---美里---
今日の探索も終わり、ログアウトした。う~、完全に私をスルーして来たようだ。どうするかな?
まぁ、どうせ完徹だろうから、彼の会社に向かった。夜間でもビル内は明るい。1階にあるカフェでは軽食も食べられるので、近くの会社の残業組が食べに来るようだ。
2階にある喫茶室に向かう。ここも明るい。ここは喫煙可能な為、打ち合わせをしている社員が多いらしいし。見回していると、目的の人物は見付かった。書類の山と数名のメンバーと打ち合わせ中のようだ。
「バランス的にどう思う?」
「もう少しアイテムが落ちていても良いかな?」
「でも、敵を仕留めれば、ドロップするし。う~、どうするかな?」
「ヒロ君…」
私は思いきって声を掛けてみた。
「美里さん、ここは第二運営の会議中です。部外者はお断りだ」
拒否する彼…
「リンクポイントのプログラムはどう?」
「バグ取り中です。ジャンプする前にデータを保存して、ロストしても復元できるように、予防はします」
「問題は、あっちとこっちでデータが違うからな。どう、コンバートするかだな」
「反応速度も多少遅くなりそうです。今後、改良しますけど」
山積みの書類を次々に目を通し、決裁していく彼。私はぼんやり彼を見続ける。
「リンクテストはファントムとバサ姉で行う。ジャンプした後の衝撃が怖いなぁ。ギャップがあるだろうな」
「それは、ダミーキャラで、刺激の数値をモニタリングして、生身に衝撃が行かないように工夫します」
「じゃ、それが終わってからジャンプテストしよう。で、美里さんは何か用ですか?」
やっと、私に声を掛けてくれた彼。
「話があります」
「ここじゃ、ダメ?」
「ダメです」
「じゃ、各自、明日までに課題を頼む。とりあえず、解散だ」
第二チームのメンバーがそれぞれの部署へと散っていった。
「で、どこで話をするのかな?」
「私の家で…」
「そう…」
彼は素直に従って、私に付いてきてくれた。しかし、私の家には辿り着かなかった。地下にある倉庫に連れ込まれたのだ。
「ここなら、誰も来ない。防音だし…」
彼の視線が私を舐め回すように移動する。
「で、話は?」
「新しいエリアの情報を、なんで私でなくて、ツヴァイに伝えたの?」
「そんなことか?あの場でも良かった話だよ。僕はプレイヤーの意見を聞きたかったからさ。ゲーム内の君達の会話はモニタリングしている。なので、ツヴァイ、アースの反応、感想が分かった。このままでも問題は無さそうだな」
「スポンサーとして、真っ先に知らせて欲しいと、言っているのよ」
「美里さん、勘違いしていませんか?あなたの窓口は第一運営です。僕ではありません」
「あのね~ヒロ君…」
「どうされたいんですか?」
微かにチョコレート臭がし始めた。まずい…ここから出ないと…ドアに向かって逃げようとする。
「ちょっと、呼び出しておいて、突然立ち去るって、失礼でしょ?美里女王様♪」
あぁ、ダメだ…膝が笑っている。一歩が踏み出せない。
「バニラ臭が良いですか?」
悶々として考えが浮かばない。どうすれば良いかがわからない。立っているがつらくなり、彼に身体を預けた。
「どうされたいんですか、女王様?」
「はぁっ…はぁっ…」
息が荒くなっていく。声を出すのもつらい。
「何もしないって選択もあります♪」
彼は、私を何かの台の上に横たえた。見ているだけ…そういう選択なのか?
「あぁ…あっ、ふぅ…あぅ…」
様々な刺激が私に襲いかかてきた。朦朧としていく思考、痙攣をする各部位、涙が止まらない。
「あっ…あ…の…ね…あっ~」
彼に言葉を伝えようとするが、言葉にならない。
「どうされたいんですか、女王様?」
「ペット…に…あっ…あぁぁぁ~して…おっ…くださ…はぁっ~…い…」
「うん?ペットに成り下がりますか、女王様?」
息苦しい…意識が…頷く私…
「じゃ、これで。女王様♪」
彼は部屋を出て行った。彼が出ていくと、室内が真っ暗になった。空調も止まったようだ。何をしたの?
