---ジム---
夏休み…ギルドも休みのところが多い。長期休業なので、長期遠征が出来るとあって、旅団を組んで、迷宮探索をしに行ってしまうギルドが、数多いのだそうだ。
しかたがないので、図書館で読書をすることに。
少し以前の時代、人類は核兵器、大量破壊兵器というもので、国と国との戦争は、住む場所を、極端に削り取ってしまったそうだ。
そこで、ある時、エライ人達が集まって、優秀な戦士同士が戦って、戦争の代わりをするようになったらしい。お金にものを言わせる国が、大量に戦士の買い占めに走ったこともあり、ルールを作って、1つの国で保有できる戦士の数に制限が設けられたとある。
ルールはリアルチェスのようなものだ。『王』『女王』『戦車』『僧侶』『騎士』『戦士』というクラスを免許(ライセンス)制にした。例えば『戦士』になるには、『戦士』の試験に合格し、免許が無いとなれないのだ。国の長はチェスプレイヤーとなり、各駒を動かす、要するに戦略が大事である。チェスと違うのは、駒で駒を取るのでなくて、駒と駒が戦って負けた方の駒が、盤面から除かれる方式であること。なので、実力のある『戦士』であれば『王』を取ることも可能である。各駒の制限人数は1-1-2-2-2-8の16で、そこに補欠が4名を入れた20名が1つの国で保有できる兵力の人数になる。
こういう迷宮学園などで、ライセンス試験があり、それを取ることで、良い就職ができるらしい。僕のような迷宮探検者には、関係のない話であるけど。
こういう学科に関係ない本は、夏休みに最適かな。
「いたいた。おい、貴様!決闘しろ」
この人は、図書館では静かにってルールを、知らないのかな?声のする方を見ると、フルアーマーを着込んで、ランスを構えた男がいた。ここでやるのか?マズいんじゃ無いかな?
「わが家のお嬢様を怪我をさせた無礼者は貴様だろ?負けても勝っても我が家の『戦士』になって貰うからな」
なんか、無茶苦茶なことを言っていないか?僕は、逃げた。そして、サーゼクスの研究室に逃げ込んだ。
「どうしたんだ?ジム」
サーゼクスが、異変に気づいてくれた。
「図書館で読書していたら、決闘しろって」
そのとき、研究室のドアが破壊されたような音がした。
「おい、小僧!出てこい。貴様はメアリーお嬢様の『戦士』になるしかないんだ。死体にして持ち帰るからな、そのつもりでいろ!」
無茶は前口上にサーゼクスがキレた。
「おい、失礼だろ?いきなりドアを壊して、入ってくるなんて」
「一般人はどけ!あの小僧を、お嬢様の元に届けるのが、私の使命なんだ。ジャマするな」
いきなり、魔法で研究室の屋根を破壊した騎士。魔導戦士か?
「私はロードのサーゼクスだ。お前は誰だ?」
サーゼクスを無視して、僕の方へ詰め寄ってきた騎士。その時、僕と謎の騎士が仮想フィールドに飛ばされた。
「学長のソーナです。学内での破壊行為、学生の強制青田買いは、いかがなものかと思います。そこで、戦ってみればどうですか?ジム君、本気で戦いなさい。例え相手を殺してもかまわない。そいつは賊と変わらない行為をしたんだから」
学長の許可が下りた。僕はドラゴンを召喚した。僕の周りに龍門が8つ展開して、ドラゴン8匹が騎士に襲いかかっていく。
「ドラゴン使いだと?ますます欲しい人材だ」
僕はドラゴン達で上空に注意を逸らして、騎士の足元の影を底なし沼にした。影に飲み込まれていく騎士。
「何?闇属性の魔法だと…貴様は一体…」
騎士を飲み込むと沼は消え、獲物がロストしたので、ドラゴン達は門に帰って行った。そして、仮想フィールドから僕だけが生還した。
「まさか、本当に息の根を止めるとは…」
絶句気味のソーナ学園長。
「だって、学長が許可を…」
「あのクラスだと、殺す気で行かないと、逆に殺されるぞ」
サーゼクスが良くヤッタって顔で、僕に抱きついている。
「研究室を破壊するとは…特待生のメアリーの家に弁償させましょうね」
「あぁ。強制青田買いは禁止事項だ」
「ねぇ、あんな風な無理矢理、眷属化ってあるんですか?」
僕はお二人に質問した。
「たまに行方不明の学生がいるの。たぶん貴族の間では、当たり前の行為なのでしょうね」
「学内の取り締りを強化していくしかないないな、学長」
「そうだ、図書館は無事かな?」
図書館の方を見ると、だいぶ壊されていた。
「当分、使えないよね…」
凹む僕。
「図書館まで破壊したのか、あの騎士のヤツ」
怒りが収まらないサーゼクス。
学園内の警備が手薄な夏休みは、学内は危険っていうことで、来月からのサーゼクス達の旅団に帯同することにした。