---グレイフィア・ルキフグス---
ドーン!ドーン!ドーン!
こんなに激しい突きは受けたことが無い。痛いのだが…痛さの後に気持ち良さが追いかけてくる。
ドーン!ドーン!ドーン!
一発一発が重い…まるで子宮にボディブローを喰らっている感じである。
ドーン!ドーン!ドーン!
喘ぎ声すら出ない。口元からヨダレが垂れている。心臓が苦しい…目の前が真っ暗になっていく。
「おいおい、死んでも終わらないよ。生き返らせて、何度でも、お前の身体に刻みつけてやる」
もう既に何度も蘇生され、拷問のようなプレイが続いていた。私の体内を突く肉棒は、聖属性オーラを放って突き上げている。内臓がボロボロになっていく。そして、心臓に達すると死神が迎えにくるが、私を迎入れずに、その場でレイプをして、鬼に引き渡していく。
そう…私達は鬼と死神の間で回されているのだ。
既に奥様であるヴェネラナ・グレモリーは、失神したまま目覚めない。
「まったく、お前の主は口だけ悪魔だな。底なしの性欲?身体が保たないって、役立たないだろうに」
精も根も尽き果てている奥様。下腹部が痙攣して、体液が流れ出ていた。
「で、味方になってくれるのか?」
夫である魔王サーゼクスを裏切れと迫る鬼。拒否した結果がこれである。地獄に私と奥様を連れ出し、無限プレイの刑だと言う。
「もう…ダメです…助けて下さい…せめて、奥様だけでも…」
「連帯責任だ。一人だけ返す訳にいかない。あぁ、リアルタイムでのロスタイムは10秒程度だよ」
そんな…下腹部だけを責める鬼…もう、鬼以外の者では楽しめそうにない。それだけの刺激が身体に刻み込まれている。
「どうした?」
「わかりました。仰せの通りにいたします」
遂に、私の心が折れた。鬼の責めすら感じ無くなってきた。きっと、次は胸をいたぶるのだろう。下腹部は他人に見えないが、胸はマズい。
「分かれば良い」
鬼は契約書を書いている。そこに書かれている文字を見て、驚愕した。この鬼…ただの鬼では無い。神格文字での契約書だと…
「お前と、お前の主の血判を以て、契約を締結する」
契約書が蒼い炎を上げ、燃えて消えた。彼は神との契約書である。
「グレイフィア…神との契約を破ると、一族郎党へ及ぶ。せいぜい、注意しな!」
次の瞬間、奥様の部屋にいた。何事もなかったように。ただ、下腹部が痛い。現実に起きた証拠である。
---鬼門大樹---
毎週1回、深雪さんに家庭教師をしてもらっている。現代魔法師と魔法使いの違いが分かってきた。祖父の教えたかったことは、そこのような気がする。CADというデバイスを用いて術を発動する現代魔法師。長い呪文ならば、CADの方が速く発動出来るが、簡単なものは魔法使いの方が発動が速い気がする。更に言及すると、能力として発動出来る僕や祖父のような場合、CAD使いに負ける気がしない。
「深雪さんは、詠唱とか呪文で、魔法は発動出来ないのですか?」
疑問を解くために、質問をしてみた。
「CADが無いと発動はできないわ。それが現代魔法師のメリットであり、デメリットなのよ」
そうなんだ。深雪さんは分かっているようだ。ただ、方法がそれしか無いのようだ。
「お前はCAD無しで魔法の行使が出来るのか?」
今だに狩るような視線で僕を見る達也さん。シスコン過ぎるのか、僕への嫉妬心が半端ない。
「魔法とは違うけど…能力としてなら行使はできます」
「うん?能力だと…実際に見せてみな」
「室内だと危険ですが…」
たぶん、家が破壊されてしまう。
「そんな威力なのか…わかった。戦闘のできる場所へ行こうか」
「お兄様…勝手なことはダメですよ」
深雪さんが、僕を護るように、間に入った。
「実力を知らずに、教えるのはどうかと思うぞ、深雪!」
「それは…」
◇
同じ八王子市にある破軍学園の闘技場へ移動した。達也さん、深雪さんはバイクで、僕は深雪さんの後に載って…
「ここなら、強度もあり、問題は無い」
ギャラリーもいる。この学園の生徒会とか先生らしいけど。
「さぁ、見せて貰おうか、お前の能力を!」
『クリムゾンモード』を発動した。深紅の装備が僕を覆っていく。
「なんだって…」
「いやっ!」
後から誰かが斬り掛かってきた。殲滅の盾で防ぐと、接した刃先がロストした。
「そんな…」
「もう!やめっ!能力を解除してくれ。ここが壊れると困る」
見るからに老人の人に言われたので、能力を解除した。
「今の能力はなんじゃ?」
「滅っする力を装備として具現化しました。触れた物総てをロストさせます」
「そんな能力があるのか…う~ん…単純に剣技を見たいが、出来るか?」
「はい」
ナイトクロウガントレットを装着した。そして内蔵してある聖なるナイフ2振りを手にして構えた。
「短剣使いか…これは面白い。黒鉄一輝よ、相手をせぇ!」
「はっ!」
構えからして、侍系の流派のようだ。木場さんとの鍛錬が役に立つかな?