無音の室内に何かの音がする。
ガサ…ガサ…
何かが蠢いているようだ。ここから逃げないと…上体を起こすと、勢いよく後方に倒された。そして、何かが上に載ってきた。乱暴にブラウスを開かれて、ボタンが散らばる音がした。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
荒い息づかいが聞こえる。何者だ?彼と私以外に、この部屋には誰かがいたのか?胸の谷間に暖かい液体が垂れて来た。相手の唾液か?ざらついた物で撫でられる首筋…相手の舌か?
パッシュ~!
減圧されていたのか?気密性ドアの開く音…突然、室内が明るくなった。誰かが扉を開けたようだ。
「美里さん、こんな所で寝ないでくださいよ」
って、洋子さん。え?ブラウスに手をやると、ボタンははち切れていず、ちゃんと着用している。あれ?あの感覚は?
「よくここがアルファーチームの倉庫ってわかりましたね。入室したのがヒロ君でなくて残念ですけど」
あれは夢だったのか?パンティに手をやると、濡れていない。大変なことになっていたはずなのに…
「お目当てのヒロ君は、まだ出社してませんよ。最近は家に帰って寝ていますから♪」
---ファントム---
ようやくインをした。目が覚めたのは、妖精国の自分の寝室のようだ。
「あっ…起きた♪」
だいぶ成長したドライグらしき少女が抱きついてきた。
「ドライグ?」
「うん♪」
「成長したな~」
「うん♪」
ドライグを抱きしめると、彼女の胸の感触が伝わってきた。
「あっ、目覚めたんですね」
ライカが入って来た。
「お身体はもう大丈夫ですか?」
「まだ、少し感覚が…」
「私達の為に無理をしてくれましたからね。これからは好きだけ寝て下さい」
そうか、インできなかったから、ずっと寝ていたのか。ライカが呼びに行ってくれたようで、エル、ルイさん、クィーンが顔を見に来てくれた。
「クィーン、執務は?」
「サボらずに、がんばっています。今は無理でしょうけど、そのうち…」
頬を赤らめたクィーン。あっ、ご褒美ね。了解♪取り敢えず、彼女の額に、口づけをしておく。
「で、どうされます?」
「グリーンドラゴンの動きは?」
「特に無いです」
「じゃ、龍の国に行って来ようかな?」
「また、喰われちゃうんじゃ…」
心配そうなクィーン。
「ドライグがいるから大丈夫だよ。なぁ、ドライグ」
「うんうん♪」
龍の国の王より、ドライグの方が能力は上のようだし。
「メンバーは?」
「僕と、ドライグとライカ…エルとルイさんでいいかな?」
「ねぇ、間が空いてから、私とルイの名前って、もしかして、置いて行こうとしたのかな?」
そうです。エルの睨むような視線に負けました。
「まだ、眠いから、睡眠時間が多くなると思うけど、頼むね」
「はい♪」
エルが抱きついてきた。
リアルでの仕事量が安定するまで、この世界での睡眠時間は長くなる。でも、エル達、NPC達は僕を見捨てることなく、傍にいてくれたようだ。一番の驚きはドライグだ。幼子だと思っていたのに、もう10歳くらいだし。成長が早くないか?
そんな僕の疑問が見えたのか、
「人族以外の者は、ルイくらいの見た目になるのが早いんです。そのあと、百年単位でしか変化が無いので、ほとんど、見た目が変わらないんです」
と、エルが教えてくれた。じゃ、ルイさんのようのなるのは、もうすぐか。
起きている時間はリハビリしているか、食事である。今日はルイさん相手に模擬戦をした。
「なぁ、模擬戦に意味があるのか?」
ルイさんが訊いて来た。
「無いのかな?でも、ルイさんは雑魚で無いですよね?」
雑魚敵に出逢わない僕。出逢うのはボスクラスだけだったよな?
