツはマーダーライセンス持ちだ。俺のような殺し屋とは違う」
「公式機関の狙撃手?」
「はずれだよ。単なるお巡りさんです」
「リョウ、本当はどうなんだ?」
「警察庁広域捜査室室長兼警察庁刑事局長直轄の強襲部隊の隊長だよ」
「リョウ、違うっって。俺は冴子に顎で使われる犬だよ」
その程度が楽である。
「冴子に無茶したようだな」
「あぁ、たまには上下関係の再確認の儀式って、必要だろ?」
「ったく。お前は…で、今日は何の報告をしに来たんだ?」
「あぁ、鴉を潰した報告だ」
「あそこを潰したのか?」
「まだ、2、3匹見つけていないけどな」
タバコを2本くわえ、火を点けて、1本を槇村さんに渡した。
「そろそろ帰るよ。リョウ、結婚式には呼んでくれよ」
「だから、そういう関係じゃ無いって!」
---江戸川コナン---
父さんへ連絡をした。
『江川拓也か?関わるなよ、新一』
いきなり警告された。
「どういうことだ?アイツは何者だ?」
『何者かぁ…一言で言うなら、ろくでなしかな…』
ろくでなし?
『役には立たないってことだ』
役に立たない?
「何の役だ?」
『権力者の言いなりには、ならないってことだ。アイツにはアイツなりの正義があり、その正義の元で生きているんだ』
「国外追放されたって、アレか?」
『そうか、新一も掴んだのか。まぁ、そんなとこだ。だけどな、権力者の中には、アイツの後盾も多くいる。ポーズとして正義では無いから、説明もちゃんとして、その上で糾弾をしている』
「安全ってことか?」
『人畜無害だよ。一般人に取ってはなぁ。だけど、そうじゃない場合、キバを剥くぞ』
危険ってことか…蘭を助けないとダメだな。
「蘭が惚れちまったようなんだよ」
『それで、新一は調べているのか?惚れたのか…新一、蘭ちゃんのことは、諦めろ』
諦めろ?
「どうしてだ、父さん!」
『アイツ、ジゴロ体質なんだよ』
はぁ?ヒモ体質…
『拓也本人はその気は無い。だけど、たまに惚れる女が出るんだ。心の隙間に入るのがうまいと言うか…入り込まれた女性は、拓也から逃れることは出来ない』
アイツ、蟻地獄か?
『いいか?アイツ自体にはその気が無いのがミソなんだ。ちょっとでも、拓也が相手に気を許せば、自分の為に心を開いたと女性が思い込むらしい』
待てよ…父さんて、拓也を知っているのでは?
「父さん、拓也を知っているのか?」
『あぁ、知っているよ。私も彼に魅了されたからな』
はぁ?魅了された…アイツのジゴロ体質って、男女問わないのか?
『経験上、この状況から抜けるのは難しいな。ミイラ取りがミイラになった気分だよ。ははは』
拓也を調べていて、魅了されたのか…父さんクラスでも、仕組みが分かっていても、魅了されるのか?それは危険である。
『だから、関わるな。関わると、魅了か死の二つに1つだぞ、新一…』
父さんは現状を認識しているようだ。だけど、抜け出す術が無いこともわかっているようだ。今回の敵は、ヤバ過ぎる…どうすれば、蘭を救い出せるのだ?
---江川拓也---
シェリーが見付からない。後、工藤新一も見付からない。二人は同一人物なのか?そこがわからない。
「局長、どう思いますか?」
上司に意見を求めた。
「拓也でも分からないんだろ?俺に訊くなよ」
あぁ、そうなるのか…
「若返りの薬って、本当にあるんですかね?」
「科捜研で分析中だ。拓也はシェリーと工藤新一が、若返ったと思っているのか?」
「捜査網にひっかからない現状を踏まえると…若返った時の想像モンタージュも必要かと思いますよ」
「なるほど…では、それも科捜研に指示を出しておく。後、MI6が拓也にヘルプって言って来ているぞ」
「あ?また第七王女か…放置プレイでいいんですよ、アイツは」
「王女を放置プレイって…拓也らしいが…向こうの局長へ連絡をしてくれよ。外交問題になると厄介だからな」
この前は欧州の小国の王女様だったし…俺、海外の飯は合わないんだよなぁ…
◇
ある政治家のスキャンダルを追い立て過ぎて、国外追放されて、ICPOに拾われた。そこを拠点に、世界の諜報機関へヘルプ要員として出向き、無理難題に対処してきた。ある国では大統領の奥様の不倫疑惑をもみ消したり、ある国では貿易問題を解決したり…捜査とは無縁の仲介をしたきた。中でも第七王女の問題は、俺の中で一番の難題だった。依頼内容は「彼氏になって欲しい」だった…固まる俺、苦笑いするMI6の局長。もはや、無理難題以外、何も存在しない問題だった。
一応ガードとしてお側に着いたのだが、就任初日の夜に、それは起きた。この俺が王女に夜這いを掛けられて、俺の尊厳は砕かれた。
「いいなぁ。私の初めては、お前に捧げた。意味はわかるな?」
いいや、分からない。分かりたくもない。俺は、死刑覚悟で、女王陛下の面前に立ち
はっきりともの申した。
「申し訳ありませんが、幼児体型の王女と出来ません。どうしてもと仰るなら、この場で俺の首を刎ねてください」
無理やりやられる位なら、死を選んだ俺。そんな俺に衛士立ちは跪いた。そして、女王のお言葉…
「申し訳無い。親バカって言われるかもしれないけど、あの子をお願いします」
って…それは、俺には死を選ぶ権利は無く、生き地獄で生きろと言う、宣告に思えた。その夜、俺は密出国して、アフリカ戦線で傭兵になって、時を過ごした。そんな時、知り合いの軍関係者に捕まり、日本へ送り返されたのだった。
◇
そして、MI6が、俺の所在をついに見つけたようだった。また、生き地獄に再送還なのか?カノ国は外交問題カードを出して来たのだろうか…