---レン---
アルフガンの世界へやって来た。確かに大男であるエムさんでは、辛そうなゲームである。ダンジョンの通路が狭い為、エムさんの動きは機敏では無い。
「エムは盾兼ポーターなんだよ」
ビトさん。確かにエムさんが先頭にいると、前方が見えない…倒れた時は全滅かもしれないし…って、銃使い3名では弾が足りるのか?全員、口径が違う為、弾丸の兼用は難しいし。
「おっ!前方に、別のパーティーがいる。ふふふ」
まさかPVPを仕掛けるのか?このゲームは、街以外でPVPをしても、ペナが無いらしい。まぁ、不意討ちの場合、得るものは相手の怒りだけらしい。無意味な行為ではある。但し、名乗り合ってのPVPの場合は、相手の経験値の1/10が貰えるそうだけど…腕試しって感じらしい。
って、ビトさんは、一人殺して、返り討ちに遭っているし…
「待って!私達はPVPを望まないよ~!」
「あれ?レンちゃん?」
知り合いのシオンさんがいた。
「シオンさん…すみません。ビトさんが…」
「あぁ、PVP好きなビトフーイかぁ」
って、キリトさんもいるし…
「あれ?フカじゃん」
「リーファ…なんで?」
フカも知り合いがいたようだ。
「まぁ、死んでもペナ無いし…問題は無いなぁ。クラインだし」
って、キリトさん。
「こっちのパーティーに来ないか?」
「ビトさんと相談してみます」
私達は街へと戻る。ビトさんを回収する為に…
---ビトフーイ---
こんなことになるなんて…相手に返り討ちにされると、私は別の場所に転移した。全裸にされ、大きなローラに固定された。腰が逆エビ反りにより悲鳴を上げていた。
「不意討ちはダメだろう?」
知らない男に襲われている。胸を揉みくしゃにされ、目の前に有り得ない太さの肉棒が差し出されてきた。無理…入らないって…
「濡れているなぁ。どれ、入るかな?」
うっ!痛い…肉が避けている気がする。
「あれ?穴が1つになったぞ」
有り得ない刺激…臍の下から突き上げるような刺激。殺される…
「殺さないよ。ここは地獄だよ。お前は既に死んでいる。なので、死んで逃げることは出来ない。不意討ちをしないように、心に刻んでやるよ。次やったら、臍を突き破るからな」
どんな刺激だろうか?
「狂う程度かな。臍から肉棒が産まれる瞬間が見られるぞ。今やるか?」
えっ!激痛…臍から血柱が上がり、何かが出て来た…
◇
目覚めると、服は着ていたが、ウィンドウを開くと…あのシーンがリピートして再生を繰り返していた。マジかぁ…臍が痛い…股が痛い…回復薬を飲まないと…エムはどこだぁぁぁぁ~!
霊安室から出る。股間が痛くてしゃがめない。裂けているのか…出血は無いようだが。
「ビトさぁ~ん!」
レン達の声…脂汗が垂れてくる。痛い…
「大丈夫ですか?」
レンに訊かれた。
「エ…ム…回…復…薬…」
その場に倒れた私。地面からの衝撃が全身を襲って来た。痛すぎる…
「ビト…回復薬だ」
マズい液体を飲み干す。
「ダメ…もう1つ…」
もう1本飲み干す。少し楽になってきた。
「まだまだ…」
3本目で、痛みが耐えられるレベルになったようだ。
「どうしたんですか?」
レンが心配そうに見ている。
「運営からペナだ…くそっ!ペナが有るじゃねぇか…」
当分、ウィンナーソーセージは食えない気がする。
---鬼門大樹---
アルフガン効果なのか?瞬動術に磨きがかかったようだ。修次さんの剣を受け流すまでも無く、避けられるようになっていた。
「1週間で、こんなに上達するのか?」
1週間は約1ヶ月半に相当するかなぁ…現代魔法学も、祖父の深雪さんと達也さんにアルフガンで教えて貰っている為か、理解度が上がっていた。三十路の司波兄妹は、分かり易い説明だし。
