※この作品はR-18です。

アルフガン   作:もっち~!

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2-4 アルフガン
新天地


 

---ヒロ---

 

久しぶりの企画会議…眠い…長い説明などが子守り唄に聞こえる。

 

「ヒロさん、寝ちゃダメですよ」

 

第二の企画部リーダーに起こされる。気持ち良い眠りだったのに…

 

「で、始まりの街と最後の街にリンクポイントを設けて欲しいと、スポンサーから要望が出ている。水谷君、頼むぞ」

 

は?何…?

 

「どういう意味ですか?」

 

役員から寝耳に水な話が飛び出た。

 

「リンクポイントは2つ。あと、パラメーターも共通化が望ましいと、スポンサーからの要望だ」

 

更に、暴挙に思える話…

 

「え?別のゲームですけど…」

 

「スポンサーの要望を叶えるのも、仕事だよ」

 

「無理です。今更パラメーターの変更なんって。それに僕が第一スポンサーのはずですが」

 

「あぁ、それか。社員がスポンサーって言うのは良くないので、君の出資分は全額返済する。スポンサーは共通にした方が、一貫性のあるゲームになるだろ?第二の方は新天地扱いにする。もちろん、新天地だけでも遊べるようにして貰うぞ」

 

横暴…スポンサーの一人である美里さんに睨みを入れる。が、彼女は僕を見ないようにしていた。そして、会議終了後、第二の運営、企画の両リーダーに小言を言う。

 

「リンクポイントは良いとして…どういうことだ?パラメーターの共通化って…」

 

「ヒロさんのお怒りはわかりますが、第一の方のプレイヤーからの要望が、多数来ていまして…スポンサーがそれならって…」

 

「別物のゲームだぞ…はぁ…設計し直しの上、組み直しだ。時間ロス分はどうするんだ?」

 

「すみません」

 

コイツらに怒りをぶつけても、決定事項はチャラにならんしなぁ…はぁ~

 

◇

 

アルファーチームの部屋に戻った。

 

「聞いたよ。横暴だよね」

 

洋子も憤慨していた。

 

「怒っても解決しないし、サラリーマンのつらいところかな。抜け道を考えるよ。どうするかな…」

 

凹み気味の僕は、組み直しを避けたいので、抜け道が無いか、設計資料に目を通していく。

 

「そうか、ランク制があるから、レベルは考慮しなくて良いんだよな。向こうから、リンクで飛び込んだら、ランク0レベル1での開始にすればよいのか。STR,DEF,HP,MP,AGIは生かしておいて、ジョブ系は1から学んで貰うにしょう。後、隠しボーナスの取得権利も無しだ」

 

「ステータスが有利すぎませんか?」

 

つばさから質問が出た。

 

「有利にならないように、ダンジョンに工夫をする。例えば、ほら穴のダンジョンでは、天井高が低い設定にして、短い剣類、短刀とか、ナイフで無いと使えないとか」

 

「さすが、ドエス仕様♪」

 

洋子がメモを取っている。

 

「あと、新天地では魔法の大系が違い、向こうの魔法は使えないとか」

 

「ほぉ~ドエスに磨きが掛かっているな」

 

洋子のメモ書きは止まらない。

 

「なので、ジョブは新たに学ばないと、使い物にならない。ステータスの優位性はあるから、そこそこ行けるだろうけど。後、4番目の街のクエストは、平原戦で、敵を100匹倒さないとダメとか。あと、生産スキルも、材料、食材が違うから1からとか」

 

「そうなると、共通パラメーターを基本ステータスだけにするんですね?」

 

あずさから、質問が来た。

 

「全部のパラメーターを同じにしたら、第二の独自性が消える。それだけは死守する。見えるパラメーターだけを共通にするんだ」

 

「そうね。ランク制がある限り、ランクアップの度にレベルが1に戻る仕組みは生きているし。辛いだろうな、基本パラメーターだけが高くても」

 

洋子が楽しそうにメモ書きをしている。

 

「つばさ、アルファーテストはどこまで行った?」

 

「三番目の街です」

 

「あぁ、ほら穴か…今日中にプログラム変更するから、アウトして」

 

「了解です」

 

「洋子、限定100名を1番目の街にベータ招待して」

 

「向こうからだよね?」

 

