新天地
---ヒロ---
久しぶりの企画会議…眠い…長い説明などが子守り唄に聞こえる。
「ヒロさん、寝ちゃダメですよ」
第二の企画部リーダーに起こされる。気持ち良い眠りだったのに…
「で、始まりの街と最後の街にリンクポイントを設けて欲しいと、スポンサーから要望が出ている。水谷君、頼むぞ」
は?何…?
「どういう意味ですか?」
役員から寝耳に水な話が飛び出た。
「リンクポイントは2つ。あと、パラメーターも共通化が望ましいと、スポンサーからの要望だ」
更に、暴挙に思える話…
「え?別のゲームですけど…」
「スポンサーの要望を叶えるのも、仕事だよ」
「無理です。今更パラメーターの変更なんって。それに僕が第一スポンサーのはずですが」
「あぁ、それか。社員がスポンサーって言うのは良くないので、君の出資分は全額返済する。スポンサーは共通にした方が、一貫性のあるゲームになるだろ?第二の方は新天地扱いにする。もちろん、新天地だけでも遊べるようにして貰うぞ」
横暴…スポンサーの一人である美里さんに睨みを入れる。が、彼女は僕を見ないようにしていた。そして、会議終了後、第二の運営、企画の両リーダーに小言を言う。
「リンクポイントは良いとして…どういうことだ?パラメーターの共通化って…」
「ヒロさんのお怒りはわかりますが、第一の方のプレイヤーからの要望が、多数来ていまして…スポンサーがそれならって…」
「別物のゲームだぞ…はぁ…設計し直しの上、組み直しだ。時間ロス分はどうするんだ?」
「すみません」
コイツらに怒りをぶつけても、決定事項はチャラにならんしなぁ…はぁ~
◇
アルファーチームの部屋に戻った。
「聞いたよ。横暴だよね」
洋子も憤慨していた。
「怒っても解決しないし、サラリーマンのつらいところかな。抜け道を考えるよ。どうするかな…」
凹み気味の僕は、組み直しを避けたいので、抜け道が無いか、設計資料に目を通していく。
「そうか、ランク制があるから、レベルは考慮しなくて良いんだよな。向こうから、リンクで飛び込んだら、ランク0レベル1での開始にすればよいのか。STR,DEF,HP,MP,AGIは生かしておいて、ジョブ系は1から学んで貰うにしょう。後、隠しボーナスの取得権利も無しだ」
「ステータスが有利すぎませんか?」
つばさから質問が出た。
「有利にならないように、ダンジョンに工夫をする。例えば、ほら穴のダンジョンでは、天井高が低い設定にして、短い剣類、短刀とか、ナイフで無いと使えないとか」
「さすが、ドエス仕様♪」
洋子がメモを取っている。
「あと、新天地では魔法の大系が違い、向こうの魔法は使えないとか」
「ほぉ~ドエスに磨きが掛かっているな」
洋子のメモ書きは止まらない。
「なので、ジョブは新たに学ばないと、使い物にならない。ステータスの優位性はあるから、そこそこ行けるだろうけど。後、4番目の街のクエストは、平原戦で、敵を100匹倒さないとダメとか。あと、生産スキルも、材料、食材が違うから1からとか」
「そうなると、共通パラメーターを基本ステータスだけにするんですね?」
あずさから、質問が来た。
「全部のパラメーターを同じにしたら、第二の独自性が消える。それだけは死守する。見えるパラメーターだけを共通にするんだ」