綾香叔母さんに訊いたのだが、祖父は僕よりも時間を有効に使っていたらしい。何億年過ごしても、リアルタイムでのロス10秒の世界で、生活を繰り返していたようだ。経験者談なのか、祖父の言葉は…
「大樹!お風呂、入って行きなよ」
って、エリカ…無茶されそうな予感。祖父のエリカさんには無茶され捲っているし。警戒をする僕。
「そんな、警戒をするなよ。何もしないから」
って、何故か一緒に風呂に入るエリカ。
「背中を洗ってやるよ」
エリカの身体は、脱ぐとスゴかった。出る処は出ていて、締まる処は締まっているし。
「おい!マジマジと見るなよ!恥ずかしいだろ」
頬と耳を真っ赤に染めているエリカ。で、背中を洗って貰った。
「なぁ、どこで、鍛錬をしているんだ?1週間であの上達はおかしいだろ?」
って、訊かれた。
「秘密の特訓ですよ。うちはスパルタだから…」
「私にも鍛錬させて欲しい」
って、背中に胸を押し当ててきた。気持ちがいい…立つ処が立つ僕。背中に胸を押し当てたまま、手で僕の…しごくエリカ。なんだ…どこで練習しているんだ?更に大きくなる僕の…
「なぁ、私にも鍛錬させてくれたら、もっと気持ちの良いことをして上げるよ」
これ以上気持ちいいと、三こすり半の世界になりそうだよ。
「わかった。祖父に相談してみる」
「うん?お爺ちゃんに鍛えられているのか?」
「祖父の弟子達にだよ~」
「お前の爺ちゃんは、師匠なのか?」
師匠…どうなんだろう。戦士の養成施設に関わってはいるけど…
---千葉エリカ---
大樹の爺ちゃん…見た目が高校生くらいに見えた。何者なんだ?私の頭に手を翳すと、
「これで、睡眠学習が出来る。まぁ、お試しで1週間コースだよ」
って…睡眠学習?
家に帰り、寝てみた。
◇
知らない場所に立っている私。ここはどこだ?目の前には街のような物が見える。あそこへ行けば良いのか?街に向かった。
「エリカ!」
街に入ると、大樹に声を掛けられた。
「ここはどこだ?」
「祖父の持つ戦士養成大陸のアルフガンだよ」
戦士養成大陸?何だ、それは…
「睡眠すると、ここへ強制的に精神が飛ばされるんだ。で、ここで得たスキル、能力はリアル世界に持ち帰れる。睡眠1時間に付き1日がここでは経過するんだよ。だから、1日8時間睡眠をすれば、1週間で56日鍛錬が出来る計算だよ」
ここは夢なのか?現実なのか?
「睡眠学習の場だよ。だから、夢より現実に近いかな?」
よく分からないなぁ。
「これ、エリカの装備だよ。祖父が用意してくれた」
装備を受け取り装備していく。ハーフメイルに剣のようだ。
「じゃ、ダンジョンへ行こうか」
ダンジョン?ゲームの世界か?ダンジョン内では魔物が出て来た。それを倒す私と大樹。
「なぁ、大樹。瞬動術を教えてくれよ」
「良いけど…足の裏全体で地面を掴んで、投げ付ける感じだよ。だから、裸足で練習しないとダメかな」
街に戻り、宿屋の裏庭で練習をする。う~ん、2,3歩は出来るようになったが、それ以上は足がもつれる。
「足の指を鍛えないとダメだな」
足の握力が弱いらしい。宿の部屋で、足で物を掴む練習をする。大樹は一人ダンジョンで剣術の鍛錬に向かったようだ。
◇
この世界は不思議である。夢の中の筈なのだが、睡眠を取らないと、翌朝には怠くなるんだ。夢の世界なのに、食事も必要だし。さすがにトイレは必要無いらしいが…
「トイレ?必要だけど、排出分は、肥だめに自動で、転送してくれているんだよ」
って、大樹。
「ゲーマー達はトイレに行く必要があるけど、僕達鍛錬者は必要がないだけだよ」
ゲーマーと鍛錬者の違いは?