「もちろん♪」

 

 

 

---ツヴァイ----

 

運営から新天地へのベータテスト案内が届いた。ギルドの主要メンバーとアースに確認すると、カザミネ以外に届いたようだった。

 

「アース、どうする?」

 

サバイバル能力の高いアースに打診した。

 

「う~ん、行きたい気持ちと、怖い気持ちが半々かな?」

 

「これって、素手の街では無いんだよな?」

 

レイジが訊いて来た。

 

「新天地ってあるから、違うだろうな。噂の新ゲームとのリンクじゃないのかな」

 

掲示板で新ゲームの噂があれこれ流れていた。一部ゲーマーがリンクして遊べるようにして欲しいと要望を出したとか。

 

「行ってみるか…」

 

俺は呟いた。

 

「じゃ、自分も行こうかな」

 

アースが手を上げた。

 

「他には?ミリーはどうするんだ?」

 

エフとリアル友の彼女にきいてみた。

 

「え?う~んっとね~行こうかな~」

 

「レイジとコンポタは?」

 

「付いて行くよ」

 

レイジが代表して答えた。

 

「ロナは?」

 

「カザミネ君一人だと、暴走するとマズイでしょ♪」

 

居残りだな。

 

「じゃ、俺とアース、ミリー、レイジ、コンポタでベータに参加しよう」

 

 

 

---美里---

 

ログアウトをして、ボンヤリしている。ヒロ君、怒っていたよな。あぁ、私の意向じゃないんだけど…会議での重役からの無茶振りに、怒りを見せていた彼。報復されるのかな?少し期待している自分に、驚く。私はエムじゃないのに…なんでかな?

 

スマホの着信が鳴り、出てみると、第二の運営リーダーからだった。

 

「ヒロさんは、更にエス度をあげたみたいです」

 

「えっ?どういうこと?」

 

「基本パラメーターを共通化したようですが、罠がいっぱい…」

 

「罠?基本パラメーターが意味をなさないの?それは抗議しないとダメかな」

 

「抗議は無駄です。独自性は確保する条件を、重役に取り付けたようです。交換条件のようなものです」

 

「どういう罠?」

 

「すみません。『それはプレイして愉しんでくださいね』」

 

途中から、声がリーダーの声じゃなくなった。スマホの通話は切れていた。では、声はどこから?

 

『報復を期待するって、エムですよね~美里さん』

 

え…振り向くが誰もいなかった。ヒロ君…?気配は感じられない。幻聴?

 

 

 

---ヒロ---

 

「出来ましたか?」

 

つばさの声で目が覚めた。もう朝だ~久しぶりに、PCの前で寝ていた。なんか、損した気分だ。

 

「出来た…テスト頼む」

 

仮眠室にゴーだ。仮眠室で横になると、直ぐに意識は薄れて…騒がしい声で目が覚めた。

 

「ヒロ君に会わせて!」

 

「はぁ?あなたのせいで、彼は徹夜作業よ。予定には無いねぇ!」

 

うん?洋子と美里さんがヤリ合っているのか?仮眠室から出る。

 

「洋子、どうした?」

 

「このスポンサー様が、会いたいそうよ。ゲームについて、改善して欲しいって!」

 

「はぁ?まだ、改善するの?」

 

「ジャンプした先に罠があるって耳にしたんです」

 

「誰からの情報?」

 

罠では無いけど、社外秘なのに、社内に内通者がいるのか?

 

「言える訳が無いでしょ?」

 

「申し訳ないが、ゲーム内容についてはノーコメントだ。あと、美里さんのアルファーIDは削除した」

 

「それで、インが出来なかったのね?」

 

「ゲームの初期設計についてアレコレ言う人に、アルファーテストをして欲しくない。はっきり言って不愉快です。決定事項を根底から覆すなんて」

 

「根底?」

 

「そうです。第一のゲームとは別のゲームって存在でした。それが、第一の一部に編入、パラメーターは共通って…設計段階で言って欲しい無理なことを、平気で言うんですから」

 

「それは、そういう要望が多かったから。ユーザーの要望を入れるのは必要でしょ?」

 

「ですので、昨日時点のあなたからの要望は、処理終わりました。それ以上に変更を要求するのが信じられない」

 