「そうね。ランク制がある限り、ランクアップの度にレベルが1に戻る仕組みは生きているし。辛いだろうな、基本パラメーターだけが高くても」
洋子が楽しそうにメモ書きをしている。
「つばさ、アルファーテストはどこまで行った?」
「三番目の街です」
「あぁ、ほら穴か…今日中にプログラム変更するから、アウトして」
「了解です」
「洋子、限定100名を1番目の街にベータ招待して」
「向こうからだよね?」
「もちろん♪」
---ツヴァイ----
運営から新天地へのベータテスト案内が届いた。ギルドの主要メンバーとアースに確認すると、カザミネ以外に届いたようだった。
「アース、どうする?」
サバイバル能力の高いアースに打診した。
「う~ん、行きたい気持ちと、怖い気持ちが半々かな?」
「これって、素手の街では無いんだよな?」
レイジが訊いて来た。
「新天地ってあるから、違うだろうな。噂の新ゲームとのリンクじゃないのかな」
掲示板で新ゲームの噂があれこれ流れていた。一部ゲーマーがリンクして遊べるようにして欲しいと要望を出したとか。
「行ってみるか…」
俺は呟いた。
「じゃ、自分も行こうかな」
アースが手を上げた。
「他には?ミリーはどうするんだ?」
エフとリアル友の彼女にきいてみた。
「え?う~んっとね~行こうかな~」
「レイジとコンポタは?」
「付いて行くよ」
レイジが代表して答えた。
「ロナは?」
「カザミネ君一人だと、暴走するとマズイでしょ♪」
居残りだな。
「じゃ、俺とアース、ミリー、レイジ、コンポタでベータに参加しよう」
---美里---
ログアウトをして、ボンヤリしている。ヒロ君、怒っていたよな。あぁ、私の意向じゃないんだけど…会議での重役からの無茶振りに、怒りを見せていた彼。報復されるのかな?少し期待している自分に、驚く。私はエムじゃないのに…なんでかな?
スマホの着信が鳴り、出てみると、第二の運営リーダーからだった。
「ヒロさんは、更にエス度をあげたみたいです」
「えっ?どういうこと?」
「基本パラメーターを共通化したようですが、罠がいっぱい…」
「罠?基本パラメーターが意味をなさないの?それは抗議しないとダメかな」
「抗議は無駄です。独自性は確保する条件を、重役に取り付けたようです。交換条件のようなものです」
「どういう罠?」
「すみません。『それはプレイして愉しんでくださいね』」
途中から、声がリーダーの声じゃなくなった。スマホの通話は切れていた。では、声はどこから?
『報復を期待するって、エムですよね~美里さん』
え…振り向くが誰もいなかった。ヒロ君…?気配は感じられない。幻聴?
---ヒロ---
「出来ましたか?」
つばさの声で目が覚めた。もう朝だ~久しぶりに、PCの前で寝ていた。なんか、損した気分だ。
「出来た…テスト頼む」
仮眠室にゴーだ。仮眠室で横になると、直ぐに意識は薄れて…騒がしい声で目が覚めた。
「ヒロ君に会わせて!」
「はぁ?あなたのせいで、彼は徹夜作業よ。予定には無いねぇ!」
うん?洋子と美里さんがヤリ合っているのか?仮眠室から出る。
「洋子、どうした?」
「このスポンサー様が、会いたいそうよ。ゲームについて、改善して欲しいって!」
「はぁ?まだ、改善するの?」
「ジャンプした先に罠があるって耳にしたんです」
「誰からの情報?」
罠では無いけど、社外秘なのに、社内に内通者がいるのか?