「鍛錬者は体内にアルフガンの駒って呼ばれる、制御ユニットが埋め込まれているんだよ」
まさか、大樹の祖父が手を翳した時に、インプラントされたのか…
「で、ここでの鍛錬を無事に最後までやり遂げると、ドラゴンの駒を埋め込まれるんだよ」
最後まで…
「どの位かかるんだ?最後までって…」
「分からない。膨大な時間が掛かるらしいよ。卒業者は数が少ないらしいし」
「私達以外にも鍛錬者って居るのか?」
「どうだろう。ここにはいないのかも。ここって、オリジナルじゃなくて、コピーワンって、言っていたし。オリジナルは、当面受け入れは出来ないそうだよ」
オリジナル…ここと同じ世界があるのか…
---キリト---
う~ん…レベル50が遠い…飽きる…そうか、だから名乗りあってのPVPが有るのかもしれない。経験値が多く稼げるから…街の広場へ行くと、PVPのマッチングシステムがあった。これで、対戦相手を探すようだ。相手は違うギルドで、大体、自分と同じ位のレベルの者だそうだ。マッチングシステムを使ってみた。
対戦可能者リストが表示された。自分より下のレベルの者は、滅多に表示されないらしい。弱い者虐めになるからだろう。で、戦いたい相手をクリックし、相手が同意すれば、専用フィールドに転移してPVPが出来るらしい。
ナイフ二刀流という人が表示された。クリックすると、別のフィールドに転移した。
『これより、ナイフ二刀流の大樹、剣使いキリトの対戦を始めます』
と、アナウンスが入った。そして、目の前に相手が現れ、カウントダウンが始まった。相手は僕よりも幼そうな少年であるが、腕にはガントレットを嵌めていた。コイツ、強そうだ。
『ゴー、バトル』
目の前の少年の動きが早い。剣で斬り掛かるが避けられて、膝カックン攻撃でバランスを崩されて…霊安室で目が醒めた。
う~ん…新鮮なバトルである。NPCでは思いつかない生の攻撃を受けた気がする。背後を取られて、膝カックンとは…精神ダメージが大きいなぁ。
◇
「何?キリトがやれたと…」
夕食の席で初の正式なPVPの結果を、みんなに報告した。驚くみんな。
「動きが早くて、背後を取られて、膝カックンだよ…精神ダメージがデカいよ」
「キリの字の背後を取ったのか?AGI振りのキャラか?」
「あっ!それって、大樹君だと思う」
って、レンさんが声を上げた。大樹君?
「って?」
「この前、ビトさんがまたやらかした相手。ソロだったから、いけると思ったんだろうけど、返り討ちにあったの。銃弾を総て避けて、股間に蹴りを入れて、蹲った処を首元を斬り裂いてね」
「ビトの攻撃を避けたのか?」
「ショートレンジのマシンガンだったのよ。なのに、避けられていたんだ。で、ビトさんが消えた後、私とフカで彼に謝って、仲良くなったと言うか」
ビトのショートレンジは殺傷力を上げる為、1秒間に10発撃てたはずだ。それを総て避けたのか…動体視力も良いのか。
「よし!私がキリト君の仇を討つ」
って、アスナ。アスナの高速剣技なら行けるのか?
「レン、その彼のランクは?」
「私達と同じランク0だよ」
ランク0同士でも、差があんなに出るものなのか…
---アスナ---
広場のPVPマッチングシステムをしてみた。リスト表示が出る。ナイフ二刀流って言っていたなぁ。えぇっと…あっ、この人かな?他にナイフ使いはいないし。クリックすると、別のフィールドに転移した。
実際に戦ってみると、確かに手強い相手であった。エスっ気があるのか、直ぐには屠らないようだ。私の剣撃を受け流し、抱きつかれたり、胸を揉まれたり…
「セクハラ攻撃?」
「いや、女性に飢えているかも…ソロなんで…」
HPの減りは無いが、スタミナが切れてきた。スタミナはゲージに表示されない。こまったなぁ。スタミナ0になったら、喰われるのかな…それは避けたい。でもHPの減りが無いんで、安楽死も出来ない。
「どうしたんですか?呼吸が荒いみたいですよ」
限界が近いかな…そうだ、『マザーロザリオ』は使えるかな?16連撃の技。それしか、無いか。マザーロザリオを起動した。
一気に彼の前に進み出て、剣撃を放っていく。しかし、巧みにナイフを使い、避けたり、受け流したりしている。マズい…そして、後を取られた。背中越しに胸を…
「あっ!ダメっ…」
たった、あれだけの行為で達した私は、霊安室で目が醒めた。う~ん、パンティーがグジョグジョだよ…霊安室を出ると、みんなが待っていた。
「完敗でした」
笑って誤魔化す私。
---鬼門大樹---
PVPでの指名が増え、ランクアップ出来た。でも、エリカがまだランクアップしていない。どうするかな?
「私もソロでがんばる。大樹、先に行って攻略方法を見つけておいて」
って、エリカ。リアルで目覚めるまで、後1日か2日かな。
「わかった。エリカ、がんばれよ」
「うん」
僕は次の街を目指して、ランク1のエリアに入った。ここは塔タイプのダンジョンのようだ。ランク0は地下タイプのワンフロアタイプのダンジョンだったが、階段があるのか。体力に注意しないとなぁ。