「ワンモアからのプレイヤーが、不利にならないようにして」

 

「それしちゃうと、アルフガンを初めからプレイする者にとって、不利になると思うんです。いいですか?本来は別のゲームなんですよ」

 

「それは…」

 

「洋子、重役に掛け合ってくる」

 

僕は、重役室に向かった。そして、重役にどういうつもりかを聞いた。しかし、今日の件は重役も知らなかったようだ。

 

「昨日の条件で良い。スポンサーの言う事に惑わされないで良い。先程はスポンサーがいたのであぁ言ったが、私も君のゲームのファンでね、今回のエス度楽しみにしている」

 

と、大株主の鷲尾ヤマトさんが言ってくれた。そうだよな。ここの重役や大株主って、僕のゲームファンが多いから、僕を入社させたんだった。重役室を出ると、美里さんが待っていた。

 

 

 

---美里---

 

重役室からヒロ君が出て来た。

 

「何ですか?まだ、何か?」

 

「ちょっと、来なさい」

 

彼を社外から連れ出し、車の助手席に座らせて、運転席に私は乗り込んだ。

 

「ここなら、本音が言えるわ」

 

「本音?」

 

「そう、あのリクエストは私の意向では無いの」

 

「でも、美里さんを含む、スポンサー陣の要望ですよね?」

 

「それはそうですが…」

 

言いかけた瞬間、異変が起きた。ヒロ君が消えてしまった。どこへ?周囲を見るがいない。車内から音も無く消えるなんて有り得ない。

 

また、仮想世界にダイブしたの?目を閉じて、夢なら醒めてと念じて、目を開くと、医務室にいた。

 

「疲労ですよ。ヒロさんがここまで背負ってきてくれましたよ。廊下で倒れていたそうですよ」

 

と、看護師さんに言われた。

 

 

 

---ファントム---

 

アイテムボックスから精霊のアプロを出した。

 

「頼むぞ、アプロ」

 

「たぶん、向こうでも制御が出来ると思う」

 

僕は、エル、ルイさん、ドライグ、ライカを連れて、リンクポイントに向かった。リンクポイントはファストの街の奥にある祠の中にある。

 

「じゃ、新天地に行くよ」

 

「どんな場所なの?」

 

エルが不安そうに聞いてきた。

 

「冒険が出来る場所だよ。そこに、僕達の家を作るんだよ。嫌なら、ここに残って欲しい」

 

僕は一歩踏み出した。ドライグとライカとルイさんは追従したが、エルは…

 

「行きたいけど、怖いよ~どうしよ~」

 

「エル、ここに残ってアースと旅をするのも手だよ。その場合、僕はエルと添い遂げることは出来ない。ごめんな」

 

僕の背中に抱きついたエル。

 

「ねぇ、わがまま言っていい?踏み出せない私を背負って行ってくれる?」

 

「わかった。後、新しい仲間を紹介する。精霊のアプロだ」

 

「精霊のアプロです。よろしくね♪」

 

その声を聞いたライカが、

 

「えっ!女神様…なんで?」

 

しまった…声まで気が回らなかったよ。ライカが正体に気づいてしまった。

 

「ファントムと一緒に居たいから♪あなた達と同じです。あぁ、向こうでは女神って呼ばないでね」

 

「おい、エフ…お前、マジに女神様の…」

 

ルイさんの顔から血の気が失せていた。

 

「だから、彼女は精霊のアプロだ。間違わないでね。じゃ、行こうか」

 

祠の中にある魔法陣に入ると、僕らは光に包まれた。そして、光が霧散していくと、アルフガンの始まりの街に出た。

 

「ここが新天地?」

 

「そうだよ」

 

背負っていたエルを降ろして、先頭を進む僕。取り敢えず、街を案内して回る。

 

「何かのジョブに就かないといけないの?」

 

広場にあるお知らせを読んで、内容を理解してくれたエル。

 

「そういうこと」

 

「ファントムは何のジョブ?」

 

「僕は精霊使いだよ」

 

「う~、私はどうすれば良いかな?」

 

あっ、弓使いってジョブを作るのを忘れていた。どうするかな…そうだ、プログラムを書き足していくリアルな僕。そして、ワンモアからNPCを、同意の上で連れて来られれば、NPCは精霊となり、連れてきた者は妖精使いになるように、書き換えた。