「言える訳が無いでしょ?」
「申し訳ないが、ゲーム内容についてはノーコメントだ。あと、美里さんのアルファーIDは削除した」
「それで、インが出来なかったのね?」
「ゲームの初期設計についてアレコレ言う人に、アルファーテストをして欲しくない。はっきり言って不愉快です。決定事項を根底から覆すなんて」
「根底?」
「そうです。第一のゲームとは別のゲームって存在でした。それが、第一の一部に編入、パラメーターは共通って…設計段階で言って欲しい無理なことを、平気で言うんですから」
「それは、そういう要望が多かったから。ユーザーの要望を入れるのは必要でしょ?」
「ですので、昨日時点のあなたからの要望は、処理終わりました。それ以上に変更を要求するのが信じられない」
「ワンモアからのプレイヤーが、不利にならないようにして」
「それしちゃうと、アルフガンを初めからプレイする者にとって、不利になると思うんです。いいですか?本来は別のゲームなんですよ」
「それは…」
「洋子、重役に掛け合ってくる」
僕は、重役室に向かった。そして、重役にどういうつもりかを聞いた。しかし、今日の件は重役も知らなかったようだ。
「昨日の条件で良い。スポンサーの言う事に惑わされないで良い。先程はスポンサーがいたのであぁ言ったが、私も君のゲームのファンでね、今回のエス度楽しみにしている」
と、大株主の鷲尾ヤマトさんが言ってくれた。そうだよな。ここの重役や大株主って、僕のゲームファンが多いから、僕を入社させたんだった。重役室を出ると、美里さんが待っていた。
---美里---
重役室からヒロ君が出て来た。
「何ですか?まだ、何か?」
「ちょっと、来なさい」
彼を社外から連れ出し、車の助手席に座らせて、運転席に私は乗り込んだ。
「ここなら、本音が言えるわ」
「本音?」
「そう、あのリクエストは私の意向では無いの」
「でも、美里さんを含む、スポンサー陣の要望ですよね?」
「それはそうですが…」
言いかけた瞬間、異変が起きた。ヒロ君が消えてしまった。どこへ?周囲を見るがいない。車内から音も無く消えるなんて有り得ない。
また、仮想世界にダイブしたの?目を閉じて、夢なら醒めてと念じて、目を開くと、医務室にいた。
「疲労ですよ。ヒロさんがここまで背負ってきてくれましたよ。廊下で倒れていたそうですよ」
と、看護師さんに言われた。
---ファントム---
アイテムボックスから精霊のアプロを出した。
「頼むぞ、アプロ」
「たぶん、向こうでも制御が出来ると思う」
僕は、エル、ルイさん、ドライグ、ライカを連れて、リンクポイントに向かった。リンクポイントはファストの街の奥にある祠の中にある。
「じゃ、新天地に行くよ」
「どんな場所なの?」
エルが不安そうに聞いてきた。
「冒険が出来る場所だよ。そこに、僕達の家を作るんだよ。嫌なら、ここに残って欲しい」
僕は一歩踏み出した。ドライグとライカとルイさんは追従したが、エルは…
「行きたいけど、怖いよ~どうしよ~」
「エル、ここに残ってアースと旅をするのも手だよ。その場合、僕はエルと添い遂げることは出来ない。ごめんな」
僕の背中に抱きついたエル。
「ねぇ、わがまま言っていい?踏み出せない私を背負って行ってくれる?」
「わかった。後、新しい仲間を紹介する。精霊のアプロだ」
「精霊のアプロです。よろしくね♪」
その声を聞いたライカが、
「えっ!女神様…なんで?」
しまった…声まで気が回らなかったよ。ライカが正体に気づいてしまった。
「ファントムと一緒に居たいから♪あなた達と同じです。あぁ、向こうでは女神って呼ばないでね」
「おい、エフ…お前、マジに女神様の…」
ルイさんの顔から血の気が失せていた。
「だから、彼女は精霊のアプロだ。間違わないでね。じゃ、行こうか」
祠の中にある魔法陣に入ると、僕らは光に包まれた。そして、光が霧散していくと、アルフガンの始まりの街に出た。
「ここが新天地?」
「そうだよ」