刃を交えて、わかったこと。僕と同じ複合流派のようだ。色々な流派の構え、技を繰り出してくる。受け流し、時にはトリッキーな動きで間合いを詰めて行く。
『骨を切らして肉を断ち切れ!再生能力持ちの強みを生かせ!』
祖父からの念話だ。なるほど、チートではあるが、それが僕と祖父だけに出来る戦い方だな。
敢えて、隙を作り罠を張った。相手はその隙を見逃さない。僕もそのチャンスを見逃さない。
「勝負あり!勝者鬼門大樹…」
右腕を斬り落とされた。だけど、僕は相手の首元にナイフの刃を当てている。
「大樹君!大丈夫?」
深雪さんが心配そうに駆け寄って来た。
「大丈夫だよ。再生能力持ちだから」
斬り落とされた腕は霧散して消え、僕の腕に戻って来た。
「再生能力持ち?チートだね、大樹君」
深雪さんに抱きつかれた。役得かな?
「おい!深雪から離れろ!お前は何者だ?!」
深雪さん以外の者達の僕を見る瞳に、恐怖が宿っている。あぁ、人間は再生能力が無いのか…う~ん、困ったなぁ。
「僕は鬼門大樹。それ以下でもそれ以上でも無い」
「人間では無いのだろ?!」
「種族は不明だよ。僕にも祖父にも分からない」
「祖父?」
あぁ、来ちゃったかな…空気の質が変わった気がする。
「僕の孫がどうした?」
ラスボス様が降臨してきた。僕に抱きついている深雪は、問題無いみたいだけど、他の者達は腰が抜けたみたいだ。
『深雪は、大樹の癒やしの能力で護られている』
祖父からの説明。なるほど…
「で、大樹からケンカを売ったのではなく、お前達から売ったんだよな?」
ミシッ!
祖父の怒りは建物すらビビらせている。
「で、負けたら、化け物呼ばわりか?だから、人間は醜く、愚かな生き物なんだ。大樹よ、覚えておけ」
あぁ、祖父の口癖だったね。勝者を敬う事が出来ないのは、醜い心の為せる業か?
「お前らは何者じゃ?」
「他人に名前を訊くときは、まず名乗るものでは無いのか?『闘神』南郷 寅次郎よ!」
確かに、祖父の言うことは正しい。
「多種族を見下すし、上から目線なのも、人間の特徴だよ」
なるほど…祖父の人望が厚い理由はそこか。どんなにエラくなっても、種族差別はせずに、平等な立場に立つ。だから、高飛車な人間相手の場合、高飛車に接するのか。
「さて、帰るか。大樹、彼女を送れ。彼女のバイクは僕が送っておく」
「お願いします」
転移術で、深雪さんを深雪さんの家へ送り届けた。
---司波達也---
家に帰り、叔母へ連絡を取った。叔母は四葉家の現当主である。
「どうしましたか、達也さん。顔色が悪いようですね」
「代羽家は何者なんですか?人間では無いですよね?」
「あら?達也さんが、そのようなことを気にするとは…ふふふ」
叔母に笑われた。何故だ。
「あなただって、人間では無いんですよ」
叔母の続く言葉に、耳を疑った。俺は人間では無い?