 

「みんな、精霊ってことで♪今までの戦闘方法で大丈夫…だけど、エルは矢を作らないと…」

 

「あぁ、そうだよね。矢が無いと撃てないよね…」

 

「木工スキルをみんなで学んで、矢を量産しよう♪」

 

道具屋でノミを6本買って来た。

 

「えっ?私も参加?」

 

アプロが驚いたような声を出した。

 

「そうだよ。もう女神ではなくて、エル達と同様の精霊だもん♪」

 

「しまった~」

 

アプロが後悔しているようだ。その姿に、エル、ルイさん、ライカが苦笑いをしている。それから、材料を買って宿屋にイン。

 

宿屋にはヴィヴィとバサ姉とマヤが待機していてくれた。これからの冒険の仲間になってくれる。三人もエル達に紹介をして、ギルマスを僕にして、ギルドを結成した。そうだ、ギルドマスターが他のギルドに加入したら、吸収合併になるようにしようかな。

 

そして、エルとルイさんの部屋で矢作りを開始。バサ姉とヴィヴィはマヤの強化をしに行った。

 

 

 

---ヒロ---

 

ログアウトした。

 

「お疲れ様です♪」

 

あずさが、僕達に労いの言葉を掛けてくれた。

 

「エル達を精霊扱いかぁ…弓使いを作り忘れたのを隠す為じゃないの?」

 

洋子に見透かされていた。苦笑いして返す。

 

「まぁ、NPCにジョブを仕込むのは難しいから、良い判断だと思うわ。ドライグなんか、適合する職業がドラゴンしかないものねぇ~」

 

DQではそんな職業ありましたね。いや、あれは職業になるのかな?

 

「あと、ギルマスが他のギルドに加入したら、吸収合併されるようにした」

 

「了解です」

 

洋子とあずさがメモを取っている。

 

「リンクテストは、まずまずだな」

 

データ画面を見て、データに乱れが無いかをチェックした。大丈夫そうだ。そうだ、アルファーテストで使用してきたファントムのデータを現在のファントムに融合させて…

 

「それって…」

 

洋子が何かを言いかけた。

 

「プログラマー特権ってことで♪そうだ、顔を元に戻しておこうっと」

 

アバターエディターで醜い顔を元々の顔に戻した。

 

「で、次回はどうするの?」

 

「矢を作り置きして、ドライグをポーターにして運んでもらう」

 

「サブアカはどうするんですか?」

 

バサ姉に聞かれた。

 

「ワンモアで何か遭ったときにあっちで使う。ファントム達は急には戻れないからね」

 

「なるほど」

 

 

 

---美里---

 

リンクテストは成功したようだ。アルファーチームの部屋に向かうと、入室を拒否された。

 

「いくら、スポンサーでも、ダメだ。リンクテスト成功の件も社外秘なのに、漏れているのは会社的には由々しき問題だよ」

 

「私はスポンサーなのよ」

 

「社外秘ってそういう物だよ。入室はお断りだ。この部屋には、社外秘なデータが一杯あるからね」

 

「私を信用していないの?」

 

「信頼していないだけだよ」

 

ヒロ君はいつになくそっけない。

 

「何かを隠しているの?」

 

「じゃ、美里さんは、さらけ出してくれるんですか?」

 

何を…さらけ出すの…怖くて聞けない。

 

「そうですか、さらけ出してくれるんですか」

 

ちょっと…話を進めないで…

 

「では、どうぞ♪」

 

手を引っ張られて、部屋に入れられた。いつもと変わりの無いアルファーチームの部屋。しかし、みんなの視線が刺すように痛い。

 

「で、何を知りたいんですか?女王様♪」

 

ヒロ君の手にはチョコレートの粒が…鼻の中に入れられて、吸い込んでしまった私。

 

「何を…隠して…いる…の…」

 

悶々としてきた。マズい、逃げないと。ドアの前には、洋子さんがいて、逃げられそうもない。

 

「どうするの?」

 

「奥の部屋に連れて行って、ヘッドギアが良いかなって♪」

 

「わかった、撮影機材を準備するね」

 

