翌日、授業を受ける為に、自分のクラスに向かった。
「ちょっと、あなたは、どこに住んでいるの?」
声をする方を向くと、半裸を見てしまった女性がいた。名前は確か…ジェーンだったかな?
「変態呼ばわりするヤツと、一緒に暮らせないから、親代わりの人の部屋に同居しているよ」
「変態は言いすぎたわ。戻ってきなさいよ。もう共用部で着替えはしないから」
命令口調…こういうヤツは苦手だ。僕は自由人である。命令されるのは心外である。
「考えておくよ」
僕は自分のクラスに向かった。自分の席に座ると、隣に座っている女性から、声を掛けられた。
「昨日、ペア分けをして、あなたのパートナーになったわ」
この子は確か…メアリーだったかな?特待生枠で入学した才女だったかな?
「そうなんだ。よろしくお願いします」
「貴方の実力を知りたいの。放課後、少し付き合ってもらうわよ」
え?ギルドでの勉強…特別受講だから、それを理由にしてはダメだよな。
「わかったよ。放課後はアルバイトがあるので、手短にお願いしますね」
ここまでの授業でわかってきた事、彼女と僕では得意分野と不得手分野が逆だった。実践系が得意な僕、彼女は理論系が得意だった。特待生って、実戦はしていないんだろうな。
◇
放課後、戦闘フィールドの1つを借りて、彼女と対戦することになった。戦闘フィールドというのは、仮想の戦闘空間である。万が一、大怪我をした時点で、強制的に医療機関に転送されるという。命が保証されている戦闘空間である。
特待生と苦学生の戦いってことで、ギャラリーは少なめだった。まぁ、人に見せるための戦いはしたくないからね。何故か、ギャラリーの中には、あのジェーンもいた。あと、僕と同じクラスの仲間くらいかな。
「さぁ、始めましょう。勝った方がリーダーってことにしましょう」
彼女は剣を構えた。僕は妖刀村雨を構えた。彼女が剣を振ると斬撃が無数飛んできた。僕は村雨で斬撃を防いでいく。そして、防ぎながら、雷撃を彼女の頭上から落とし、炎の玉を彼女の目の前から放ち、無数の氷柱弾を彼女の横から撃ちだした。まさか、僕が防御しながら、攻撃をするとは思っていなかった彼女は、回避動作が取れず、三方向からの攻撃全ての餌食になり、光に包まれて医療機関送りになった。僕は仮想フィールドから脱出した。
ほとんどのギャラリーは無言で動かなかった。彼女を除いてね。僕に近づいて来たジェーン。
「どこで、あんな技術を学んだんの?」
「廃墟迷宮をソロで探検したり、旅団の人達に学んだりしてだよ」
「あなたも特待生なの?」
「僕は推薦枠だよ」
「推薦枠?すごい…」
話しながら僕らは、大学施設に入るゲートの前まで来た。
「じゃ、僕はバイトがあるから、失礼します」
IDカードをセンサーに通して、大学施設へのゲートを抜けた。
「え?大学施設の利用許可が下りているの?」
「あぁ、アルバイト先が大学施設なんだ。住居もねぇ。またねぇ!」
僕は侍ギルドに急いだ。
◇
翌日、自分のクラスに着くと、クラスメートが群がってきた。僕は人混みが苦手とは言えず、応対していく。メアリーは『ブラディーメアリー』という二つ名を持つ剣の達人だったらしい。得意ワザはあの「飛ぶ斬撃」だそうで、それを僕は初手から見切って、防御しながら魔法攻撃をしたことに皆は驚いていた。僕みたいなタイプ魔法戦士って呼ぶらしい。それも上級ジョブに部類される物らしいのだ。
なんで特待生でないのかを説明する羽目になり、実戦経験はあるけど、理論がまるでダメなことを告白した。なんか、昨日までと違う目で、僕は見られることになったらしい。
「無学は怖い」
って、誰かが言っていたけど、それに僕が当たるらしい。メアリーはこの学年で一番上のランクで、次がジェーンって事を初めて知った。僕は何番目なのかな?
