---ヒロ---
部屋に二人で戻ると、美里さんは床にデリケートな部分を擦って、感触を愉しんでいた。その様子をビデオに録画する。
「わっ!撮らないで…ヤメて…いやぁぁぁぁぁぁ~!!」
僕に気づいて、真っ赤な顔で俯く美里さん。
「貴重な映像です。女性はそうやって、自慰を愉しむんですね」
「そうじゃない…手が使えないから…」
「手が使えなくても自慰を?あんだけ、快楽塗れになってきたのに?」
りんは信じられないって顔をしている。
「いや、違うって…そうじゃないって…ねぇ、助けて~」
「どうしようかな?手錠を外した瞬間に、また豹変しかねないですよね?前回、僕を犯しましたよね?」
「えっ、ヒロさんを?」
信じられないって視線を美里さんに向けるりん。
「いや、あれはねぇ…お預け状態で…」
「このまま、当分いますか?たぶん、この後完徹な日々に戻るかもしれないんですが」
「いや~!助けて~」
首輪と手錠を外してあげた。すると、予想通り、豹変して襲い掛かってきた美里女王様。
「ヒロ君は、再調教が必要なようね♪ふふふ」
どんだけ、性欲があるんだ、この人は…僕はチョコレートを彼女の鼻先に向けた。
「えっ?何をしたの…」
美里さんの身体に異変が、熱い体液が割れ目から流れ出す。
「条件反射です。チョコレートの香りで、美里さんの身体が反応したんですよ。調教が済んでいるのは、美里さんの方ですよ」
顔から血の気が引いていく美里さん。
「例えば、バニラだと」
彼女の鼻先にバニラエッセンスを吹きかけると、乳首が固くしまっていった。
「どうです?美里さんの身体は自由に制御出来ますよ」
「そんな…」
「今後、暴挙に出ないでくださいね。クールビューティーなスーツ姿のお姉様が、いきなり身を捩ったり、体液を出したら、カッコ悪いですよ。ふふふ」
「えっ…そんな…」
「って、感じですよ。夜の立場は逆転です。もちろん、アレの立場もね♪さっさと服を着てください。出社しないといけないからね♪」
僕を恐怖の対象という目でみる美里さん。このくらいしないと、僕の安眠は護れない…僕は、見るのは好きだけど、そんなに性欲は無い方なんだから。
◇
アルファーチームの部屋に戻り、インの準備をしていく。りんにはコウの監視役を頼んだ。今朝までに6体上がらなかったので、夕方までに9体仕上げてもらうようにした。
インをする前に食事をしに食堂に向かうと、美里さんが待ち受けていた。まだ、何かあるのか?
「ちょっと、顔を貸してくれるかな?」
笑顔成分のない顔で、僕の返事を待たずに、僕をどこかに連れて行く。連れて行かれたのは、会社の近くのホテルの1室だった。
「で、何ですか?」
「確認したいんだけど、チョコとかの甘味は、食べられないのかな?」
あぁ、そういう確認ですか。確かに、迂闊に食べて、有り得ない身体の異変は怖いですよね。
「普通に食べる分には大丈夫ですよ」
僕の言葉を受けて、高級そうなチョコレートの塊を1粒食べた。
「大丈夫なのね」
「えぇ、僕が何かしなければね」
「えっ…」
彼女は自らの身体の異変に気づいた。
「何をしたの…」
「企業秘密です。仕事のジャマ、安眠のジャマをした場合は、そういう目に遭わせます」
「やめて…たすけて~」
「そうですね…たまには、僕を満足させてもらえますか?いつも、やりたい放題されているし」
彼女は僕に縋りつき、ズボンの中から僕のアレを取りだして、舌先で舐めていく。こういう行為が苦手なのか、したことがあまりないのか、それほど気持ち良くない。
「あぁ、エスの女王様は、相手を気持ち良くさせる行為は出来ないんですね」
「いや、違う…待って…」
僕は彼女から距離を置き、自分の一物をしまった。
「美里さん、今までお世話になりました。これからは、仕事のパートナーという清い関係になりましょうね。では、失礼します」
僕は彼女の残して、その場を後にした。また、今日も予定が…社に戻り、食堂に行く。何を食べようかな。
---美里---
ヒロ君…去って行ってしまった。違うんだよ。確かに、私の性欲を優先したけど…それは反省点ではあるけど…もっと、接したいんだよ。これで終わりなんて、嫌…どうすれば良いか、考える。
そうだ。スポンサーになれば良いのか?小さい方のゲームの…第2運営に連絡をして、スポンサーになりたい旨を伝えた。
「上に相談しないとダメです。今すぐにお返事はできません。でも、いいんですか?こっちの方は、美里様のメリットは無いと思いますけど」
「いいんだよ。私はヒロ君を怒らせてしまった。それの穴埋めだから」
「えっ?ヒロさんを?やはり、上の判断がいりますね。後ほど結果を、ご連絡をさせていただきます」
通話は切れた。
こんな身体になるとは…昔、軍事産業の会社でヒロ君を狙っているって噂を、聞いたことがある。そういうことか。条件反射レベルでの調教…洗脳よりも怖い危険な技術だ。彼はその技術を持っているってことになる。
スーツケースから、水谷浩介の資料を出し眺めた。今のゲーム会社に雇われる前、サイバネティクスの研究所にいたらしい。研究所内で、どのような研究をしていたかは定かではない、謎がある人物ではある。
私の役目は、彼の身辺調査なのだが、その業務中に彼に心は奪われた、そんな感じではある。調教は趣味と仕事を兼ねたもので、彼からあれこれとプライベートを訊き出そうとしていた。
でも…口を割らない。まるで、そういう教育を受けてきた者のように。何者なんだ?水谷浩介って人物は?