ヒロ君と洋子さんが何かを画策しているようだ。私は、ヒロ君に奥にあるテストルームに連れて行かれた。そして、ソファーに座らせられて、ヘッドギアを装着され…この間、何も抵抗が出来ない私。されるがままである。ジャケットは脱がされた。

 

「ジャケットは皺になると、後が大変なので、こちらに置いておきます」

 

遠くでヒロ君の声をが聞こえた…気がした。

 

目の前と左右に、撮影機材が置かれ、意識が飛んだ。

 

◇

 

ここは?真っ黒な空間。何も見えない。何も聞こえない。

 

『さらけ出してごらん。本当の姿を』

 

脳裏に声が響く。誰の声だろうか?思い出せない。さらけ出す?身に着けている物を脱いでいく。

 

『さらけ出してごらん。本当の姿を』

 

欲しい…お願い…ヒロ君…好きにしていいよ…意識が遠くなっていく。

 

 

目が覚めると、倉庫で寝ていた。服はちゃんと着ている。また、意識が仮想世界へと飛んだのか?部屋から出ようと、ドアノブに手を掛けると、鍵が掛かっていて開かない。閉じ込められたのか?防音ルームのため、部屋の外の音は一切聞こえない。静寂が支配した空間であった。

 

ドアが開くのをひたすら待った。そして、

 

「どう?反省した?」

 

ヒロ君が顔を見せた。

 

「反省?何に?あなたたち、私にこんなことをして、タダで済むと思わないでよね!」

 

「はぁ?仕事のジャマをしたのは、そっちだろ?反省が無いのか?」

 

『欲しい…お願い…ヒロ君…好きにしていいよ…』

 

彼の手にした音声録音機から、艶めかしい私の声が聞こえた。

 

「ツンデレ?」

 

「悪い?」

 

「好きにして良いのか?」

 

「出来る物ならねっ!」

 

近づいて来た彼は、私の腕を掴むと、素早く背後に回り、親指2本だけを拘束した。無理にはずそうとすると、骨が折れる拘束方法である。

 

「ちょっと…ヒロ君、シャレにならないよ~」

 

これって、スパイ映画とかで見る拘束方法だよな。

 

「好きにして良いんだろ?」

 

「そうだけど…これは、あんまりだよ~」

 

「どうされたい?」

 

「優しくして♪」

 

「今更?」

 

えっ?マジで怒っているんじゃ…

 

「怒っているよ。予定外の徹夜続きだよ。仕事のスケジュールってもんがあるだろ?」

 

マズい…乱暴に扱われそうだ。私は抱えられて、段ボール箱に詰められて、封をされたようだ。出られないじゃん。

 

 

どこかに運ばれて、封を開けてくれた。ここは?

 

「1週間くらい、静かにして欲しいから、僕が飼う。いいな」

 

飼う?意味が分からない。箱から出されて、周囲を見ると見覚えのある部屋のようだった。

 

「トイレも風呂もある。食事はそれなりの物を1日3回与える。1週間後に迎えに来る」

 

そう言うと、彼は出て行った。ここって、どこ?見覚えのある部屋なんだが…どこだっけかな?窓から見える風景に驚愕した。お城の中の中庭…ゲーム内の私の家だ…どうやって、ここに連れ込んだんだ?

 

『ごめんなさい…反省しています…好きにしていいから、助けて、ヒロ君』

 

って、念じると、テストルームのソファいた。ジャケットに入れていたスマホで時間を確認すると、あれから1週間も経っていた…

 

程無くして、ドアが開き、ヒロ君が顔を覗かせた。

 

「美里さん、疲れていたんだね。1週間眠りっぱなしだったよ」

 

って…え~

 

「そのソファは寝やすいよな。僕もこの前3日位、眠りっぱなしだったもん」

 

って、はにかむ彼。そんな彼の胸に飛び込み、抱きつき、彼の胸に顔を埋めた。

 

「怖い夢を見たよ~」

 

「そう?そんな風には見えなかったけど」

 

って、私の寝顔コレクションを見せてくれる彼。いつの間に…

 

「新開発のカメラのテスト。対象者が寝返りを打つ度にシャッターが切れるんだよ」

 

あっ…洋子さんがセットしていた撮影機材って…

 

「美里さん、最近おかしいよ。病院に行った方が良いと思うよ」

 

彼が私の頭を撫でながら言った。

 

 

 

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