この世界には、神の住む神界、神族や天使達のすむ天界、人の住む人界、魔物の住む魔界、悪魔の住む冥界があった。だけど、神と名乗る異形なる者の降臨で、総ての世界が破壊されてしまった。棲み分けが為されていたのに、今では棲み分けは為されていない。それぞれが生きて行けるエリアは重複していたりするのだった。
◇
夜になり、ヤツラが出没するのを待つ。あの惨事以来、ヤツラは0時から3時くらいまでの間に、どことなく出現して、生き残った人間を食らったり攫ったりしている。月明かりで明るい空にヤツラの姿が映りだした。羽を持ち自由に空を駆けるヤツラ、ガーゴイルの一団がこちらに向かってきている。頑丈な皮膚の下の肉は、正体を知らなければ美味であった。
私は使役モンスターを呼び出した。数匹のドラゴンが呼び出されて、空へ舞い上がってガーゴイルの一団を狩る。彼らには四肢と頭と内臓を褒美として食べて良いと命じているので、貪欲にガーゴイルを狩っていく。
私は地上戦の準備をする。気を集中して、周囲の気配を読む。3時の方向から、見た目が骨格模型のような魔物スケルトンの一団が、こちらに攻めてきた。私はその一団の頭上から魔法で火の玉を落とした。落とされた火の玉は何かに当たると散弾していく。散弾した火の玉の破片は更に何かに当たると爆発していく。
スケルトンは喰う部分がないので、次々に粉砕していく。火の玉攻撃から逃れた数体が私の方へ向かってきたが、私の手にしている聖剣により、その生を閉じさせていく。
スケルトンの一団の後ろには、牛の魔物、ミノタウロスの部隊がいた。彼らは、先遣隊のスケルトンが全滅するやいな、強靱な角を私に向けて突進してきた。ガーゴイルよりミノタウロスは美味であった。私は落ち着いて、彼らの眉間に向けて光の矢を撃ち込んでいく。眉間は彼らの弱点で、そこ以外は絶命に至らせることは難しかった。
3時をすぎる頃になると、彼はどこかへ帰っていく。今夜はミノタウロスが大量に手に入った。使役ドラゴンたちも戻って来て、内蔵がなくなったガーゴイルの胴体部分だけを持って帰ってきた。ジョイの村で精肉にしてもらおう。
ガーゴイルとミノタウロスの死骸は根城のそばにまとめておいておく。昼間にジョイの村人たちが来て精肉をする為に持って帰ってくれるから。
夜中の狩りが終わり、根城に戻って仮眠をする。
◇
太陽の照りつける日差しを受けて起床をする。腕時計を見ると8時だ。5時間くらいは寝られたようだ。朝飯を食わないと…私は2階の食料倉庫に行き、ポテトチップ1袋とペットボトル入りのオレンジジュースを持って1階に降りて、ビルの前のベンチで食べ始めた。
しばらくすると、ジョイの集落の人々が来たので、昨晩の獲物を持って行ってもらう。その際に前々日に仕留めた獲物の精肉した肉を受け取った。コレを干してジャーキー状態にして保存をするのだ。
コンポスト室をチェックする。ここで、植物や食べ物残渣や排泄物などを堆積発酵させた後、地中生物、主にバクテリアやミミズなどにより植物に有用な堆肥(コンポスト)にするのだ。これがうまく稼働したら、同じものをジョイたちの集落に大量に作り、農業をしてもらう予定である。まぁ、その前に政府が救助に来てくれることを祈ってはいるけど。
次に充電器室をチャック。順調に充電をしている。波力発電では発電量が不安だったので、ガレキの中から使えそうな太陽光発電パネルを持ってきて、屋上に少しずつ設置している。日当たりは良い場所なので、充電量も少し期待している。
そうだ、昨日拾ったモノをチェックしないとなぁ。1階の施錠している部屋に向かった。カギを開けて中に入る。目の前には昨日と同じ状況の一人の女性と2匹の猫がいた。回復魔法を掛けたから、そろそろ目が覚めても良いのだけど。
全裸の女性が気になる。どこかで見たような気もする。まじまじと彼女の全身を舐めるように見る。性欲がわき上がってくるが我慢。うん?この入れ墨の文様って…なんだっけかな…手の甲に描かれた入れ墨。見た覚えがある。以前いた別の世界で…あっ、思い出した。以前いた世界のワーロック(魔術師)ギルドで一緒だったマヤだ。彼女に声を掛けた。
「おい、マヤ。起きろよ!朝だぞ!」
肩を激しく揺らして、声をかけるも起きない。こういうときは、あれかな?眠り姫を起こす要領で…私は彼女の唇を奪い、胸を揉み、秘部を刺激する。うん?なんか違うか?とにかく彼女に色々な刺激を与えた。
「う…ここは…あれなんで、ブラウンがいるの?別の世界にジャンプしたはず…」
混乱している彼女。もっと、刺激を…そうだ。彼女のアナルにワセリンを塗り…
「あっ、ダメ!そこはダメだからって、いつも言っているでしょ?ブラウン…え?本物のブラウン?」
彼女の意識が覚醒したみたいで、私に抱きついてきた。
「会いたかったよ~。魔王を倒した途端、ジャンプしちゃうんだもの。感謝の言葉とか別れの言葉とかを、言わせないでさぁ」
抱きつく前に気づけよな。お前は全裸なんだ。
「なぁ、マヤ、お前はなんで全裸で、私の前に現れたんだ?喰っていいってことか?」
「うん?」
マヤは自分の全身を見た。
「なんで?私は全裸なの?ブラウン、私の全裸を舐めるように見たの?」
「もちろん。しばらく見ない間に性欲の対象になっていたのは驚きだよ」
かけてあげた毛布で身体隠し、真っ赤な顔になった。
「で、なんで、私のいる世界に来たんだ?」