「一人で2つの能力を、人間が持てると思いましたか?」
俺の能力は『分解』と『再構成』の2つある。
「俺は何者なんですか?」
「人造魔法師ですよ、達也さん。ついでに言うと、深雪さんは、あなたの為の完全調整体なんですよ。ふふふ」
楽しそうに悪夢のようなことを言う叔母。俺と深雪は人間では無かったのか…
「だから、代羽の者を悪く言うのは、お門違いです。彼らは四葉にとっての救いの神なんですからね」
神…滅する力…破壊神か…
「神と手を握ったってことですか?」
「それはどうかな。ふふふ」
楽しそうな叔母。こんな叔母の表情は初めて見る。
「これからは、よく考えて行動してくださいね」
叔母との通信が切れた。
---鬼門大樹---
黒鉄一輝との対戦での反省を踏まえて、ヒナタさん、ミトさんと剣の鍛錬をする。今日使った手は奥の手だと思う。祖父は前線が多いので、奥の手の連続なのかもしれないが、僕はもっと、応用剣技を極める方向にした。
「剣筋の流派が途中で変化するんですよ」
千葉流の構えから剣がスタートし、斬る瞬間に北辰流に変わるなど、トリッキーな複合流派であった。
「そうなると、動体視力を鍛えて、刃面から目を逸らさないようにするしか無いわね」
って、ヒナタさん。ミトさんが誰かに連絡をしている。暫くすると、ナイフ使いのフレイさんが転移してきた。
「ナイフ2刀流を叩き込んで欲しいんだ。私達はナイフ術が詳しく無いから」
「了解です。ナイトクロウガントレットなら、拳で刃面を叩くのも有りだよ」
なるほど。ナックルガードが付いているのは、その為だったのかな。
「今、ジムさんを呼び出したから、制作者から、聞くのが一番だよ。ジムさんもナイフ使いだし」
こうして、ナイフ使いとして、鍛錬を積み始めた。
◇
他の流派を学ぶことも大事という祖父。千葉道場へと連れて行かれた。また、習い事が増える予感…この千葉道場は、侍達のいた時代の千葉道場の流れの1つで、現代魔法師としての剣技に分派した流派らしい。
「鬼門大樹です。よろしくお願いします」
見知った女性の幼い顔がある。そうか、ここは千葉エリカさんの実家なのか。祖父の仲間のエリカさんは、不幸な事故に遭い、サイボーグとして生きている。
「大樹って言うのか。なら、まず、私が相手をしてあげるわ」
短剣状の木刀を2本取りだし、手に持って構えた。
「短剣使いなのか?お前は、剣を舐めているのか?」
この世界のエリカさんは、短剣の怖さを知らないようである。師範、師範代が僕とエリカさんの手合わせに注目している。お二方は、短剣使いの怖さを知っている顔である。
勝負は直ぐに付いた。瞬動術で懐に跳び込み、1本で柄部分を抑え、もう1本を首元へ。
「勝負あり!勝者、鬼門大樹!」
「ズルい…あんなの剣術では無い」
まぁ、彼女の極めた剣術から見たら、トリッキーな剣術であるが、鬼門流というか、うちの流派はあんな感じなのだった。短剣の良い処…拳も有効活用出来ることと、ジムさんに習った。普通の剣で逆手持ちは、自分を傷つけてしまうが、短剣なら問題は無い。まぁ、今回は拳は使わなかったけど…
「エリカ!彼は実戦慣れしている。道場育ちのお前では無理だ。修次、次はお前が相手をしろ!」
師範が師範代に命じた。拳を使うかな?カバンから、ガントレットを取りだし、装備した。
「ガントレット持ちか…実戦経験有りなんだな」
籠手ではナイフの持ち替えが難しいので、愛用のガントレットも持って来ていた。流石に、真剣は使わないけど。
「なら、本気でいくぞ!」
師範代の剣撃は重いが、ミトさんクラスに比べたら軽い部類である。受け流していく。時にはガントレットで受け、押し戻したり。相手の隙が出来るのを待つ。
「流派の型に囚われず、実戦形式で良いぞ!」
師範から声が掛かった。ならば、楽かな?下半身のガードがなされていないし。強剣撃を押し返し、瞬動術を使い。水面蹴りで膝を撃ち抜き、首元に短剣の刃を…
「勝負あり!勝者鬼門大樹!」
「なるほど、オヤジ殿は気づいていたのだな。俺の下半身への警戒が薄いと…」
「修次よ、これが実戦だ。彼の剣技を伸ばしてやれ」
「あぁ…大樹、これからもよろしくな」
剣技が強くなれば、相手の下半身への警戒が薄くなると、祖父に習っていた。って言うか、最近の僕は祖父をリスペクトしているようだ。単なるエロジジィなだけなのに…不思議だ。隔世遺伝の為せる業なのか??