主僕契約
迷宮が、地上や海の至る所にある世界。迷宮を探検しようと人々が集まり、集落が出来て、街となり、その地域は栄える。しかし、迷宮の全貌が解ると、人々の興味は他の迷宮に移り、集落は寂れて、廃墟となっていく。
そんな廃墟迷宮が、この世界には点在しているが、その一方、全貌がまるで解らない巨大で難解な迷宮の近くには、その迷宮を解き明かすために、様々はジョブのギルドができ、更にはギルドをまとめた探検者育成用の迷宮学園ができ、その学園を中心にした迷宮学園都市なる物も出来ていた。
とある廃墟迷宮の近くにある集落に住むジムは、興味本位で廃墟迷宮を探索するのが日課だった。探検しない者は迷宮のある都市に住まずに、こういった廃墟迷宮に集落を作り、地産地消で生活していた。
ジムのような地位もお金のない者は、迷宮学園に入れなかった。入学する為のテストを受けるにも、授業を受けるにもお金は必要だったし、地位がある家系であれば、優待生として無試験で入学できた。
当のジム自体は廃墟迷宮であっても満足だった。廃墟ではあるが、探しきれていないお宝も残っていて、たまに来る行商人の人達に買ってもらえて、集落に貢献が出来ていたからだ。そのおかげで、錆びた武器や防具を拾って来ると、集落の人達は喜んで、修理をしてくれた。
集落の人の中には元冒険者の人もいて、廃墟迷宮で拾った巻物、書物の説明をしてくれて、それなりに勉強は出来る環境であった。時には行商人や旅の人に、色々な知識や装備品、時には能力を貰うこともあった。なので、簡単な呪文や魔法を覚えることも出来、除々に深くまで潜れるようになっていた。
ある日、ある階層で一体の死体を見つけた。魔物に襲われたのだろうか?頭は無くなっていた。迷宮内で見つけた死体を、ジムは出来る限り葬る様にしていた。こんな場所で死んでしまった無念さが、分かるような気がしたから。
この日も、死体を葬るために木の箱に移そうとした時、二振りの刀を見つけた。鞘から出すと錆びていない。一振りは神々しい光を放ち、もう一振りは禍々しい光を放った。見とれていたジムに声がかかった。
「「お前が今回の契約者か?」」
声のする方を見ると、二人の女性がいつの間に立っていた。
「契約者?」
「私は妖刀村雨に封印されている大天使ガブリエル」
「私は妖刀村正に封印されている魔王レヴィアタン」
「なんで、封印されているんですか?」
ジムは驚くこともなく、質問をしていた。
「おい、驚くところだぞ、そこは」
ジムの代わりに驚くレヴィアタン。苦笑しているガブリエル。
「驚く?なんで?あっ、少し待ってもらえますか?この人を葬らないと」
ジムは、死体を箱に入れて、炎の魔法と浄化の能力、で魂を天界へと誘っていく。そして、祈りを捧げていく。
「暖かいオーラですね。癒やしの能力ですわ。魂が安らかな気持ちで、昇華されていくのがわかります」
ガブリエルが、レヴィアタンに説明した。
一連のジムの儀式が終わると、二人の方に振り返った。
「で、契約って、なんのですか?」
「この刀の使い手になる契約だ」
「お願いします」
頭を下げるジム。呆れ顔のレヴィアタン。
「契約するってことは、死んだらお前の魂を食らうってことだぞ。いいのか?天国に行かなくて」
「うん?死んだ後のことは、考えていません。今は仲間が増えることの方が大事かなって」
ジムの無垢な心と屈託のない笑顔に、大天使と魔王は心を奪われ始めていた。本人達の自覚がないままに。
「では、契約成立ですね。私達はあなたが死ぬまで、あなたをサポートします。次に主僕の儀式をします」
「なにをするのですか?」
質問をするジムを他所に、全裸になる魔王と大天使。
「私達と契を結んでもらいます。あぁ、あなたは経験が、まだないんですね?では、私達がリードしますから、身体を楽にしてくださいね」
ガブリエルに言われる通りにするジムも、いつの間にか全裸にされて、二人の女性から、一人前に男になる行為を受けて行った。
「彼のオーラは大天使の私ですら、癒やされてしまいます」
ジムと交わるガブリエル。
「いや、魔王の私も癒やされていく。ささくれていた心が、素直になっていく感じだよ」
ジムと交わるレヴィアタン。
当のジムは感じたことのない快楽と脱力感を何度も味わった。まだ、性体験という概念がなかったから。
「これで、一連の儀式は終わりました。私達の力を使いたい時は、念じてください。そうすれば、武器にも防具にも実体にもなって、あなたの元に現れますからね」
笑顔のガブリエル。
「あと、お前が念じなくても、お前が危険だと判断した場合は、強制的に発現する。普段はお前の心にいるから、解らないことがあったら、心の声で話しかけてくれ」
満足顔のレヴィアタン。
二人共ジムの癒やしのオーラに堕ちていた。初めて、ず~っと一緒にいたい宿主と、巡りあった瞬間だったのかもしれない。