背負っていたエルを降ろして、先頭を進む僕。取り敢えず、街を案内して回る。
「何かのジョブに就かないといけないの?」
広場にあるお知らせを読んで、内容を理解してくれたエル。
「そういうこと」
「ファントムは何のジョブ?」
「僕は精霊使いだよ」
「う~、私はどうすれば良いかな?」
あっ、弓使いってジョブを作るのを忘れていた。どうするかな…そうだ、プログラムを書き足していくリアルな僕。そして、ワンモアからNPCを、同意の上で連れて来られれば、NPCは精霊となり、連れてきた者は妖精使いになるように、書き換えた。
「みんな、精霊ってことで♪今までの戦闘方法で大丈夫…だけど、エルは矢を作らないと…」
「あぁ、そうだよね。矢が無いと撃てないよね…」
「木工スキルをみんなで学んで、矢を量産しよう♪」
道具屋でノミを6本買って来た。
「えっ?私も参加?」
アプロが驚いたような声を出した。
「そうだよ。もう女神ではなくて、エル達と同様の精霊だもん♪」
「しまった~」
アプロが後悔しているようだ。その姿に、エル、ルイさん、ライカが苦笑いをしている。それから、材料を買って宿屋にイン。
宿屋にはヴィヴィとバサ姉とマヤが待機していてくれた。これからの冒険の仲間になってくれる。三人もエル達に紹介をして、ギルマスを僕にして、ギルドを結成した。そうだ、ギルドマスターが他のギルドに加入したら、吸収合併になるようにしようかな。
そして、エルとルイさんの部屋で矢作りを開始。バサ姉とヴィヴィはマヤの強化をしに行った。
---ヒロ---
ログアウトした。
「お疲れ様です♪」
あずさが、僕達に労いの言葉を掛けてくれた。
「エル達を精霊扱いかぁ…弓使いを作り忘れたのを隠す為じゃないの?」
洋子に見透かされていた。苦笑いして返す。
「まぁ、NPCにジョブを仕込むのは難しいから、良い判断だと思うわ。ドライグなんか、適合する職業がドラゴンしかないものねぇ~」
DQではそんな職業ありましたね。いや、あれは職業になるのかな?
「あと、ギルマスが他のギルドに加入したら、吸収合併されるようにした」
「了解です」
洋子とあずさがメモを取っている。
「リンクテストは、まずまずだな」
データ画面を見て、データに乱れが無いかをチェックした。大丈夫そうだ。そうだ、アルファーテストで使用してきたファントムのデータを現在のファントムに融合させて…
「それって…」
洋子が何かを言いかけた。
「プログラマー特権ってことで♪そうだ、顔を元に戻しておこうっと」
アバターエディターで醜い顔を元々の顔に戻した。
「で、次回はどうするの?」
「矢を作り置きして、ドライグをポーターにして運んでもらう」
「サブアカはどうするんですか?」
バサ姉に聞かれた。
「ワンモアで何か遭ったときにあっちで使う。ファントム達は急には戻れないからね」
「なるほど」
---美里---
リンクテストは成功したようだ。アルファーチームの部屋に向かうと、入室を拒否された。
「いくら、スポンサーでも、ダメだ。リンクテスト成功の件も社外秘なのに、漏れているのは会社的には由々しき問題だよ」
「私はスポンサーなのよ」
「社外秘ってそういう物だよ。入室はお断りだ。この部屋には、社外秘なデータが一杯あるからね」
「私を信用していないの?」
「信頼していないだけだよ」
ヒロ君はいつになくそっけない。
「何かを隠しているの?」
「じゃ、美里さんは、さらけ出してくれるんですか?」
何を…さらけ出すの…怖くて聞けない。
「そうですか、さらけ出してくれるんですか」
ちょっと…話を進めないで…
「では、どうぞ♪」
手を引っ張られて、部屋に入れられた。いつもと変わりの無いアルファーチームの部屋。しかし、みんなの視線が刺すように痛い。
「で、何を知りたいんですか?女王様♪」
ヒロ君の手にはチョコレートの粒が…鼻の中に入れられて、吸い込んでしまった私。
「何を…隠して…いる…の…」