私達スポンサーで作る財団に彼を招こうとする動きもある。しかし、彼はゲームを完成するまで、今の会社にいるだろうな。
う~ん、いっそ、彼のペットになってしまうか?彼の玩具のような存在になれば、近くにはいられるのかな?公私の立場で揺れる私。
---ヒロ----
そして、今日もインは出来ず…食事前のアレで、気力が低下したのだ。気力がないとプレイ出来ないのは、難点である。単にゲームするだけでなく、アレコレと複数のことをしながらのプレイだから。はぁ…美里さん、これで大人しくなってくれるかな?
今日も、第2プログラムに専念する。最終エリアの設計をして、エリアマップを構築していく。エリアマップの構築し終わると、それを開発に転送して、実際のエリアを構築してもらう。
グラフィック担当に連絡。
「りんか?どう出来たかな?始まりの街のベータに踏み切りたいんだけど」
「あと、2体…ごめんなさいね。コウちゃんが…」
「謝罪よりも、コウの背中を叩いて、作らせてくれ」
「わかりました。今夜はどうします?」
「あぁ、湯豆腐をリクエストしていいかな?」
「了解です♪」
通話は切れた。りんの手料理はおいしい。それは確かだ。えぇっと、次は…そうだ。第2プログラムにキャラを作らないと…テストIDで、第2プログラムにインをする。
キャラ設定画面が出た。ここでキャラの見た目を設定をする。髪の毛、顔、目、鼻、耳、口、肌の色、体格、性別などを選択していく。将来的には課金により、選択の範囲を広げる予定ではある。第1プログラムと違い、リアル性を追求していない分、選択の幅を広げても、サーバー負担には繋がらないから。
キャラを作った後はキャラ名に設定。浮かばないので、ファントムにした。安易ではあるが。そこまで設定すると、ゲーム画面に移行する。
『アルフガンにようこそ!』
と表示され、始まりの街に放り出される。ゲームの名称は、昔遊んだゲーム『アルフガルド』からのオマージュに近い。まぁ、このゲームを知っている人は少ないと思うけど。
始まりの街は、まだダミーキャラ状態のNPCがいる。これらが、正式のキャラにならないと、ベータに移行はできない。しかし、見た目がダミーなだけであって、挙動はテストできるので、致命的な不具合探しのアルファーテストをしていく。
しばらく、街を探索していると、バサ姉とはじめがインしてきた。
「どうですか?不具合はありましたか?」
バサ姉に聞かれたが、
「ダミーキャラなのが不具合だな」
「明日くらいまでに、コウさんと青葉で完成させるようです」
はじめから報告がなされた。
「で、はじめ、装備の類いの名称とデザインは出来たのか?」
「初期の分は出来ました。うみこさんと手分けをして、どんどん創り出していきます」
「あっ…不具合を見つけた」
「なんですか?」
バサ姉が声を掛けてきた。
「ジョブの設定画面が出なかった…初期ジョブって、固定なのか?」
「えぇっと、戦士のようです」
「う~ん、どうなんだろか?初めから選択できた方が良くないか?戦士ってジョブの総称みたいな言い回しだし」
「そうですね…皆同じでは、個性は失われるかも」
「よし!全員、アウトしてくれ」
「「了解!」」
そして、全員ログアウトしてから、プログラムを修正していく。
「つばさ、初期ジョブは、剣士、僧侶、魔法使い、盗賊で良いんだっけ?」
「そのはずです」
「はじめ、その4種の初期装備は出来ているか?」
「出来ています。木刀、木の棒、木の杖、ナイフです」
「盗賊だけ、強そうなんだが。攻撃値はどうなっている?」
「えぇっと、+3、+1、+1、+5です」
「盗賊有利かな?」
「いえ、初期スキルが盗賊は罠外しなんですが、残りの3種は攻撃スキルですから」
「そうなのか。じゃ、僕が剣士をする。つばさは僧侶、はじめは盗賊でスタートしてくれるか?」
「「了解!」」
「魔法使いはどうしようかな?」
「私がやるわ、いや、やらしてください。お願いします」
美里さんが頭を下げていた。いつの間に来たんだ?
「私もアルファーチームの一員ですから。お願いします」
洋子の方を見ると、オーケーサインを出していた。
「じゃ、頼む。再度、インストールから始めてくれ」
メンバー全員が頷いて、それぞれのPCにインストールをし始めた。