昨日までと違い、クラスメート達が、僕の苦手とする教科を、優しく教えてくれるようになった。僕は知らなかったが、僕が笑顔の時に近くにいると、心が癒やされていく感覚になるらしいことを。
放課後、ギルドに行こうと歩いていると、ジェーンに声を掛けられた。
「ねぇ、色々訊きたいことがあるから、自分の部屋に戻って来なさいよ」
「今住んでいる場所は、色々便利なんだよ。まぁ、気が向いた時に戻るよ」
ゲートの前で、ジェーンと別れた。
◇
侍ギルドの他に、レヴィアタンからの助言で、禁断の魔法ギルドも訪れるようになっていた。ここを極めると、ネクロマンサーというジョブになれるらしい。まぁ、いわゆる黒魔術系だけどねぇ。レヴィアタンの介添えも有り、黒魔術もマスターしていく僕。
ライバル心からなのか、ガブリエルからの助言で、僧侶のギルドにまで手を出してしまった僕。ここを極めると、プリーストというジョブになれ、この系統を極め続ければ、サーゼクスさんと同じ、ロードになれるらしい。
二人から助言をもらった僕は、更に三人目からも助言をもらい、魔術師のギルドにも手を出すことに。極めれば、ウィザードのジョブになれ、プリーストとの合わせジョブで、学長と同じ賢者になれるらしい。
そして、毎日が忙しいけど、充実した日々を過ごしていく僕。で、テストシーズンになると、サーゼクスさんとの同居が、テストシーズンが終わるまで出来なくなった。テスト問題の漏洩とかが、あるとまずいという配慮からだ。そして、僕は本来の自分の部屋で、生活することになった。
◇
「やっと、私と暮らすことを選んだのね」
笑顔のジェーンが、僕を迎い入れてくれた。
「違うよ。テストシーズンが終わるまでの期間だけだよ」
不満気な僕。
「なんで?」
「僕は教員住宅に住んでいるんだ。だから問題漏洩があると疑われるので、ここに退避しに来ただけだよ」
なんかジェーンが驚いている。
「教員住宅?先生と住んでいるの?」
「そういうことになるねぇ。解らない教科は、夜その教科担当の先生の部屋で習っていたんだよ」
「凄いなぁ…ねぇ、私とペアを組まない?」
「違うクラスだよ」
「貴方の本来のペア相手は、当分入院でしょ?退院するまでの間だけでいいわよ」
「僕はソロで構わないんだけどね」
「そう言わずに。ペアで潜るのも教科のうちだよ」
最終的には僕が折れて、暫定でペアを組むことになった。
◇
テスト勉強をした僕に、ショックな出来事が…学長の意向で、僕は1年間テスト免除になっていた…テスト期間は、ギルドで修行三昧な生活になっていった。
テスト最終日の翌日に、迷宮探索の実技が行われた。これが終われば、夏休みという期間に入るらしい。
自分の順番になるまで、控室でウォームアップをする。ウォームアップといっても、相方のジェーンの緊張を解してあげることだけど。まぁ、ヒーラーとしては、当然の行為かな。
さて、僕らの番だ。迷宮の入り口で、申請をする。普通、高等部の場合はジョブ欄には「戦士」と書くらしいのだが、僕は「ヒーラー」と書くことになっていた。これを見てジェーンが驚いている。
「ジム…初期ジョブでなくて、ジョブに就いていたんだね、もう」
「ヒーラーだから、サポートだよ」
「前衛向きなのに?」
「そう…だから、僕はソロで潜るんだよ」
「納得…」
そして、ジェーンと初級迷宮に挑んだ。敵らしい敵には出会わずにクリア。レヴィアタン曰く、僕の下僕達にビビって敵が出てこなかったらしい…
「ありがとう。ジムのおかげで、迷宮デビューできたわ」
ジェーンにお礼を言われたけど
「僕は何もしていないから」
と、返答した。そして、二人で部屋に戻った。
◇
「ジムは夏休みどうするの?」
「うん?アルバイトの毎日だな。ジェーンは?」
「家に帰るけど…」
「そう。いってらっしゃい」
僕は自分の部屋に戻ろうとした時、後ろからジェーンに抱きつかれた。
「ペアの相棒に、ちょっと冷たいんじゃないの?」
「暖かくしてあげればいいのかな?」
僕は振り向き、彼女と正面から抱き合う形になった。これに驚いたジェーン。
「ちょっと…」
僕は僕の口で彼女の口を塞いだ。両手を彼女の胸に当てて、気を込めていく。徐ろに彼女の舌が僕の口の中に入ってきた。彼女の柔らかくて薄い舌を、僕の舌が迎えて味わっていく。
彼女にすべき事が、レヴィアタンとガブリエルから指示が届く。
彼女の服を脱がしていく。そして、彼女の肌に手を当て、気を込めていく。顔が紅潮していく彼女。僕の口は、彼女の淡い膨らみの胸に、吸い付いていた。
「熱い…うふっ」
僕の指は彼女の下腹部に到達して、クリトリスと膣の中に癒やしのオーラを流し込んでいく。
「あぅ…あぁ…身体の中がぁ…暖かい。温泉に入っているみたい」
彼女の全身の筋肉が一瞬締まり、徐々に緩んでいった。
僕は彼女を彼女の部屋のベッドまで運び、寝かしつけた。その後、自分の部屋の自分のベッドで寝た。
◇
朝、全裸のジェーンに叩き起こされた。
「ねぇ!昨晩、何をしたのよ?」
「はぁ?冷たいって言うから、温めてあげたんだけど…」
「交わったの?」
「交わってないよ。温めただけだ。ヒーラーとしての分野だからね」
「交わってないの?なんで?」
「また、変態呼ばわりされるのは、嫌だからね!」
「バカ!」
そう言い残して、ジェーンは自分の部屋に引き上げた。女心はわからない…はぁ…
僕は、ギルドに行く準備をして、共用部のテーブルの上にメモ書きをして、ギルドに向かった。
---ジェーン---
玄関のドアの閉まる音がしたので、共用部に出ると、テーブルの上にメモ書きがあった。
『気をつけて、里帰りして来いよ。僕はアルバイトに行ってくる』
そのメモ書きを綺麗に折りたたんで、ポケットに入れようとして、気づいた。私って全裸だったのね…