「雑魚に含めるなよ♪」
ルイさんのケリを受け流す。ブランクがあり、クリーンヒットは無いけど、ヒットはしてしまう。いや、きっとルイさんのことだから、クリーンヒットしないようにしてくれているんだろうけど。
で、ようやくルイさんの脚をキャッチして、舐める。
「おい、いきなり…やめろ~」
頬を真っ赤にして、言葉で制止させようとするルイさん。そのまま、腿方向へ舌を這わせていく。
「いやっ…おい、エルの前で…何しているんだ?」
耳まで真っ赤になるルイさん。そして、脚の付け根まで舐めると見せかけての膝カックン♪
「えっ?」
僕の行動が読めずに無防備に前のめりに倒れ込んだ彼女。背中に馬乗りになり、キャメルクラッチで固める。
「おぃ…ちくしょ~腕と背中が…」
背中もそうだが腰に負担が行く技だ。腕を僕の腿に引っかけて、後ろに反らしていく。
「痛い~負けでいいから、はずせ~」
え?これからだよ。両手で、ルイさんの胸の感触を愉しむ。
「そこはダメっ…うぅん…」
時たま、指先で乳首を刺激して、
「あぁ…そこは…負けだ~外せ~外してくれ~いや、解放して…ください」
涙声になってきたので、解放する。こういう刺激に耐性が出来たのかな?最初の頃は、失神していたのに…
「くそっ…覚えていろよ~♪」
嬉しそうな表情でエルに視線を向けるルイさん。エルを見ないでよ~エルにはかけたくないんだからさぁ。
「ねぇ、私にも…」
「ダメ!エルが怪我をする。だから」
エルと見つめ合う僕。良い雰囲気に包まれ、彼女の顔との距離が縮まっていき…
「ねぇ、今度は私と遊んで~」
背中に抱きついたドライグが、僕を抱えてエルから離す。一瞬残念そうな顔をしたけど、直ぐに僕とドライグを暖かい眼差しで見つめ始めた彼女。ドライグじゃ、しょうがないと思っているのだろうか?
ドライグと遊んでから、ログアウト。
---ヒロ---
「問題はなさそうだな。睡眠時間が長いのは、無理のしすぎって思ってくれているようだし」
「実際問題、無理のしすぎだよね」
洋子の言う通りかもしれない。2本を同時に作るなんて、無理だ~
「で、そっちはどう?」
『アルフガン』のテストをしてくれているバサ姉に訊いた。
「相棒が…」
相棒は杏がしてくれていた。卒業要件はほぼ満たし、卒業まで2年位暇らしい…
「杏がどうしたんだ?」
「いきなり遊び人を選んで…」
ジョブの1つ遊び人。アルファーテスト、ベーターテストで、初期ジョブ以外もテストして、戦闘力などの調整をすることにしたのだが、遊び人は…
「ダメか?あのジョブ?」
「いや、強力すぎる…」
そっちか?調整しないとダメか。
「攻撃力は期待できないけど、攻撃を避ける能力は神クラスです…」
まぁ、遊びのジョブだからねぇ。
「盾になってくれる?」
「彼女が前衛なんですけど、敵の攻撃が見えない…いきなり避けられて、私が被弾しまくっています」
ボーナスジョブにしようかな…
「あっ、ヒロ君。このジョブを採用するのね♪」
洋子、正解だ。
「バサ姉が前衛になれば?」
「え?後ろで、何しているのかわからないって、怖いです。なんせ、攻撃に期待が出来ないし…」
「がんばれ~。遊び人をマスターすれば踊り子になるんだ。そうすれば、魔力を使わずに魔法攻撃出来るんだよ」
「それって、チートジョブですか?」
「いや、ボーナスジョブって、位置付けだよ。ただ、公式公開時に、何をすれば、なれるかが問題だな」
ボーナス条件をアレコレ考えないとダメだな。
「うわっ~敵が私をスルーして、遊び人に攻撃って…あぁ、そうか、敵のバックから攻撃をすれば良いのか。彼女を囮にして♪」
バサ姉が攻略法を見つけたようだ。これで、このジョブは正式に採用だ。
「ヒロさん、魔導師と魔法使いの違いは?」
はじめから質問が飛んできた。
「魔導師は魔法陣を展開して、複合的な魔術を使う者。魔法使いは呪文で単一効果の魔法を使う者って、考えているけど」
「了解です。その辺りで見た目に違いを出してみます」
ベータテストへの道のりは遠そうだ…