悶々としてきた。マズい、逃げないと。ドアの前には、洋子さんがいて、逃げられそうもない。
「どうするの?」
「奥の部屋に連れて行って、ヘッドギアが良いかなって♪」
「わかった、撮影機材を準備するね」
ヒロ君と洋子さんが何かを画策しているようだ。私は、ヒロ君に奥にあるテストルームに連れて行かれた。そして、ソファーに座らせられて、ヘッドギアを装着され…この間、何も抵抗が出来ない私。されるがままである。ジャケットは脱がされた。
「ジャケットは皺になると、後が大変なので、こちらに置いておきます」
遠くでヒロ君の声をが聞こえた…気がした。
目の前と左右に、撮影機材が置かれ、意識が飛んだ。
◇
ここは?真っ黒な空間。何も見えない。何も聞こえない。
『さらけ出してごらん。本当の姿を』
脳裏に声が響く。誰の声だろうか?思い出せない。さらけ出す?身に着けている物を脱いでいく。
『さらけ出してごらん。本当の姿を』
欲しい…お願い…ヒロ君…好きにしていいよ…意識が遠くなっていく。
目が覚めると、倉庫で寝ていた。服はちゃんと着ている。また、意識が仮想世界へと飛んだのか?部屋から出ようと、ドアノブに手を掛けると、鍵が掛かっていて開かない。閉じ込められたのか?防音ルームのため、部屋の外の音は一切聞こえない。静寂が支配した空間であった。
ドアが開くのをひたすら待った。そして、
「どう?反省した?」
ヒロ君が顔を見せた。
「反省?何に?あなたたち、私にこんなことをして、タダで済むと思わないでよね!」
「はぁ?仕事のジャマをしたのは、そっちだろ?反省が無いのか?」
『欲しい…お願い…ヒロ君…好きにしていいよ…』
彼の手にした音声録音機から、艶めかしい私の声が聞こえた。
「ツンデレ?」
「悪い?」
「好きにして良いのか?」
「出来る物ならねっ!」
近づいて来た彼は、私の腕を掴むと、素早く背後に回り、親指2本だけを拘束した。無理にはずそうとすると、骨が折れる拘束方法である。
「ちょっと…ヒロ君、シャレにならないよ~」
これって、スパイ映画とかで見る拘束方法だよな。
「好きにして良いんだろ?」
「そうだけど…これは、あんまりだよ~」
「どうされたい?」
「優しくして♪」
「今更?」
えっ?マジで怒っているんじゃ…
「怒っているよ。予定外の徹夜続きだよ。仕事のスケジュールってもんがあるだろ?」
マズい…乱暴に扱われそうだ。私は抱えられて、段ボール箱に詰められて、封をされたようだ。出られないじゃん。
どこかに運ばれて、封を開けてくれた。ここは?
「1週間くらい、静かにして欲しいから、僕が飼う。いいな」
飼う?意味が分からない。箱から出されて、周囲を見ると見覚えのある部屋のようだった。
「トイレも風呂もある。食事はそれなりの物を1日3回与える。1週間後に迎えに来る」
そう言うと、彼は出て行った。ここって、どこ?見覚えのある部屋なんだが…どこだっけかな?窓から見える風景に驚愕した。お城の中の中庭…ゲーム内の私の家だ…どうやって、ここに連れ込んだんだ?
『ごめんなさい…反省しています…好きにしていいから、助けて、ヒロ君』
って、念じると、テストルームのソファいた。ジャケットに入れていたスマホで時間を確認すると、あれから1週間も経っていた…
程無くして、ドアが開き、ヒロ君が顔を覗かせた。
「美里さん、疲れていたんだね。1週間眠りっぱなしだったよ」
って…え~
「そのソファは寝やすいよな。僕もこの前3日位、眠りっぱなしだったもん」
って、はにかむ彼。そんな彼の胸に飛び込み、抱きつき、彼の胸に顔を埋めた。
「怖い夢を見たよ~」
「そう?そんな風には見えなかったけど」
って、私の寝顔コレクションを見せてくれる彼。いつの間に…
「新開発のカメラのテスト。対象者が寝返りを打つ度にシャッターが切れるんだよ」
あっ…洋子さんがセットしていた撮影機材って…
「美里さん、最近おかしいよ。病院に行った方が良いと思うよ」
彼が私の頭を撫でながら言った。